61 / 87
2章
61
しおりを挟む
「ルーク!」
「カイト、おはよう!」
久々のルークだ!今日も王子様スマイルが眩しいっ。
ルークは俺が昇級する前から長期の調査依頼に出ててずっと会えてなかった。昨日帰って来て、今日は休みにするから遠乗りに行かないかって誘ってくれた!
門の横の騎獣商で駱を借りる。騎獣商のおっちゃんは冒険者の兄さんが乗るならもっと速い騎獣がいいんじゃないかと言ってたけど、俺的には駱一択だ!
相変わらずかわいい!
2人で跨って前に座った俺が手綱を持った時点で納得したような顔をしたのは、どういうことかな、おっちゃんよ。
「久しぶりだよなー。昨日ギルドで待っててくれたらよかったのに。ルークが帰ってすぐに俺戻って来たみたいだよ?」
ギィがギルドでルークに会って今日のお誘いの伝言をしてくれた。昨日会えてたらギィも一緒にお疲れ様会できてたのに。今日はギィは依頼でいないんだよなー。
「昨日は帰って来て直接ギルドに寄ったからだいぶ汚れてたんだよ。カイトに会うときはカッコよくありたいだろ?」
ルークが後ろから俺の腰に緩く腕を回して、肩に顎を乗せて来る。
「ルークはカッコいいよ。人気あるし、風見鶏のティナなんてルークのこと毎回聞いてくるよ?」
「うーん。カイトがカッコいいって思ってくれてるだけでいいんだけどなー」
「思ってる思ってる。
ルークはカッコいいだけじゃなくて優しいし。今日も依頼で疲れてるのに誘ってくれるしさ」
「カイトといる方が疲れが癒されるんだよ。
それに、俺がいない間に昇級してるし、ギィと家決めてるし」
じっくり話を聞かせて貰うからね。って耳を齧りそうな距離で囁かないでっ。なんかぞくぞくしちゃうだろ。
「お、俺もルークの依頼の話聞きたいっ。
お弁当持ってきたから食べながらのんびり聞かせてよ」
「お弁当って昼ご飯?俺も携帯食持ってきてるけど」
冒険者ってそういうとこあるんだよなー。食べられればそれでいい。みたいな。
俺としては美味しいものが食べたい訳だ!
ピクニックに携帯食は許可できません!
「のんびりするための遠出なのにご飯が携帯食じゃ依頼中と変わらないだろ。
お弁当っていうのは、色んな料理をちょっとずつ入れ物に詰めたやつ。今回は屋台で買った物を詰めただけだけどさ、携帯食よりは絶対美味しいから」
「屋台の料理を持ってきたのか?わざわざ入れ物に詰め直すのは面倒だったろうに。
楽しみにしてるよ」
屋台の料理は、焼き串はそのまま剥き出しだし、おかずクレープも紙が巻いてあるだけで、食べ歩きにはいいけど鞄に入れたりは出来ない。雑貨屋さんに木の皮を編んで作った蓋付きの入れ物があったから、今日は朝から色んな屋台で好きな物を買って、ギルド食堂の隅を借りてそれに詰め直して来た。
これなら鞄に入れられるし、しかも大中小の3個セットで食べ終わったら重ねて大に収納できる便利なやつだ!
目的地はエリカの街が見下ろせる丘の上。まばらに木立もあって涼しくて気持ちいい。
駱は近くの木に手綱を繋いでおく。座りこんで首が届く範囲の周りの草を食べてる。もう動く気はないんだね。
俺たちも木陰でお弁当を広げてお昼ご飯だ。
「おー。きれいに詰めたなー」
蓋を開けるとルークが嬉しそうに覗き込んできた。
そうだろ、そうだろ。
大はお肉、中はおかずクレープ、小は果物って買った物ばかりだけど頑張って詰めたんだぞ。
今回のルークの依頼は、決められたポイントを調査して回る内容だったらしい。ポイントで3日くらい滞在して変化がないか確認したら最寄りのギルドで報告して次のポイントへ移動。を繰り返す。
「ギルドに行くときは宿に泊まってゆっくり寝れるから、期間は長いけどそこまで過酷でもないよ。
お土産も買って来れたから、夜にはギィも一緒に宿で飲もうね」
美味しそうなお酒と、俺用に果物のジュースを買って来てくれたらしい。楽しみだー!
俺の蜂の巣採取大作戦の話もして家を探した話もした。
「ギィがそんなにすぐ動くと思ってなかったなあ」
「俺もあんなにすぐ決めると思わなかった」
しかもお風呂増築するなんてさ。
「俺がちょっと留守にしてる間にそんなに進展してるなんてなぁ。あーぁ」
はあぁ。って大きなため息。やっぱりまだ疲れてるんだろうなー。
「ルーク、昼寝しない?俺、枕するよ?」
「えっ!何それ!?抱き枕?」
「抱き枕??いや、ルークがそれがいいならいいけど」
膝枕のつもりだったけど、俺の膝じゃ固いかな。
「あ、膝枕ね。うん、うん、膝枕もいいね」
お邪魔しまーす。ってルークが頭を乗せてくる。
金髪サラサラだなー。まつ毛も金なんだなー。すっごい長いな。
目を閉じているルークを観察しているうちに俺も眠くなってきた。
駱も昼寝中。誰もいないし、俺もちょっとだけ寝ちゃおう。ちょっとだけ。
目が覚めたらなぜかルークの膝の上で、抱きつくみたいに伏せて寝てたんだけど、ルークはすごく元気が出たって言ってたからいいかな。
「カイト、おはよう!」
久々のルークだ!今日も王子様スマイルが眩しいっ。
ルークは俺が昇級する前から長期の調査依頼に出ててずっと会えてなかった。昨日帰って来て、今日は休みにするから遠乗りに行かないかって誘ってくれた!
