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4月
囚われる
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自分でも素直にそこに向かうのは馬鹿だと思う。誰かに相談して助けてもらうべきなのはわかってる。それでもどうしても自分の中のプライドがそうすることを邪魔した。男達に犯されている写真をこれ以上誰かに見られたくなかった。誰かに助けてって言ってどうなる。そいつが助けてくれる奴かもわからないのに。
「あと30分後か…」
集合時間は20時。春にしては少し分厚目のTシャツを着る。山陽駅までここから20分くらいかかるのでもう出なくてはならない。
ただ、会うだけかもしれないし。明日は学校だから…きっとすぐ帰らせてもらえる、よな。
準備してる間も震えは止まらない。できれば行きたくはないがこちらの弱みを握られている以上、俺に選択肢はなかった。
最低限の荷物を持ってドアを開ければ偶然…ラフな私服姿に着替えた松葉も自室へ入るところだった。
「あ、」
「よー、どっか行くのか?」
「昔の同級生と会う約束してて…」
「明日も学校なのに?こんな時間から?」
「そうっすね」
「ふーん」
松葉先輩はなにか引っかかるようだったが、特に追及して来なかった。会話もそこそこにして立ち去ろうとした時、声をかけられた。
「おい、明日も部活見学あるからな。来いよ」
「え」
「じゃーな」
なんて言って。俺の返事も聞かず部屋へと入ってしまった。
ええー、嫌だ。なんで見学なんて…。
嫌ではあったが先程よりかこれからのことに対する恐怖心が薄れた。
「ここかな…」
指定されたホテルの前についた。でも、そこは明らかにそういうことする目的の場所だってわかってしまって。もう違うってそう言い聞かせてきたのが甘かったんだと示されていた。慌てて逃げようと思って走り出した瞬間、とんっと誰かにぶつかった。
「どこ行くの?」
またしても多喜。俺があからさまに怯えた姿を見て満足そうに舌なめずりする。その仕草が今まで見たことない多喜の男らしい姿に本能が警告音を鳴らす。
「ここって」
「あ、ホテルって普通のとこだと思った?」
「だって…も、そういうことする必要ないだろ」
「ん?とりあえず入ろっか」
いや話聞けよ、って思ったけど。手を引っ張られてズルズルと連れて行かれた。そこであぁ、やっぱりと思う。俺は人に触れられるのがあれ以来苦手なのに、多喜だと不思議と嫌だと思えないのだ。勘違いしてほしくないけどそれは良い意味じゃなくて…。多喜にそれほどまで恐怖心を植え付けられたってことで。
バタンっと部屋の扉が閉まって、その無駄にきらびやかな内装に胃がムカムカした。
「何しに…きっ…んっ!」
唐突に唇を押し当てられて慌てて自分の口を閉じる。唇を頑なに閉じてるのに多喜に耳を触れられふっと緩みそうになる。これだけの行為で苦悶の表情をする俺を面白そうに奴は笑った。
「へぇ?まだ耳と口弱いんだ」
そうやって耳のそばで囁かれて脳が侵されているような感覚を覚える。
「や…だ…」
開いてしまった口にすかさず熱い舌が差し込まれる。その生々しい感覚がおぞましかった。慌てて押し返そうとすれば奴は俺の舌を絡みとって優しくあやした。そして上顎をそっと撫であげてくる。
「…んっ!……ぁ…」
俺がびくつくところを的確に触れる。ちゅっと舌に吸い付かれて訳がわからなくなって生理的な涙が溢れた。
こんなことしたくなくて多喜の胸板を押してるのにびくともしない。それどころか俺の理性を溶かすように脳をどろどろに痺れさせるキスで力が抜ける。立って入れなくて抵抗していた手が気づけば多喜に縋り付くようになっていた。
キスされてる間も指で耳をいじられて口と刺激が二重に重なって俺を襲った。
「も…無理…」
足に力が入んなくてカクンと床に崩れそうになった時、足の間に多喜の太ももが差し込まれた。そのせいで下が軽く刺激されて俺の身体は悲鳴を上げる。
「ぅぁっ………」
座ることを許されない。太ももでそこをぐりぐりと刺激される。その間口内はずっと多喜の舌で犯されてて。しまいには多喜に唾液を注ぎ込まれて飲むように要求されて。もう何も考えれなくてこくんとそれを飲み干せば多喜は満足そうに微笑んだ。
何で、こんな…
その笑顔を見てさぁっと火照ってた顔が冷めていく。慌てて多喜を突き飛ばしてすぐ目の前にある扉を開けて外に逃げ…ようとした時、
ドンッて激しい音がして何かが俺の目の前をものすごい勢いで通っていった。あまりの速さに目を瞑ってしまったがゆっくり目を開けて見てみるとそれは多喜の腕だった。
か、壁ドン…
キュンとするシチュエーションなどどこにもない。ものすごい勢いだったため壁がへこんでいないか心配なくらいだ。
「どこいくの?」
そうやって言う多喜の顔を見たとき、あ、やばいってそう思った。思わず後ずさって後方に逃げようとする。が、今度は反対の手で阻止される。
