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1章
プロローグ
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その日は雪が降っていた。
――――真っ白だ……。
室内で外を眺めていた俺は、寒いのをわかっていながらも誘われるように窓を開けていた。
――――寒い。当たり前だ。でも、、、綺麗だ……。
白い息を吐きながら窓を閉めようとしたところで、視界にあった白い塊がモコッと動いたのに気が付いた。ただの岩かと思っていた。
白い塊は……両手で包みこめそうなくらいの大きさで、生徒たちとそう高低差が変わらない木々の合間を左右にゆっくり動いていた。
――――あれは何だ?猫でもいるのか……?
高校生ともなれば、「わぁ、雪の妖精さんがいる~!」などとファンタジーな妄想は飛ばさない。
動いたということは、多分何かの生物なのだろう。百歩譲ってメカかもしれないが。
白い塊はモコモコと変形しながら縦長になり、やがて小さな足が2本生えた。
――――子供……!?
全体のバランス的に、幼稚園児か小学校低学年くらいに見えた。
顔や手足以外はほぼ真っ白で、ぴょんぴょんと跳ねるように真っ白な地面を行ったり来たりしている。
――――何故こんなところに子供が……?生徒の兄弟姉妹か教員の子供か……?
「……」
――――まぁ、元気そうだし……、大丈夫か……。
「さぶっ……!」
全身が震えてきたので今度こそ窓を閉め、隙間風が入らないように鍵をかけた。
そして室内中央にある大型ストーブで、冷え切った手を温めることにした。
手は、すぐに温まり……
動くようになった指を見つめ、1本ずつ揺らして無事を確かめた。
――――よかった。弾けそうだ……。
俺はゆっくり振り返り、吸い寄せられるようにさっきまで座っていた場所に向かって歩き出した。
-続く-
――――真っ白だ……。
室内で外を眺めていた俺は、寒いのをわかっていながらも誘われるように窓を開けていた。
――――寒い。当たり前だ。でも、、、綺麗だ……。
白い息を吐きながら窓を閉めようとしたところで、視界にあった白い塊がモコッと動いたのに気が付いた。ただの岩かと思っていた。
白い塊は……両手で包みこめそうなくらいの大きさで、生徒たちとそう高低差が変わらない木々の合間を左右にゆっくり動いていた。
――――あれは何だ?猫でもいるのか……?
高校生ともなれば、「わぁ、雪の妖精さんがいる~!」などとファンタジーな妄想は飛ばさない。
動いたということは、多分何かの生物なのだろう。百歩譲ってメカかもしれないが。
白い塊はモコモコと変形しながら縦長になり、やがて小さな足が2本生えた。
――――子供……!?
全体のバランス的に、幼稚園児か小学校低学年くらいに見えた。
顔や手足以外はほぼ真っ白で、ぴょんぴょんと跳ねるように真っ白な地面を行ったり来たりしている。
――――何故こんなところに子供が……?生徒の兄弟姉妹か教員の子供か……?
「……」
――――まぁ、元気そうだし……、大丈夫か……。
「さぶっ……!」
全身が震えてきたので今度こそ窓を閉め、隙間風が入らないように鍵をかけた。
そして室内中央にある大型ストーブで、冷え切った手を温めることにした。
手は、すぐに温まり……
動くようになった指を見つめ、1本ずつ揺らして無事を確かめた。
――――よかった。弾けそうだ……。
俺はゆっくり振り返り、吸い寄せられるようにさっきまで座っていた場所に向かって歩き出した。
-続く-
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