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2章
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夜明け前に目が覚めて、神様の木に水を遣りに庭に出てきた。いつも起きる時間よりずっと早く起きちゃったけど、気分は爽快だ。
徐々に明るくなっていく景色に、魔力の光が滲んで溶けていくように見える。
こんなに綺麗なのに俺以外には見えてないんだよな。
この世界には見た目は俺と変わらない、同じ種に見える人達が沢山いて普段は孤独を感じることなんてないけど、こうやって1人で他の誰にも見ることのできない景色を見ていると、自分だけがみんなと違う種でこの世界にとっては異分子だってことを嫌でも認識してしまう。
やっぱりギィも同じ種の人の方がよかったのかもしれないな。
一昨日の夜、ルークに話を聞いてもらって、混乱していた心はすっかり落ち着いた。
ギィに俺より好きな人ができたなら仕方ない。俺がギィを好きな気持ちを無理矢理無くす必要はないんだし、勝手に好きなままでいるだけだ!ギィに好きってちゃんと言って完結だ。今なら卒業式に告白してくれた子の気持ちがわかる気がするよ。
好きな人には楽しく幸せに過ごして欲しいから、俺は俺に出来るこ とでギィを助けるぞ。まずは、早く独り立ちする!
すっきりした気持ちで決意も新たに気合を入れ直していた俺の耳に、聞き慣れない音が聞こえてきた。
家の周りは木立だけで他に人が住んでないから、人がたてる音はすごく目立つ。音の方向は壁の扉の方だから誰かがあの扉を開けた音だと思うけど、俺以外にあの扉を使ってる人を見たことなかったから、興味が湧いた。
壁のこっち側はこの家以外は森に入るだけだし、道もない。向こう側も人の住んでる家はなくて物置き小屋みたいなのがポツポツあるくらいだしなー。
猟師さんが近道に使ったとか?
木立に遮られてはっきり見ることはできないけど、魔力の塊的には2人か3人かな?魔力量的には冒険者じゃなくて街の人っぽい。
ちゃんと見ようと近づいて、咄嗟にしゃがんで隠れた。
男が2人。巨漢とそれよりは小さいの。小さい方は大きな袋をサンタみたいに担いでた。問題は大きい方だ。女の人を担いでる。女の人は意識がないのか全く抵抗する素振りもなく担がれた背中側に垂れた両手が力無く揺れてる。
あれは、おかしいだろ!?
寝てる女の人を運ぶんだったらお姫様抱っこが当然だし、そもそもこの先は奥に行けば獣も出る森しかない。
ダメな気がする!
あいつらはこっちには全く気づいてないから、ひとまず後をつけてみよう。
もしかしたら3人は友達で、女の人が野営してて、寝ちゃったから送ってるのかもしれないし……いや、ないな。
女の人、街の人の格好だし…。男の方が野営してそうな格好してる。冒険者まではいかないけど、普通の街の人ではないと思う。
やっぱりダメな気がする!!
考えている間にも2人と1人は遠去かって行く。
起きてすぐ水遣りに出てきたから、パジャマとちょっとポーチに出る時用の布靴だけど後をつけて行くだけだからこのまま行こう。装備を取りに戻ってる時間はない。
水遣りに使ってた片手鍋は…とりあえず持って行くか。もしかしたら武器になるかもしれないし。
男2人は俺がついて行ってることに全く気づかず、薮を抜けてどんどん奥に入っていく。
やがてボロボロの小さな小屋が現れて、男達はその小屋の壁にもたれるみたいに建ってる物置きみたいな場所に入って行った。
小屋はまだエリカの街が小さくてこの辺りでも充分狩りができた頃に猟師が休憩に使ってた物だと思う。今は街が大きくなってこの付近に獲物になる獣はいなくなったから誰も使わなくなって放っておかれたんだろう。
こんな所を使ってるなんて、やっぱり良くない感じだ。
ギルド長から聞いた人攫いは子どもを狙ってるってことだったけど、小柄な人だったし女の人を攫おうとしてるのかも。
どうしよう、ギルドに戻って報告してる時間はあるのかな。とりあえず小屋の周りを見てみよう。
小屋の裏には走駝が2羽繋がれてた。後は2輪の幌付き荷車。
走駝はダチョウみたいな走る鳥なんだけど、ダチョウより脚がだいぶ太くて首は短い。足は速いけど力は強くないから、馬車みたいに大きな客車は轢けないんだけどあれぐらいの荷車ならなんとかなるのかも。
もしあれに女の人を乗せて移動されたらもう見つけられないかもしれない。
ギルドに行って戻ってくるまでアイツらがここにいる保証はないし、今でさえ物置きに入ったアイツらが女の人に何をしてるかわからなくて心配だ。大きな物音はしてないから大丈夫だと思いたいけど…。
俺が一緒に中にいればアイツらが何かするのは防げるはず。
今日はギルドで午前の訓練に申し込んでるから俺が来なければ講師の冒険者はおかしいと思うだろうし、ギルド長は家を知ってるから見に来てくれるだろう。
問題はこの場所がわかるかどうかだけど、冒険者が俺の行方を探すならすぐにここを見つけられる確信があった。俺の家を中心に探すのがセオリーだけど街中の可能性は低いと考えるだろうから、捜索は森に集中するはずだ。なら、俺が歩いて来られるここなんてすぐ見つかる。だから、昼まで長くても夕方まで時間を稼げればいい。
カイトは深追いするなってダスさんに言われたけど、この場合は仕方ないよな。
あとはどうやって中に入るか。だ。
徐々に明るくなっていく景色に、魔力の光が滲んで溶けていくように見える。
こんなに綺麗なのに俺以外には見えてないんだよな。
この世界には見た目は俺と変わらない、同じ種に見える人達が沢山いて普段は孤独を感じることなんてないけど、こうやって1人で他の誰にも見ることのできない景色を見ていると、自分だけがみんなと違う種でこの世界にとっては異分子だってことを嫌でも認識してしまう。
やっぱりギィも同じ種の人の方がよかったのかもしれないな。
一昨日の夜、ルークに話を聞いてもらって、混乱していた心はすっかり落ち着いた。
ギィに俺より好きな人ができたなら仕方ない。俺がギィを好きな気持ちを無理矢理無くす必要はないんだし、勝手に好きなままでいるだけだ!ギィに好きってちゃんと言って完結だ。今なら卒業式に告白してくれた子の気持ちがわかる気がするよ。
好きな人には楽しく幸せに過ごして欲しいから、俺は俺に出来るこ とでギィを助けるぞ。まずは、早く独り立ちする!
