156 / 159
冒険者Dと近隣国
アンナとユキ
しおりを挟む
◆アンナ視点◆
ディーが外へ出て行った。
この飛行船を襲って居る魔物を追い払う為だ。確かに女好きで規格外な冒険者だけど空を飛ぶ魔物に敵う筈が無いでは無いか。
心配で声を掛ければ自分達を守るために行くなんて男らしい事を言われた。しかもキスをされてハグまで公衆の面前でされてしまったのだ。
こんな事をされたら送り出さない訳には行かないではないか。胸が締め付けられる様に苦しい。そんなあたしをQTが慰めてくれる。
「Dは強いからきっと直ぐに戻って来るよ」
護衛をしてくれてここまで同行してくれたダリアも破軍の星のメンバーも頷いていた。その時飛行船ノアンがぐらりと揺れ、操縦席前の大きな窓に魔物の姿がチラリと見えた。
魔物が過ぎ去るとその先に人の姿が空に浮いていた。思わず声が漏れる。
「ディー!」
その姿は直ぐ消えてしまったが空を飛ぶ大きな魔物を挑発している様に思えた。そうだ、何も彼は魔物を狩りに行ったのでは無いのだ。
この飛行船ノアンから引き離せれば問題ないはずだ。彼の姿が一足飛びに別の場所に跳んでそこから剣を振るう姿が見える。みんなが彼を見ていた。
人があんな動きをできるのだろうか。彼は瞬間的にその場から消えては別の場所に現れ、空を高速で飛ぶ魔物に向かって攻擊しているようだった。
攻撃は目に見えず、魔物にそれほど効果があるように見えなかったが魔物には煩わしかったらしい。あっ!と思ったら彼が魔物に正面から衝突されて、魔物と共に消えると魔物の鳴き声らしき音がした。
グギャ、グギャー!
魔物にダメージを与えられたようだ。豆粒の様に見える彼が更に遠ざかり、魔物が飛行船ノアンから離れて行った。魔物の飛行の余波らしき風に煽られ揺れながらも何とか無事で済んだらしい。
「ふぅ~」
操舵室に居た者たちの息を吐く音がする。どうやらみんなも彼の戦いを息を潜めて見守っていたようだ。
遠くの空に赤い光が見え始めた。
朝焼けが始まり空が明るくなる。
「さて、夜も開けたし移動を始めるぞ。休めるものは休んでくれ」
その声は彼の友人のこの飛行船ノアンの持ち主イシュタームだった。空の彼方に消えた彼の事を微塵も心配していない様子に少し腹を立て、その信頼の仕方に羨ましさを感じないではいられない。
◆ユキ視点◆
いつもこの背中は安心出来る。広くて逞しい背中はユキの小さい時を思い出させてくれる。
ユキの故郷は弓月国の北の外れの小さな島だった。
母は無く父だけが唯一の肉親だった。母の事を聞くと父は何時も寂しそうな顔をして口を閉ざした。
何か訳ありだったのか冬は寒く雪が深かった島の山の中に小屋を父が作り、何かから逃げるように住んでいた。周りに民家は無くて海岸近くに数件漁師をやっている老人が居るだけで子供は居なかった。
友達を作ることはできなかったがいつも父が一緒だった。
父におぶわれて育ち、父のすることを見て育った。物心つく頃に聞いたらユキの名前は雪山から取ったと教えられた。
そんな生活をしていたからだろうか。纏わりついても重さを感じさせない技量『羽毛』を持つ事が出来た。
ユキのスキルは『隠形』を与えられたが厳しい自然のせいか直ぐに『影隠れ』のスキルを持つ事になった。
そんな時、何も無い様な島を外国の軍艦が占領に来た。ソビエント連邦共産国の軍艦だった。
あっと言う間に数件の民家が襲われ、住人は殺された。異変を察知したユキの父はユキを隠し、派手に暴れて山に誘き出し逆襲したが多勢に無勢で追い詰められて殺されてしまった。
ユキを見つけ出した男がユキの父親にユキを見せ付けて反抗心を挫いて来たからだった。ユキの父親を殺した男エベンゲはユキをソビエント連邦共産国に連れて帰り徹底的に仕込んだ。
そしてエベンゲの敵を暗殺するのにユキを使った。何故かエベンゲはユキのスキルを知っていた。
そして、ソビエント連邦共産国が無くなりアロシア帝国となった時にユキはアロシア帝国の暗殺団『月牙』の一員となり、エベンゲを殺し父親の仇を打った。
目的の無くなったユキはアロシア帝国の暗殺団『月牙』の首領の言う通り色々な所へ行き、色々な相手を、色々な手段で暗殺して行った。
そして錬金術師ランドルト暗殺をDに防がれてしまった。
何しろスキル『隠形』で姿はおろか気配すら無かった筈なのに躊躇なく蹴り倒されたのだ。ユキの唯一の失敗は簡単な暗殺と考えずスキル『影隠れ』を使わなかった事だった。
Dがユキを殺さなかったのはユキが合法ロリだったからではなくて、女だったからだ。
Dはどんな因業な女でも暗殺者でも殺さない。自分の女にしてしまう。Dに犯された時、最初のうちはユキはDの隙を突いて殺す積りだった。今は敵わなくても何時かエベンゲの様に殺してやる気でいたのだ。
だが、Dの背中に張り付いて居る内に同い年の筈なのに父親に抱くような安心感を得てしまった。
一時も離れて居たくない気持ちは同じくDを慕うアンナに負けて居ない。そしてアンナとは違い自分はDの力になれるし守られる存在では無い事が優越感を得られる。
だからギガントゼウス戦でも共にしたのだ。
