13 / 31
第13話 訪問者
しおりを挟む
「ありがとうございます!! ライルさんのおかげで、私は自分の才能に気付くことが出来ました!!」
と何度も頭を下げながらリンはお礼を言ってきた。
彼女は非常に綺麗なデザインの服を最終的に作れるようになっていた。
どうやら、裁縫技能を上げたら、「ひらめき」があったようで、優れたデザインの服を作る能力を得たようだ。
彼女の裁縫の腕は一級品と言っていいレベルまで上がったので、もう誰もリンは無能だという人はいなくなるはずだ。
「あ、今日は遅いのでもう帰ります。このお洋服は、ライル様に差し上げます!」
「え? でもこれ女物ですよ」
「あ、そっかー。じゃあ、好きな人にでも差し上げて下さい!」
そう言った。いないんだけどそんな人。
しかし、一気に明るくなったなリンは。
最初は俯いて暗かったのに、自分に出来ることがあると分かって、よほど嬉しいんだろう。
「あ、そうだ。この裁縫道具と材料はリンさんに差し上げます。必要でしょう?」
「え? 良いんですか? では貰っていきます!」
道具と材料を持って、リンは自分の家に帰ろうとした。
「お待ちください。リン様」
ファリアナが呼び止めた。
「な、何でしょう」
無表情で少しだけ、怖い雰囲気がするファリアナに声を掛けられ、リンはビクッとする。
「実はこちらの領主ライル様は、新しくハクシュトアの領主になったばかりで、あまり領民から歓迎されいません」
「え!? そうなんですか? こんなに良い人なのに!?」
「人柄が領民の方々に伝わっていないのです。今回の件をほかの領民に伝えてくれませんか? ライル様には人の才能を見抜く力があり、そのおかげで裁縫が上手になったと」
「あ、それは元からお兄ちゃんに言うつもりでした。ほかの人も言って頂きたいなら、皆にも言いますよ!」
ありがとうございます。出来れば、才能を知りたい人は、領主の館に来るようにも、お伝えして頂きたいです」
「分かりました! 全然大丈夫です! 今回のお礼としてなら、安すぎるくらいです!」
快く引き受けてくれた。
リンは家に戻った。
「ありがとうございます」
リンが館を出た後、僕はファリアナにお礼を言った。
僕の力を広めてほしいとは、自分でお願いするべきだったが、何となく自分から言い出すのは恥ずかしくて言えず、結果的にファリアナさんが言ってくれた。
僕の気持ちを汲んでくれたのだろう。
「補佐役としては当然の事ですので。上手く、評判が上がるよう祈りましょう」
「はい」
僕は頷いた。
「リンさんの服は素晴らしいですね。これなら高値で売れそうです」
「う、売る事を考えてるんですか」
「領地の経済力を上げるのは、非常に重要な事です。高い能力はお金を生み出します」
確かにお金は重要か。
領地を豊かにするには、何をするにしてもお金が必須だからね。
「さて、今日はサーチ以外の魔法も使ったと思うので、記録しておきましょう」
「わかりました」
僕は使った魔法の回数をファリアナに報告した。
メモしている。
成長魔法の検査は何度も行えないので、メモする必要がある。
サーチは数が莫大にあるので、いちいちメモは取らない。
今日の業務は終了した。
もう遅かったので、夕食を取った後、眠りについた。
〇
翌日。
昼頃、リンは頼み通り噂を広めていたと、ファリアナから報告があった。
リンの話を間に受けるものは、ほとんどいなかったようだが、僕に興味を持った村人は大勢いるようだ。
もしかして、話が本当かどうか確かめるため、誰か来るかもしれない。
僕は領民が館に来ていいように、外には出ていない。
しばらく待っていると、
「領主!! いるか!?」
とても領主を呼ぶためとは思えないほど、乱暴な声が聞こえた。
扉を開けると、男が三人。
真ん中に大男がいる。
ロンドよりも体格がいい。物凄く鍛えているようだ。
彼の左には見たことのある男が。
確か、酒場をやっているルート、という男だ。
もう一人は背が低く、細身の男である。
「リンの奴が変なこと言っててな。あれが本当か確かめに来た」
ルートがそう言った。
と何度も頭を下げながらリンはお礼を言ってきた。
彼女は非常に綺麗なデザインの服を最終的に作れるようになっていた。
どうやら、裁縫技能を上げたら、「ひらめき」があったようで、優れたデザインの服を作る能力を得たようだ。
彼女の裁縫の腕は一級品と言っていいレベルまで上がったので、もう誰もリンは無能だという人はいなくなるはずだ。
「あ、今日は遅いのでもう帰ります。このお洋服は、ライル様に差し上げます!」
「え? でもこれ女物ですよ」
「あ、そっかー。じゃあ、好きな人にでも差し上げて下さい!」
そう言った。いないんだけどそんな人。
しかし、一気に明るくなったなリンは。
最初は俯いて暗かったのに、自分に出来ることがあると分かって、よほど嬉しいんだろう。
