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遥かなる国
未来に
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ディアボロは背中に女をしがみ着かせたまま、空をスキルで移動していた。数mまで近付く魔物ギガントゼウスを翻弄するように高度を下げながら北へ向かっていた。
逃げ続ける事で疲れが出て来たのかも知れない。
追いかけているギガントゼウスは嘴で攻撃しようと速度を上げても苛つかせる羽虫は啄むことが出来ずに居た。
もう少しという所で消えては違うところに現れる、夢中になり過ぎて巣のある高山からだいぶ離れてしまっていることは自覚していた。
またもや逃がした。今度は横に逃げた。
しかもギガントゼウスの何時もの高度が下がって来て飛行速度も保てなくなりつつある。
ギガントゼウスはその巨体を飛ばすには空気の薄い高高度が必要なのだ。思うように成らない苛つきを押さえてギガントゼウスは高度を上げて行く。
すると、羽虫は今度は自分を追い掛けるように近付いて来た。
追い掛けて来るなら来るに任せようとギガントゼウスは高山に戻る様な軌跡を描き始めた。そうすると今度は羽虫から近付いて来た。
誘う積りは無かったがギガントゼウスが羽根を羽ばたかせてやると目測を誤ったかのように羽虫が羽根に当たり、失速して落ちていった。ザマを見ろと一言鳴き声を上げてギガントゼウスは速度を早めて古巣目掛けて飛んで行く。
しまった、逃げようとしていたギガントゼウスに近付き過ぎて羽根に当たってしまった。強烈な衝撃をディアボロは受けて失神してしまった。
背中に張り付いていた女が大声で叫びながらスキルを発動しようとしていたが余り効果は無かったようだ。
かなりの速度で落下をしたディアボロはあわや海面に当たろうかという高度で気が付き、スキルを発動して何とか持ち直した。
そのまま何とか小さな島に転がり落ちた。
九死に一生を得るとはこの事だったろう。ディアボロと女は衝撃で再び気絶して暫くの間起き上がる事が出来なかったようだ。一矢を報いたギガントゼウスが鳴き声を上げながら米粒になって見えなくなる頃やっと女が起きた。
「ディー!ディー!しっかりして!」
ユキが倒れているディーを揺する。揺すったくらいでは起きないのを見たユキは少し悪戯を思い付き自分の唇を近付けた。
湿った感覚を覚えてディアボロは目を開けた。眼の前に少し幼い少女が目を輝かせて自分を見詰めている。
誰だ?口を突いて出た言葉に自分で疑問を覚えた。この娘を俺は良く知っている筈なのに名前が分からない。
「ディー、大丈夫?」
自分で思って於いて何がと思った。
そして思い出す。
そうだ、俺は高硬度の空から気を失って落下したのだ。
女性に助けられながら身を起こすと左肩と左腰に痛みを感じた。
落下時に、この女性を庇ってダメージを負ったのか。俺はインベントリからポーションを取り出すと一気に飲み干した。
喉を伝い、腹の中に染みていくに連れて痛みが引いていく。
「お前も大丈夫か?これを飲んで置け」
俺は再びインベントリから出したポーションを女性に渡す。
女性は素直に受け取りクピクピと飲む。
飲み切ると空の瓶はインベントリに収納して片付ける。ゴミはインベントリにだ。
後で再生すれば良い。先程から女性が俺をディーと呼ぶからには俺の名前はディーと言うのか。女性を見ると見返した女性の瞳が不安に揺れている。
「ディー、本当に大丈夫?あたしが分かる?」
「・・・あー誰だっけ?」
鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔を一瞬浮かべてから輝かしい笑顔を浮かべて女性が言った。
「・・・あたしよ、あなたの妻のユキだよ」
そうか、この女性は俺の妻か。そう言われると身体にも馴染みを覚える。俺は良く知っている。
「すまん、どうやら落下での衝撃かなんかで記憶が跳んでるみたいだ」
「良いのよ。だってディーはあたしを庇ってくれたんだもの」
ユキがしなだれ掛かって来るのを抱き止める。うんうんこの感じに覚えはあるな。
暫く抱き合っていたが俺は周りを見回しながらユキを押しやり、立ち上がった。手を出してユキも立ち上がらせる。直ぐにユキが俺にくっつく。
「あーユキ?歩き辛いんだがな」
身体をユキが離すとスルスルと俺の身体に登り背中に背負われる。
「何時もこうしているのよ」
確かに馴染んている。重さも感じない。ユキのスキルだろう。
「ここは何処だろう?」
「多分アロシア帝国の何処かね。見る影もないけど」
ユキの言う通り俺達がいる島の周りには海ばかりで離れた所に薄れつつある島が点在していた。落石のような音を立てて地鳴りがするからそのうちこの島も海の藻屑になるのかも知れない。
「さて、何処へ向うか、南か?」
それにユキが反対して言った。
「いいえ、西が良いと思うわ。この大災害の余波が少ないのは多分フランドイツ帝国だと思うわ・・・ゴニョゴニョ」
その後少し俺に聴こえない様な事を言ったみたいだ。会わないで済むとか二人だけになるとか。
「そうか、それじゃあ西に向うか。でもどうやって行くかだな」
「簡単よ。ディーがスキルで『覇王龍ズァーク』に成れば良いのよ」
『覇王龍ズァーク』と言う言葉を聞いた途端、俺はスキル『無貌』で姿を変えられる事を思い出した。
こうやって西に傾き始めた太陽を見て話している内に体力も回復した。
「よし、行くか。しっかり掴まっていろよ、ユキ!」
俺はスキル『無貌』で『覇王龍ズァーク』に姿を変えて西の空に飛び立った。
ーー完ーー
長い間お付き合い頂きましてありがとう御座いました。
これでディーの冒険譚は一端、終わります。
楽しんで頂けたていたなら幸いです。
他の新しいお話もアップして行きますので宜しくお願いします。
逃げ続ける事で疲れが出て来たのかも知れない。
追いかけているギガントゼウスは嘴で攻撃しようと速度を上げても苛つかせる羽虫は啄むことが出来ずに居た。
もう少しという所で消えては違うところに現れる、夢中になり過ぎて巣のある高山からだいぶ離れてしまっていることは自覚していた。
またもや逃がした。今度は横に逃げた。
しかもギガントゼウスの何時もの高度が下がって来て飛行速度も保てなくなりつつある。
ギガントゼウスはその巨体を飛ばすには空気の薄い高高度が必要なのだ。思うように成らない苛つきを押さえてギガントゼウスは高度を上げて行く。
すると、羽虫は今度は自分を追い掛けるように近付いて来た。
追い掛けて来るなら来るに任せようとギガントゼウスは高山に戻る様な軌跡を描き始めた。そうすると今度は羽虫から近付いて来た。
誘う積りは無かったがギガントゼウスが羽根を羽ばたかせてやると目測を誤ったかのように羽虫が羽根に当たり、失速して落ちていった。ザマを見ろと一言鳴き声を上げてギガントゼウスは速度を早めて古巣目掛けて飛んで行く。
しまった、逃げようとしていたギガントゼウスに近付き過ぎて羽根に当たってしまった。強烈な衝撃をディアボロは受けて失神してしまった。
背中に張り付いていた女が大声で叫びながらスキルを発動しようとしていたが余り効果は無かったようだ。
かなりの速度で落下をしたディアボロはあわや海面に当たろうかという高度で気が付き、スキルを発動して何とか持ち直した。
そのまま何とか小さな島に転がり落ちた。
九死に一生を得るとはこの事だったろう。ディアボロと女は衝撃で再び気絶して暫くの間起き上がる事が出来なかったようだ。一矢を報いたギガントゼウスが鳴き声を上げながら米粒になって見えなくなる頃やっと女が起きた。
