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第112話 大勝
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サイクロプスをあっさりと倒して、自軍の兵士たちがざわつき始める。
あのデカ物をあっさり倒して、度肝を抜かれているようだ。
いや、俺も驚いたが。二人が強いのは知っていたが、あの馬鹿でかいのを、あんなあっさりと倒すとは。
「えー、僕、いらなかったじゃん」
せっかく覚悟を決めたのにあっさり倒されてしまって、拍子抜けしたような表情をしている。
ベルフェとレヴィが戻ってきた。
「マスター、任務完了しました」
「倒したからあとでご褒美頂戴」
「二人ともありがとう。ご褒美は……考えておく」
強化ポーションは、能力が上がらなくなってから、あんなに美味しそうに飲んでいたのが、物凄く不味く感じるようになったらしく、現状はご褒美には使えない。何を上げればいいか悩むが、二人は強化ポーション以外の物も食べるし、美味しい物でも食べさせてやればいいかな。
二人が戻って来てから、自軍の兵士たちが沸き立った。
倒せるのかこれと、絶望感を感じるほど巨大なサイクロプスを、あっさりと二人は倒してのけたので、千の味方を得たような気分なのだろう。
沸き立つ自軍の兵士たちとは裏腹に、敵兵は見るからにしり込みしている。
サイクロプスは敵兵の真っただ中に倒れこんだので、大勢の兵士が下敷きになり死んでしまっただろうから、混乱もしているだろう。
「ゼンジ、今がチャンスだ。騎馬隊を敵軍に突撃させて、一気に崩す。君もホムンクルスたちを出撃させてくれ」
「分かりました」
「ベルフェとレヴィ、それからメイは突撃しないでくれ。魔物の不意打ちに対応するため、なるべく拠点からは離れない方が、良いからね。サイクロプスを仕留めるのは、君たちにしかやれないことだったけど、今の敵を崩すのは俺たちだけで十分だ」
アガントからそう言われて、俺はホムンクルスに突撃指令を出した。この指令で大勢の人が死ぬことになるが、俺はためらわずに指示を出した。ここまで来て、今更しり込みをするわけにはいかない。
騎馬隊はアガントが先頭で率いるようだ。大将があんな戦闘で突撃して大丈夫なのだろうか。確かにアガントは凄腕の剣士だけど、万が一ということもあるのに。
俺が注意する前に、テキパキと準備を進めて、アガントは出撃してしまったので、もう遅いんだけどな。
アガント率いる騎馬隊が混乱している敵軍に、一気に突っ込んだ。
騎馬突撃を受けて、目に見えて敵兵がさらに混乱し、統率が全く取れなくなっている。
その後ろから、俺のホムンクルスたちや、歩兵が敵兵を討ち取っていった。
たまらず敵は撤退を開始。
今日のところは、勝利を収めることが出来た。
「今回の戦は、死者は少数で、敵は結構死んだ。大勝利と言ってもいいね。ゼンジたちのおかげだ。サイクロプスをあっさり倒したのが、勝因だったからね」
アガントは戻って来て、まず俺たちを褒めてきた。
注目を集めたので、俺は照れる。
「今回の戦いは勝ったけど、討ち取った敵兵はそんなに多くない、再び作戦を立て直して攻めてくるから、皆、気を抜いたら駄目だ」
アガントは勝利に沸き立つ自軍にそう注意をした。確かに敵は大軍だという話だから、あの程度やられたくらいでは、またやってくるだろう。
俺たちは油断せず、次の敵の攻勢に備えた。
あのデカ物をあっさり倒して、度肝を抜かれているようだ。
いや、俺も驚いたが。二人が強いのは知っていたが、あの馬鹿でかいのを、あんなあっさりと倒すとは。
「えー、僕、いらなかったじゃん」
せっかく覚悟を決めたのにあっさり倒されてしまって、拍子抜けしたような表情をしている。
ベルフェとレヴィが戻ってきた。
「マスター、任務完了しました」
「倒したからあとでご褒美頂戴」
「二人ともありがとう。ご褒美は……考えておく」
強化ポーションは、能力が上がらなくなってから、あんなに美味しそうに飲んでいたのが、物凄く不味く感じるようになったらしく、現状はご褒美には使えない。何を上げればいいか悩むが、二人は強化ポーション以外の物も食べるし、美味しい物でも食べさせてやればいいかな。
二人が戻って来てから、自軍の兵士たちが沸き立った。
倒せるのかこれと、絶望感を感じるほど巨大なサイクロプスを、あっさりと二人は倒してのけたので、千の味方を得たような気分なのだろう。
沸き立つ自軍の兵士たちとは裏腹に、敵兵は見るからにしり込みしている。
サイクロプスは敵兵の真っただ中に倒れこんだので、大勢の兵士が下敷きになり死んでしまっただろうから、混乱もしているだろう。
「ゼンジ、今がチャンスだ。騎馬隊を敵軍に突撃させて、一気に崩す。君もホムンクルスたちを出撃させてくれ」
「分かりました」
「ベルフェとレヴィ、それからメイは突撃しないでくれ。魔物の不意打ちに対応するため、なるべく拠点からは離れない方が、良いからね。サイクロプスを仕留めるのは、君たちにしかやれないことだったけど、今の敵を崩すのは俺たちだけで十分だ」
アガントからそう言われて、俺はホムンクルスに突撃指令を出した。この指令で大勢の人が死ぬことになるが、俺はためらわずに指示を出した。ここまで来て、今更しり込みをするわけにはいかない。
騎馬隊はアガントが先頭で率いるようだ。大将があんな戦闘で突撃して大丈夫なのだろうか。確かにアガントは凄腕の剣士だけど、万が一ということもあるのに。
俺が注意する前に、テキパキと準備を進めて、アガントは出撃してしまったので、もう遅いんだけどな。
アガント率いる騎馬隊が混乱している敵軍に、一気に突っ込んだ。
騎馬突撃を受けて、目に見えて敵兵がさらに混乱し、統率が全く取れなくなっている。
その後ろから、俺のホムンクルスたちや、歩兵が敵兵を討ち取っていった。
たまらず敵は撤退を開始。
今日のところは、勝利を収めることが出来た。
「今回の戦は、死者は少数で、敵は結構死んだ。大勝利と言ってもいいね。ゼンジたちのおかげだ。サイクロプスをあっさり倒したのが、勝因だったからね」
アガントは戻って来て、まず俺たちを褒めてきた。
注目を集めたので、俺は照れる。
「今回の戦いは勝ったけど、討ち取った敵兵はそんなに多くない、再び作戦を立て直して攻めてくるから、皆、気を抜いたら駄目だ」
アガントは勝利に沸き立つ自軍にそう注意をした。確かに敵は大軍だという話だから、あの程度やられたくらいでは、またやってくるだろう。
俺たちは油断せず、次の敵の攻勢に備えた。
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