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【7章】新しい未来
すれ違った先の愛情3
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「あっ、ああ、あ……ん。レグ……あっ、いいっ……!」
声を抑えきれず、千歳ははっと我に返り、手のひらで自分の唇を塞ぐ。その手を引き剥がしたのは、にやりと笑うレグルシュだ。
「今日は、いいだろう? いつもは可愛い声を聞けなくて不満なんだ」
「だ、だって。あっ、あ……はげしい……」
豪奢なクイーンベッドは、大人二人が動いた程度では音を立てない。だが、衣擦れの音がどうしても気になり、普段は薄いシーツの中で互いの性器を擦り合わせるのみだ。挿入はしても、一度吐き出すだけなので、物足りなさを感じていた。
「あ、や、あぁ……そんな、奥までぇ……」
足を抱えられ、レグルシュの身体が折り重なる。具合を確かめるように細かく揺さぶられ、千歳は無意識にレグルシュの腕を掴んでいた。
惜しみなく時間をかけて、千歳の戸惑いと不安を掻き消していく。レグルシュのものが内壁を強く擦り上げたとき、中がきゅう、と絞まるのを感じた。直後に腹の中で熱の塊がどくんと脈打つ。
「あ……?」
「……っ」
大きな背中が震えている。眉間に皺を寄せたレグルシュが、何かを堪えるような表情をしている。髪を掻き上げた先の顔は、ほのかに赤い。
「我慢……してたの?」
「……お前がいちいち可愛いから悪い」
千歳の中から一度引き抜くと、一緒に擦り合わせる。性器を直接触られて、思わず甘えるような声が出た。
「レグ……レグぅ……。入れて……レグがほしい」
躊躇う余地はなかった。レグルシュが精を放ったときに、千歳も浅い絶頂を迎えたが、発情している身体を鎮めるには、到底足りない。底知れず終わりの見えない欲求が、自分のものでも怖いと思っていた。番になった今では、それが幸せだとも感じる。
「あぁ……っ! ああぁ、ん……!」
再び咬合するのに長い時間はかからなかった。硬度を取り戻したレグルシュのペニスが、肉襞を掻き分けて千歳の中に押し入ってくる。衝撃に、あまりの快楽に、目の奥が白くチカチカと点滅する。半分気を失っていた千歳に、レグルシュが笑んだ。
「千歳も、よほど我慢していたように見えるな」
「あ、やだ……いっしょに……ああっ」
千歳のペニスを握り込みながら、レグルシュは律動のペースを上げる。大きな手と長い指を使って、千歳のものを存分に擦った。
レグルシュの手によって精を吐き出し終える頃には、千歳の視界は涙で滲んでいた。根元の亀頭球まで挿入を果たしたレグルシュは、荒い息遣い混じりに話しかけてくる。
「可愛い顔が見られてよかった」
「そんな……いじわるを言わないでください」
「全部褒め言葉だ」
泣きながら懇願する千歳の目尻に、レグルシュは口付けた。何度も身体を合わせた中で、千歳の最も感じる場所を熟知している。
「あっ、ああぁ、あ……レグ、すき……」
唇で触れる回数が少なくなり、レグルシュの表情から余裕がなくなる。最奥を突かれ、千歳の背は強過ぎる快感から逃れるようにしなった。
自分の意思とは裏腹に、身体が大きく跳ねる。びくびくと全身を震わせて、千歳は達した。腹に収まっている性器が一度大きく膨らみ、絶頂を迎えたときの動きに呼応するように、レグルシュも熱い飛沫を中に叩きつけた。
久々にレグルシュと深くまで、長い時間繋がれた。互いに思いは同じなのだろう。絶頂の後の余韻を味わいながら、千歳とレグルシュはキスを繰り返した。満ち足りた表情を向けると、レグルシュは「もう一度」と、耳元で囁く。
「え……?」
「千歳だって、この機会を逃すわけにはいかないだろう?」
「でも、明日午前にお迎えが……」
寝坊して遅刻でもしたら大変だ。やんわりと断ろうとしたところ、レグルシュは答えを聞きたくないというふうに、千歳の口を塞いだ。気難しそうにする千歳の表情を崩すように、胸の突起へと手が伸びる。
「あ……んっ」
斗和の顔が一瞬浮かび、眼前のレグルシュと重なったが、その想像はすぐに消えた。千歳を腹這いの体勢にさせると、精で濡れた尻の狭間に熱を擦りつけられる。躊躇う言葉は次第にレグルシュを求める言葉に変わっていく。
「明日も俺が斗和を迎えに行くからいいだろう?」
レグルシュはそう言って、千歳のことをいつも甘やかそうとする。ぐずぐずに蕩けきって理性で押し通せない千歳は、そんな甘やかしの言葉に頷いた。
臀部を両手で掴まれて、ぐいと押し広げられる。レグルシュの形に馴染んだそこが、足りないと訴えるようにひくひくと収縮して恥ずかしい。太腿を伝ってレグルシュの子種が溢れ、千歳は羞恥に震えた。
「やだ……レグっ」
「じたばたすると注いだものが溢れるぞ。今度は後ろから……いいな?」
「んっ……なんでも、いいから、はやく……」
千歳は尻を上げながら懇願した。後ろから抱かれる形で、背中にレグルシュの体温が伝わってくる。
「あっ、あぁ、ああ……おおきい、レグの……ああ!」
正面向かいのときよりも、彼の熱を奥に感じる。二周り以上も体格の違うレグルシュの体躯を受け止めきれず、千歳の体勢は崩れてしまう。
快感で震える下肢では自分とレグルシュからかけられる体重を支えきれず、シーツに突っ伏すような体位になった。
それでも、レグルシュは容赦なく欲望をぶつけてくる。突き上げられる度に、千歳の身体は沈んだ。
「あっ! あぁ、んっ。もう……やだぁ……っ。あぁっ、レグ……とまって……ああっ、あ、あ……んっ」
項にレグルシュの吐息を感じる。嗅覚だけでなく、項から分泌されているオメガのフェロモンを直接取り込むように、舌を這わせ時折噛みついた。互いに唯一の番となったときの痛みが走り、歓喜の涙をいくつも溢れさせた。
互いに言葉を交わす余裕はなくなり、息遣いと喘ぎが室内に反響する。
「レグっ……レグ、すき……」
「俺も愛している。千歳……ずっと、これから、俺の側に」
お互いの気持ちを言葉にする。何度も、確かめ合うように。力強い腕に抱かれながら、千歳は夢のように幸せな時間に浸った。
声を抑えきれず、千歳ははっと我に返り、手のひらで自分の唇を塞ぐ。その手を引き剥がしたのは、にやりと笑うレグルシュだ。
「今日は、いいだろう? いつもは可愛い声を聞けなくて不満なんだ」
「だ、だって。あっ、あ……はげしい……」
豪奢なクイーンベッドは、大人二人が動いた程度では音を立てない。だが、衣擦れの音がどうしても気になり、普段は薄いシーツの中で互いの性器を擦り合わせるのみだ。挿入はしても、一度吐き出すだけなので、物足りなさを感じていた。
「あ、や、あぁ……そんな、奥までぇ……」
足を抱えられ、レグルシュの身体が折り重なる。具合を確かめるように細かく揺さぶられ、千歳は無意識にレグルシュの腕を掴んでいた。
惜しみなく時間をかけて、千歳の戸惑いと不安を掻き消していく。レグルシュのものが内壁を強く擦り上げたとき、中がきゅう、と絞まるのを感じた。直後に腹の中で熱の塊がどくんと脈打つ。
「あ……?」
「……っ」
大きな背中が震えている。眉間に皺を寄せたレグルシュが、何かを堪えるような表情をしている。髪を掻き上げた先の顔は、ほのかに赤い。
「我慢……してたの?」
「……お前がいちいち可愛いから悪い」
千歳の中から一度引き抜くと、一緒に擦り合わせる。性器を直接触られて、思わず甘えるような声が出た。
「レグ……レグぅ……。入れて……レグがほしい」
躊躇う余地はなかった。レグルシュが精を放ったときに、千歳も浅い絶頂を迎えたが、発情している身体を鎮めるには、到底足りない。底知れず終わりの見えない欲求が、自分のものでも怖いと思っていた。番になった今では、それが幸せだとも感じる。
「あぁ……っ! ああぁ、ん……!」
再び咬合するのに長い時間はかからなかった。硬度を取り戻したレグルシュのペニスが、肉襞を掻き分けて千歳の中に押し入ってくる。衝撃に、あまりの快楽に、目の奥が白くチカチカと点滅する。半分気を失っていた千歳に、レグルシュが笑んだ。
「千歳も、よほど我慢していたように見えるな」
「あ、やだ……いっしょに……ああっ」
千歳のペニスを握り込みながら、レグルシュは律動のペースを上げる。大きな手と長い指を使って、千歳のものを存分に擦った。
レグルシュの手によって精を吐き出し終える頃には、千歳の視界は涙で滲んでいた。根元の亀頭球まで挿入を果たしたレグルシュは、荒い息遣い混じりに話しかけてくる。
「可愛い顔が見られてよかった」
「そんな……いじわるを言わないでください」
「全部褒め言葉だ」
泣きながら懇願する千歳の目尻に、レグルシュは口付けた。何度も身体を合わせた中で、千歳の最も感じる場所を熟知している。
「あっ、ああぁ、あ……レグ、すき……」
唇で触れる回数が少なくなり、レグルシュの表情から余裕がなくなる。最奥を突かれ、千歳の背は強過ぎる快感から逃れるようにしなった。
自分の意思とは裏腹に、身体が大きく跳ねる。びくびくと全身を震わせて、千歳は達した。腹に収まっている性器が一度大きく膨らみ、絶頂を迎えたときの動きに呼応するように、レグルシュも熱い飛沫を中に叩きつけた。
久々にレグルシュと深くまで、長い時間繋がれた。互いに思いは同じなのだろう。絶頂の後の余韻を味わいながら、千歳とレグルシュはキスを繰り返した。満ち足りた表情を向けると、レグルシュは「もう一度」と、耳元で囁く。
「え……?」
「千歳だって、この機会を逃すわけにはいかないだろう?」
「でも、明日午前にお迎えが……」
寝坊して遅刻でもしたら大変だ。やんわりと断ろうとしたところ、レグルシュは答えを聞きたくないというふうに、千歳の口を塞いだ。気難しそうにする千歳の表情を崩すように、胸の突起へと手が伸びる。
「あ……んっ」
斗和の顔が一瞬浮かび、眼前のレグルシュと重なったが、その想像はすぐに消えた。千歳を腹這いの体勢にさせると、精で濡れた尻の狭間に熱を擦りつけられる。躊躇う言葉は次第にレグルシュを求める言葉に変わっていく。
「明日も俺が斗和を迎えに行くからいいだろう?」
レグルシュはそう言って、千歳のことをいつも甘やかそうとする。ぐずぐずに蕩けきって理性で押し通せない千歳は、そんな甘やかしの言葉に頷いた。
臀部を両手で掴まれて、ぐいと押し広げられる。レグルシュの形に馴染んだそこが、足りないと訴えるようにひくひくと収縮して恥ずかしい。太腿を伝ってレグルシュの子種が溢れ、千歳は羞恥に震えた。
「やだ……レグっ」
「じたばたすると注いだものが溢れるぞ。今度は後ろから……いいな?」
「んっ……なんでも、いいから、はやく……」
千歳は尻を上げながら懇願した。後ろから抱かれる形で、背中にレグルシュの体温が伝わってくる。
「あっ、あぁ、ああ……おおきい、レグの……ああ!」
正面向かいのときよりも、彼の熱を奥に感じる。二周り以上も体格の違うレグルシュの体躯を受け止めきれず、千歳の体勢は崩れてしまう。
快感で震える下肢では自分とレグルシュからかけられる体重を支えきれず、シーツに突っ伏すような体位になった。
それでも、レグルシュは容赦なく欲望をぶつけてくる。突き上げられる度に、千歳の身体は沈んだ。
「あっ! あぁ、んっ。もう……やだぁ……っ。あぁっ、レグ……とまって……ああっ、あ、あ……んっ」
項にレグルシュの吐息を感じる。嗅覚だけでなく、項から分泌されているオメガのフェロモンを直接取り込むように、舌を這わせ時折噛みついた。互いに唯一の番となったときの痛みが走り、歓喜の涙をいくつも溢れさせた。
互いに言葉を交わす余裕はなくなり、息遣いと喘ぎが室内に反響する。
「レグっ……レグ、すき……」
「俺も愛している。千歳……ずっと、これから、俺の側に」
お互いの気持ちを言葉にする。何度も、確かめ合うように。力強い腕に抱かれながら、千歳は夢のように幸せな時間に浸った。
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