愛人オメガは運命の恋に拾われる

リミル

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【5章】二度目の恋

甘い時間2

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「ああぁ……んっ。やっ、はいって……やだぁ……っ」

完全に不意を突かれたのだ。隙間なくレグルシュのものでいっぱいになっている。昨夜、入れたことのないところまで、千歳の中を満たしている。手の指を絡め取られると、レグルシュはゆっくりと腰を引いた。

「あっ、あぁ、それやだぁ……! レグっ……。レグのが……」

引きずり出されるような感覚が妙に生々しく、身体に刻まれる。思わず愛称で呼んでしまうと、ルグルシュは嬉しそうにはにかんだ……ように見えた。レグルシュの知らない表情に、心は膨らむ。

──レグの……番になりたい。

身体と心の両方が、レグルシュという存在を求めている。口に出してはいけない思いを、千歳は幸せに浮かれて口走らないよう、下唇をぎゅっと噛んだ。千歳の表情に苦悶が広がったと思った男は、動きを止めた。

「苦しいのか?」

心配そうに顔を覗き込んでくる。昨夜散々交わったおかげか、荒れ狂うほどのヒートは幾分か穏やかになっている。この気持ちを伝えることで楽になるのならば、そうしたい。けれど、千歳がオメガである以上、レグルシュはきっと同じ気持ちを返してくれない。

「気持ちいい、から大丈夫……うごいて、ほしい……あっ」
「それなら、傷ついたような顔をするな」
「ごめ……なさい」

眉根を寄せるのを見て、千歳は後悔する。レグルシュの表情が、いつもの人を寄せつけない険しいものに変わる。

「別に怒っているわけじゃない。……そんな顔をさせたのが、嫌だっただけだ。お前ではなくて……俺が悪い」

辿々しく、そんなことを口にした。子供のような拗ねた顔をしたのはほんの一瞬で、そこからはレグルシュの反応を窺う余裕もなくなる。初めて抱かれたときとは違い、こちらの様子を気遣いながら、レグルシュは腰を進める。大きく押し引きをする動きが徐々に変わり、奥ばかりを執拗にぐりぐりと虐められる。昨日も今日も、千歳が泣きながら反応を示したところだ。

「ひ、あ、あぁ……そこ、や……」

「やだ」と涙を滲ませながら訴えると、レグルシュは意地悪く囁いてくる。

「嘘をつくな。嫌なわけがないだろう? 昨日はここでずっと中イキしてた」
「そん、な……知らない……こわい」
「覚えてないか? 俺は見ていたから知っている」

本当に身に覚えがなくて、与えられるまっさらな快感に身を震わせる。訳も分からぬまま、千歳は「許して」と目の前の男に懇願した。

「こうなるのは、俺だけか?」
「んっ……レグ、だけ……レグだけだから」

その答えに気をよくしたレグルシュが、笑みを深くする。「千歳」と何度も名前を確かめるように呼ばれ、多幸感の海に溺れそうになった。

──レグが……レグルシュが、僕の運命の人だったらよかったのに。

中を強く穿たれて、思考は散り散りになる。レグルシュのものが深く入る度に、千歳の性器からは薄い精液が滲む。とっくに枯れ果てて、満足に射精はできなかった。行き場のなくなった快楽の波は、身体の中で嵐のように荒れ狂う。何度もオーガズムを迎え、千歳の呼吸は乱れる。

「レグ……ずっと、いて……そばにいて」

レグルシュは微かに返事をすると、千歳をその大きな身体の中に抱いた。繋がったままで、唇を押し当ててくる。薄いスキンに隔たれていても、レグルシュのものがどくどくと脈打ち、射精しているのが分かる。

「あっ……や……」
「何だ、感じたのか? 中には出していないのに」

体位を変え、背後からレグルシュに抱きしめられているような体勢だ。抜かずに揺さぶられ、千歳はか細い声を出した。ペニスの根元のノットがあるお陰で、アルファの射精は通常よりも長くかかる。レグルシュは荒い息を吐くと、千歳の中から引き抜こうとした。放蕩していた意識が、一気に冷める。

「や、抜かないで……」

千歳は振り返り、レグルシュに懇願する。襞と擦れる感触に、切ない声を漏らした。もっと長く、レグルシュを感じていたい。心は繋ぎ止められなくても、今だけは側にいてほしい。定期的な発情期の間は強い抑制剤を使っても、性的な欲求を全て消すことができず、オメガのフェロモンが外に漏れないよう、千歳は一人きりで過ごしていた。番になるはずだった拓海は、恐らく気を遣っていたのか、出張だと言って千歳を家に残していった。仕事だと言われれば、彼を困らせるような我儘は口に出せなかったのだ。

あれほどオメガを嫌悪していたレグルシュが、二度も千歳を抱いている。理性的なレグルシュでさえも、オメガの強烈なフェロモンには抗えないのだ。発情期中にアルファが側にいることで、千歳の心に途方のない幸福感が押し寄せてくる。

レグルシュは新しいスキンを慣れた手つきで装着すると、再び千歳の中に入ってきた。ジェルと千歳の体液のおかげで、挿入は苦ではなかった。

使い捨てられたものにふと視線をやると、中に注がれるはずだった白濁が溜まっていて、千歳は顔を赤面する。
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