最強竜殺しの弟子

猫民のんたん

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第一章 いざ、竜狩りへ

018 ネルビスとザックスの攻防

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 ネルビスは微動だにせず、ザックスの動きを注視している。

「うるぁあ!」

 ザックスは魔力を封じられたガン・ソードを握りしめ、さながら大剣の要領で振りかぶりながらネルビスへと突進する。盾があることなどお構いなしに、渾身の力でガン・ソードを叩きつける。

 金属同士が強烈にぶつかり、特有の破裂音を鳴らした。

 ネルビスはザックスの力任せの一撃に圧され、わずかによろめいた。

「ふん、やるな。中々のパワーだ」

「上から目線でモノ言ってんじゃねぇぞオラァ!」

 続けざまに、ザックスはガン・ソードを振りかぶる。

 ネルビスは、すかさず盾の奥から鋼鉄の剣を突き出した。

「ちっ!」

 ザックスは振りかぶった得物を剣に叩きつけていなす。

 ネルビスは弾かれた剣を後方へ振り、その勢いを利用してよろめいていた体を捻る。重心のバランスがとれ、ザックスには大盾を突きつける形となった。素早い動作で再び防御態勢へと転じるネルビス。

「こざかしいぜ!」

 払ったガン・ソードをそのまま持ち上げ、叩きつけるように振り下ろそうとする。が、ネルビスは大盾を構えたままザックスの懐へ向けて突進した。

「うおっ!」

 ザックスは迫る大盾に押されて態勢を崩す。

 ニ、三歩後退するザックスの脇腹へ向けてネルビスは剣を突き出した。

 歯を食いしばり、身を捻ることで辛うじて剣をかわす。

 しかし、無理な態勢で避けたためにザックスは、地面を転がった。

「ちっくしょう、ぅおっ!」

 容赦なく振り下ろされる鋼鉄の追撃を、ザックスは咄嗟にガン・ソードを前に突き出して受け止めた。再び金属の破裂音が辺りに響き、火花を散らせた。

「こんのやろう!」

 剣を押し返し、ザックスはネルビスへ足払いを仕掛ける。

 ネルビスはバックステップをとると、弾かれる勢いと共に後方へ跳躍した。

「ふむ。反応速度も中々だな。貴様、思ったより筋が良いじゃあないか」

「たりめぇだ。試すような事ばかりしてんじゃねぇぞ」

「試すために戦っているのだ。貴様は何を言ってるんだ?」

「あぁ? 本気出せって言ってんだよ、バーロー」

「言う割に、貴様には余裕が見えんがな」

 再び大盾を前面に構えて、反撃の機会をうかがうような態勢で言う。

 間合いができたことでザックスは起き上がると、ガン・ソードを構えなおした。

 一連のやりとりで、ザックスはネルビスの防御態勢に若干の脅威を感じていた。力だけでのゴリ押しは難しい。相手も挑発に乗ってくる気は更々ないだろうし、どうしたものか、と。

 得物を構えて相手の動きを警戒しながら、いかように攻めるのが得策かを考えていた。

「ザックスぅー、何で動かないのよー。さっさと倒しちゃいなさーい」

「ちっ、ひとの気も知らねぇで」

 マーブルへ一瞥をくれ、ザックスはぼそりと悪態を吐いた。

「仕方ねぇ。親父直伝のアレを使うか……」

 意を決し、ザックスはガン・ソードをおもむろに降ろす。

 そして、足を肩幅に開き、肩の力を抜いて、目を閉じた。

「何をする気だ?」

 ネルビスは警戒を強める。しかし、同時に困惑していた。

 今のザックスには、隙しか存在しなかった。

 まるで無防備。身体をさらけ出し、武器はただ握っているだけ。銃口は地に着いてしまっている。いくら警戒をしていても、ザックスから攻撃してくる素振はない。むしろ、攻撃してくることを待っているかのようだった。

「貴様、何を企んでいるか知らんが……よかろう」

 ネルビスは盾を構えたまま、足に力を蓄える。やや身をかがめて、ザックスを睨みつけた。

「そちらから来ないのであれば、こちらから行かせてもらうぞ!」

 言うと、ネルビスは駆けた。

 盾を前面に構えたまま、重い甲冑を鳴らし、小さな身体はさながら巨大な鉄塊となってザックスを圧しつぶさんと迫る。

「砕け散れ! 絶対なる正義アブソリュート・フォース!」

 ザックスは目を見開く。鬼気迫る怒涛の進軍を目の当たりにし、

 そして轢かれた。

「ザックス!」

 マーブルが叫んだ。
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