追放賢者の領地改革! 〜成長魔法で優秀な人材を育てまくっていたら、弱小領地が最強領地になってた〜

未来人A

文字の大きさ
12 / 31

第12話 魔法を使う

しおりを挟む
 領主の館に戻り、ファリアナさんに、今日のことを報告した。

「裁縫道具ですか。ハクシュトアにある雑貨屋に売ってありますので、仕入れてきます」
「ありがとうございます」

 ファリアナさんは言葉通り、すぐに布や鋏、針、糸、など裁縫の道具を揃えた。

 また、古くなって破けた服なども、どこから仕入れてきた。

 これの修繕は練習に使えるだろう。

 何回も練習できるように、多めに持ってきている。

「明日、成長魔法を使うときですが、いきなりできるようになったら、不信感を持たれるかもしれないので、練習したらグングン上達した、という感じに見えるように、成長魔法を使ってください」

 何か難しい気がする。
 まあ、一度、作り終えたら、失敗しようと成功しようと、スキルアップをかければいいんだろう。

「ただ、テクニカルアップの魔法は、最初に何回か使うべきです。ステータスが高ければ、その分、技能レベルも上がりやすくなります。例えば、器用さの現在値が1の人と、100の人がいた場合、1の人は裁縫にスキルアップを使っても、技能レベルが1しか上がらないでしょうが、100の人は10くらいは上がると思います」
「器用さをあげて、不審感は持たれないの?」
「身体能力なら持たれる可能性はありますが、器用さは別です。実感を持ちにくいですから。裁縫の技能レベルが低いと、器用さがいくら高くても、最初から成功はしません。しかし、練習すればすぐに上達はしていきます」
「なるほど……ていうか、ファリアナさん、本当にスラスラ喋るよね。本当に僕以外成長魔法を使える人、見たことないの?」
「はい。あくまで本で得た知識です」

 よほど詳しいことが本に書いてあったのかな。仮に書いてあっても、普通は覚えられないから、凄い記憶力だと思う。

 裁縫を行う準備は行ったし、あとは明日になるのを待つだけだ。

 僕は眠りについた。


 ○


「お、おはようございます……」

 翌日、食事を終えた後、館でリンを待っていたら、おずおずとした様子で、館の中に入っていきた。

「来てくれてありがとうございます」
「お、お礼を言われるようなことじゃ……自分のために来たんですし……」

 リンは少し困惑していた。

 裁縫を始める前に、僕はリンにテクニカルアップの魔法をかけた。

 淡い黄色い光がリンの体を包み込む。

 ちょ、こんな感じで何か起こるの? じゃあ、誤魔化すの無理じゃん。

 と思ったが、特にリンは気にしていないようだった。

 あれ? もしかして、見えてないの今の?

 これも使用者にしか見えないのかな……なら大丈夫か。

 器用さがどのくらい上がった分からなので、サーチで確認する。

 65/151 

 えー!? 
 かなり上がった!

 元は確か15だったよね。

 予想の倍以上、上がっている。

 もう一度使うと、今度は35上がって、100になった。

 上がり幅が小さくなった。

 現在地と限界値の差があればあるほど、魔法で上がる数値も上がるということかな。

 念のためもう一度使うと、今度は120になる。上がったのは20だけだ。

 120あれば優秀という話だし、ここまであれば問題ないだろう。

「それじゃあ、何か裁縫で作ってみてください」
「え? 何を作ればいいでしょう」
「そうですねー……まあ、最初ですから糸を使って、この服の修繕をしてみてください」
「修繕ですか……? でも、余計駄目になるかも……」
「大丈夫。いらない奴ですから。ばらばらに引き裂いても良いくらいです」
「そ、そうですか……」

 僕の言葉に少しリンは安心感を覚えたようだ。

 少し指を震わせながら、破けた部分を縫っていく。

 器用さはかなり上げたのだが、やはり技能レベルが低いからか、あまり上手ではない。

 結局不格好な仕上がりになってしまう。

「……」

 しかし、リンはあまり落ち込んでいなかった。
 自分の手を見て、驚いたようなそんな表情をしている。
 彼女の性格的に、出来なかったらかなり落ち込みそうな気がしたので、意外だった。

「……申し訳ありません。失敗しました。でも、何というか、もうちょっとやれば出来るような、そんな感じがするんです」

 器用さを上げたからかな? 
 もう一度、サーチをして、彼女の技能を確認する。

 裁縫が3→5に上がっていた。

 スキルアップは使用していない。一回縫っただけで、普通こんなに上がるものだろうか?

 レベルが低いから上がりやすいのかもしれないけど、器用さを上げたという事で、技能レベルが上がりやすくなっているんだと思った。

 僕はスキルアップの魔法を使用してみる。

 でもこれ、どの技能を上げるか、どうやって指定するんだろうか?

 とりあえず、裁縫技能が上がれって思いながら、魔法を使ってみよう。

 僕はスキルアップを発動させた。

 淡い、緑の光がリンを包み込む。

 今回も見えていないのか、リンは何のリアクションも示さなかった。

 どうなっているか確認する。
 裁縫技能が上がっている。
 このやり方で正しいようだ。

 いくら上がったというと……

 5→20

「え!? 十五!?」

 思わず声出して驚いた。

「え? な、何が十五なんですか?」
「あ、ああ、いや、何でもないです。気にしないでください」

 咄嗟に誤魔化す。

 そんなに上がるのか。びっくりした。

 僕はもう一度、修繕をするように勧めてみる。

 すると、さっきとは見違えるほど、手が早くなりかなりの速度で、服を完璧に修繕してみせた。

「な、何かスムーズにできちゃいました……」

 リンは、出来たことを自分で驚いていた。

 恐るべし成長魔法。

 裁縫なんて何度も練習して、ようやく出来るようになる技術のはずなのに、こんなあっさりと上達するとは。

 道理や常識を無視している。
 まあ、それが魔法と言う者なんだけど。

 リンは驚きを通り越して、戸惑っているようだ。
 この戸惑いをなくさせなければならない。

「やはり僕の思った通りでした。リンさんは、裁縫の天才です!」

 僕がそう言うと、ポカンと表情を浮かべて、

「て、天才……」

 信じられないというような表情だった。

「もっと練習してみましょう! 材料はいっぱいあります!」

 それから、リンと一緒に裁縫をして行き。
 五十くらいまで裁縫の技能レベルを上げた。

 リンは、大都市にある服屋で、高価で売られていても不思議じゃないような、立派でかつデザイン性の優れた服を、一日で作れるようになった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~

スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。 しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。 「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」 泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。 数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。 「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした

黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。 地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。 魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。 これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。 「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」

処理中です...