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遥かなる国
大災害
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人々は飢えていた。
轟音と暴風を奇跡的に生き延びたけれど渇きには我慢が出来なかった。
水を求めて川に落ち、森に入り魔物に襲われた。
轟音と暴風から逃れる様に南に救いを求めた。
騎馬や馬車も無く、ほとんどの者が徒歩だった。
食料を持って居たものは幸せだったろうか。
武器を持ち暴力を行使出来るものが食料を持つものを襲った。暴力に抵抗出来る者は少数だった。
だから南へ移動する者達は群れた。
弱き者は群れる事で強者から逃れようとする。
だから少しの食料を得ても群れの飢えは却って満たせない。
群れが進む先も破壊と荒廃が進んだ。
飲める物は飲んだ。
食べられる物は食べた。
持てる武器は持った。
それでも、非力な者から脱落していった。
弱き乳幼児、歩けても体力の無い子供、自身を守ることが出来ない女性、飢えで見境の無くなった者が次々と脱落していった。
南を目指す飢えた群れは見える村や街に群がった。
木の防壁しか無い村は飢えた群れに成す術もなく収奪されて、抵抗出来た者も呑まれて行った。
後に残ったのは破壊されて収奪されて燃えてしまった村の残骸だった。
何とか飢えた群れから抵抗出来た街もスキルで防壁の周囲からよじ登ろうとする無謀な者達や魔法で門を破壊して中に入ろうとする者達が押し寄せる事で食料で儲けようと考えた商人達や物流を担う者達を導き入れる事が不可能になった。
小規模な街も大規模な街も数日は保つだろう。
だが、押し寄せる、きりの無い飢えた群れの前に成すすべもなく籠城するしか無かった。
最初の轟音と暴風は収まったかに見えたが何度も起こる大地の揺れは街の中の建物を崩した。
そして瓦礫の下に人々は埋まった。
助けを求める声は街の防壁の内外から上がる事になる。
為政者は最初の轟音と暴風の後に近隣から逃れた人々を受け入れたが数が膨らむに連れて選別を始めた。
街の中で生活ができる者だけを受け入れ、着のみ着のまま逃げて来た者を排除したのだ。
街の中に無防備に避難者を受け容れる事が如何に危険なことか、被害が膨らむ事で理解してきたのだ。
1日や2日ならば問題無かったかも知れないが防壁の中から外を見た景色は嘗てないほどの状況を見せていたのだ。
終わりのある魔物暴走ならいざ知らず、見渡す限りから集まる人の群れは甘味に群がる蟻の如く際限が無く見えたのだ。
それらを空から見ていた者たちが居た。
飛行船ノアンの操船者イシュタームとハイドゥン村の者達だ。Dが置いていった食料が船を傾ける程あったがDはまだ戻って来なかった。
南に向かいながら各地の街々を見て回り、降下する場所を探していた。
何処も酷い有り様で降りるに降りられない状況で、とうとうマジェント共和王国の王都まで来てしまった。
王都の城壁の周りには群れが群がって黒山の人だかりとなっていたがそこかしこで煙が立ち上り中に入る事は出来なくても何とか生活が出来ているようだった。
操舵室に集まった者達と相談してイシュタームは王都の城壁の中に降りる事にした。
王城の庭なら飛行船ノアンが降下する場所が確保出来ると思えたからだ。
そしてマジェント共和王国の侯爵令嬢アンナ•ハサイエルが居た。
大量の食料と彼女の身分にて保護が望めると言う判断だった。王都に到着する前から地上の飢えた群れには驚かれていたが手出しが出来なかったから王都まで無事に来れたのだ。
当然王都の民衆だけでなく王族にも驚かれて居た。
北から来た見も知らぬ空を漂う魔導具に恐れ慄き、興味を惹かれた。
イシュタームは魔法や弓矢が届かない高度の500mあたりを保ち外部音声拡声器で話し掛けた。
「こちらはハイドゥン村の生き残りだ。アンナ•ハサイエル嬢をお連れしている。王城の広場へ着陸の許可を頂きたい。」
余り丁寧な言葉遣いなどしたことが無かったが出来るだけ丁寧に話した。
ハイドゥン村の範疇から外れたからか過去世の記憶がほとんど無くなってしまって居た。
やっぱり、あそこは特殊な場所だったようだ。
操舵室にアンナが入って来て音声拡声器に向かって話した。
「わたくしはアンナ、宰相ハサイエル侯爵の娘です。どなたかお父様を呼んで頂けませんか」
イシュタームがアンナの名前を出した所で聞き付けたのかブリエ•ハサイエル侯爵が出てきた。
しかもマジェント共和王国の第三王子で宰相補佐のロージエ•サリ•マジェントもロージエ付きの筆頭魔術師マーキュリー•ディオンも一緒だった。
3人が口々に何か言っていたが突然マーキュリーの声が大きくなって聞こえて来た。
声が届かない事に気付いて魔法を使ったのだろう。
「・・・聞こえますかぁー!アンナ様ぁー!ブリエ様が構わないから降りて来るようにと仰せでぇーす!」
その言葉に飛行船ノアンの乗員は大歓声を上げたのだった。
王城のあちこちが崩れていたが青々とした広場に飛行船ノアンが着底し、ハイドゥン村の者たちが降りて来た。
騎士達に守られて居たブリエが人々の中にアンナを見つけると前に進み出て、それに気付いたアンナが走り、飛び付き、抱きついたのだった。
