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第一章【愛情の形】
5話 【外伝】
しおりを挟むこれはある男の物語。
男はもともと平民で、村が魔物の襲撃に舞われた際に持ち前の根性と腕っぷしをいかし魔物を撃退。
それが援助にきていた騎士団長の目にとまり、スカウトを受け王国騎士団へ入団。
そこで瞬く間に力をつけてあっという間に騎士団長にもまさる力を身につけた。
また、その明るい性格もあり人望も高かった男は周りに時期騎士団長昇格への期待を背負う。
しかしある事を境に男は王国を去る事となる。
その原因は平民差別である。
王国の貴族は平民差別が根付いており、常日頃から貴族騎士からの嫌がらせを受けていた。
そして事件は起きた。
王女殿下がリングール領へ向かう際の護衛時に魔物の襲撃にあう。
男は身を挺し王女を守ろうと扮したが、不意の味方の襲撃に気付かず谷底に落とされてしまう。
男は川に流されながらも奇跡的に一命を取り留め、気付いた時には河岸に横になっていた。
どれだけ気を失っていたか分からないが、急ぎ馬車の元へと戻る男。
だがそこはもう過ぎ去った後だった。
「ん、何だコレは?」
それは魔物呼びの笛と呼ばれる希少のアイテムだった。
そしてその笛についた細工に王家の紋章が刻まれていた。
信じたくはないが、犯人に男はある程度の目星がついていた。
だが確証はない為、王国に戻る事を決意し王国へと足を戻す。
しかしそこには指名手配となった自分の張り紙がいたる所にはられていた。
それに嫌気をさした男は1人路頭を迷う事となる。
どこに行くべきか迷ったが指名手配となった自分が近くの村にいけば住民に迷惑がかかりかねないと感じ、仕方なく辺境へと足を運ぶ事となる。
自分は平民ながらも国の為に尽力を尽くし、強くなったつもりでいた。
だが貴族が平民を見る目はやはり差別が根付いたままであり、こういった事件の濡れ衣をきさせれば直ぐに裏を返してこの始末。
中の良い連中も平民あがりが殆どで貴族の圧力で押さえつけられているのが目に見えた。
「やってらんねぇな。」
自暴自棄となった男は凶悪な魔物が多く存在する辺境地で魔物呼びの笛を鳴らす。
「憂さ晴らしに付き合ってもらうぜ!」
そういって自分の傷を顧みず不眠不休で無茶苦茶な魔物を狩り続け始めた。
しかしついに限界を超え倒れ伏す。
「ちっ、もう動かねー。はぁ、はぁ‥。‥くそ。」
目に涙が滲み出て目頭を抑え覚悟を決めたその瞬間。
襲いくる魔物達は瞬く間に切り裂かれた。
「だ、‥誰だ?」と薄れる目を上げると言葉を失った。
月の光が差し込む森の中に立つ、凛とした美しい女がいた。
長く艶やかな黒髪に赤眼の瞳。
それを目に焼き付けて男は意識を失った。
そして気づけば女がそばにいて焚き火が焚かれていた。
女性は魔人族であった。
魔人族は人族と長年犬猿の仲であり、相対する仲であったが、男は女に心惹かれてしまっていた。
男はあわてて状態を起こす。
「わ、悪い!助けてもらったみたいだ。」
「かまわない。私も丁度ウサばらしがしたかったのでな。」
その微笑む顔に男は赤面する。
「あ、あの、名前を聞いてもいいか?あ、えっと俺はラルフ・カンベル。」
「ティアナ・ディーティルだ。」
「ティアナか。ティアナは何故ここに?」
「ほう?私にそれを聞くか?ここは魔人領だ。魔人族がここにいても何ら不思議はないハズだ。むしろラルフ。人族のお前がここにいる方が不思議なのだがな。」
「ははは。た、確かに。まぁちょっと色々あってよ‥」
これが2人の出会いである。
その後、意気投合した2人は辺境に家を建て共に暮らす事となる。
ティアナの方も訳ありではあったが、ラルフはそれに触れることはなかった。
そしてある日の事である。
「ラルフ。2、3日だが一度里帰りしようと思う。」
「お、おう。そりゃお前にも知り合いがいるだろうしな。」
その返答にティアナが唖然とする。
「何もいわないのか?」
「聞いても言わねえだろ?それに俺は人族だ。人のいる場所にゃいけねえよ。」
「そうだったな。」
少し寂しそうに瞳を落とすティアナ。
「そんな顔すんじゃねぇよ。」
そっとティアナを抱き上げる。
「な!?何をする?」
「何日かぶんの回収しないとな」
「ば!?馬鹿者!!」
こうして翌日、ティアナは里帰りする事となった。
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