ディーが外へ出て行った。
この飛行船を襲って居る魔物を追い払う為だ。確かに女好きで規格外な冒険者だけど空を飛ぶ魔物に敵う筈が無いでは無いか。
心配で声を掛ければ自分達を守るために行くなんて男らしい事を言われた。しかもキスをされてハグまで公衆の面前でされてしまったのだ。
こんな事をされたら送り出さない訳には行かないではないか。胸が締め付けられる様に苦しい。そんなあたしをQTが慰めてくれる。
「Dは強いからきっと直ぐに戻って来るよ」
護衛をしてくれてここまで同行してくれたダリアも破軍の星のメンバーも頷いていた。その時飛行船ノアンがぐらりと揺れ、操縦席前の大きな窓に魔物の姿がチラリと見えた。
魔物が過ぎ去るとその先に人の姿が空に浮いていた。思わず声が漏れる。
「ディー!」
その姿は直ぐ消えてしまったが空を飛ぶ大きな魔物を挑発している様に思えた。そうだ、何も彼は魔物を狩りに行ったのでは無いのだ。
この飛行船ノアンから引き離せれば問題ないはずだ。彼の姿が一足飛びに別の場所に跳んでそこから剣を振るう姿が見える。みんなが彼を見ていた。
人があんな動きをできるのだろうか。彼は瞬間的にその場から消えては別の場所に現れ、空を高速で飛ぶ魔物に向かって攻擊しているようだった。
攻撃は目に見えず、魔物にそれほど効果があるように見えなかったが魔物には煩わしかったらしい。あっ!と思ったら彼が魔物に正面から衝突されて、魔物と共に消えると魔物の鳴き声らしき音がした。
グギャ、グギャー!
魔物にダメージを与えられたようだ。豆粒の様に見える彼が更に遠ざかり、魔物が飛行船ノアンから離れて行った。魔物の飛行の余波らしき風に煽られ揺れながらも何とか無事で済んだらしい。
「ふぅ~」
操舵室に居た者たちの息を吐く音がする。どうやらみんなも彼の戦いを息を潜めて見守っていたようだ。
遠くの空に赤い光が見え始めた。
朝焼けが始まり空が明るくなる。
「さて、夜も開けたし移動を始めるぞ。休めるものは休んでくれ」
その声は彼の友人のこの飛行船ノアンの持ち主イシュタームだった。空の彼方に消えた彼の事を微塵も心配していない様子に少し腹を立て、その信頼の仕方に羨ましさを感じないではいられない。
◆ユキ視点◆
いつもこの背中は安心出来る。広くて逞しい背中はユキの小さい時を思い出させてくれる。
ユキの故郷は弓月国の北の外れの小さな島だった。
母は無く父だけが唯一の肉親だった。母の事を聞くと父は何時も寂しそうな顔をして口を閉ざした。
何か訳ありだったのか冬は寒く雪が深かった島の山の中に小屋を父が作り、何かから逃げるように住んでいた。周りに民家は無くて海岸近くに数件漁師をやっている老人が居るだけで子供は居なかった。
友達を作ることはできなかったがいつも父が一緒だった。
父におぶわれて育ち、父のすることを見て育った。物心つく頃に聞いたらユキの名前は雪山から取ったと教えられた。
そんな生活をしていたからだろうか。纏わりついても重さを感じさせない技量『羽毛』を持つ事が出来た。
ユキのスキルは『隠形』を与えられたが厳しい自然のせいか直ぐに『影隠れ』のスキルを持つ事になった。
そんな時、何も無い様な島を外国の軍艦が占領に来た。ソビエント連邦共産国の軍艦だった。
あっと言う間に数件の民家が襲われ、住人は殺された。異変を察知したユキの父はユキを隠し、派手に暴れて山に誘き出し逆襲したが多勢に無勢で追い詰められて殺されてしまった。
ユキを見つけ出した男がユキの父親にユキを見せ付けて反抗心を挫いて来たからだった。ユキの父親を殺した男エベンゲはユキをソビエント連邦共産国に連れて帰り徹底的に仕込んだ。
そしてエベンゲの敵を暗殺するのにユキを使った。何故かエベンゲはユキのスキルを知っていた。
そして、ソビエント連邦共産国が無くなりアロシア帝国となった時にユキはアロシア帝国の暗殺団『月牙』の一員となり、エベンゲを殺し父親の仇を打った。
目的の無くなったユキはアロシア帝国の暗殺団『月牙』の首領の言う通り色々な所へ行き、色々な相手を、色々な手段で暗殺して行った。
そして錬金術師ランドルト暗殺をDに防がれてしまった。
何しろスキル『隠形』で姿はおろか気配すら無かった筈なのに躊躇なく蹴り倒されたのだ。ユキの唯一の失敗は簡単な暗殺と考えずスキル『影隠れ』を使わなかった事だった。
Dがユキを殺さなかったのはユキが合法ロリだったからではなくて、女だったからだ。
Dはどんな因業な女でも暗殺者でも殺さない。自分の女にしてしまう。Dに犯された時、最初のうちはユキはDの隙を突いて殺す積りだった。今は敵わなくても何時かエベンゲの様に殺してやる気でいたのだ。
だが、Dの背中に張り付いて居る内に同い年の筈なのに父親に抱くような安心感を得てしまった。
一時も離れて居たくない気持ちは同じくDを慕うアンナに負けて居ない。そしてアンナとは違い自分はDの力になれるし守られる存在では無い事が優越感を得られる。
だからギガントゼウス戦でも共にしたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる