8 / 13
第8話:本当に助かった
しおりを挟む朝になると、夜中の雨が嘘のように、その日は晴天となった。
小麦畑全体がキラキラとした雫を纏って、風がそよぐ度、水面のように輝いている。
死した二頭のミドヌーは、昨日ディーナが見つけたあの部屋へと運び込まれた。
ドルクの説明通り、屋敷の外からその部屋へ直接入る事のできる扉があって、討伐隊のみんなで力を合わせて、死んだ二頭を運び入れた。
中はどうってことのない、どこにでもあるだだっ広い部屋だったが、ディーナの感じていた通り、血の臭いと腐った肉の臭い、そして生き物の焼かれた後の臭いが充満していた。
妙な事に、解体に必要な機器、具体的には牛斬り包丁のような巨大な刃物などは、一切そこには置かれていなかった。
いったいどうやって、この場所で、ミドヌーを解体し処分しようというのだろう?
ディーナとカミーは、揃ってそう考えていた。
ただ、部屋の隅の床に敷かれている一枚の赤い絨毯が、やけにその部屋にそぐわない様子である事を、ディーナだけは見逃さなかった。
「あとは我々使用人にお任せ下さい。皆様はさぞお疲れでしょう、お部屋でゆっくり休息をとってくださいませ」
恭しくお辞儀をして見せるドルクを睨みつつも、ディーナは東屋へ戻る。
「おい、ディーナ。ちょっと……」
ウィーダスに呼び止められ、ディーナは東屋の談話室に入る。
そこにはカミ―もいて、面白くなさそうにディーナを見ている。
「お前さん、体力はまだあるか?」
ウィーダスに訊ねられ、少し眠いがまだ動けそうなディーナは頷く。
「よし……。今から俺たち三人、交代であの部屋を見張ろう。あれはどう見ても、解体処分用の部屋じゃねぇ……」
何が言いたいのだろうと、ディーナは首を傾げる。
「だ~か~ら~、ウィーダスはあそこで違法薬物が生成されるのを待って、現行犯逮捕しようって言ってるんだよ」
カミ―が面倒臭がりながらも、ディーナに解るようにと説明する。
しかし、そのような事ぐらいディーナにも解っている。
解らないのは、なぜ見張りなどと回りくどいやり方で、こそこそとする必要があるのか、という事だ。
「見張りなどせずに、解体作業を見せて貰えばいいじゃないか」
そう……、そういう事だ。
遠回りな戦法はディーナの性に合わないのである。
「いや~、さすがにそれは怪しまれるだろぉ?」
ウィーダスが、今まで一度も見せなかった、こいつは馬鹿か? と言いたげな顔でディーナを見る。
まぁ、人には人のやり方がある、それは別に構わない。
だがしかし、できれば見張りなどという面倒臭い事はやりたくない、というのがディーナの本心である。
「……わかった。けど、先に風呂に入りたい」
これも本音である。
雨に濡れた事と、死したミドヌーに触れた事によって、体中から妙な臭いがして先ほどからもう我慢の限界なのだ。
ディーナ自身、本来は魔獣なわけで、フェンリルの姿に戻った際にはそれなりに獣臭が漂う。
だがしかし、その時に臭ってくるのはあくまで自分の臭いであり、平気だ。
けれども今、体中に染み付いているこの臭い、草食魔獣特有の臭い、血の臭い、加えて雨の臭い、更には青臭い草の臭いまで……、耐えられたもんじゃない、今にも鼻が曲がりそうなのだ。
あからさまに険しい表情をするディーナを見て、カミ―はさすがに同情した。
カミ―はもちろん、ディーナの正体を知っている。
……知っていて挑もうとするのは、馬鹿というか、無謀というか。
とにかく今、ディーナは人間の自分にはわからない苦痛を味わっているのだろうと、カミ―は理解していた。
「あ~、わかったわかった! 俺とウィーダスが先に交代で見張るから、お前は気が向いたらでいいよ」
むしろその方がいいと言わんばかりに、シッシと手を振るカミ―。
ディーナはそれを、千年に一度あるかないかわからないようなカミ―の優しさだとは微塵も考えずに、一直線に風呂場に向かったのだった。
ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシゴシゴシ……。
風呂場には先客がいた。
無論、ペチェだ。
