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【1章】好きなんかじゃない
パーティー3
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「ん、んっ……」
下着の前は色が濃く変わるほど濡れていて、優生のものが擦れるだけで、甘い声が漏れる。糸のように細く残った理性で、それを退かせようとする。が、おぼつかない指先で、下着をずらす半端な結果に終わった。それどころか、優生を煽ることになってしまう。
「かわい……」
思わずといった感じで漏れ出た優生の呟きに、胸がきゅんと切なく鳴る。大嫌いで馬が合わない幼馴染みというフィルターを取り払えば、優生は非の打ち所のない完璧なアルファだ。基城には、それが憎らしくて堪らない。
──優生なんか、嫌いだ……。
そんな嫌いなやつに組み敷かれて、いいようにされている。唇が裂けるほどぎゅっと噛み、経験したことのない飢餓感に抗おうとする。優生の指先が秘奥へ触れたとき、どろっと生温かいものが滴り落ちる感触がした。
「……やっ」
「今、すげぇ濡れた。急に触ったからびっくりした?」
「さわ、んな……あ、あぁ……」
身体の中が熱い。初めての感覚だった。それ以上を知るのが怖い。下腹を覗き込むことはできず、基城は顔を逸らす。
──ヒートって、こんな……自由が利かないものなのか。
見えない鎖で縛られているみたいに、身体が言うことをきかない。散々指で弄られた後も、身体が火照って仕方ない。基城は縋る目で優生を見た。ゆったりと雄を扱く手つきを見て、喉がきゅっと締まる。
──欲しい……これが、欲しい。
「優生……っ。はやく、それ……」
指よりも奥へ届くもので満たされたい。優生の表情に一瞬躊躇いが浮かんだが、見間違いかと思うほどすぐに消えた。
「いいの? 基城の初めてが、俺で」
「いい、からっ……もったいぶんな、バカ」
何て顔してんだよ。思わずそう突っ込みそうになる。眼前の優生があまりにも惚けた顔をしていたからだ。
ぐっと押し当てられたものを思い浮かべ、胸が張り詰めて痛い。狭い輪をくぐり、中に進もうとする肉茎を無意識に締め上げ、余計に苦しくなった。
「でか、すぎる……」
優生はごめんね、ごめんね、と壊れたように何度も繰り返す。申し訳なさそうにするのは口先だけだ。腰を引いてもそれ以上に詰められて、息をするのも苦しくなる。途方のない物量に息を切らしていると、ふいに項に呼気を感じた。
「あ……? ああぁ……っ!」
噛まれている、と認識したのは、痛みが走ってからたっぷりと時間が空いてからだった。アルファが相手の項を噛むこと……その意味はアルファだった基城が知らないはずがない。やって来るのは痛みだけではない。優生に抱かれ揺さぶられながら、基城は初めて与えられる快感に啜り喘いだ。
……────。
その後、優生との行為からどれだけ経ったのかも分からなかった。しばらく放心していて、意識が完全に戻った頃、基城は診察室にいた。ヒート事故が起こったときの状況を事細かに聞かれ、医師は「恐らく」と前置きをして告げた。
「ご子息様は第二性がアルファからオメガになったのではないのかと思われます」
「はあ!?」
診察室に集められた家族の中で、一番大きな声を出したのは、当人の基城だった。
「第二性が変化することを転化と呼びます。検査の結果、その現象が起きている可能性が高いです」
「俺の周りではそんなやつ一人も……」
「最初の判定が誤判定であったり、自分よりも優秀なアルファと関わる時間が長かったり……などと、バース学者の中でも説が分かれています。未発達な分野ですね」
医師の研究分野でもあるらしく、転化の最新の状況をすらすらと述べた。あまり悲観的にならないように、と医師はつけくわえ、今後の治療方針や抑制剤の使い方などを、基城に説明する。未だに己の身に起こったことが、どこか遠い夢のようで、ほとんど聞き流すように、適当に相槌をうつ。
──オメガだって? 俺が、本当に?
心の中で否定しても、専門家の言うことは、基城よりも正しい。
さらなる検査のため、そして安静をとって、基城は一週間ほど入院することになった。何かの勘違いであってほしい……そんな思いも虚しく、基城の第二性はオメガだと判定が出た。さらに追い打ちをかけるように、実家へ帰った基城に、早速縁談の話が持ち上がったのだ。
「は? 誰と?」
「何言ってるの。優生くん以外にいる?」
「は……はぁ!?」
すでに三つ子の姉の結婚を見届けている父母は、あっけらかんとしている。
「何でよりによってあいつなんだよ!」
「優生くんとは幼稚園からの付き合いじゃない。一番仲良いでしょ?」
「仲良くねぇから! どこ見て言ってるんだよ。俺、いっつも優生の嫌いなところ、家で言ってただろ!?」
「えぇ? 基城、毎日優生くん優生くんって言うから、てっきり好きなんだと思ってたわ」
「意味分かんねーから! 好きだったら好きって言うわ!」
──いやいや、好きじゃねぇし!
