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第一章 いざ、竜狩りへ
037 因果の帰結
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ワイバーンへと駆ける四人に向けて、ワイバーンが翼を羽ばたかせる。
「むぅん!」
デブが正面からそれを受けて耐えた。
他の三人は、その間に大きく外側に駆けて、ワイバーンを取り囲むように回り込む。
「ちぇりぁ!」
やや後方まで回り込んだ茶髪がワイバーンの背に向けて剣を突き出す。
翼が突き出された剣の前に差し出され、背中の代わりに翼皮を穿った。
だが、ワイバーンはそのまま翼を地面へ向けて叩きつけるように振り下ろす。
茶髪は剣ごと身体を持っていかれ、顔を地面に打ち付けられた。
茶髪の方へ身体を傾けたワイバーンの背後に、黒髭が飛びかかる。
ワイバーンは長い首をぐるりと回して金の瞳をそちらへ向けると、尻尾を振り上げてこれを迎撃。黒髭は側面を打たれて、地面へ弾かれた。
「お前たち……」
ネルビスは、部下たちの戦況を眺めることしかできない不甲斐なさを悔いながら、ワイバーンの足元に伏してつぶやく。
ふと、ワイバーンの煤けた腹が目に入り、ネルビスは違和感に顔を顰めた。
「旦那、大丈夫ですかぁ!」
三人がワイバーンとやりあっている隙に、デブがネルビスの元へと駆け寄ろうとする。
「ザックスさん、いきますよ!」
「ああ、やってくれ!」
それと同時。やや離れたところで、ザックスが砲丸投げの要領で投げ飛ばされた。
「お前たち、今すぐ奴から離れろ!」
唐突に、ネルビスが叫んだ。
「こいつは、まだ奥の手を持っている! もう一度、火炎放射が来るぞ!」
ワイバーンの腹に塗りつけられていた煤が縞になっていた。
しぼんでいた腹が体内のガスで膨れ、表皮が伸びたためだった。
団員たちはネルビスの警告を受けて、すぐさまワイバーンとの距離を取った。
デブも駆けよろうとしたところで静止し、急いで踵を返す。
しかし、ザックスだけはワイバーンへ向けて放り出されてしまったため、そのまま空中を突き進んでいた。
「ち、間に合わなかったか……!」
ネルビスが舌打ちし、焦りの表情を浮かべた。
ワイバーンの首がザックスへ向くと、奥歯をカチカチと鳴らし始める。
「うおおおおおお!」
ザックスは雄叫びをあげながら、網に包まれた状態でガン・ソードを抱え、ワイバーンの額に向かっていく。
そして、傷持ちのワイバーンがその大口を開いた。
奥歯で火花が散り、火炎が一気に燃え広がっていく。
炎は熱量を上げながら、目の前のザックスを呑むこむべく口腔内から溢れて外に飛び出した。
がしかし。炎は口から吐き出された途端、透明な壁にぶち当たって空を燃やし広がった。
「魔力障壁は、内側と外側を完全に遮断する絶対防御壁だ。貴様は、俺の防御範囲内に居るんだよ」
ネルビスがほくそ笑んだ。
ワイバーンが、火炎を吐き出しながら黄色の瞳でネルビスを見下ろす。
「ザックスの魔力武器が発射直後だけ破壊力を持つのだから、不思議な事でもあるまい。ダークマターは周囲に存在する魔力を吸い取るが、何も魔力の存在自体を消し去るわけではない。我々の発する魔力の消耗が著しくなるだけに過ぎないのだからな」
魔力障壁の内部で、爆発が起きた。
行き場を失った火炎が周囲の空気を巻き込んで、小壁内のみで燃焼したのだった。
「ネルビス!」
ザックスが、目の前の爆発を見て叫んだ。
そのすぐ後に、魔力障壁は動力を失って消滅する。
ザックスがもうもうと立ち込める硝煙の中へ飛び込むと、目を剥いて燻るワイバーンの額に飛び付いた。
「げほっ……おい、ネルビス! 返事をしろ!」
ザックスは、視界の悪い煙の中でむせながらも叫んだ。
「やかましいぞ、ザックス! 俺は無事だ。今のうちに、奴へトドメをさせ!」
ネルビスの声が地面の方から投げかけられると、ザックスは安堵の表情を浮かべた。
「ったく、心配させんじゃねぇぞ!」
ザックスは、ガン・ソードを両手で持ち上げる。
ふと、左手の感覚が戻ってきていることに気が付いて自身の左腕をみやった。
「よっし! 解毒剤も効いてきたみたいだぜ!」
ワイバーンの額にガン・ソードの銃口を押し当て、持ち手を引く。
引いた持ち手を捻ると、銃口で紫色の光が強く煌めきだした。
「こいつで終わりだ! ぶち抜け、征服する楔!」
トリガーを引く。
瞬間。ザックスを取り巻く硝煙が吹き飛び、まばゆい紫の閃光が放たれた。
「ギャ……」
十字傷の中心に光の刃が突き刺さり、一瞬にして頭蓋を穿つ。
一筋の軌跡を残して、巨大な紫の光は瞬く間に細くなり、すぐに霧散してしまった。
だが、その一撃で十分だった。
ワイバーンは脳天を撃ち抜かれ、声を上げる間もなく絶命した。
力を失った鎌首が、重力に引かれてゆっくりと落ちる。
「よっ、と!」
ザックスがワイバーンの顔から飛び降りると、巨体は音を立てて倒れ、漆黒の大地を揺らした。
