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【4話】これが愛?
二度目のヒート1
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「……何だよ。このままだと風邪引くし、明日までに乾かさないといけないだろ。俺の裸見たくないなら、あっち向いてろよ」
小屋にはランタンがあり、互いの顔が認識できるくらい明かりは取れている。物置には薄い毛布も置いてあったので、基城は裸の上からそれを羽織った。
豪雨や木々が揺れる音の中、眠れる気はしないが、少しでも明日戻る体力をつけようと目を瞑る。横になって無理矢理にでも目を瞑れば、疲労は薄れるだろう。
──何か、熱っぽいんだよな。
明日歩けるくらいの体力だけは残しておかなければ。優生や姉達にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
気のせいだと信じて、基城は目を閉じる。ギシギシと床を踏む音が近付いてくるのは、吹き荒れる風のせいだと思いながら。
酷く荒い呼吸が混じっている気がして、基城は薄く目を開く。下半身にずしりとした重みと体温を感じ、払いのけようとするも、それは基城の身体を逆に押さえつけてきた。
「お前、こんなときにふざけて……」
叱りつけて蹴り飛ばそうとした。しかし、自分で思ったように身体が動いてくれない。優生が上にのしかかっているせいだけではない。
優生に──目の前のアルファに逆らえない。アルファ性として過ごしてきた時間のほうが圧倒的に長い基城にとって、それは信じられない感覚だった。
「もとき……」
「あ……っ」
いつものように名前を呼ばれただけ……雨の音にかき消されそうなほど、些細な声だったのに、優生の声が切り取られたかのように、耳にはっきりと届く。
触れてくる手つきはまだ優しい。それなのに、下腹には硬く熱いものを擦りつけられ、目眩がしそうだった。
「キスしてもいい?」──理性を踏み抜かないよう唇を噛み締めた優生に問われ、基城は頷いていた。
「ん、ん……っ、あ……」
一度許すと、優生の舌が唇を割って深く入り込む。雨で冷えた身体が一気に火照っていくのが分かる。
毛布と肌の間に熱のこもった手を差し入れられ、身体が小さく跳ねた。ホテルでのとき……基城がアルファからオメガに転化した日は、微塵も思わなかったのに、今は分かる。自分の気持ちとは裏腹に、基城の中のオメガ性がアルファを求めていると──。
──こんなやつ、好きじゃないのに……。
キスも触られるのも、生理的な嫌悪感は全くなかった。自分も優生も、互いのフェロモンでおかしくなっているだけだ。積極的に優生の舌に、自分のものを絡ませる行為に意味なんかないと言い聞かせる。
「基城って、本当に前までアルファだった?」
「あ……たりまえだろ」
優生は見下すつもりでもなく、純粋な疑問を口にした。基城も初めてオメガだと聞かされたときは混乱していた。優生も十数年間基城をアルファだと思っていたし、驚くのも無理はない気がする。
「ん、あ……っ。ばか、そんなに強く……」
足を開かれ、すでに蜜を溢している中心を、優生は手の内に包み込む。厚い手のひらの中でそれは震え、優生の手を汚した。
「じゃあ、よかった。オメガだったら……絶対今日まで無事じゃなかった」
「は……どういう意味……」
一息に言った後の優生の顔は、微笑を浮かべつつもどこか冷たさを含んでいた。
優生とまともに話したのはそれきりで、代わりにまた深くまで舌に吸いつかれる。性急さと力強さに、基城は最中で何度かえずいてしまいそうになる。親友と数え切れないほど交わしたキスの後に残るのは、嫌悪感よりも甘い快感と物足りなさだった。
服を着たままだったら、もっと汚れていて明日身に纏うことなんてできなかったはずだ。そんな身も蓋もないことを思う。
初めてのときは触られなかった……誰にも触れるのを許したことのなかった胸に、優生の手が伸びる。
「ん……っ!」
指でくりくりとせり出すようにしつこく触られ、甘い声が漏れる。撫でるだけでなく、しっかりとした手つきで触れられているのに、切なくなるような感覚に胸が疼く。
「ゆうせ……」
ほとんど形を伴っていない、蕩けた声で呼べば、優生もそれに応える。
薄桃よりもさらに色の濃くなった突起へ、優生は唇を寄せる。湿った熱い舌で転がされるのが、堪らなくよかった。
優生の頭を掻き抱きながら、今さら声を抑えることに必死になる。けれど、二人しかいないのだと改めて理解しだすと、理性ではもうどうにもならなかった。
「あっ、あ……あ、ん……」
自分の声が、まるで別人のもののようだ。
──これが……発情期……。
当事者になるまでは雲の上のような話だった。オメガ達はこの重苦しい渇望を一週間共にするのか。同情だけで済んでいた以前とは違い、恐怖が入り混じった絶望感に襲われる。
アルファの優生に縋る以外の選択肢はなかった。むしろ、目の前のアルファが自分の身体に欲情している様を目の当たりにし、伝播するように基城の身体も熱くなっている。
互いのフェロモンに反応している……疑いようのない事実だった。
胸が感じる場所なのだと散々知らしめられ、優生は汗の滲んだ肌を舌でなぞっていく。多少筋肉が浮き出ている腹部を舐められ、くすぐったさに身を捩った。
「あ……バカ、そん、なひろげんな……」
「広げないと見えない」
「見る必要なんか、ないだろ……っ」
