僕は冒険者になりたい! 〜ハズレ枠のS級スキル持ちの僕はパーティー追放されたけど、可愛い女の子とイチャラブしながら冒険者を目指します〜

猫民のんたん

文字の大きさ
12 / 32

第12話 僕は地質調査員じゃない!?

しおりを挟む
 僕はフィークさんの工場を後にし、ラディアさんとの待ち合わせ場所に向かっていた。だいぶ時間がかかってしまったけど、大丈夫かな?

 噴水のある広場に行くと、ラディアさんが不安気におろおろしていた。やば、ちょっと待たせてしまったかもしれない。

「ごめん、ラディアさん! 待った?」
「あ、ハルガード君! 良かったー。私、心配したんですよ!」

 どうやら、結構待たせてしまったみたいだ。噴水近くに建てられた時計台を見ると、時刻は十一刻半。半刻も遅刻してしまった。

「ごめんね、実は……」

 僕はここまでの経緯をラディアさんに説明した。巷で販売されている『ライフポーション』や『スキルポーション』が代替品であること、その製品のうち『ライフポーション』を製造している工場に直談判しに行ったこと。そして、新商品開発を請負い、工場長であるフィークさんとコンペで対決することになったこと……。

 僕の話を聞いたラディアさんは口に手をあてて驚いていた。

「そんな大事に……? あの、大丈夫なんでしょうか?」
「うーん、でも、僕から言い出した事だし。とりあえず、やれるだけやってみようと思う」
「それでしたら、私も協力しましょうか?」

 ラディアさんの申し出はとてもありがたい。まだ新商品のアイディアは何もないけれど、もしかしたら、素材集めのためにモンスターと戦うことも想定される。そうなったとき、戦闘向きの仲間がいるのは頼もしい限りだ。

「でも、ラディアさんにも予定があるだろうし。悪いよ」

 僕は手を振って申し出を断ろうとした。せっかくのご厚意はありがたいけれど、あんまり迷惑をかける訳にもいかない。

「いえ、協力させて下さい! 私もハルガード君にクエストを手伝って貰いましたし。今度は、私がハルガード君の力になります!」

 ラディアさんは意外にも食い下がってきた。こういうところ、けっこう積極的だなと思う。

「そ、そう? それじゃあ、お言葉に甘えて……護衛とかアイディア出しを手伝って貰っても、良いかな……?」
「任せてください!」

 僕がおずおずと提案すると、ラディアさんは小さな胸を張って力強くうなづいてくれた。僕は、勇気を振り絞ってラディアさんに手を差し出し、握手を求めた。

「それじゃあ、その……よろしくお願いします!」
「はい、こちらこそよろしくお願いします! 私、ハルガード君とパーティーを組めてすっごく嬉しいです!」

 ラディアさんは、はにかみながら手を握り返してくれた。面と向かって嬉しいなんて言われると、照れるなぁ。

 こうして、ラディアさんは僕とパーティーを組んでくれることになった。やった、初めてのパーティーだ。ちょっとずつだけど、冒険者らしくなってきたぞ。

「まずは、ギルドに行って報酬を貰ってこようよ。それから、作戦会議をしよう」
「そうですね。それでは、一緒に行きましょう!」

 僕達はギルドに行き、扉を開ける。ティファさんは他の相談者と面談している所だった。仕方が無いので、僕はクエスト案内の受付に立つ別な女性に、報酬の件を伝えた。

「少々お待ちください」

 そう言って女性は向こうの棚から書類を取り出す。書類を確認した女性は、作業場の奥にある部屋へ行ってしまった。ちょっと時間がかかりそうだな。

「ラディアさんは、何か買おうと思ってた物とかある?」
「いえ、普段から冒険の準備は整えてるので、消費アイテムの補充くらいです。あんまり大きいお金を使う予定は、今のところありません」

 そっか、ちゃんと準備してるんだ。アカデミーに居る時からよく外に出てたって、前に言ってたもんね。それに比べて、僕はまだ何もやってないに等しい。日銭稼ぎから考えてたくらいだし、行き当たりばったりで何とかやってるもんな……。まとまったお金も入ることだし。僕もラディアさんを見習って、少し先を考えて準備しよう。うん。

「ラディアさん、申し訳ないんだけど……そしたら、今日は僕の準備を手伝ってもらっても良いかな。僕、まだ何にも準備出来てなくて……」
「いいですよ。ハルガード君は、あんまりダンジョン探索とかやってこなかったんですか?」

 そうなんだよね。アカデミーではよくニルバに稽古をつけてもらってたけど、僕の腕だとあんまり外に出歩かない方が良いって彼女に言われてたんだよな。だから、稽古が終わったら大体本を読みに帰るか、研究室に戻って実験してるって事が多かったかも。出かけるとしても実験資材の採集とか……。

 そこで、僕は気が付いた。

 あー、そっかー。皆はアカデミーの時からダンジョンに潜ってたりしてたのか。たぶん、ナクトル達もそうだ。うわぁ、もう、最初っから冒険者として出遅れてるじゃん、僕……。

「あの、ハルガード君? 私なにかいけないことを聞いてしまいました?」

 僕の様子を見かねたのか、ラディアさんが心配そうに顔を覗き込んできた。そんなラディアさんに、僕は力なく答える。

「いや、大丈夫。そうだよね。皆、とっくにパーティーとか組んで外に出てたんだよね。僕くらいだよね、ずっとアカデミーで過ごしてたの」
「そ、そんな事ないですよ。私も、パーティーに誘われることが少なかったですし。ほら、私はあんまり実技の成績良くなかったですから……」

 自虐話を混じえてフォローを入れてくれるラディアさん。だけど、何だか僕の方が申し訳なくなってきた。今思うと、僕って最初からボッチだったんじゃないだろうか。勝手にナクトル達を仲間だと思ってたりしたけれど、こうなるのは当たり前のことで……

「お待たせしました。ハルガードさんとラディアさんで宜しいですね?」
「あ、はい!」

 ギルド職員のお姉さんが戻ってきて、報酬の受け渡しについて確認事項を求めてきた。名前とか、控えの書類とか。

 滞りなく確認が終わると、カウンターに報酬の二十万ルフが置かれた。ひと袋に十万ルフずつ入っているそうで。目の前には金貨の入った麻袋がふたつあった。僕とラディアさんは顔を見合わせて、それぞれひとつずつ受け取る。

「あ、ありがとうございます!」

 初めての報奨金だ。なんだか、凄く感慨深いものがある。僕は感謝の気持ちから、ギルドのお姉さんに深々と頭を下げた。初めての給金を受けて、僕の落ち込んだ気持ちもすっかり吹き飛んでしまっていた。我ながら、ちょっと現金だなとも思ったけど、今は凄く嬉しい気持ちでいっぱいだ。

 そして、僕は顔を上げる。
 何でかな。皆、僕を見てちょっと引いていた。

 あれぇー?

「ハルガード君、ちょっと、大袈裟ですよ……」

 ラディアさんは、隣で恥ずかしそうに赤面していた。

「あ、す、すみません……」

 しまった。今まで働いたこと無いのがもろに出てしまった気がする。あー、やばい。恥ずかしい。穴があったら入りたい。

「いえ、謝る必要はありませんよ」

 僕が小さく縮こまっていると、不意にギルドのお姉さんから声をかけられた。

「これからもよろしくお願いしますね、地質調査員さん」

 なんでやねん。僕は冒険者になるんだってば……。ティファさんも、ちゃんと申し送りしといてよもう……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...