死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~

未来人A

文字の大きさ
21 / 24

第21話 レイス

しおりを挟む
 目的は決まった。
 霊城にいるレイスを討伐する。

「や、やめておいた方がいいわよ……」

 基本威勢がいいシミアだが、レイスを討伐するというとビビり始める。

「何で?」
「え、いや……追いかけられてた時のこと、ちょっとだけ覚えてるけど、あれは勝てる感じしなかったっていうか……」
「それは正気を失っていた状態だったので、そう感じただけでは?」

 シミアの言葉に反論したのは、ミラだった。

「レイスは基本的には単独で行動する魔物だったと記憶しております。相手は一体であるのに対し、こちらは3人と2匹、数では大きく有利です」
「そ、それはそうだけどさ。戦いは数だけではないっていうか」
「戦いは数です」

 ミラはきっぱりと言い切った。
 元々戦では、兵士を率いる立場だったようなので、数が重要だという感覚が強いのだろう。

 ただ、相手も人間である戦ならともかく、魔物となると、数で上回っていれば勝てるとも、言い切れなくなる。

 一度恐怖を刻まれたシミアの気持ちも分かるが、俺としては早くレベルを上げて、レイスに進化したい。
 レイスを倒した方が、ゴーストを倒すより早くレベルが上がるかもしれない。ここは挑戦してみるべきだと思った。

 俺はその事をシミアに伝えると、彼女は諦めたような表情で、「分かった……」と呟いた。

 シミアを説得した後、俺たちは霊城に近付いた。

 城壁で囲まれているが、破壊されている。
 元々侵攻を受けていたとの事だし、その際に破壊されたのだろう。そのまま誰も直すことなく、今に至っているんだな。

 まあ、今の俺たちはゴーストなので、門があろうとなかろうと関係はない。すり抜けて中に入った。

 城壁をすり抜けると、庭があった。
 草花は長年手入れがされていない様子で、ぐちゃぐちゃである。
 元々庭には石像などもあったようだが、全て壊れている。

 庭には特に何もいないようだった。
 城の中にアンデッド系のモンスターはいるのだろうか?
 そう思っていると、「グルル……」と犬の唸り声が聞こえてきた。

 尻尾の先に青い炎が灯っている、怖い目つきの大きな犬が3匹歩いていた。

 俺たちに気付いてはいない様子だった。

「ヘルハウンドですね……アンデッド系の魔物です」
「俺たちに気付いてないな」
「リッチも気付いていなかったし、高位のアンデッドは実体をちゃんと持ってるから、私たちには気づかないんじゃないからしら」
「レイスは実体持っていないのか?」
「レイスは半分霊体なんだと思うわ。ダメージが通りにくくて、攻撃しにくいんだけど、逆にレイス自身の攻撃力もあんまり高くないって魔物だから。持久力があるから、しつこく付き纏って相手を根負けさせる、嫌な魔物なのよ」

 シミアはレイスの特徴についてそう説明した。
 元冒険者だからなのか、シミアより魔物に関して詳しいようだ。

 今の俺たちは持久力が無限にあるから、レイスになってもその特徴は変わらないのだろう。それが効き辛いとはいえ、ずっとしつこく攻撃をしてくるのだから、確かに相手にすると厄介だろうな。

「生きてるときは戦ったことあるのか?」
「まあ、何回かはあるわね。アンデッドによく聞く魔道具がるから、それを使えば簡単に倒せるわ。それを持ってれば霊城も楽に攻略できると思ってたけど、この様よ」
「何だよ。そんなのあるなら、それを使えばいいじゃないか」
「今持ってからどうしようもないでしょ」
「何で持ってないんだ? 死ぬ前は持ってたんだろ?」
「持ってたけど、ゴーストにいなったら無くなってたのよ」
「何で?」
「そんなの知らないわよ」
「ゴーストって服装とかも死ぬ直前の姿になるんじゃないのか?」
「場合によるんじゃない? 少なくとも私は違うわ。意味なかったけどアンデッド対策の服も来てたから。これは普通のダンジョンに行くときの服装ね」

 そうなのか?
 俺は異世界転移する前に着ていた、お気に入りのTシャツとジーパンを身に着けている。転移してから死ぬまで、着替える機会もなかったので、死ぬ前もこの格好だ。

「私も違いますね。死ぬ前は鎧と武器は奪われ、ボロ切れを着せられておりましたので」

 そう言えば、ミラは処刑されたんだったな。
 確かに死ぬ前の服装でゴーストになるんなら、武装しているのは不自然だ。
 ゴーストになるときは、生前、最も馴染みがあった格好になるのか? 死ぬ前以外にもこの服はよく着てたしな。

 今は特にレイスに有効な対策は出来ないという事か。
 数でごり押すしかないかもな。

 庭を進む。
 ヘルハウンド以外の魔物はおらず、俺たちは扉を開け、城の大広間に入った。

 大広間には中央にポツンと椅子があり、そこに足を組んで何かが座っていた。

 青白い肌の男だった。
 黒く長い髪。目は虚ろ。
 パッと死体に見えるが、妙な迫力を感じる。

「リッチーだ……あいつに殺されたの私……」
「あれが……」
「全く動かないようですが、人間が入ったら反応するのですか?」
「うん。入った瞬間、猛スピードで接近してきて、そのまま殺された。城に入った瞬間、来るもんだから……ああいうのは、城の最上階とかにいなさいよって話よ」

 シミアは文句を言っている。
 見えないことを良い事に、リッチに魔法を撃つが全て空振りに終わる。魔法攻撃も殴ったりするのと同じく、生きている者には全く効果がないようだ。

 リッチーは今は無視して、大広間を出る。

 そして廊下を歩く。

「確かこの辺にレイスがいたような……うろ覚えで悪いけど……」

 正気を失っていた時の記憶は一生懸命シミアは思い出そうとしていた。

 その直後。

 全身がぞわっとするような感覚に襲われた。
 殺気察知スキルが発動した。
 前方から何かが来る。

 ミラとシミア、ネズオ、クロも気付いたようだ。

 全員、前方から来る何かに備えて、臨戦態勢を整える。

 ドシドシと足音が聞こえてくる。
 敵が近づいてきているようだ。
 それと同時に、徐々に嫌な感じが強くなってくる。

「オォオォオオオオオ……」

 奇妙な雄たけびを上げる、大きな斧を持った男が姿を現した。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

処理中です...