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第2章
5,「教えてくださいよ、先輩」
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「映画、凄かったね陽くん」
実咲は、足取り軽く道を歩いていた。空は夕焼け空になっていた。俺たちいつも夕焼け、見てるよな。
手と手は、指を絡めて握りあっている。
「先輩、泣いてたでしょ」
からかい半分に言うと、実咲の顔が赤くなった。
「もう、それは言わないお約束!」
「はは、なにそれ」
可愛いな、この女の子。感受性、強いんだな。
「今回の映画、陽くんはどう感じた? 」
不意に実咲に言われて、俺は考える。
「うん。難しいことは言えないけど、みんな懸命に生きてるんだって思った。厳しい環境で、ひたすら生きてるんだなって。」
実咲は空の方に顔を向けながら歩いて、俺の方を見る。
「私はね、狼が大好きなの。強くて、果敢で、孤高な狼が」
「狼か、確かにかっこいいかもね」
「うん、かっこいいの。」
含みのある言い方だなと、思った。なぜ、そんなに悲しい顔するんだ。
「先輩、見てよ空」
俺は、空に指を向けて実咲の視線を逸らす。「うん、空だね」と実咲は言うがそうじゃない。
「俺ね先輩のおかげで夕焼けが好きになったんだ。先輩と見るようになったら綺麗だなって、思い始めた」
実咲は俺を見て、まだ不思議そうにしている。俺は、「だから」と付け足す。
「先輩のこと、もっと教えてほしい。そしたら、俺の世界が変わる気がするから」
実咲は目を大きくした。そして、頬に伝う涙。「なんで」実咲の声は震えている。
「なんで、そんなに真っ直ぐに」
実咲は大粒の涙を流し始めた。俺は実咲の腕を引いてベンチに座らせると、やわりと抱きしめた。
「先輩、泣いてる」
俺は、実咲の小さな肩に顔をのせた。
か細い声で、実咲は何かを話し始める。
「なんで、なんでそんなに向き合ってくれるの」
「好きだからだよ」
俺の声も、震えていた。好きな女の泣き顔って、こんなに胸が締め付けられるもんなんだな。
「俺のこと好きになって……実咲」
掠れるような声だった。実咲は胸の中で、声も出さず泣いた。
「やっぱり、だめだよ……あの人のこと忘れられない。」
そのあと、実咲は何かを言おうとしたが、俺が遮った。
「先輩、俺のこと好きになって。少しずつ、少しずつでいいから。そしたら、先輩は俺の隣で笑えるようになるから」
俺は、情けなかった。目の前で好きな女が泣いてるってんのに、抱きしめることしかできないのだから。
実咲は、足取り軽く道を歩いていた。空は夕焼け空になっていた。俺たちいつも夕焼け、見てるよな。
手と手は、指を絡めて握りあっている。
「先輩、泣いてたでしょ」
からかい半分に言うと、実咲の顔が赤くなった。
「もう、それは言わないお約束!」
「はは、なにそれ」
可愛いな、この女の子。感受性、強いんだな。
「今回の映画、陽くんはどう感じた? 」
不意に実咲に言われて、俺は考える。
「うん。難しいことは言えないけど、みんな懸命に生きてるんだって思った。厳しい環境で、ひたすら生きてるんだなって。」
実咲は空の方に顔を向けながら歩いて、俺の方を見る。
「私はね、狼が大好きなの。強くて、果敢で、孤高な狼が」
「狼か、確かにかっこいいかもね」
「うん、かっこいいの。」
含みのある言い方だなと、思った。なぜ、そんなに悲しい顔するんだ。
「先輩、見てよ空」
俺は、空に指を向けて実咲の視線を逸らす。「うん、空だね」と実咲は言うがそうじゃない。
「俺ね先輩のおかげで夕焼けが好きになったんだ。先輩と見るようになったら綺麗だなって、思い始めた」
実咲は俺を見て、まだ不思議そうにしている。俺は、「だから」と付け足す。
「先輩のこと、もっと教えてほしい。そしたら、俺の世界が変わる気がするから」
実咲は目を大きくした。そして、頬に伝う涙。「なんで」実咲の声は震えている。
「なんで、そんなに真っ直ぐに」
実咲は大粒の涙を流し始めた。俺は実咲の腕を引いてベンチに座らせると、やわりと抱きしめた。
「先輩、泣いてる」
俺は、実咲の小さな肩に顔をのせた。
か細い声で、実咲は何かを話し始める。
「なんで、なんでそんなに向き合ってくれるの」
「好きだからだよ」
俺の声も、震えていた。好きな女の泣き顔って、こんなに胸が締め付けられるもんなんだな。
「俺のこと好きになって……実咲」
掠れるような声だった。実咲は胸の中で、声も出さず泣いた。
「やっぱり、だめだよ……あの人のこと忘れられない。」
そのあと、実咲は何かを言おうとしたが、俺が遮った。
「先輩、俺のこと好きになって。少しずつ、少しずつでいいから。そしたら、先輩は俺の隣で笑えるようになるから」
俺は、情けなかった。目の前で好きな女が泣いてるってんのに、抱きしめることしかできないのだから。
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