無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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冒険者Dと近隣国

飛行船ノアンの行方

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◆イシュターム視点◆
魔物ギガントゼウスが遠くへ離れて行くのを見てイシュタームはほっとした。自分だけでなく周りのみんなも同じ気持ちだったと分かった。
「エイスの奴、大丈夫なんだろな」

ストロバヤが眠っている子供を抱きかかえ直しながら呟いた。
「まぁ自分のスキルを使いこなせる様になったと言ってだけどまだ『無謀』だと思ってるんじゃないか、はは」

サヴァが少しからかい気味に言った。確かにエイスは村にいる時に自分のスキルの使い方が分からなくて色々無茶をやっていたからなと思い出した。
「頼もしいんだか、危なっかしいのか分からんのがエイスだからな」

ユークリッドの言う事が本当過ぎて笑えた。
「ところでアンナ様?あんた達はエイスの事を時たまデイとか言っていたがそりゃ何だ?」

俺は和やかな会話の中で疑問を貴族のお嬢さんに投げ掛けた。すると同じく貴族と思われるもっと若い娘が答えた。確かキューティとか言ってたな。
「エイスさんは今は名前を変えてディーって言うんだよ」

エイスが居なくなってから随分経つが何があったと言うんだよ。のんびり昔話をする間もなく騒ぎがあったからゆっくり話も出来てねえ。
「生まれた時の名前がエイス。商人がべゼット•ワイグマ。傭兵がシーザーで冒険者がディアボロって名乗ったっていたわ」

アンナと言う美人が教えてくれる。ユークリッドが見惚れていたら女房のスレッタに抓(つね)られていやがる。それより懐かしい名前が出たな。
「べゼットさん?」

サヴァが驚いて言ったぜ。話半分で操縦していたが朝日が登るに連れて眼下の景色が分って来たぜ。アララット山の周りを回っていたがだいぶ離れてしまっていたようだ。
べゼットの名前を懐かしく感じながらも眼下の変わりように驚いて皆に説明する。
「そういやエイスが居なくなったのもべゼットさんの事件の頃だったな。」
「そうそう、様子の可怪しかったべゼットさんがハイドゥンの村を出た時にエイスが居なくなったんだよな。あいつ、べゼットさんの名前を使って商人なんかしてたのか?」
「私も詳しくは聞いてませんが短い期間だったようです」

アンナの言葉の後にもっと後ろから声が掛かった。
「やっぱりディーさんがべゼットだったんですね!」

どうやらエイスと共にハイドゥン村に入って来た商人のようだった。
「何か知ってるのか?」

サヴァが問いかけるとコメツキを名乗る商人が半年の間にべゼットがしたと言う商人の偉業を話した。
あのべゼットさんがと疑問に思う。俺達が知っでるべゼットは気弱で判断力が無かった商人だ。流されるままに商人をしていた筈だ。皆が感心している間に俺は眼下の事を説明した。
「みんな!下を見てくれ!」

アララット山の麓のハイドゥン村の森は酷いことになっていた。ベラーシかウクイラナ方向から飛んで来たと思われる岩塊が複数森を裂きながら破壊していた。
一際大きい岩塊がハイドゥン村の脇を掠め、深く抉ったお陰で村のあちこちから炎が上がり、煙を吐いていた。あそこに残っていた者たちがどうなったか分からない状態だった。

離陸したアララット山に戻るのは論外だった。森の外れの幾分かマシな所に降りるしか無いだろう。
だが俺は計器を見て言った。
「ガスが減って来てる。一度降りたら飛び上がるのは無理だ。降りる所は慎重に選ばないと駄目だな」

俺の言葉にみんなが言葉を失う。
ハイドゥン村をの小さな畑や森の恵みを当てにすることは出来そうも無い。なら、ガスがある内に避難に適した場所を探すしか無いだろう、
「村がこんなだと他がどうなっているか、確認して出来るだけ被害の無い所を探さないと・・・」

ストロバヤが言う通りだ。
「それじゃあ最初に古代兵器オメガロンが落ちたと思われる場所を確認してから探そう」

俺は急がないで高度を下げながら進路を北東に向けた。
高度が5000mを切った頃にベラーシが遠くに見える所まで近づいた。言葉にならなかった。

落下地点と思われる場所から罅が割れるように大地が裂けて所々赤い炎が見えていた。裂け目はどれだけ大きいのかと思う程で延々と続いているように見えた。
しかもそこから飛んだと思われる岩塊が更に周りの街を襲っていた。災厄から逃れたと見える難民が集団であちこちにいた。

みんなそこから逃げるように南下している。北に逃げる事なんて出来そうも無かった。だって、ベラーシより北東は大地が無かった。逆巻く渦が残った大地を削り、大海原を作り出していた。

何処からか飛んで来たのか分からない古代兵器オメガロンがアロシア帝国を残滓無く、徹底的に破壊していた。その類は固くアロシア帝国とマジェント共和王国を隔てていた赤峰山脈に及び山塊が海に転げ落ちていたのだ。

飛行船ノアンに乗って眼下を見た者達は言葉も無かった。俺はこれ以上高度を下げずに難民が目指している南に大きく舵を切った。

向かうはマジェント共和王国の首都だ。多分避難民が多く集まっているだろうが、行ける場所は他には無かった。







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