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第一章 いざ、竜狩りへ
025 黒の大地と白の境界線
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そこは、見渡す限り黒の大地だった。
ドラガリアから北西に向けて歩き森を抜けたところに開けた草原があり、禿げた大地には白い境界線が引かれていた。そこから先を見渡すと黒点がまばらに広がっており、さらに奥地へ進んでいけば、今度は大地のほとんどが黒一色に染まっていた。
「これって、もしかして全部ダークマターか?」
黒に染まる大地を眺めながら、ザックスは足元の見知った石ころを拾い上げて呟いた。
「そんなことも知らなかったのか、ザックス。沼地はダークマターの産出地でもある。我々が竜狩りに利用する黒色のダークマターも、機械類の動力として利用される白色のダークマターも、概ね沼地から採集されたものだ」
先を歩こうとするネルビスが振り返り、呆れたように言う。
「ダークマターって、確か魔力を溜めておく石なんだよな。マーブルから聞いたぜ」
「そうだ。周囲に漂う魔力を自然に吸収し、蓄積していく性質を持っている。これだけの量のダークマターがあれば、馬鹿なお前でも俺の言っていたことが理解できるだろう」
ザックスは周辺に広がる黒色の丘陵を一望し、戦慄した。
「こんなところじゃ、魔弾をぶっぱなしてもすぐに立ち消えそうだぜ……なるほどな。こりゃ、魔力武器が使えねぇや」
「さて、ここから先が奴らワイバーンの生息地である“沼地”となる。今回の作戦では、我々はあくまで貴様のサポートだ。ここからは貴様に判断をゆだねよう。貴様の手並みを拝見させてもらおうじゃないか」
「ん~、とりあえず、この場を離れて待つか」
「ほう、なぜだ?」
ネルビスはザックスに近づき、試すように理由を訊ねた。
「親父から聞いたんだ。ワイバーンは、ずっと巣に籠ってるわけじゃねぇんだろ? こんなところだ、食い物にも困んだろ」
「なるほど。奴らが食料調達に外へ出たところを狙う、か。悪くはないな」
ザックスの言葉に、ネルビスは感心して頷いた。
「だが、それで依頼は達成できるのか? 出向いて来る奴らは、それほど多くはあるまい」
「依頼の数は、翼皮八枚と尻尾四つだろ。四匹も狩れば十分じゃねぇか。奴らの群れって、何匹くらい居るんだ?」
「ふん。本来なら、そういう情報は自分で買い取って来るべきものなんだがな。昨日の時点で、巣にいるのは十二匹だ」
ザックスはネルビスから情報を聞きだすと、腕を頭の後ろに組んで軽く伸びをした。
「ま、それくらいいれば四匹くらい飛んでくんだろ。気長に待ってようぜ」
実に楽観的な観測だった。ネルビスは面白く無さそうに鼻を鳴らすと、部下に指示を飛ばした。
「ふん、まあいい。お前たち、聞いた通りだ。一旦、境界線まで戻るぞ」
ネルビスの号令で、一緒にやってきた八人の男衆は後退を始めた。今回の作戦には、戦闘力のないマーブルは参加していない。ザックスとネルビスは、男衆の後をついていく形で、先ほどの白い境界線まで戻っていった。
ドラガリアから北西に向けて歩き森を抜けたところに開けた草原があり、禿げた大地には白い境界線が引かれていた。そこから先を見渡すと黒点がまばらに広がっており、さらに奥地へ進んでいけば、今度は大地のほとんどが黒一色に染まっていた。
「これって、もしかして全部ダークマターか?」
黒に染まる大地を眺めながら、ザックスは足元の見知った石ころを拾い上げて呟いた。
「そんなことも知らなかったのか、ザックス。沼地はダークマターの産出地でもある。我々が竜狩りに利用する黒色のダークマターも、機械類の動力として利用される白色のダークマターも、概ね沼地から採集されたものだ」
先を歩こうとするネルビスが振り返り、呆れたように言う。
「ダークマターって、確か魔力を溜めておく石なんだよな。マーブルから聞いたぜ」
「そうだ。周囲に漂う魔力を自然に吸収し、蓄積していく性質を持っている。これだけの量のダークマターがあれば、馬鹿なお前でも俺の言っていたことが理解できるだろう」
ザックスは周辺に広がる黒色の丘陵を一望し、戦慄した。
「こんなところじゃ、魔弾をぶっぱなしてもすぐに立ち消えそうだぜ……なるほどな。こりゃ、魔力武器が使えねぇや」
「さて、ここから先が奴らワイバーンの生息地である“沼地”となる。今回の作戦では、我々はあくまで貴様のサポートだ。ここからは貴様に判断をゆだねよう。貴様の手並みを拝見させてもらおうじゃないか」
「ん~、とりあえず、この場を離れて待つか」
「ほう、なぜだ?」
ネルビスはザックスに近づき、試すように理由を訊ねた。
「親父から聞いたんだ。ワイバーンは、ずっと巣に籠ってるわけじゃねぇんだろ? こんなところだ、食い物にも困んだろ」
「なるほど。奴らが食料調達に外へ出たところを狙う、か。悪くはないな」
ザックスの言葉に、ネルビスは感心して頷いた。
「だが、それで依頼は達成できるのか? 出向いて来る奴らは、それほど多くはあるまい」
「依頼の数は、翼皮八枚と尻尾四つだろ。四匹も狩れば十分じゃねぇか。奴らの群れって、何匹くらい居るんだ?」
「ふん。本来なら、そういう情報は自分で買い取って来るべきものなんだがな。昨日の時点で、巣にいるのは十二匹だ」
ザックスはネルビスから情報を聞きだすと、腕を頭の後ろに組んで軽く伸びをした。
「ま、それくらいいれば四匹くらい飛んでくんだろ。気長に待ってようぜ」
実に楽観的な観測だった。ネルビスは面白く無さそうに鼻を鳴らすと、部下に指示を飛ばした。
「ふん、まあいい。お前たち、聞いた通りだ。一旦、境界線まで戻るぞ」
ネルビスの号令で、一緒にやってきた八人の男衆は後退を始めた。今回の作戦には、戦闘力のないマーブルは参加していない。ザックスとネルビスは、男衆の後をついていく形で、先ほどの白い境界線まで戻っていった。
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