膝を折られ、太腿からぐいと上へ持ち上げられる。ペニスや双球、それから奥の窄まりもランタンの光に照らされ、消え入りたい気持ちでいっぱいになる。
小屋にはランタンがあり、互いの顔が認識できるくらい明かりは取れている。物置には薄い毛布も置いてあったので、基城は裸の上からそれを羽織った。
豪雨や木々が揺れる音の中、眠れる気はしないが、少しでも明日戻る体力をつけようと目を瞑る。横になって無理矢理にでも目を瞑れば、疲労は薄れるだろう。
──何か、熱っぽいんだよな。
明日歩けるくらいの体力だけは残しておかなければ。優生や姉達にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
気のせいだと信じて、基城は目を閉じる。ギシギシと床を踏む音が近付いてくるのは、吹き荒れる風のせいだと思いながら。
酷く荒い呼吸が混じっている気がして、基城は薄く目を開く。下半身にずしりとした重みと体温を感じ、払いのけようとするも、それは基城の身体を逆に押さえつけてきた。
「お前、こんなときにふざけて……」
叱りつけて蹴り飛ばそうとした。しかし、自分で思ったように身体が動いてくれない。優生が上にのしかかっているせいだけではない。
優生に──目の前のアルファに逆らえない。アルファ性として過ごしてきた時間のほうが圧倒的に長い基城にとって、それは信じられない感覚だった。
「もとき……」
「あ……っ」
いつものように名前を呼ばれただけ……雨の音にかき消されそうなほど、些細な声だったのに、優生の声が切り取られたかのように、耳にはっきりと届く。
触れてくる手つきはまだ優しい。それなのに、下腹には硬く熱いものを擦りつけられ、目眩がしそうだった。
「キスしてもいい?」──理性を踏み抜かないよう唇を噛み締めた優生に問われ、基城は頷いていた。
「ん、ん……っ、あ……」
一度許すと、優生の舌が唇を割って深く入り込む。雨で冷えた身体が一気に火照っていくのが分かる。
毛布と肌の間に熱のこもった手を差し入れられ、身体が小さく跳ねた。ホテルでのとき……基城がアルファからオメガに転化した日は、微塵も思わなかったのに、今は分かる。自分の気持ちとは裏腹に、基城の中のオメガ性がアルファを求めていると──。
──こんなやつ、好きじゃないのに……。
キスも触られるのも、生理的な嫌悪感は全くなかった。自分も優生も、互いのフェロモンでおかしくなっているだけだ。積極的に優生の舌に、自分のものを絡ませる行為に意味なんかないと言い聞かせる。
「基城って、本当に前までアルファだった?」
「あ……たりまえだろ」
優生は見下すつもりでもなく、純粋な疑問を口にした。基城も初めてオメガだと聞かされたときは混乱していた。優生も十数年間基城をアルファだと思っていたし、驚くのも無理はない気がする。
「ん、あ……っ。ばか、そんなに強く……」
足を開かれ、すでに蜜を溢している中心を、優生は手の内に包み込む。厚い手のひらの中でそれは震え、優生の手を汚した。
「じゃあ、よかった。オメガだったら……絶対今日まで無事じゃなかった」
「は……どういう意味……」
一息に言った後の優生の顔は、微笑を浮かべつつもどこか冷たさを含んでいた。
優生とまともに話したのはそれきりで、代わりにまた深くまで舌に吸いつかれる。性急さと力強さに、基城は最中で何度かえずいてしまいそうになる。親友と数え切れないほど交わしたキスの後に残るのは、嫌悪感よりも甘い快感と物足りなさだった。
服を着たままだったら、もっと汚れていて明日身に纏うことなんてできなかったはずだ。そんな身も蓋もないことを思う。
初めてのときは触られなかった……誰にも触れるのを許したことのなかった胸に、優生の手が伸びる。
「ん……っ!」
指でくりくりとせり出すようにしつこく触られ、甘い声が漏れる。撫でるだけでなく、しっかりとした手つきで触れられているのに、切なくなるような感覚に胸が疼く。
「ゆうせ……」
ほとんど形を伴っていない、蕩けた声で呼べば、優生もそれに応える。
薄桃よりもさらに色の濃くなった突起へ、優生は唇を寄せる。湿った熱い舌で転がされるのが、堪らなくよかった。
優生の頭を掻き抱きながら、今さら声を抑えることに必死になる。けれど、二人しかいないのだと改めて理解しだすと、理性ではもうどうにもならなかった。
「あっ、あ……あ、ん……」
自分の声が、まるで別人のもののようだ。
──これが……発情期……。
当事者になるまでは雲の上のような話だった。オメガ達はこの重苦しい渇望を一週間共にするのか。同情だけで済んでいた以前とは違い、恐怖が入り混じった絶望感に襲われる。
アルファの優生に縋る以外の選択肢はなかった。むしろ、目の前のアルファが自分の身体に欲情している様を目の当たりにし、伝播するように基城の身体も熱くなっている。
互いのフェロモンに反応している……疑いようのない事実だった。
胸が感じる場所なのだと散々知らしめられ、優生は汗の滲んだ肌を舌でなぞっていく。多少筋肉が浮き出ている腹部を舐められ、くすぐったさに身を捩った。
「あ……バカ、そん、なひろげんな……」
「広げないと見えない」
「見る必要なんか、ないだろ……っ」
膝を折られ、太腿からぐいと上へ持ち上げられる。ペニスや双球、それから奥の窄まりもランタンの光に照らされ、消え入りたい気持ちでいっぱいになる。
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