ペチェは、屋敷に戻ってすぐに姿を消していた。
どこに行ったのかと少し心配していたので、ディーナはほっとする。
だが、どうやら様子がおかしい……。
扉を開けて、ディーナが浴室に入ってきた事にも気付かず、一心不乱になって体を洗っている。
白い肌が赤くなるほどに、何やら小さな袋を手にして、体を擦り続けている。
尋常じゃないと直感的に理解したディーナは、できるだけ脅かさないように静かに声を掛ける。
「……ペチェ? どうした?」
するとペチェは、びくっ体を震わせて、ゆっくりとディーナの方を振り向いた。
そのミントグリーンの瞳には、大粒の涙が溜まっていた。
「……落ち着いたか?」
風呂釜に並んで入るディーナとペチェ。
ディーナの問い掛けに、グズッと鼻をすすったペチェは、コクンと頷く。
どうやらペチェには、初仕事が魔物討伐であるという事が酷だったようだと、ディーナは思う。
リーフエルフという種族は、人里離れた森の奥に村を構える種族。
その生活は主として森と共にあり、動植物を無暗に傷つける事を何よりも嫌う。
口にする物と言えば、野イチゴや木の実、森に自生する植物が中心であり、動物を殺して食物にするという習慣はないらしい。
最近でこそ外界に……、村の外に出た若者が、加工された干し肉などと持ち帰る事があるらしいが、それらはあまり人気がないと言う。
つまるところペチェは、魔物の討伐などという事柄には、最も程遠い種族なのだ。
今朝、日の光の元でミドヌーの死体を直に目にし、改めて心が恐怖心で満たされてしまい、頭の中がパニックになってしまったのだと、ペチェは泣きながらに訴えてきた。
先ほどまで生きていたはずの生き物が、魂の抜けてしまったただの肉に変わる瞬間を、ペチェは初めて見たのだ。
ディーナは思い出していた。
自分も、国営軍に入ったばかりの頃は、戦場で死んでいく者たちを前にして、何度か涙を流したことがあったなぁ、と……。
しかし、慣れとは怖いもので、今となっては容易く命を奪う決断を下せてしまう。
そうしなければ、今日まで生きて来られなかった可能性は否めないし、そうなってしまった自分に対してディーナは後悔していない。
しかし、可愛らしい顔を腫れぼったくして、ミントグリーンの綺麗な瞳を真っ赤にしているペチェを見ていると、この子には自分のようにはなって欲しくないと、ディーナは思うのだった。
ペチェが泣き止んだのを見計らって、ディーナはざっと湯から上がる。
「あっ! ディーナさんっ!? そんな大胆なっ!?」
どこを隠すこともなく、素っ裸を堂々と披露するディーナに対し、ペチェは赤面して手で目を覆った。
女同士で何を恥ずかしがっているんだ? と、ディーナは首を傾げる。
あわあわとするペチェを他所に、樽の中に入った水を豪快に浴び、体を擦り始めたディーナ。
風呂場にはもちろん、シャワーなんて物はなく、代わりに風呂釜とは別の大きな樽に、綺麗な清水が溜められている。
水なので少しばかり冷たいが、染み付いた臭いを落とすためにはこの方法しかない。
しかし、そう容易く、この臭いは落ちそうにもない……。
するとペチェが、恥ずかしがりながらも何かを差し出してきた。
それは先ほどまで、ペチェが必死に己の体に擦りつけていたものだ。
「あの、これ……。グローリーの花が詰まった袋なんですけど……。これを体に擦りつけると、身が清められて、さらには臭いも消えるんです」
できるだけ、真っ裸のディーナを直視しないようにしながら、ペチェはそう言った。
グローリーの花という物を、ディーナは知らない。
しかしながら、ディーナはこのペチェに対して、今のところは厚い信頼をおいている。
昨夜の戦闘で、ペチェが自分の身を案じて魔法を行使してくれたことも、ディーナはちゃんとわかっていた。
「助かる、ありがとう」
お礼を言って、ペチェの差し出した小袋を受け取り、ニコリと笑うディーナ。
その表情の美しさ、カッコよさに、ペチェはのぼせそうになる。
逃げるようにして湯の中に頭を沈めるペチェ。
ディーナは、本当に変な奴だなと思いつつも、グローリーの花の良い香りがする小袋を手に、気持ちよく水を浴びるのだった。
「あれは守護魔法の一種です。僕の守護聖樹はミスリの樹、守護聖花はさっき小袋に入っていたグローリーの花、守護聖草はチョノマ草なんです。特に、チョノマ草なんてどこにでも生えている雑草なので、いつだって魔法が使えます。さっきは運良く、すぐ近くにミスリの樹が生えていたので、守護魔法で根の壁を作ることができました」
ディーナの部屋で、食事場から貰って来た冷たい果実のジュースを飲みながら、ペチェとディーナは仲良く話し込んでいた。
ペチェはようやく平常心を取り戻したようで、いつものように明るく話をしている。
ペチェの言う、守護聖樹とか、守護聖花、守護聖草などという言葉は、はっきり言ってディーナにはちんぷんかんぷんだが、ペチェが楽しそうに話をするので、ディーナもなんだか心が穏やかになって、静かにその言葉を聞いていた。
「けれど、驚いた。魔法が使えたんだな」
ディーナの言葉に、ペチェは一瞬固まる。
確か、自己紹介も兼ねて説明したはずだったのだが……、どうやら聞き流されていたようだとペチェは解釈し、複雑な気持ちになる。
しかし……。
「ペチェがいなければ、危なかった。本当に助かった」
ディーナの素直な言葉が、一瞬にしてペチェの気持ちを復活させる。
「そんな……、そんなっ! ディーナさんの為なら、もっと頑張って魔法練習しますっ!」
ふんふんと鼻息を荒くし、興奮するペチェ。
しかし、その隣では、既にディーナは別の事を考えていた。
「……子どもとは、何の事だったのだろう?」
訊ねるわけでもなく、独り言のようにポツリと零すディーナ。
妙に気になる、あの雌ミドヌーの行動と、響いてきた声。
普通、魔物は、敵を前にしてあのような行動には出ないはずだ。
差し詰め、肉食魔獣ならば、決してあんな事にはならないだろう。
弱肉強食、それがこの世界の掟であり、絶対的な真実である。
前足を自ら折り曲げて伏せ、逃げもせず、戦いもしなかったあのミドヌー。
いったい何がしたかったのか、何が目的だったのか……。
左方から突撃してきた三頭の為に、こちらの視線を逸らすためだとしても腑に落ちない。
殺すつもりなら、なぜ自分で挑んでこなかった?
そしてなぜ、思いを伝えてきた?
「ミドヌーはこの時期、繁殖期ですからね。もしかしたら、この辺りで子ミドヌーとはぐれて、みんなで探しているのかも……」
ペチェが、ごくごくと果実のジュースを飲みながら言った。
「みんなで探している? どうして?」
「あれ? 言ってませんでしたか? ミドヌーは、群で子育てを行うんです。繁殖期以外は単体で行動していますけど、この時期だけは森の奥に集まって、群になって子どもを産み、育てる……。つまり、沢山のミドヌーが集まって、一つの大きな家族になって、みんなで子どもを守るんです。もし、一匹の子どもが肉食魔獣に襲われていたら、大人ミドヌーがみんなで助けに行きますよ。これは確かな事です!」
珍しく、得意気な顔になって話すペチェに対し、ディーナは訊ねる。
「襲われた子どもは、どうやって仲間に危険を知らせるんだ?」
ペチェは、う~んと考える素振りを見せてから、こう答えた。
「確か……。他の生き物にはなかなか聞こえないような、ミドヌー特有の音を出す、とか本に書いてあった気が……。けれど、それはちょっと考えられませんね。ミドヌーにしか聞こえない音なんて、そんなのあると思いますか?」
ペチェは、ないない! と言った風に笑ったが、ディーナは違った。
何かが頭の中で繋がりそうな……、そんな気がしていた。
「なぁ……、ミドヌーは、夜行性なのか?」
「いいえ、そういった記述はなかったと思います。この国には天敵となる肉食魔獣が少ないので、草食魔獣は昼間活動して、夜は眠っているのが通常かと……」
なるほど、そうなると……、ますます怪しいな……。
ディーナは、普段使わない頭を必死で回転させようとして、ジュースの中に入っていた氷を口に含み、鋭い牙で無意識にガリガリと噛み砕いていた。
0
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる