私には王子様と吸血鬼の幼馴染がいる

kyouta

文字の大きさ
3 / 4

第二話

しおりを挟む
 人生で一回だけの高校生活初日も、気が付けばもう夕方だ。

 本来であれば私は真っ直ぐ帰路に着く。でも、あの二人がいるから別々に帰るのもあれだし……、一緒に帰ろうって誘うのも気が引けるし。

 そんな気持ちで椅子に座っていたら、麗王が友達を引き連れて私の席にやってきた。

「瑠璃、俺らこれからみんなでカラオケ行くんだけど一緒にいこーぜ」

「私歌えないけどいいの?」

「全然いいって! 親睦会みたいなもんだから」

 啓爾くんと諒くん、それに金髪ロングと黒髪ボブの女の子も一緒だ。

「じゃあ私も誘いたい人いるんだけどいい?」

「もちろん! あ、利鬼斗はもう誘ってあるから大丈夫!」

 麗王たちには先に校門に行っててもらい、私は隣の席で帰る準備をしていた清宮さんに声をかける。

「清宮さん、聞いてたと思うけどこの後カラオケ行かない?」

 清宮さんは目を大きく開き、驚いた顔をしていた。

「まさか誘われると思わなくてびっくりしちゃいました。私なんかが行っていいんですか?」

「清宮さんでダメなら私だってダメだから」

「黒崎さんは素敵ですよ? じゃあお言葉に甘えてご一緒させてもらいます」

 清宮さんと二人で校門に向かった。

 男子はやはり清宮さんを見てソワソワしていた。それはそうだ、彼女は大和撫子なんだから。

 麗王が側にやってきて耳打ちをしてきた。

「いつの間にこんな可愛い人と友達になったんだよ」

「今後清宮さんと話すときは私を通してね一生」

「なんでだよ!」

 耳元で叫ばれて耳がキーンとする。コソコソ話してた意味ないじゃん。

 それから私たちはみんなでカラオケへと向かった。気のせいかもしれないが視線を感じる。睨まれているような、悪意を含んだ視線だと思うけど、私は気にしないことにした。



 カラオケの一番大きいルームに通してもらい、最初は自己紹介から始まった。

 麗王以外は当たり障りのない自己紹介だったけど、あのバカは自己紹介の途中で歌い出した大馬鹿だ。

 名前の知らなかった二人は、金髪の方が柊木 花音ひいらぎ かのんで、黒髪ボブの方が二ノ宮 玲にのみや れいだ。

 男子と女子がちょうど四人ずつだから、合コンみたいになったのは笑える。私は一番扉に近い席に座り、左隣が清宮さんで正面が利鬼斗だ。

 それから順番に歌い出したけど、私と利鬼斗はパスしてもらい時間が流れていく。

 清宮さんは正直透き通る声で耳が癒される。彼女が歌うときは男子もみんな静かに聞き入っていた。

 柊木さんと二ノ宮さんはギャルって感じだ。ノリもいいし男子と積極的にコミュニケーションを取っているけど、私と清宮さんとはあまり話さない。

 グラスが空になったから、取りに行こうかな。

「ドリンク取りに行ってくるけど、欲しい人るいる?」

 一人で欲しい人全員分取りに行こうと思ったけど、思ったより多かった……。

「僕も行くから手伝うよ」
 
 利鬼斗ほんと助かる。

 私たちはそれぞれ三つずつグラスを持ちドリンクバーへと向かった。

 ドリンクバーに着くと、利鬼斗はトイレに行くといいグラスを置いてトイレに行った。

 頼まれた分のドリンクを先に入れておこう。

 私が一つずつ入れていると、柊木さんと二ノ宮さんがやってきた。

「二人もドリンク? ちょっと待ってねこれ入れちゃうから」

 今入れている分を早く終わらせようと急いだけど、どうやらグラスを持っていないから違うみたいだ。

「あのさ、黒崎さんって白河くんのなんなの?」

 いきなりの質問に頭が真っ白になってしまった。麗王のなに? そんなの決まっている。

「ただの幼馴染だよ。それ以上でも以下でもない」

 柊木さんは少し口角をあげて何度か頷いた。
「それならいいんだけどさ、あたし白河くんのこと狙ってるから邪魔しないでもらっていい?」

 いや、邪魔も何も私から何かすることはないんだけど……。

 柊木さんには私が麗王を口説いてると思われているのか?

「あーあとわたしからもいいかな? わたしは赤羽くん狙ってるからそっちも邪魔しない方向でお願いしまーす」

 こっちも狙ってんのかよ……。これだからイケメンと幼馴染は苦労する。

「はいはい、分かったよ。別に私から何かしようとかは思ってないから安心してね」

 二人は納得したのか、部屋に戻って行った。グラスの一つでも持って行ってくれればいいのに。

 二人の背中を見届けると、利鬼斗も帰ってきた。

「ごめんお待たせ。あの二人と話してたの?」

「ただの世間話だよ」

「ふーん、そっか」

 私たちはドリンクの入ったグラスを持って部屋に戻った。



 部屋では私たちがいない間に恋バナはじまっていた。

 ちょうど麗王の話題だ。でも麗王の恋バナなんて無かった気がするけど。

 先ほどの宣言通り、柊木さんが猛アタックを仕掛けている。

「白河くんって好きな人いないのー?」

「んーいなくはない……」

「それっているの? いないの?」

 麗王が一瞬私の方を見た。気がした。一瞬すぎてわからなかったけど気のせいか。

「麗王はまだ初恋を諦めてないんだよ」

 利鬼斗が少し揶揄うようにニヤリと笑いながら爆弾発言をしてしまった。

「ちょっ! 利鬼斗お前許さないからなー!」

 麗王が利鬼斗の頭をワシャワシャして戯れている。

 でも意外だったな、麗王に好きな人いたんだ。

 普段麗王のことなんて気にも留めないのに、今は嫌ってほど気になる。

 ダメだダメだ、これじゃ私が麗王のこと気になってるみたいじゃん。

 この正体不明の気持ちに蓋をして、残りの時間を楽しんだ。

 家に帰るまで、麗王の顔は見れなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

豆腐メンタルな私を、おバカな私が励ますよ(*´ー`*)

やまくる実
絵本
私の頭の中のネガティブな部分をポジティブな私が励ます、エッセイ? 小話? ただの落書き帳です(*´ー`*) 過去作品です。 内容的には本当に短い文章で、詩というかリズムで読む読み物。 見方によっては大人の絵本という感じです。 私と同じで創作する事が好きな方や生きる事に不器用な方の止まり木みたいな場所になれたらな......なんて思い、こちらにも掲載してみました。 カクヨムにも掲載しています。 表紙画像は chat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

未来スコープ  ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―

米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」 平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。 それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。 恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題── 彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。 未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。 誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。 夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。 この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。 感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。 読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。

あだ名が247個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

処理中です...