門の横の騎獣商で駱を借りる。騎獣商のおっちゃんは冒険者の兄さんが乗るならもっと速い騎獣がいいんじゃないかと言ってたけど、俺的には駱一択だ!
相変わらずかわいい!
2人で跨って前に座った俺が手綱を持った時点で納得したような顔をしたのは、どういうことかな、おっちゃんよ。
「久しぶりだよなー。昨日ギルドで待っててくれたらよかったのに。ルークが帰ってすぐに俺戻って来たみたいだよ?」
ギィがギルドでルークに会って今日のお誘いの伝言をしてくれた。昨日会えてたらギィも一緒にお疲れ様会できてたのに。今日はギィは依頼でいないんだよなー。
「昨日は帰って来て直接ギルドに寄ったからだいぶ汚れてたんだよ。カイトに会うときはカッコよくありたいだろ?」
ルークが後ろから俺の腰に緩く腕を回して、肩に顎を乗せて来る。
「ルークはカッコいいよ。人気あるし、風見鶏のティナなんてルークのこと毎回聞いてくるよ?」
「うーん。カイトがカッコいいって思ってくれてるだけでいいんだけどなー」
「思ってる思ってる。
ルークはカッコいいだけじゃなくて優しいし。今日も依頼で疲れてるのに誘ってくれるしさ」
「カイトといる方が疲れが癒されるんだよ。
それに、俺がいない間に昇級してるし、ギィと家決めてるし」
じっくり話を聞かせて貰うからね。って耳を齧りそうな距離で囁かないでっ。なんかぞくぞくしちゃうだろ。
「お、俺もルークの依頼の話聞きたいっ。
お弁当持ってきたから食べながらのんびり聞かせてよ」
「お弁当って昼ご飯?俺も携帯食持ってきてるけど」
冒険者ってそういうとこあるんだよなー。食べられればそれでいい。みたいな。
俺としては美味しいものが食べたい訳だ!
ピクニックに携帯食は許可できません!
「のんびりするための遠出なのにご飯が携帯食じゃ依頼中と変わらないだろ。
お弁当っていうのは、色んな料理をちょっとずつ入れ物に詰めたやつ。今回は屋台で買った物を詰めただけだけどさ、携帯食よりは絶対美味しいから」
「屋台の料理を持ってきたのか?わざわざ入れ物に詰め直すのは面倒だったろうに。
楽しみにしてるよ」
屋台の料理は、焼き串はそのまま剥き出しだし、おかずクレープも紙が巻いてあるだけで、食べ歩きにはいいけど鞄に入れたりは出来ない。雑貨屋さんに木の皮を編んで作った蓋付きの入れ物があったから、今日は朝から色んな屋台で好きな物を買って、ギルド食堂の隅を借りてそれに詰め直して来た。
これなら鞄に入れられるし、しかも大中小の3個セットで食べ終わったら重ねて大に収納できる便利なやつだ!
目的地はエリカの街が見下ろせる丘の上。まばらに木立もあって涼しくて気持ちいい。
駱は近くの木に手綱を繋いでおく。座りこんで首が届く範囲の周りの草を食べてる。もう動く気はないんだね。
俺たちも木陰でお弁当を広げてお昼ご飯だ。
「おー。きれいに詰めたなー」
蓋を開けるとルークが嬉しそうに覗き込んできた。
そうだろ、そうだろ。
大はお肉、中はおかずクレープ、小は果物って買った物ばかりだけど頑張って詰めたんだぞ。
今回のルークの依頼は、決められたポイントを調査して回る内容だったらしい。ポイントで3日くらい滞在して変化がないか確認したら最寄りのギルドで報告して次のポイントへ移動。を繰り返す。
「ギルドに行くときは宿に泊まってゆっくり寝れるから、期間は長いけどそこまで過酷でもないよ。
お土産も買って来れたから、夜にはギィも一緒に宿で飲もうね」
美味しそうなお酒と、俺用に果物のジュースを買って来てくれたらしい。楽しみだー!
俺の蜂の巣採取大作戦の話もして家を探した話もした。
「ギィがそんなにすぐ動くと思ってなかったなあ」
「俺もあんなにすぐ決めると思わなかった」
しかもお風呂増築するなんてさ。
「俺がちょっと留守にしてる間にそんなに進展してるなんてなぁ。あーぁ」
はあぁ。って大きなため息。やっぱりまだ疲れてるんだろうなー。
「ルーク、昼寝しない?俺、枕するよ?」
「えっ!何それ!?抱き枕?」
「抱き枕??いや、ルークがそれがいいならいいけど」
膝枕のつもりだったけど、俺の膝じゃ固いかな。
「あ、膝枕ね。うん、うん、膝枕もいいね」
お邪魔しまーす。ってルークが頭を乗せてくる。
金髪サラサラだなー。まつ毛も金なんだなー。すっごい長いな。
目を閉じているルークを観察しているうちに俺も眠くなってきた。
駱も昼寝中。誰もいないし、俺もちょっとだけ寝ちゃおう。ちょっとだけ。
目が覚めたらなぜかルークの膝の上で、抱きつくみたいに伏せて寝てたんだけど、ルークはすごく元気が出たって言ってたからいいかな。
6
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
巨人の国に勇者として召喚されたけどメチャクチャ弱いのでキノコ狩りからはじめました。
篠崎笙
BL
ごく普通の高校生だった優輝は勇者として招かれたが、レベル1だった。弱いキノコ狩りをしながらレベルアップをしているうち、黒衣の騎士風の謎のイケメンと出会うが……。
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる