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【2話】仮の新婚生活
アルファへのうらみつらみ2
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恋愛対象になるかと言われれば首を傾げるかもしれないが、声をかけられたら仲良くするくらいはしていたかもしれない。小動物みたいに可愛い姿は仮で、実はとんでもなく肉食なのか。自分の見る目のなさに愕然とする。
「そういう基城は四宮のこと、気になるわけ? 基城だって一応アルファだもんな?」
──そうだ、ここではアルファなんだった。
「まあなー、やっぱりああいう可愛い子と付き合いたいよなー!」
オメガだと悟られないよう、基城はつい声を張り上げる。有坂なんかに知られたら、一生笑いのネタにされるからだ。
「基城の場合は優生が運命の番みたいなもんじゃん」
「はあ? ありえねー。性格も全然合わねぇし、優生とラブラブするなんか想像つかない。お前、そのネタ何回目だよ」
基城は身を乗り出して有坂の肩を押した。そのときに誰かの華奢な肩とぶつかり、派手な音とともに足元に冷たい感触が広がった。
「あ……ごめ」
基城の伸ばした手が通りがかった人の身体にぶつかったのだと、頭が状況を理解する。顔をふと見上げると、そこには先ほど基城が名前を出した張本人が立っていた。
「し、四宮……」
尻餅をついた四宮がうるうるした目で基城の顔を見上げている。隣には優生がいる。優生は四宮の細い腰に手を添えて、身体を起こすのを手伝った。
「四宮、大丈夫?」
「うん……」
四宮を労る様子は、本当にアルファとオメガのカップルのようだった。四宮を擁護する声の中には、ぶつかった基城を非難する声も混じっている。謝罪の言葉は声にならず、基城は俯いてしまった。
「みんな……神崎くんはわざとじゃないから」
基城達が四宮のことを話題に上げたのも周囲は聞いている。非のない四宮にも庇われて、立つ瀬がない。
「いたっ……」
「大丈夫か? 四宮」
「うん、平気。ちょっとひねったかもだけど」
優生の手を借りて、四宮は立ち上がろうとするが、すぐによろめいてしまう。事故が起こる少し前、四宮の名前を出して談笑していた基城に、非難の声が集まった。
「うるせぇよ。お前ら。優生、俺が四宮を保健室に連れて行くから、ここはどうにかしてやれ」
ぽん、と有坂は優生の肩を叩く。有坂は四宮の身体を抱き上げると、カフェを出て行く。優生の視線はいつまでも四宮の姿を追っていた。
思考が固まる基城に代わり、優生は店員と一緒に汚れた床を片付ける。カフェを出ると、茹だるような熱気が身体を包んだ。建物の影を歩き、空いたベンチに腰かける。
「……ごめん」
「うん……四宮も軽い捻挫だって。基城も、大丈夫?」
「俺はへーき」
スマホを見ながら優生は答える。保健室に行った有坂から連絡がきたのだろう。それを聞いて基城はほっとする。
──俺、先月までは優生や有坂と同じアルファだったのに。
自分は口ばかりで、優生には頼りっぱなしだ。
──優生は……四宮と付き合ってんのかな。優生って皆から好かれるし、あり得る……よな?
清々する……はずなのに。誰かを好きな優生を思い浮かべるだけで、嫌悪する。優生が自分よりも、他の誰かと過ごす時間が長いだけで、胸がぐちゃぐちゃになる。
──俺、やっぱり最近おかしいんだ……オメガになってから。
嫌いなはずなのに、目が離せない。ただの幼馴染みの腐れ縁、そう思っていたはずなのに。優生の気持ちを知りたいと願っている自分がいた。
「そういう基城は四宮のこと、気になるわけ? 基城だって一応アルファだもんな?」
──そうだ、ここではアルファなんだった。
「まあなー、やっぱりああいう可愛い子と付き合いたいよなー!」
オメガだと悟られないよう、基城はつい声を張り上げる。有坂なんかに知られたら、一生笑いのネタにされるからだ。
「基城の場合は優生が運命の番みたいなもんじゃん」
「はあ? ありえねー。性格も全然合わねぇし、優生とラブラブするなんか想像つかない。お前、そのネタ何回目だよ」
基城は身を乗り出して有坂の肩を押した。そのときに誰かの華奢な肩とぶつかり、派手な音とともに足元に冷たい感触が広がった。
「あ……ごめ」
基城の伸ばした手が通りがかった人の身体にぶつかったのだと、頭が状況を理解する。顔をふと見上げると、そこには先ほど基城が名前を出した張本人が立っていた。
「し、四宮……」
尻餅をついた四宮がうるうるした目で基城の顔を見上げている。隣には優生がいる。優生は四宮の細い腰に手を添えて、身体を起こすのを手伝った。
「四宮、大丈夫?」
「うん……」
四宮を労る様子は、本当にアルファとオメガのカップルのようだった。四宮を擁護する声の中には、ぶつかった基城を非難する声も混じっている。謝罪の言葉は声にならず、基城は俯いてしまった。
「みんな……神崎くんはわざとじゃないから」
基城達が四宮のことを話題に上げたのも周囲は聞いている。非のない四宮にも庇われて、立つ瀬がない。
「いたっ……」
「大丈夫か? 四宮」
「うん、平気。ちょっとひねったかもだけど」
優生の手を借りて、四宮は立ち上がろうとするが、すぐによろめいてしまう。事故が起こる少し前、四宮の名前を出して談笑していた基城に、非難の声が集まった。
「うるせぇよ。お前ら。優生、俺が四宮を保健室に連れて行くから、ここはどうにかしてやれ」
ぽん、と有坂は優生の肩を叩く。有坂は四宮の身体を抱き上げると、カフェを出て行く。優生の視線はいつまでも四宮の姿を追っていた。
思考が固まる基城に代わり、優生は店員と一緒に汚れた床を片付ける。カフェを出ると、茹だるような熱気が身体を包んだ。建物の影を歩き、空いたベンチに腰かける。
「……ごめん」
「うん……四宮も軽い捻挫だって。基城も、大丈夫?」
「俺はへーき」
スマホを見ながら優生は答える。保健室に行った有坂から連絡がきたのだろう。それを聞いて基城はほっとする。
──俺、先月までは優生や有坂と同じアルファだったのに。
自分は口ばかりで、優生には頼りっぱなしだ。
──優生は……四宮と付き合ってんのかな。優生って皆から好かれるし、あり得る……よな?
清々する……はずなのに。誰かを好きな優生を思い浮かべるだけで、嫌悪する。優生が自分よりも、他の誰かと過ごす時間が長いだけで、胸がぐちゃぐちゃになる。
──俺、やっぱり最近おかしいんだ……オメガになってから。
嫌いなはずなのに、目が離せない。ただの幼馴染みの腐れ縁、そう思っていたはずなのに。優生の気持ちを知りたいと願っている自分がいた。
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