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【4話】これが愛?
二度目のヒート2
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「出すだけで……俺は、いいし。お前も、それで我慢しろ」
大概は基城の言うことを聞く優生だが、今回は違った。互いに対等だったはずなのに、アルファである優生に見下されると、それ以上は何も言えなくなってしまう。
オメガはアルファの感情の機微に敏く、それをフェロモンで感じ取ることができる。
「ゆ……せ……」
「ごめん。聞けない。俺に命令しないで」
「……っ」
冷たく突き放され……けれど、後ろ髪を引かれるような表情だけが残っていた。悲しさよりも、アルファに求められる幸福のほうが今は大きい。
唇を歪ませた優生から、ちらりと尖った犬歯が見えた。
──俺……噛まれるのかな。
この前は未遂で番にはならなかった。基城がまだ完全に転化していなかったためだろう。今度はどうなるか分からない。
噛んで、と口から出そうになるのを、飲み込んだ。婚前同棲は自由に解消できるが、番の関係はそうはいかない。基城にも優生にも、互いに責任がかかるのだ。
「う……」
優生はオメガの項には興味を惹かれないようで、基城の身体を開くことにのみ集中している。
「バカ優生」となじったことも、優生は恐らく気付いていない。
指と舌を使いながらゆっくりと開かれ、後孔はアルファの分身を受け入れるために、蜜を溢す。抜き差しされながら隘路を慣らしていくうちに、優生に対する文句を吐く余裕もなくなる。
「は、あぁ……や、あ、あぁ……!」
もちろん自分で後ろを弄った経験はない。一人で処理をするときは前のみを刺激するだけで、それも頻度は人並みよりも少ない。
こんなにも足りないと焦燥感に身を焼き尽くされたのは初めてだった。
三本の指を抜き差しされ、綻んできた頃合いに、優生は中断する。基城が「もういい」と言ったのを聞いてくれたのかと思いきや、代わりに長大な雄をゆっくりとした動作で扱いていた。強いフェロモンを漂わせ、かつての親友の官能的な仕草に、ごくりと喉が鳴る。
──で、か……。
初めてそれを目にしたときと同じ感想を溢していることに気付き、羞恥で顔を染める。
恐怖していることを悟られたくなくて、基城はあえて挑発する。
「はやく、入れろよ。それ……」
発情しているのは自分だけではない。優生のだって発情しているものの、完全にヒートを起こしている様子ではなかった。もしそうであれば、こんな回りくどい方法で基城の身体を昂らせたりしなかったはずだ。
難色を示す優生の理性を叩き割ってやりたくて、基城は自ら足を開き、十分に解れた後孔に指をかけて広げた。優生にここだと分からせるように。
「なあ、いれたいんだろ……?」
長年ライバルだった優生に、基城は不敵に笑いながら誘った。自分が欲しくて堪らないなんて、優生だけには知られたくない。
俺は別にいいけど……虚勢を張る前に、奥歯をぎりりと噛み締めた優生が覆い被さってきた。
「……基城はずるい」
悔しそうというよりは思い詰めたような表情に、心はスカッとしなかった。ずるいも何も、好きでオメガになったわけではないし、アルファのままでいたかった。
それに、アルファであったときも優生ばかりが基城の何もかもを上回っていて、悔しい思いを何度もしたのはこちらだ。そんな言葉を吐かれる筋合いはない。
発情してもやがかかる思考の中、後孔に熱いものが押し当てられる。優生が散々慣らした場所でも、先端を飲み込むのは難しい。入れろと急かし煽ったのを基城は後悔していた。
焦れた優生は基城の下肢を軽々持ち上げる。自分の秘部に長大なペニスの先端が触れているのを間近で見て、淫靡さに目眩がする。
