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連載
第92話 メイとアイナ
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「困った」
僕、桜町メイは、自宅のベッドで仰向けに寝ながら呟く。
最近ゼンジが冒険者になるために、村を出たんだけど、重度なコミュ症である僕は、村に馴染んでいなくて相当肩身の狭い思いをしていた。
ゼンジからいざという時は、この村をよろしくと言われているので、緊急時は外に出ないといけないけど、基本的に家に引き籠ってダラダラしている。
本当は村のこと色々手伝った方がいいんだけど、外に出て話しかけられるの怖いし……
どうしようかな……
僕が悩んでいると、家の扉が開いた。
メーリスが家に入ってきた。
僕と一緒の家にメーリスは住んでいるため、こうやって家に入ってくるのも普通の事でおかしいことじゃない。
「メイ」
いつもは黙っているのに、珍しくメーリスが話しかけてきた。
「な、なに?」
「ずっと家にいたら駄目だと思う」
今悩んでいることを指摘され、グサッっと来る。
メーリスは僕と同じく話があまり出来ないタイプなんだけど、なぜか村に馴染んでいた。
よく子供と遊んでいるようだ。
子供好きなのかな?
「僕も家にずっといるのは良くないと思うけど……でもなぁ……」
「メイが空前絶後のコミュ症なのはわかっているけど、何とか治していかなきゃ」
「く、空前絶後は言いすぎでしょ!」
酷いのは分かるけど、僕以下の人も探せばいるでしょ……多分。
「早く村に馴染んだ方がいい。だから、アイナがメイと話がしたいと言ってたから、今から連れてくる」
メーリスはそれだけ言って家から出ていった。
え? もしかして今から連れてくるの?
そんないきなり?
ちょっと待って、心の準備とかする必要あるでしょ。
僕はかなりテンパる。
家の扉が開き、アイナとメーリスが一緒に入ってきた。
「こんにちは」
アイナは笑顔で挨拶をしてきた。
「…………こ、こんにちは」
僕はやっとの思いで挨拶をした。
「突然押しかけるみたいになって、ごめんなさい。メイさんにはちょっと興味があって」
「きょ、興味?」
……ぼ、僕に興味?
何か怖い感じがするのは気のせいだろうか?
それから結構質問攻めにあった。
僕が冒険者やってたとか、魔剣の話とか、色々聞かれた。
全部たどたどしく答える。
アイナを連れてきたメーリスは、いつの間にかどっか行ってたので、助けてもらう事は出来なかった。
「えーと、あと……ゼンジさんとは仲が良さそうですけど、いつごろからのお知り合いなのでしょうか?」
「ゼ、ゼンジと? うーんと……」
考えてみたらそんなに長くはない。
高校に入ってからの付き合いだし、せいぜい二、三か月ほどかな。
でも、小中とまともに友達もいなかった僕にとっては、初めて出来た友達なので、特別な存在なのは間違いない。
「そんなに長くはないけど……仲は良いよ」
「そうなんですか。私ももっとゼンジさんと仲良くなりたいんですが……」
何か悩んでいるようだ。
充分仲は良さそうに見えたけど、本人的にはまだまだなのだろうか?
「ゼンジさんは本当にいい人で……そうだ。メイさんの知っているゼンジさんのエピソード聞かせてくれませんか?」
身を乗り出してアイナは尋ねてきた。
「ゼンジの話……うーん……」
この世界でゼンジと一緒にいた期間は短いから、日本にいた時の話になっちゃうけど、話しても伝わらないかもしれないなぁ。
所々変えて分かるように話そうか。
僕はゼンジの話を異世界人にも分かるように話した。
普段の喋り慣れていない僕からは信じられないほど、ゼンジの話はなぜかスムーズに話すことが出来た。
アイナは目を輝かせて、僕の話を聞いていた。
「やっぱりゼンジさんは素晴らしい人ですね」
少し遠い目でそう呟くアイナを見て、彼女はゼンジの事が好きなど知った。
ゼンジはこんな綺麗でスタイルのいい上に、性格もいい女の子に好かれて幸せ者だなぁ。
と思ったけど、心の中のどこかでは、ゼンジの幸せを祝福しきれていない自分がいた。
何でだろう? 友達のゼンジが幸せになって、悪いことなんてないはずなのに。
自分の心がいまいち理解できなかった。
そのあとも、アイナとは色々ゼンジの話をして、それきっかけでちょっと打ち解けることが出来た、
僕、桜町メイは、自宅のベッドで仰向けに寝ながら呟く。
最近ゼンジが冒険者になるために、村を出たんだけど、重度なコミュ症である僕は、村に馴染んでいなくて相当肩身の狭い思いをしていた。
ゼンジからいざという時は、この村をよろしくと言われているので、緊急時は外に出ないといけないけど、基本的に家に引き籠ってダラダラしている。
本当は村のこと色々手伝った方がいいんだけど、外に出て話しかけられるの怖いし……
どうしようかな……
僕が悩んでいると、家の扉が開いた。
メーリスが家に入ってきた。
僕と一緒の家にメーリスは住んでいるため、こうやって家に入ってくるのも普通の事でおかしいことじゃない。
「メイ」
いつもは黙っているのに、珍しくメーリスが話しかけてきた。
「な、なに?」
「ずっと家にいたら駄目だと思う」
今悩んでいることを指摘され、グサッっと来る。
メーリスは僕と同じく話があまり出来ないタイプなんだけど、なぜか村に馴染んでいた。
よく子供と遊んでいるようだ。
子供好きなのかな?
「僕も家にずっといるのは良くないと思うけど……でもなぁ……」
「メイが空前絶後のコミュ症なのはわかっているけど、何とか治していかなきゃ」
「く、空前絶後は言いすぎでしょ!」
酷いのは分かるけど、僕以下の人も探せばいるでしょ……多分。
「早く村に馴染んだ方がいい。だから、アイナがメイと話がしたいと言ってたから、今から連れてくる」
メーリスはそれだけ言って家から出ていった。
え? もしかして今から連れてくるの?
そんないきなり?
ちょっと待って、心の準備とかする必要あるでしょ。
僕はかなりテンパる。
家の扉が開き、アイナとメーリスが一緒に入ってきた。
「こんにちは」
アイナは笑顔で挨拶をしてきた。
「…………こ、こんにちは」
僕はやっとの思いで挨拶をした。
「突然押しかけるみたいになって、ごめんなさい。メイさんにはちょっと興味があって」
「きょ、興味?」
……ぼ、僕に興味?
何か怖い感じがするのは気のせいだろうか?
それから結構質問攻めにあった。
僕が冒険者やってたとか、魔剣の話とか、色々聞かれた。
全部たどたどしく答える。
アイナを連れてきたメーリスは、いつの間にかどっか行ってたので、助けてもらう事は出来なかった。
「えーと、あと……ゼンジさんとは仲が良さそうですけど、いつごろからのお知り合いなのでしょうか?」
「ゼ、ゼンジと? うーんと……」
考えてみたらそんなに長くはない。
高校に入ってからの付き合いだし、せいぜい二、三か月ほどかな。
でも、小中とまともに友達もいなかった僕にとっては、初めて出来た友達なので、特別な存在なのは間違いない。
「そんなに長くはないけど……仲は良いよ」
「そうなんですか。私ももっとゼンジさんと仲良くなりたいんですが……」
何か悩んでいるようだ。
充分仲は良さそうに見えたけど、本人的にはまだまだなのだろうか?
「ゼンジさんは本当にいい人で……そうだ。メイさんの知っているゼンジさんのエピソード聞かせてくれませんか?」
身を乗り出してアイナは尋ねてきた。
「ゼンジの話……うーん……」
この世界でゼンジと一緒にいた期間は短いから、日本にいた時の話になっちゃうけど、話しても伝わらないかもしれないなぁ。
所々変えて分かるように話そうか。
僕はゼンジの話を異世界人にも分かるように話した。
普段の喋り慣れていない僕からは信じられないほど、ゼンジの話はなぜかスムーズに話すことが出来た。
アイナは目を輝かせて、僕の話を聞いていた。
「やっぱりゼンジさんは素晴らしい人ですね」
少し遠い目でそう呟くアイナを見て、彼女はゼンジの事が好きなど知った。
ゼンジはこんな綺麗でスタイルのいい上に、性格もいい女の子に好かれて幸せ者だなぁ。
と思ったけど、心の中のどこかでは、ゼンジの幸せを祝福しきれていない自分がいた。
何でだろう? 友達のゼンジが幸せになって、悪いことなんてないはずなのに。
自分の心がいまいち理解できなかった。
そのあとも、アイナとは色々ゼンジの話をして、それきっかけでちょっと打ち解けることが出来た、
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