「ディー!ディー!しっかりして!」
ユキが倒れているディーを揺する。揺すったくらいでは起きないのを見たユキは少し悪戯を思い付き自分の唇を近付けた。
湿った感覚を覚えてディアボロは目を開けた。眼の前に少し幼い少女が目を輝かせて自分を見詰めている。
誰だ?口を突いて出た言葉に自分で疑問を覚えた。この娘を俺は良く知っている筈なのに名前が分からない。
「ディー、大丈夫?」
自分で思って於いて何がと思った。
そして思い出す。
そうだ、俺は高硬度の空から気を失って落下したのだ。
女性に助けられながら身を起こすと左肩と左腰に痛みを感じた。
落下時に、この女性を庇ってダメージを負ったのか。俺はインベントリからポーションを取り出すと一気に飲み干した。
喉を伝い、腹の中に染みていくに連れて痛みが引いていく。
「お前も大丈夫か?これを飲んで置け」
俺は再びインベントリから出したポーションを女性に渡す。
女性は素直に受け取りクピクピと飲む。
飲み切ると空の瓶はインベントリに収納して片付ける。ゴミはインベントリにだ。
後で再生すれば良い。先程から女性が俺をディーと呼ぶからには俺の名前はディーと言うのか。女性を見ると見返した女性の瞳が不安に揺れている。
「ディー、本当に大丈夫?あたしが分かる?」
「・・・あー誰だっけ?」
鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔を一瞬浮かべてから輝かしい笑顔を浮かべて女性が言った。
「・・・あたしよ、あなたの妻のユキだよ」
そうか、この女性は俺の妻か。そう言われると身体にも馴染みを覚える。俺は良く知っている。
「すまん、どうやら落下での衝撃かなんかで記憶が跳んでるみたいだ」
「良いのよ。だってディーはあたしを庇ってくれたんだもの」
ユキがしなだれ掛かって来るのを抱き止める。うんうんこの感じに覚えはあるな。
暫く抱き合っていたが俺は周りを見回しながらユキを押しやり、立ち上がった。手を出してユキも立ち上がらせる。直ぐにユキが俺にくっつく。
「あーユキ?歩き辛いんだがな」
身体をユキが離すとスルスルと俺の身体に登り背中に背負われる。
「何時もこうしているのよ」
確かに馴染んている。重さも感じない。ユキのスキルだろう。
「ここは何処だろう?」
「多分アロシア帝国の何処かね。見る影もないけど」
ユキの言う通り俺達がいる島の周りには海ばかりで離れた所に薄れつつある島が点在していた。落石のような音を立てて地鳴りがするからそのうちこの島も海の藻屑になるのかも知れない。
「さて、何処へ向うか、南か?」
それにユキが反対して言った。
「いいえ、西が良いと思うわ。この大災害の余波が少ないのは多分フランドイツ帝国だと思うわ・・・ゴニョゴニョ」
その後少し俺に聴こえない様な事を言ったみたいだ。会わないで済むとか二人だけになるとか。
「そうか、それじゃあ西に向うか。でもどうやって行くかだな」
「簡単よ。ディーがスキルで『覇王龍ズァーク』に成れば良いのよ」
『覇王龍ズァーク』と言う言葉を聞いた途端、俺はスキル『無貌』で姿を変えられる事を思い出した。
こうやって西に傾き始めた太陽を見て話している内に体力も回復した。
「よし、行くか。しっかり掴まっていろよ、ユキ!」
俺はスキル『無貌』で『覇王龍ズァーク』に姿を変えて西の空に飛び立った。
ーー完ーー
長い間お付き合い頂きましてありがとう御座いました。
これでディーの冒険譚は一端、終わります。
楽しんで頂けたていたなら幸いです。
他の新しいお話もアップして行きますので宜しくお願いします。
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