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冒険者Dと近隣国
接敵
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誰かに見られている。そういう気配だ。頭を巡らせて周りを確認したい気持ちを押さえて俺は言った。
「さてと、なら俺はやりかけの仕事を終わらせて来るかな」
「わたくしも行きます。」
「あたしもー!」
アンナとQTは付いてくる気満々だが俺は駄目だしをする。
「いや、アンナとQTは帰り支度をしてくれ。後で迎えに来るからさ」
バチコンと目配せをするとユキが俺の意を汲んで余計な事を言う。
「心配しなくても大丈夫。あたしが必ず連れて来る。」
オイ、違うだろ。
「まぁ何だ。ちゃんと国に連れて行ってやるよ」
アンナは嬉しそうな顔をした後に疑わしそうな顔になった。QTを見ろ、喜んでいるじゃないか。
「そんな顔をするな」
聞き分けの良いQTと疑り深いアンナを置いて、俺はユキを連れてホテルの外に出る。先程の気配は俺達を追って来たようだ。アンナ達が目的じゃあないようだな、やっぱり。
いったい誰だが分からんが(ほんとは分かってるけど)、俺はバラナビィーチの大通りを駆け抜けて走る。一緒にいた筈のユキの気配は無いが俺の背中かも知れない。
5分も走ればあっという間に建物もまばらになって街の外に出た。このまま海の秘密基地へ行くつもりで走っているといきなり100mほど前に気配を感じた。俺が走る方向を定めたのか、後ろにいたはずが前に移動している。
「ディー、連中」
ユキの声が耳元に響いた。やっぱり乗っていたか。でもユキがいれば心強い。俺は走る勢いを止めるどころか更に加速させて、インベントリから魔銛『絶死』を出して気配に向かって思いっ切り投げた。
真っ直ぐに飛んで行った魔銛『絶死』は途中でくんと曲がり何かに叩かれたように地面に突き刺さった。
「いきなり何しやがる!」
声とともに2mを越えるガタイの大きな男が姿を現した。心の中で戻れと魔銛『絶死』に命じると地面に突き刺さっていた魔銛『絶死』が振動して地面から抜けて俺の手に戻って来た。俺はそのまま男に向かって飛び蹴りを食らわせるがまるで岩に蹴りを入れたように跳ね返されてしまった。後方宙回転をして勢いを鎮める為に地面に魔銛『絶死』を刺す。膝立ちだが油断なくその男、多分ガイザだろうを睨みつける。
「こっちのセリフだ。邪魔しやがると殺すぞ、糞虫!」
ケラケラケラと姿が見えないのに女の笑い声が聞こえた。
さっきまで3人だった気配が2人にっていた。もう一人はと気配を探ると遥か離れた場所に微かに感じられた。こいつがマーキュロだろう。姿の見えないナタリーという女は眼の前のガイザの後ろに入るようだ。
ガイザが背中から持ち手が鋏のような大剣を下ろした。両手持ちのようで先端は地面に突き刺さっている。かなりの異形だ。大剣の筈なのに外側には刃の鋭さが無い。素材もただの鉄のようには見えず光を吸収してるような鈍い黒だ。探りを入れてみよう。
「お前らアルヴァンチェリだな」
大男からは動揺の代わりにギャハハハハハハと品の無い笑い声が聞こえた。
「お前こそDとか言う冒険者だろ。スキル『無貌』の持ち主だな。」
やっぱりアルマと一緒にに居るところを確認されていたようだな。
「ふん、それがどうした!」
「殺してやるよ。足掻いてみせな!」
ガイザの大剣に対抗するために俺は魔銛『絶死』を仕舞って代わりに魔剣『灼熱』を取り出した。魔剣『灼熱』も大概大きいのにガイザの大剣は2周り以上もデカくて幅広だった。
「この魔剣『颶風』に敵うならな!」
見たことも無い魔剣だが名前からして彼奴の作品だな。『絶死』も『灼熱』も同じ鍛冶師が造っているが『颶風』も同じだろう。ガイザは魔剣『颶風』を両手で持って身体ごと回転を始めた。数歩の回転なのに引摺り回し始めた剣先が吹き飛ばす土埃が舞い始める。2回転で既にウィンドストームめいた風と土埃が竜巻のように起きて居るのにぶん回している当人は何とも無いようだ。
「ガハハハハハっ!どうだ、近寄れまい!」
確かに近寄れば土埃と風に襲われただでは済まないだろう。だが、近寄らなければ良いんだろ?