「っしゃあ! 完全勝利っ!」
ザックスは、倒れたワイバーンを背にガン・ソードを掲げて、歓喜の雄叫びをあげた。
「むぅん!」
デブが正面からそれを受けて耐えた。
他の三人は、その間に大きく外側に駆けて、ワイバーンを取り囲むように回り込む。
「ちぇりぁ!」
やや後方まで回り込んだ茶髪がワイバーンの背に向けて剣を突き出す。
翼が突き出された剣の前に差し出され、背中の代わりに翼皮を穿った。
だが、ワイバーンはそのまま翼を地面へ向けて叩きつけるように振り下ろす。
茶髪は剣ごと身体を持っていかれ、顔を地面に打ち付けられた。
茶髪の方へ身体を傾けたワイバーンの背後に、黒髭が飛びかかる。
ワイバーンは長い首をぐるりと回して金の瞳をそちらへ向けると、尻尾を振り上げてこれを迎撃。黒髭は側面を打たれて、地面へ弾かれた。
「お前たち……」
ネルビスは、部下たちの戦況を眺めることしかできない不甲斐なさを悔いながら、ワイバーンの足元に伏してつぶやく。
ふと、ワイバーンの煤けた腹が目に入り、ネルビスは違和感に顔を顰めた。
「旦那、大丈夫ですかぁ!」
三人がワイバーンとやりあっている隙に、デブがネルビスの元へと駆け寄ろうとする。
「ザックスさん、いきますよ!」
「ああ、やってくれ!」
それと同時。やや離れたところで、ザックスが砲丸投げの要領で投げ飛ばされた。
「お前たち、今すぐ奴から離れろ!」
唐突に、ネルビスが叫んだ。
「こいつは、まだ奥の手を持っている! もう一度、火炎放射が来るぞ!」
ワイバーンの腹に塗りつけられていた煤が縞になっていた。
しぼんでいた腹が体内のガスで膨れ、表皮が伸びたためだった。
団員たちはネルビスの警告を受けて、すぐさまワイバーンとの距離を取った。
デブも駆けよろうとしたところで静止し、急いで踵を返す。
しかし、ザックスだけはワイバーンへ向けて放り出されてしまったため、そのまま空中を突き進んでいた。
「ち、間に合わなかったか……!」
ネルビスが舌打ちし、焦りの表情を浮かべた。
ワイバーンの首がザックスへ向くと、奥歯をカチカチと鳴らし始める。
「うおおおおおお!」
ザックスは雄叫びをあげながら、網に包まれた状態でガン・ソードを抱え、ワイバーンの額に向かっていく。
そして、傷持ちのワイバーンがその大口を開いた。
奥歯で火花が散り、火炎が一気に燃え広がっていく。
炎は熱量を上げながら、目の前のザックスを呑むこむべく口腔内から溢れて外に飛び出した。
がしかし。炎は口から吐き出された途端、透明な壁にぶち当たって空を燃やし広がった。
「魔力障壁は、内側と外側を完全に遮断する絶対防御壁だ。貴様は、俺の防御範囲内に居るんだよ」
ネルビスがほくそ笑んだ。
ワイバーンが、火炎を吐き出しながら黄色の瞳でネルビスを見下ろす。
「ザックスの魔力武器が発射直後だけ破壊力を持つのだから、不思議な事でもあるまい。ダークマターは周囲に存在する魔力を吸い取るが、何も魔力の存在自体を消し去るわけではない。我々の発する魔力の消耗が著しくなるだけに過ぎないのだからな」
魔力障壁の内部で、爆発が起きた。
行き場を失った火炎が周囲の空気を巻き込んで、小壁内のみで燃焼したのだった。
「ネルビス!」
ザックスが、目の前の爆発を見て叫んだ。
そのすぐ後に、魔力障壁は動力を失って消滅する。
ザックスがもうもうと立ち込める硝煙の中へ飛び込むと、目を剥いて燻るワイバーンの額に飛び付いた。
「げほっ……おい、ネルビス! 返事をしろ!」
ザックスは、視界の悪い煙の中でむせながらも叫んだ。
「やかましいぞ、ザックス! 俺は無事だ。今のうちに、奴へトドメをさせ!」
ネルビスの声が地面の方から投げかけられると、ザックスは安堵の表情を浮かべた。
「ったく、心配させんじゃねぇぞ!」
ザックスは、ガン・ソードを両手で持ち上げる。
ふと、左手の感覚が戻ってきていることに気が付いて自身の左腕をみやった。
「よっし! 解毒剤も効いてきたみたいだぜ!」
ワイバーンの額にガン・ソードの銃口を押し当て、持ち手を引く。
引いた持ち手を捻ると、銃口で紫色の光が強く煌めきだした。
「こいつで終わりだ! ぶち抜け、征服する楔!」
トリガーを引く。
瞬間。ザックスを取り巻く硝煙が吹き飛び、まばゆい紫の閃光が放たれた。
「ギャ……」
十字傷の中心に光の刃が突き刺さり、一瞬にして頭蓋を穿つ。
一筋の軌跡を残して、巨大な紫の光は瞬く間に細くなり、すぐに霧散してしまった。
だが、その一撃で十分だった。
ワイバーンは脳天を撃ち抜かれ、声を上げる間もなく絶命した。
力を失った鎌首が、重力に引かれてゆっくりと落ちる。
「よっ、と!」
ザックスがワイバーンの顔から飛び降りると、巨体は音を立てて倒れ、漆黒の大地を揺らした。
「っしゃあ! 完全勝利っ!」
ザックスは、倒れたワイバーンを背にガン・ソードを掲げて、歓喜の雄叫びをあげた。
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