すっきりした気持ちで決意も新たに気合を入れ直していた俺の耳に、聞き慣れない音が聞こえてきた。
家の周りは木立だけで他に人が住んでないから、人がたてる音はすごく目立つ。音の方向は壁の扉の方だから誰かがあの扉を開けた音だと思うけど、俺以外にあの扉を使ってる人を見たことなかったから、興味が湧いた。
壁のこっち側はこの家以外は森に入るだけだし、道もない。向こう側も人の住んでる家はなくて物置き小屋みたいなのがポツポツあるくらいだしなー。
猟師さんが近道に使ったとか?
木立に遮られてはっきり見ることはできないけど、魔力の塊的には2人か3人かな?魔力量的には冒険者じゃなくて街の人っぽい。
ちゃんと見ようと近づいて、咄嗟にしゃがんで隠れた。
男が2人。巨漢とそれよりは小さいの。小さい方は大きな袋をサンタみたいに担いでた。問題は大きい方だ。女の人を担いでる。女の人は意識がないのか全く抵抗する素振りもなく担がれた背中側に垂れた両手が力無く揺れてる。
あれは、おかしいだろ!?
寝てる女の人を運ぶんだったらお姫様抱っこが当然だし、そもそもこの先は奥に行けば獣も出る森しかない。
ダメな気がする!
あいつらはこっちには全く気づいてないから、ひとまず後をつけてみよう。
もしかしたら3人は友達で、女の人が野営してて、寝ちゃったから送ってるのかもしれないし……いや、ないな。
女の人、街の人の格好だし…。男の方が野営してそうな格好してる。冒険者まではいかないけど、普通の街の人ではないと思う。
やっぱりダメな気がする!!
考えている間にも2人と1人は遠去かって行く。
起きてすぐ水遣りに出てきたから、パジャマとちょっとポーチに出る時用の布靴だけど後をつけて行くだけだからこのまま行こう。装備を取りに戻ってる時間はない。
水遣りに使ってた片手鍋は…とりあえず持って行くか。もしかしたら武器になるかもしれないし。
男2人は俺がついて行ってることに全く気づかず、薮を抜けてどんどん奥に入っていく。
やがてボロボロの小さな小屋が現れて、男達はその小屋の壁にもたれるみたいに建ってる物置きみたいな場所に入って行った。
小屋はまだエリカの街が小さくてこの辺りでも充分狩りができた頃に猟師が休憩に使ってた物だと思う。今は街が大きくなってこの付近に獲物になる獣はいなくなったから誰も使わなくなって放っておかれたんだろう。
こんな所を使ってるなんて、やっぱり良くない感じだ。
ギルド長から聞いた人攫いは子どもを狙ってるってことだったけど、小柄な人だったし女の人を攫おうとしてるのかも。
どうしよう、ギルドに戻って報告してる時間はあるのかな。とりあえず小屋の周りを見てみよう。
小屋の裏には走駝が2羽繋がれてた。後は2輪の幌付き荷車。
走駝はダチョウみたいな走る鳥なんだけど、ダチョウより脚がだいぶ太くて首は短い。足は速いけど力は強くないから、馬車みたいに大きな客車は轢けないんだけどあれぐらいの荷車ならなんとかなるのかも。
もしあれに女の人を乗せて移動されたらもう見つけられないかもしれない。
ギルドに行って戻ってくるまでアイツらがここにいる保証はないし、今でさえ物置きに入ったアイツらが女の人に何をしてるかわからなくて心配だ。大きな物音はしてないから大丈夫だと思いたいけど…。
俺が一緒に中にいればアイツらが何かするのは防げるはず。
今日はギルドで午前の訓練に申し込んでるから俺が来なければ講師の冒険者はおかしいと思うだろうし、ギルド長は家を知ってるから見に来てくれるだろう。
問題はこの場所がわかるかどうかだけど、冒険者が俺の行方を探すならすぐにここを見つけられる確信があった。俺の家を中心に探すのがセオリーだけど街中の可能性は低いと考えるだろうから、捜索は森に集中するはずだ。なら、俺が歩いて来られるここなんてすぐ見つかる。だから、昼まで長くても夕方まで時間を稼げればいい。
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あとはどうやって中に入るか。だ。
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