宿屋ののぶさん@RPG

てぃば

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早咲きの花が散る …観察眼…

「…いらっしゃいませ。」

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「…」

「あの、」

「…い、いらっしゃいませ。」


俺はモーブ。元冒険者だ。
…今は何故か、接客をしている。

先日、ここの店主と一悶着あった俺はその詫びの意味も込めて宿屋《サトウ》で働き、その見返りとして知識と力を店主から得る…という名目でここにいるはずだ。
しかし、俺がしていることといえば掃除、掃除、掃除、たまに接客、そして掃除だ。毎朝雑草抜きもしている。
俺がここで働き始めてからもうとっくに日が10は沈んでいる。しかし、1度も何かを教わったこともなければ警備として機能したこともない。

まあ、掃除は妹と交代でやっていたことだし、接客もほとんどしてない(店主がやってしまう)ので辛い仕事ではないのだが…。

今日は店主は用事があると言って出ていった。店を閉めろとも接客をしろとも何も言わず、どのくらいで戻るかも言わず。

どうすればいいかわからないのでとりあえずきた客には食事を用意できないことを伝え、部屋に案内している。

「いらっしゃいま…」
「助けてくれ!のぶさん!!」

考え込んでいたら村人が1人駆け込んできた。

「…店主は今いねぇ…いませんが。」
「なんだと!?

    …ならお前でいい!お前もここの働き手だろ!?助けてくれ!たのむ!」

店主はお人好しらしい。よく村人の悩みを聞いたり、無償で食事を提供していたりする。
しかし、そのお人好しに自分を巻き込まないで欲しい。

「…ここは宿屋だ。泊まる気がねぇなら帰れ。」

「こら、そんな言い方をしてはいけないよ。お客さまだろう?」

「っ!」

まただ。この店主は唐突に帰ってきて人の後ろにいる。しかもここの村人はそれに驚かない。
…なれているのだろうか。

「そんな事言ったって、こっちはお前から何も指示受けてないんだぜ?どうしろってんだ。」

「それを考えるのも君の仕事だよ。警備くん。
さて、中で話をきこうか、ナリウス。」

「おぉ、ありがてぇ、のぶさん。ほんに助かるよ。」


村人―ナリウスというらしい―の肩を軽く叩き、店の中に戻っていく店主。また俺は掃除でもしてたらいいのだろうか。

「ああ、モーブもおいで。今回のはいい勉強になるはずだ。」

「…わかった」


今回の?
店主はあの村人の悩み事がわかるのか?

「あと、お客さんの分のお茶を入れるように。美味しく入れるんだよ。濃さもちゃんと考えてね。茶葉の種類もわかるだろう?」

濃さ?茶葉?
何のことだか全然わからない。第一そんなこと覚えてどうする。
とにかく言われればやるしかないので俺は食堂の方へ向かった。
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