と、内心突っ込みを入れる。オメガだと言われ、悲観的になる基城とは対照的に、両親や姉達は有頂天だ。一緒に住む場所に、家電やら結婚式の話などが飛び出し、その度に「いやいや」と否定する。
「結婚するとかまだ決まって……というか、番が成立してるかは、医者がまだ分かんないって」
下着の前は色が濃く変わるほど濡れていて、優生のものが擦れるだけで、甘い声が漏れる。糸のように細く残った理性で、それを退かせようとする。が、おぼつかない指先で、下着をずらす半端な結果に終わった。それどころか、優生を煽ることになってしまう。
「かわい……」
思わずといった感じで漏れ出た優生の呟きに、胸がきゅんと切なく鳴る。大嫌いで馬が合わない幼馴染みというフィルターを取り払えば、優生は非の打ち所のない完璧なアルファだ。基城には、それが憎らしくて堪らない。
──優生なんか、嫌いだ……。
そんな嫌いなやつに組み敷かれて、いいようにされている。唇が裂けるほどぎゅっと噛み、経験したことのない飢餓感に抗おうとする。優生の指先が秘奥へ触れたとき、どろっと生温かいものが滴り落ちる感触がした。
「……やっ」
「今、すげぇ濡れた。急に触ったからびっくりした?」
「さわ、んな……あ、あぁ……」
身体の中が熱い。初めての感覚だった。それ以上を知るのが怖い。下腹を覗き込むことはできず、基城は顔を逸らす。
──ヒートって、こんな……自由が利かないものなのか。
見えない鎖で縛られているみたいに、身体が言うことをきかない。散々指で弄られた後も、身体が火照って仕方ない。基城は縋る目で優生を見た。ゆったりと雄を扱く手つきを見て、喉がきゅっと締まる。
──欲しい……これが、欲しい。
「優生……っ。はやく、それ……」
指よりも奥へ届くもので満たされたい。優生の表情に一瞬躊躇いが浮かんだが、見間違いかと思うほどすぐに消えた。
「いいの? 基城の初めてが、俺で」
「いい、からっ……もったいぶんな、バカ」
何て顔してんだよ。思わずそう突っ込みそうになる。眼前の優生があまりにも惚けた顔をしていたからだ。
ぐっと押し当てられたものを思い浮かべ、胸が張り詰めて痛い。狭い輪をくぐり、中に進もうとする肉茎を無意識に締め上げ、余計に苦しくなった。
「でか、すぎる……」
優生はごめんね、ごめんね、と壊れたように何度も繰り返す。申し訳なさそうにするのは口先だけだ。腰を引いてもそれ以上に詰められて、息をするのも苦しくなる。途方のない物量に息を切らしていると、ふいに項に呼気を感じた。
「あ……? ああぁ……っ!」
噛まれている、と認識したのは、痛みが走ってからたっぷりと時間が空いてからだった。アルファが相手の項を噛むこと……その意味はアルファだった基城が知らないはずがない。やって来るのは痛みだけではない。優生に抱かれ揺さぶられながら、基城は初めて与えられる快感に啜り喘いだ。
……────。
その後、優生との行為からどれだけ経ったのかも分からなかった。しばらく放心していて、意識が完全に戻った頃、基城は診察室にいた。ヒート事故が起こったときの状況を事細かに聞かれ、医師は「恐らく」と前置きをして告げた。
「ご子息様は第二性がアルファからオメガになったのではないのかと思われます」
「はあ!?」
診察室に集められた家族の中で、一番大きな声を出したのは、当人の基城だった。
「第二性が変化することを転化と呼びます。検査の結果、その現象が起きている可能性が高いです」
「俺の周りではそんなやつ一人も……」
「最初の判定が誤判定であったり、自分よりも優秀なアルファと関わる時間が長かったり……などと、バース学者の中でも説が分かれています。未発達な分野ですね」
医師の研究分野でもあるらしく、転化の最新の状況をすらすらと述べた。あまり悲観的にならないように、と医師はつけくわえ、今後の治療方針や抑制剤の使い方などを、基城に説明する。未だに己の身に起こったことが、どこか遠い夢のようで、ほとんど聞き流すように、適当に相槌をうつ。
──オメガだって? 俺が、本当に?
心の中で否定しても、専門家の言うことは、基城よりも正しい。
さらなる検査のため、そして安静をとって、基城は一週間ほど入院することになった。何かの勘違いであってほしい……そんな思いも虚しく、基城の第二性はオメガだと判定が出た。さらに追い打ちをかけるように、実家へ帰った基城に、早速縁談の話が持ち上がったのだ。
「は? 誰と?」
「何言ってるの。優生くん以外にいる?」
「は……はぁ!?」
すでに三つ子の姉の結婚を見届けている父母は、あっけらかんとしている。
「何でよりによってあいつなんだよ!」
「優生くんとは幼稚園からの付き合いじゃない。一番仲良いでしょ?」
「仲良くねぇから! どこ見て言ってるんだよ。俺、いっつも優生の嫌いなところ、家で言ってただろ!?」
「えぇ? 基城、毎日優生くん優生くんって言うから、てっきり好きなんだと思ってたわ」
「意味分かんねーから! 好きだったら好きって言うわ!」
──いやいや、好きじゃねぇし!
と、内心突っ込みを入れる。オメガだと言われ、悲観的になる基城とは対照的に、両親や姉達は有頂天だ。一緒に住む場所に、家電やら結婚式の話などが飛び出し、その度に「いやいや」と否定する。
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