「ひっ…」
「あれぇ、しばらくしない間に反抗的だね?」
「何…言って…」
「もう一回躾し直そうか?」
その静かな声はおそろしいほどに耳に響いた。
「あと30分後か…」
集合時間は20時。春にしては少し分厚目のTシャツを着る。山陽駅までここから20分くらいかかるのでもう出なくてはならない。
ただ、会うだけかもしれないし。明日は学校だから…きっとすぐ帰らせてもらえる、よな。
準備してる間も震えは止まらない。できれば行きたくはないがこちらの弱みを握られている以上、俺に選択肢はなかった。
最低限の荷物を持ってドアを開ければ偶然…ラフな私服姿に着替えた松葉も自室へ入るところだった。
「あ、」
「よー、どっか行くのか?」
「昔の同級生と会う約束してて…」
「明日も学校なのに?こんな時間から?」
「そうっすね」
「ふーん」
松葉先輩はなにか引っかかるようだったが、特に追及して来なかった。会話もそこそこにして立ち去ろうとした時、声をかけられた。
「おい、明日も部活見学あるからな。来いよ」
「え」
「じゃーな」
なんて言って。俺の返事も聞かず部屋へと入ってしまった。
ええー、嫌だ。なんで見学なんて…。
嫌ではあったが先程よりかこれからのことに対する恐怖心が薄れた。
「ここかな…」
指定されたホテルの前についた。でも、そこは明らかにそういうことする目的の場所だってわかってしまって。もう違うってそう言い聞かせてきたのが甘かったんだと示されていた。慌てて逃げようと思って走り出した瞬間、とんっと誰かにぶつかった。
「どこ行くの?」
またしても多喜。俺があからさまに怯えた姿を見て満足そうに舌なめずりする。その仕草が今まで見たことない多喜の男らしい姿に本能が警告音を鳴らす。
「ここって」
「あ、ホテルって普通のとこだと思った?」
「だって…も、そういうことする必要ないだろ」
「ん?とりあえず入ろっか」
いや話聞けよ、って思ったけど。手を引っ張られてズルズルと連れて行かれた。そこであぁ、やっぱりと思う。俺は人に触れられるのがあれ以来苦手なのに、多喜だと不思議と嫌だと思えないのだ。勘違いしてほしくないけどそれは良い意味じゃなくて…。多喜にそれほどまで恐怖心を植え付けられたってことで。
バタンっと部屋の扉が閉まって、その無駄にきらびやかな内装に胃がムカムカした。
「何しに…きっ…んっ!」
唐突に唇を押し当てられて慌てて自分の口を閉じる。唇を頑なに閉じてるのに多喜に耳を触れられふっと緩みそうになる。これだけの行為で苦悶の表情をする俺を面白そうに奴は笑った。
「へぇ?まだ耳と口弱いんだ」
そうやって耳のそばで囁かれて脳が侵されているような感覚を覚える。
「や…だ…」
開いてしまった口にすかさず熱い舌が差し込まれる。その生々しい感覚がおぞましかった。慌てて押し返そうとすれば奴は俺の舌を絡みとって優しくあやした。そして上顎をそっと撫であげてくる。
「…んっ!……ぁ…」
俺がびくつくところを的確に触れる。ちゅっと舌に吸い付かれて訳がわからなくなって生理的な涙が溢れた。
こんなことしたくなくて多喜の胸板を押してるのにびくともしない。それどころか俺の理性を溶かすように脳をどろどろに痺れさせるキスで力が抜ける。立って入れなくて抵抗していた手が気づけば多喜に縋り付くようになっていた。
キスされてる間も指で耳をいじられて口と刺激が二重に重なって俺を襲った。
「も…無理…」
足に力が入んなくてカクンと床に崩れそうになった時、足の間に多喜の太ももが差し込まれた。そのせいで下が軽く刺激されて俺の身体は悲鳴を上げる。
「ぅぁっ………」
座ることを許されない。太ももでそこをぐりぐりと刺激される。その間口内はずっと多喜の舌で犯されてて。しまいには多喜に唾液を注ぎ込まれて飲むように要求されて。もう何も考えれなくてこくんとそれを飲み干せば多喜は満足そうに微笑んだ。
何で、こんな…
その笑顔を見てさぁっと火照ってた顔が冷めていく。慌てて多喜を突き飛ばしてすぐ目の前にある扉を開けて外に逃げ…ようとした時、
ドンッて激しい音がして何かが俺の目の前をものすごい勢いで通っていった。あまりの速さに目を瞑ってしまったがゆっくり目を開けて見てみるとそれは多喜の腕だった。
か、壁ドン…
キュンとするシチュエーションなどどこにもない。ものすごい勢いだったため壁がへこんでいないか心配なくらいだ。
「どこいくの?」
そうやって言う多喜の顔を見たとき、あ、やばいってそう思った。思わず後ずさって後方に逃げようとする。が、今度は反対の手で阻止される。
「ひっ…」
「あれぇ、しばらくしない間に反抗的だね?」
「何…言って…」
「もう一回躾し直そうか?」
その静かな声はおそろしいほどに耳に響いた。
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