X

雪乃都鳥

文字の大きさ
5 / 15

ルックス

しおりを挟む
 俺の大好物と言えば、いちごジュース。自販機のボタンを押して、取り出す。
「あ、朝比奈さん。またいちごジュース買ったんだね」
「おっ、山崎。だってこれうまいじゃん」
「えー、ちょっと甘すぎるかなぁ僕には」
 と、山崎はこんな具合だ。クラスであまり目立たない存在だが、廊下でばったりぶつかって何故か仲良くなった。
「山崎はいつも水だもんなー」
「水が一番体によいって聞いてさ」
「あー、真似しようかな」
 沈黙。窓から日の陽光が差し伸べて、少し目を閉じた。サブバックを持って歩き出す。
 教室まで行くと、相変わらず周りはうるさい。いつの日か、それが当たり前になっていく。ただ、女子とは変わらず絡みがない。
「よー、陽」
「よー」
 隣のクラスメイトに挨拶し、椅子を引いた。



 学校の授業はとても興味深い。この世には俺の知らないことに満ち溢れている。全てが好きと言わけではないが。特に、数学はてんでダメだ。
 その授業の最中、俺は窓から雲を見上げた。大きくて、とてもふかふかしてそう。そんなことをしていても、頭の中に浮かぶのは渚の顔。
 こんなとき、胸がひしめく。思い出すのは髪の長い女。気にしないふりをしながら、ひそかに傷を抉る言葉。
 制服はスカートではない。スラックスだ。もちろん、一般常識では女はスカート。俺は、教師にも校長に了承されている。
 窓には、俺の顔が映る。短くショートに切られた髪型。男にも見えるし、女にも見える。それがまだ、救いかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...