俺は掲げた魔剣『灼熱』に魔力を通しながらガイザの竜巻とは逆回転方向に走り始めた。スキル『疾風』を掛けて更に駆ける。ついでにスキル『重力』で遠心力を逆に作用させる事で身体が外に向かうのを防ぐ。翳した魔剣『灼熱』に魔力を流しているせいでウィンドストームとなって俺に襲いかかろうとするガイザの上空へ熱風が吸い込まれて行く。ガイザは俺の位置が分かるのか俺に近付こうと移動するがその速度は遅いので、寄らば逃げ、逃げれば寄る事で俺を逃さんとばかりに迫っていた。
ガイザのウィンドストームは上空から空気を吸い込む為に俺が魔剣『灼熱』で発した熱を吸い込んでいた。
「この野郎!逃げるな!熱いじゃねぇか!」
罵声を上げながらもガイザはウィンドストームを止めようとはしなかったが10分もするとその激しさは急激に衰え、遂には回転が止まってしまった。途轍もなく重いだろう魔剣『颶風』の先端を地につけ、より掛かるように息を吐いているガイザに俺は容赦なく襲いかかった。
「ハハッ!ザマはないな!セイッ!」
熱に体力を奪われたガイザはスキル『金剛』を使うのが遅れ、俺の魔剣『灼熱』の餌食になって肩口を切り下ろされた。俺は首筋を狙って振り下ろしたんだがな。
疲れ切っているにしても俺の剣筋を避けるなんて流石だわ。褒めてやる。
魔剣『灼熱』の剣先が地面に触れる前に強引に切り上げるとガイザは身体を捻って避ける。しかし、避けきれずに顎の先が切り上げられた。
捻りながら飛び退るガイザが魔剣『颶風』を強引に振り回した。
咄嗟に身体を引いて避けると魔剣『颶風』の起こす風に身体が引っ張られて体勢を崩しそうになる。
「さてと、なら俺はやりかけの仕事を終わらせて来るかな」
「わたくしも行きます。」
「あたしもー!」
アンナとQTは付いてくる気満々だが俺は駄目だしをする。
「いや、アンナとQTは帰り支度をしてくれ。後で迎えに来るからさ」
バチコンと目配せをするとユキが俺の意を汲んで余計な事を言う。
「心配しなくても大丈夫。あたしが必ず連れて来る。」
オイ、違うだろ。
「まぁ何だ。ちゃんと国に連れて行ってやるよ」
アンナは嬉しそうな顔をした後に疑わしそうな顔になった。QTを見ろ、喜んでいるじゃないか。
「そんな顔をするな」
聞き分けの良いQTと疑り深いアンナを置いて、俺はユキを連れてホテルの外に出る。先程の気配は俺達を追って来たようだ。アンナ達が目的じゃあないようだな、やっぱり。
いったい誰だが分からんが(ほんとは分かってるけど)、俺はバラナビィーチの大通りを駆け抜けて走る。一緒にいた筈のユキの気配は無いが俺の背中かも知れない。
5分も走ればあっという間に建物もまばらになって街の外に出た。このまま海の秘密基地へ行くつもりで走っているといきなり100mほど前に気配を感じた。俺が走る方向を定めたのか、後ろにいたはずが前に移動している。
「ディー、連中」
ユキの声が耳元に響いた。やっぱり乗っていたか。でもユキがいれば心強い。俺は走る勢いを止めるどころか更に加速させて、インベントリから魔銛『絶死』を出して気配に向かって思いっ切り投げた。
真っ直ぐに飛んで行った魔銛『絶死』は途中でくんと曲がり何かに叩かれたように地面に突き刺さった。
「いきなり何しやがる!」
声とともに2mを越えるガタイの大きな男が姿を現した。心の中で戻れと魔銛『絶死』に命じると地面に突き刺さっていた魔銛『絶死』が振動して地面から抜けて俺の手に戻って来た。俺はそのまま男に向かって飛び蹴りを食らわせるがまるで岩に蹴りを入れたように跳ね返されてしまった。後方宙回転をして勢いを鎮める為に地面に魔銛『絶死』を刺す。膝立ちだが油断なくその男、多分ガイザだろうを睨みつける。
「こっちのセリフだ。邪魔しやがると殺すぞ、糞虫!」
ケラケラケラと姿が見えないのに女の笑い声が聞こえた。
さっきまで3人だった気配が2人にっていた。もう一人はと気配を探ると遥か離れた場所に微かに感じられた。こいつがマーキュロだろう。姿の見えないナタリーという女は眼の前のガイザの後ろに入るようだ。
ガイザが背中から持ち手が鋏のような大剣を下ろした。両手持ちのようで先端は地面に突き刺さっている。かなりの異形だ。大剣の筈なのに外側には刃の鋭さが無い。素材もただの鉄のようには見えず光を吸収してるような鈍い黒だ。探りを入れてみよう。
「お前らアルヴァンチェリだな」
大男からは動揺の代わりにギャハハハハハハと品の無い笑い声が聞こえた。
「お前こそDとか言う冒険者だろ。スキル『無貌』の持ち主だな。」
やっぱりアルマと一緒にに居るところを確認されていたようだな。
「ふん、それがどうした!」
「殺してやるよ。足掻いてみせな!」
ガイザの大剣に対抗するために俺は魔銛『絶死』を仕舞って代わりに魔剣『灼熱』を取り出した。魔剣『灼熱』も大概大きいのにガイザの大剣は2周り以上もデカくて幅広だった。
「この魔剣『颶風』に敵うならな!」
見たことも無い魔剣だが名前からして彼奴の作品だな。『絶死』も『灼熱』も同じ鍛冶師が造っているが『颶風』も同じだろう。ガイザは魔剣『颶風』を両手で持って身体ごと回転を始めた。数歩の回転なのに引摺り回し始めた剣先が吹き飛ばす土埃が舞い始める。2回転で既にウィンドストームめいた風と土埃が竜巻のように起きて居るのにぶん回している当人は何とも無いようだ。
「ガハハハハハっ!どうだ、近寄れまい!」
確かに近寄れば土埃と風に襲われただでは済まないだろう。だが、近寄らなければ良いんだろ?
俺は掲げた魔剣『灼熱』に魔力を通しながらガイザの竜巻とは逆回転方向に走り始めた。スキル『疾風』を掛けて更に駆ける。ついでにスキル『重力』で遠心力を逆に作用させる事で身体が外に向かうのを防ぐ。翳した魔剣『灼熱』に魔力を流しているせいでウィンドストームとなって俺に襲いかかろうとするガイザの上空へ熱風が吸い込まれて行く。ガイザは俺の位置が分かるのか俺に近付こうと移動するがその速度は遅いので、寄らば逃げ、逃げれば寄る事で俺を逃さんとばかりに迫っていた。
ガイザのウィンドストームは上空から空気を吸い込む為に俺が魔剣『灼熱』で発した熱を吸い込んでいた。
「この野郎!逃げるな!熱いじゃねぇか!」
罵声を上げながらもガイザはウィンドストームを止めようとはしなかったが10分もするとその激しさは急激に衰え、遂には回転が止まってしまった。途轍もなく重いだろう魔剣『颶風』の先端を地につけ、より掛かるように息を吐いているガイザに俺は容赦なく襲いかかった。
「ハハッ!ザマはないな!セイッ!」
熱に体力を奪われたガイザはスキル『金剛』を使うのが遅れ、俺の魔剣『灼熱』の餌食になって肩口を切り下ろされた。俺は首筋を狙って振り下ろしたんだがな。
疲れ切っているにしても俺の剣筋を避けるなんて流石だわ。褒めてやる。
魔剣『灼熱』の剣先が地面に触れる前に強引に切り上げるとガイザは身体を捻って避ける。しかし、避けきれずに顎の先が切り上げられた。
捻りながら飛び退るガイザが魔剣『颶風』を強引に振り回した。
咄嗟に身体を引いて避けると魔剣『颶風』の起こす風に身体が引っ張られて体勢を崩しそうになる。
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