無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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冒険者Dと近隣国

アンナとユキ

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◆アンナ視点◆
ディーが外へ出て行った。

この飛行船を襲って居る魔物を追い払う為だ。確かに女好きで規格外な冒険者だけど空を飛ぶ魔物に敵う筈が無いでは無いか。
心配で声を掛ければ自分達を守るために行くなんて男らしい事を言われた。しかもキスをされてハグまで公衆の面前でされてしまったのだ。

こんな事をされたら送り出さない訳には行かないではないか。胸が締め付けられる様に苦しい。そんなあたしをQTが慰めてくれる。
「Dは強いからきっと直ぐに戻って来るよ」

護衛をしてくれてここまで同行してくれたダリアも破軍の星デストロイスターのメンバーも頷いていた。その時飛行船ノアンがぐらりと揺れ、操縦席前の大きな窓に魔物の姿がチラリと見えた。

魔物が過ぎ去るとその先に人の姿が空に浮いていた。思わず声が漏れる。
「ディー!」

その姿は直ぐ消えてしまったが空を飛ぶ大きな魔物を挑発している様に思えた。そうだ、何も彼は魔物を狩りに行ったのでは無いのだ。

この飛行船ノアンから引き離せれば問題ないはずだ。彼の姿が一足飛びに別の場所に跳んでそこから剣を振るう姿が見える。みんなが彼を見ていた。
人があんな動きをできるのだろうか。彼は瞬間的にその場から消えては別の場所に現れ、空を高速で飛ぶ魔物に向かって攻擊しているようだった。

攻撃は目に見えず、魔物にそれほど効果があるように見えなかったが魔物には煩わしかったらしい。あっ!と思ったら彼が魔物に正面から衝突されて、魔物と共に消えると魔物の鳴き声らしき音がした。
グギャ、グギャー!

魔物にダメージを与えられたようだ。豆粒の様に見える彼が更に遠ざかり、魔物が飛行船ノアンから離れて行った。魔物の飛行の余波らしき風に煽られ揺れながらも何とか無事で済んだらしい。
「ふぅ~」

操舵室に居た者たちの息を吐く音がする。どうやらみんなも彼の戦いを息を潜めて見守っていたようだ。

遠くの空に赤い光が見え始めた。
朝焼けが始まり空が明るくなる。
「さて、夜も開けたし移動を始めるぞ。休めるものは休んでくれ」

その声は彼の友人のこの飛行船ノアンの持ち主イシュタームだった。空の彼方に消えた彼の事を微塵も心配していない様子に少し腹を立て、その信頼の仕方に羨ましさを感じないではいられない。


◆ユキ視点◆
いつもこの背中は安心出来る。広くて逞しい背中はユキの小さい時を思い出させてくれる。

ユキの故郷は弓月国の北の外れの小さな島だった。
母は無く父だけが唯一の肉親だった。母の事を聞くと父は何時も寂しそうな顔をして口を閉ざした。

何か訳ありだったのか冬は寒く雪が深かった島の山の中に小屋を父が作り、何かから逃げるように住んでいた。周りに民家は無くて海岸近くに数件漁師をやっている老人が居るだけで子供は居なかった。
友達を作ることはできなかったがいつも父が一緒だった。

父におぶわれて育ち、父のすることを見て育った。物心つく頃に聞いたらユキの名前は雪山から取ったと教えられた。
そんな生活をしていたからだろうか。纏わりついても重さを感じさせない技量『羽毛』を持つ事が出来た。

ユキのスキルは『隠形』を与えられたが厳しい自然のせいか直ぐに『影隠れ』のスキルを持つ事になった。

そんな時、何も無い様な島を外国の軍艦が占領に来た。ソビエント連邦共産国の軍艦だった。

あっと言う間に数件の民家が襲われ、住人は殺された。異変を察知したユキの父はユキを隠し、派手に暴れて山に誘き出し逆襲したが多勢に無勢で追い詰められて殺されてしまった。

ユキを見つけ出した男がユキの父親にユキを見せ付けて反抗心を挫いて来たからだった。ユキの父親を殺した男エベンゲはユキをソビエント連邦共産国に連れて帰り徹底的に仕込んだ。

そしてエベンゲの敵を暗殺するのにユキを使った。何故かエベンゲはユキのスキルを知っていた。

そして、ソビエント連邦共産国が無くなりアロシア帝国となった時にユキはアロシア帝国の暗殺団『月牙ムーンファング』の一員となり、エベンゲを殺し父親の仇を打った。

目的の無くなったユキはアロシア帝国の暗殺団『月牙ムーンファング』の首領の言う通り色々な所へ行き、色々な相手を、色々な手段で暗殺して行った。
そして錬金術師ランドルト暗殺をDに防がれてしまった。

何しろスキル『隠形』で姿はおろか気配すら無かった筈なのに躊躇なく蹴り倒されたのだ。ユキの唯一の失敗は簡単な暗殺しごとと考えずスキル『影隠れ』を使わなかった事だった。
Dがユキを殺さなかったのはユキが合法ロリだったからではなくて、女だったからだ。

Dはどんな因業な女でも暗殺者でも殺さない。自分の女にしてしまう。Dに犯された時、最初のうちはユキはDの隙を突いて殺す積りだった。今は敵わなくても何時かエベンゲの様に殺してやる気でいたのだ。

だが、Dの背中に張り付いて居る内に同い年の筈なのに父親に抱くような安心感を得てしまった。

一時も離れて居たくない気持ちは同じくDを慕うアンナに負けて居ない。そしてアンナとは違い自分はDの力になれるし守られる存在では無い事が優越感を得られる。

だからギガントゼウス戦でも共にしたのだ。







    
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