痕が残るのではないかと思うくらい、腰骨を強く掴まれているため、身動きが取れない。
このまま突き進めば腹を突き破られるのではないか……基城は青ざめ、優生に考え直すよう懇願した。ヒートを起こしたアルファに、そんなことを投げかけても無駄だとは分かっていたが。
「さっきいっぱい触ったから大丈夫」
「あ……あっ、まっ……」
内部を実際に広げ確かめたのだから、という意味が優生の台詞には内包されている。
優生のものに広げられる感覚に、生理的な涙が伝う。どくどくと脈打つ力強さが伝わってきて、抱かれているのだと刷り込まれる。
「あ、あっ……ゆ……せ、あぁ!」
怖い、苦しい……この行為が、自分はオメガになったのだと骨の髄まで知らしめられているような感覚だった。
涙も悲痛に叫ぶ声も、優生を焚きつける材料にしかならない。
「もう、全部……?」
「まだ。あと半分くらい?」
「ひっ……うぅ」
そしてそれは引き返すことはないのだと悟る。短い呼吸で喘ぐのを、逐一優生がキスで宥めながら、奥へと進める。
初めて抱かれたときは、最後まで入りきらなかったのだと、基城は思い返していた。
「あ、あっ、あぁ……ゆうせ……!」
「基城……かわいい」
「かわ……いいとか嘘言うな……っ」
嘘と切り捨てると、優生は眉を下げる。嬉しくないのに、うざいだけなのに、きゅう……と、後孔は意志とは裏腹に入っているものを締め上げる。形と熱がリアルに伝わり、基城は生々しさに眉を顰めた。向かい合う優生も、息を詰める。
「でかくすんな……っ。変態……」
心外だ、というふうに優生は息を荒々しく吐き出す。仕返しだとばかりに、基城の身体にのしかかり、腰を進めてきた。
「あああぁっ……!?」
「……基城がエロい声出すからだろ」
「あ、あぁっ、あ……そん、な、だしてな……や、ああぁ……っ!」
ほら、と言わんばかりに、優生はとんとんと奥を目掛けて腰を打った。亀頭が未開の路を抉じ開ける度に、嬌声が漏れてしまう。
互いを求め合う肉欲が鎮まるまで、優生のものを咥え続けさせられた。
大概は基城の言うことを聞く優生だが、今回は違った。互いに対等だったはずなのに、アルファである優生に見下されると、それ以上は何も言えなくなってしまう。
オメガはアルファの感情の機微に敏く、それをフェロモンで感じ取ることができる。
「ゆ……せ……」
「ごめん。聞けない。俺に命令しないで」
「……っ」
冷たく突き放され……けれど、後ろ髪を引かれるような表情だけが残っていた。悲しさよりも、アルファに求められる幸福のほうが今は大きい。
唇を歪ませた優生から、ちらりと尖った犬歯が見えた。
──俺……噛まれるのかな。
この前は未遂で番にはならなかった。基城がまだ完全に転化していなかったためだろう。今度はどうなるか分からない。
噛んで、と口から出そうになるのを、飲み込んだ。婚前同棲は自由に解消できるが、番の関係はそうはいかない。基城にも優生にも、互いに責任がかかるのだ。
「う……」
優生はオメガの項には興味を惹かれないようで、基城の身体を開くことにのみ集中している。
「バカ優生」となじったことも、優生は恐らく気付いていない。
指と舌を使いながらゆっくりと開かれ、後孔はアルファの分身を受け入れるために、蜜を溢す。抜き差しされながら隘路を慣らしていくうちに、優生に対する文句を吐く余裕もなくなる。
「は、あぁ……や、あ、あぁ……!」
もちろん自分で後ろを弄った経験はない。一人で処理をするときは前のみを刺激するだけで、それも頻度は人並みよりも少ない。
こんなにも足りないと焦燥感に身を焼き尽くされたのは初めてだった。
三本の指を抜き差しされ、綻んできた頃合いに、優生は中断する。基城が「もういい」と言ったのを聞いてくれたのかと思いきや、代わりに長大な雄をゆっくりとした動作で扱いていた。強いフェロモンを漂わせ、かつての親友の官能的な仕草に、ごくりと喉が鳴る。
──で、か……。
初めてそれを目にしたときと同じ感想を溢していることに気付き、羞恥で顔を染める。
恐怖していることを悟られたくなくて、基城はあえて挑発する。
「はやく、入れろよ。それ……」
発情しているのは自分だけではない。優生のだって発情しているものの、完全にヒートを起こしている様子ではなかった。もしそうであれば、こんな回りくどい方法で基城の身体を昂らせたりしなかったはずだ。
難色を示す優生の理性を叩き割ってやりたくて、基城は自ら足を開き、十分に解れた後孔に指をかけて広げた。優生にここだと分からせるように。
「なあ、いれたいんだろ……?」
長年ライバルだった優生に、基城は不敵に笑いながら誘った。自分が欲しくて堪らないなんて、優生だけには知られたくない。
俺は別にいいけど……虚勢を張る前に、奥歯をぎりりと噛み締めた優生が覆い被さってきた。
「……基城はずるい」
悔しそうというよりは思い詰めたような表情に、心はスカッとしなかった。ずるいも何も、好きでオメガになったわけではないし、アルファのままでいたかった。
それに、アルファであったときも優生ばかりが基城の何もかもを上回っていて、悔しい思いを何度もしたのはこちらだ。そんな言葉を吐かれる筋合いはない。
発情してもやがかかる思考の中、後孔に熱いものが押し当てられる。優生が散々慣らした場所でも、先端を飲み込むのは難しい。入れろと急かし煽ったのを基城は後悔していた。
焦れた優生は基城の下肢を軽々持ち上げる。自分の秘部に長大なペニスの先端が触れているのを間近で見て、淫靡さに目眩がする。
痕が残るのではないかと思うくらい、腰骨を強く掴まれているため、身動きが取れない。
このまま突き進めば腹を突き破られるのではないか……基城は青ざめ、優生に考え直すよう懇願した。ヒートを起こしたアルファに、そんなことを投げかけても無駄だとは分かっていたが。
「さっきいっぱい触ったから大丈夫」
「あ……あっ、まっ……」
内部を実際に広げ確かめたのだから、という意味が優生の台詞には内包されている。
優生のものに広げられる感覚に、生理的な涙が伝う。どくどくと脈打つ力強さが伝わってきて、抱かれているのだと刷り込まれる。
「あ、あっ……ゆ……せ、あぁ!」
怖い、苦しい……この行為が、自分はオメガになったのだと骨の髄まで知らしめられているような感覚だった。
涙も悲痛に叫ぶ声も、優生を焚きつける材料にしかならない。
「もう、全部……?」
「まだ。あと半分くらい?」
「ひっ……うぅ」
そしてそれは引き返すことはないのだと悟る。短い呼吸で喘ぐのを、逐一優生がキスで宥めながら、奥へと進める。
初めて抱かれたときは、最後まで入りきらなかったのだと、基城は思い返していた。
「あ、あっ、あぁ……ゆうせ……!」
「基城……かわいい」
「かわ……いいとか嘘言うな……っ」
嘘と切り捨てると、優生は眉を下げる。嬉しくないのに、うざいだけなのに、きゅう……と、後孔は意志とは裏腹に入っているものを締め上げる。形と熱がリアルに伝わり、基城は生々しさに眉を顰めた。向かい合う優生も、息を詰める。
「でかくすんな……っ。変態……」
心外だ、というふうに優生は息を荒々しく吐き出す。仕返しだとばかりに、基城の身体にのしかかり、腰を進めてきた。
「あああぁっ……!?」
「……基城がエロい声出すからだろ」
「あ、あぁっ、あ……そん、な、だしてな……や、ああぁ……っ!」
ほら、と言わんばかりに、優生はとんとんと奥を目掛けて腰を打った。亀頭が未開の路を抉じ開ける度に、嬌声が漏れてしまう。
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