何処からか拍手が起きてその場の皆は温かい雰囲気に包まれたのだった。
轟音と暴風を奇跡的に生き延びたけれど渇きには我慢が出来なかった。
水を求めて川に落ち、森に入り魔物に襲われた。
轟音と暴風から逃れる様に南に救いを求めた。
騎馬や馬車も無く、ほとんどの者が徒歩だった。
食料を持って居たものは幸せだったろうか。
武器を持ち暴力を行使出来るものが食料を持つものを襲った。暴力に抵抗出来る者は少数だった。
だから南へ移動する者達は群れた。
弱き者は群れる事で強者から逃れようとする。
だから少しの食料を得ても群れの飢えは却って満たせない。
群れが進む先も破壊と荒廃が進んだ。
飲める物は飲んだ。
食べられる物は食べた。
持てる武器は持った。
それでも、非力な者から脱落していった。
弱き乳幼児、歩けても体力の無い子供、自身を守ることが出来ない女性、飢えで見境の無くなった者が次々と脱落していった。
南を目指す飢えた群れは見える村や街に群がった。
木の防壁しか無い村は飢えた群れに成す術もなく収奪されて、抵抗出来た者も呑まれて行った。
後に残ったのは破壊されて収奪されて燃えてしまった村の残骸だった。
何とか飢えた群れから抵抗出来た街もスキルで防壁の周囲からよじ登ろうとする無謀な者達や魔法で門を破壊して中に入ろうとする者達が押し寄せる事で食料で儲けようと考えた商人達や物流を担う者達を導き入れる事が不可能になった。
小規模な街も大規模な街も数日は保つだろう。
だが、押し寄せる、きりの無い飢えた群れの前に成すすべもなく籠城するしか無かった。
最初の轟音と暴風は収まったかに見えたが何度も起こる大地の揺れは街の中の建物を崩した。
そして瓦礫の下に人々は埋まった。
助けを求める声は街の防壁の内外から上がる事になる。
為政者は最初の轟音と暴風の後に近隣から逃れた人々を受け入れたが数が膨らむに連れて選別を始めた。
街の中で生活ができる者だけを受け入れ、着のみ着のまま逃げて来た者を排除したのだ。
街の中に無防備に避難者を受け容れる事が如何に危険なことか、被害が膨らむ事で理解してきたのだ。
1日や2日ならば問題無かったかも知れないが防壁の中から外を見た景色は嘗てないほどの状況を見せていたのだ。
終わりのある魔物暴走ならいざ知らず、見渡す限りから集まる人の群れは甘味に群がる蟻の如く際限が無く見えたのだ。
それらを空から見ていた者たちが居た。
飛行船ノアンの操船者イシュタームとハイドゥン村の者達だ。Dが置いていった食料が船を傾ける程あったがDはまだ戻って来なかった。
南に向かいながら各地の街々を見て回り、降下する場所を探していた。
何処も酷い有り様で降りるに降りられない状況で、とうとうマジェント共和王国の王都まで来てしまった。
王都の城壁の周りには群れが群がって黒山の人だかりとなっていたがそこかしこで煙が立ち上り中に入る事は出来なくても何とか生活が出来ているようだった。
操舵室に集まった者達と相談してイシュタームは王都の城壁の中に降りる事にした。
王城の庭なら飛行船ノアンが降下する場所が確保出来ると思えたからだ。
そしてマジェント共和王国の侯爵令嬢アンナ•ハサイエルが居た。
大量の食料と彼女の身分にて保護が望めると言う判断だった。王都に到着する前から地上の飢えた群れには驚かれていたが手出しが出来なかったから王都まで無事に来れたのだ。
当然王都の民衆だけでなく王族にも驚かれて居た。
北から来た見も知らぬ空を漂う魔導具に恐れ慄き、興味を惹かれた。
イシュタームは魔法や弓矢が届かない高度の500mあたりを保ち外部音声拡声器で話し掛けた。
「こちらはハイドゥン村の生き残りだ。アンナ•ハサイエル嬢をお連れしている。王城の広場へ着陸の許可を頂きたい。」
余り丁寧な言葉遣いなどしたことが無かったが出来るだけ丁寧に話した。
ハイドゥン村の範疇から外れたからか過去世の記憶がほとんど無くなってしまって居た。
やっぱり、あそこは特殊な場所だったようだ。
操舵室にアンナが入って来て音声拡声器に向かって話した。
「わたくしはアンナ、宰相ハサイエル侯爵の娘です。どなたかお父様を呼んで頂けませんか」
イシュタームがアンナの名前を出した所で聞き付けたのかブリエ•ハサイエル侯爵が出てきた。
しかもマジェント共和王国の第三王子で宰相補佐のロージエ•サリ•マジェントもロージエ付きの筆頭魔術師マーキュリー•ディオンも一緒だった。
3人が口々に何か言っていたが突然マーキュリーの声が大きくなって聞こえて来た。
声が届かない事に気付いて魔法を使ったのだろう。
「・・・聞こえますかぁー!アンナ様ぁー!ブリエ様が構わないから降りて来るようにと仰せでぇーす!」
その言葉に飛行船ノアンの乗員は大歓声を上げたのだった。
王城のあちこちが崩れていたが青々とした広場に飛行船ノアンが着底し、ハイドゥン村の者たちが降りて来た。
騎士達に守られて居たブリエが人々の中にアンナを見つけると前に進み出て、それに気付いたアンナが走り、飛び付き、抱きついたのだった。
何処からか拍手が起きてその場の皆は温かい雰囲気に包まれたのだった。
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