「あ、そうだ。この裁縫道具と材料はリンさんに差し上げます。必要でしょう?」
「え? 良いんですか? では貰っていきます!」
道具と材料を持って、リンは自分の家に帰ろうとした。
「お待ちください。リン様」
ファリアナが呼び止めた。
「な、何でしょう」
無表情で少しだけ、怖い雰囲気がするファリアナに声を掛けられ、リンはビクッとする。
「実はこちらの領主ライル様は、新しくハクシュトアの領主になったばかりで、あまり領民から歓迎されいません」
「え!? そうなんですか? こんなに良い人なのに!?」
「人柄が領民の方々に伝わっていないのです。今回の件をほかの領民に伝えてくれませんか? ライル様には人の才能を見抜く力があり、そのおかげで裁縫が上手になったと」
「あ、それは元からお兄ちゃんに言うつもりでした。ほかの人も言って頂きたいなら、皆にも言いますよ!」
ありがとうございます。出来れば、才能を知りたい人は、領主の館に来るようにも、お伝えして頂きたいです」
「分かりました! 全然大丈夫です! 今回のお礼としてなら、安すぎるくらいです!」
快く引き受けてくれた。
リンは家に戻った。
「ありがとうございます」
リンが館を出た後、僕はファリアナにお礼を言った。
僕の力を広めてほしいとは、自分でお願いするべきだったが、何となく自分から言い出すのは恥ずかしくて言えず、結果的にファリアナさんが言ってくれた。
僕の気持ちを汲んでくれたのだろう。
「補佐役としては当然の事ですので。上手く、評判が上がるよう祈りましょう」
「はい」
僕は頷いた。
「リンさんの服は素晴らしいですね。これなら高値で売れそうです」
「う、売る事を考えてるんですか」
「領地の経済力を上げるのは、非常に重要な事です。高い能力はお金を生み出します」
確かにお金は重要か。
領地を豊かにするには、何をするにしてもお金が必須だからね。
「さて、今日はサーチ以外の魔法も使ったと思うので、記録しておきましょう」
「わかりました」
僕は使った魔法の回数をファリアナに報告した。
メモしている。
成長魔法の検査は何度も行えないので、メモする必要がある。
サーチは数が莫大にあるので、いちいちメモは取らない。
今日の業務は終了した。
もう遅かったので、夕食を取った後、眠りについた。
〇
翌日。
昼頃、リンは頼み通り噂を広めていたと、ファリアナから報告があった。
リンの話を間に受けるものは、ほとんどいなかったようだが、僕に興味を持った村人は大勢いるようだ。
もしかして、話が本当かどうか確かめるため、誰か来るかもしれない。
僕は領民が館に来ていいように、外には出ていない。
しばらく待っていると、
「領主!! いるか!?」
とても領主を呼ぶためとは思えないほど、乱暴な声が聞こえた。
扉を開けると、男が三人。
真ん中に大男がいる。
ロンドよりも体格がいい。物凄く鍛えているようだ。
彼の左には見たことのある男が。
確か、酒場をやっているルート、という男だ。
もう一人は背が低く、細身の男である。
「リンの奴が変なこと言っててな。あれが本当か確かめに来た」
ルートがそう言った。
0
あなたにおすすめの小説
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~
スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。
しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。
「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」
泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。
数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。
「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした
黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。
地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。
魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。
これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。
「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる