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第四章 叛逆の同志
24話 未生の鼓動
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「ヨン……、あの、ヨン?」
名前を呼ばれるのを聞いて、やっと目を覚ました。嫌に感覚が鈍い……、今は何時、ここはどこだ……。
ゆっくり、ぼんやりと意識は目覚めていく。朦朧とした意識で記憶を手繰り寄せる。まだ状況も動かない中、昨日も最低限の用事を済ませてさっさと休んだ、と思うが……。
「ヨン……? 大丈夫ですか……? 生きてます……?」
再びかけられた声が、次第に不安そうに細っていく。この声……、女性……ジュリ?
薄く開けた視界の中、少女の青ざめた顔がすぐ近くにあるのが分かった。さすがに驚いて、僕は体をびくりと動かした。
突然動いた僕を見てジュリも驚いたらしいが、少なくとも息があったことに安心もしたらしい。
「ああ、やっと起きた。どうしたんですか、こんな遅くまで寝てるなんて珍しい……」
ジュリはほっとしたように言った。そう言われて自分でも驚く。なんだ、この感覚の鈍さは。いや感覚だけじゃない、身体が……全身が妙に重い。この感じは……。
「風邪……」
僕はぽつりと言った。「えっ」と零してジュリが固まった。
「を、ひいたかもしれない」
そう付け加えた。喉や鼻に違和感はないし、頭も痛まない。軽い症状かもしれないが……全身に絡みつくような倦怠感がどうにもそれらしい。
「そ、それは……、いけませんね。こんな床でなんか寝てるからですよ。まだ朝夕は冷えるんですから。ええと、ほら、良くなるまでベッドで寝てください」
ジュリはきびきびと言って宿部屋のベッドを指さした。……床で寝ていたのは、三人でとった部屋なのにベッドが二つしかないからだ。原因はその時の懐事情にある。
パーティルに来て最初の夜に、女性であるジュリに一つを譲るという意見はパウルと一致したが、もう一つをどちらが使うかでは無駄に悶着をした。
パウルは遠慮したがったが、床どころか野宿にだって長く慣れてる僕もベッドに拘る気にならなくて押し付けあったのだ。……別に床に拘る必要もなかったのだが、単純に子ども扱いされているようで気に食わなかった。
結局対話を放棄して勝手に床で寝始めた僕の判断により、もう一つのベッドはパウルが占有するようになっている。
今、片方のベッドではパウルがうつ伏せになって伸びている。どうやら寝坊は僕だけではなかったらしい。ジュリが指さしたベッドは空いているもう片方……、彼女がいつも寝ている方のベッドだった。
僕は上半身だけを起こして、背中を丸めて座った姿勢のまま、ぼうっとそれを眺めた。
「それは君のベッド……」
そうぼんやりと答えると、ジュリは呆れた顔になってため息をついた。
「いや、宿屋のベッドなんですから誰のとかありませんし……。体調が悪い時ぐらい変な遠慮しないでください」
特に反論も思いつかず、僕は言われるがままに、のそりと立ち上がってベッドへ向かった。
使った後に特段丁寧に整えられたわけでもないベッドの上には、くしゃりと丸まったような状態の布団が放置されている。
そこに身を乗り上げようとして、しかし途端に胸につかえるものがあって僕は静止した。……これは今朝までジュリが寝ていたベッドである。
起きてからどれほど時間が経っているかは定かではないが、その体温が残っているような気がして……、女性が寝ていたベッドであることを急に意識してしまったのだ。布団に残っている布の皺が、いやに生々しい……。
ジュリはというと、何やらごそごそと荷物を探っている。あれじゃないこれじゃない、と呟きながら引っ張り出しているのは魔法陣の書かれた布の数々である。
やがて目的の魔法陣を見つけたらしく、これだ、と声を上げながら一枚の布を手に持つ。そしてくるりと僕の方を振り向いた。僕はまだ、ベッドの横に屈みがちに立ったままだった。
それを見て、ジュリの顔はまた不機嫌になった。
「まだ遠慮してるんですか? 意外と意地っ張りなんですねあなたは」
そんなことを言う彼女に、いや違う、と返事をしようとしたが、言葉に詰まった。
……君は、自分が寝ていたベッドに同じ年頃の男が入るのが嫌ではないのか、なんて聞けるわけもない。……変な意識をしてしまうのは僕だけなのか? 僕がおかしいのだろうか?
「早く寝てください。今治療をしますから」
そう涼しい声で言う。手に持っているのは魔法陣。……彼女は回復魔術の使い手だった。変な意識しているのは僕だけだ。今彼女が僕を見る目は、病人を診る医療者のそれである。
「治療って……、怪我ならともかく、風邪の治療を魔法でなんて、一体どうするんだ」
僕は同じ姿勢のまま言った。ジュリは男女の仲を意識するどころか、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに得意な表情を浮かべる。
「治療というほどのことではないかもしれませんけど……、身体を温めて血液の循環がよくなるよう、心臓のはたらきを手助けする術と言えば近いですかね。衰弱しすぎた身体にはリスクにもなりますけど、あなたはまだ若いから大丈夫ですよ」
町にいる間よほど暇なのか、仕事がないことに無力感を募らせていたのか、自分の出番がやっときた、と喜んでいる様子だ。さあ、なんて言って僕をベッドの上に追い込もうとしてくるではないか。
とうとう僕は追い詰められてその上に身を投げたが、せめてもの抵抗として、彼女の言葉を突っぱねる。
「そんな魔術はいらない。寝てれば治る」
そう言い捨てて、僕は逃げるように布団の中に身を丸めた。ジュリの方からは顔を背けたのでその表情は窺えないが、きっと不機嫌な顔をしただろう。
全身で彼女を拒むべく身を丸めた布団の中、そこに人肌のぬくもりが残っている様子はなかったが、やっぱり少し、なんとなく、いい匂いがする。魔術の力を借りるまでもなく、僕の心臓はよく働いた。
「ヨン、痩せ我慢はよくないです」
背中からなおもジュリが小言を言ってくるのが聞こえたが、僕はハリネズミみたいに丸まった防御態勢を崩さない。その魔法による施術が一体どんなものなのかは知らないが、僕は歳の近い女にそう体をまさぐられたくない。
ジュリからは、「はあ」と聞こえるほどのため息が出た。
「仕方ないですね。パウルさんも寝てますし、私が買い物に行ってきます。栄養のあるものを買ってきますね」
そう諦めをつけて、ジュリは外出の準備をし始めた。やがてその気配が部屋の外へ出ていくまで、僕は布団の中で丸まってただ待っていた。
それにしてもこんな所で風邪をひくとは、なんという体たらくだ。そんな体を冷やした憶えもないのだが……と自分の体に不満を覚える。
しかしやはり、まるで体に鉛でも繋げられたみたいな倦怠感の他には何の不調もない。本当に風邪なのか……、そもそもが不信だったが、とは言っても体の調子がおかしいのは確かだし、ひとまず今は休むことしかできないだろう。
なんとなくいい匂いのする布団の中では落ち着いて眠ることもできず、ただぼんやりと、体を横にして起きていた。
しばらくすると、隣のベッドでパウルがもぞもぞと動く音が聞こえ始めた。
「うぅ……、だる……」
やがて上がったのは苦しげな声だった。その一声に妙な違和感を覚えて、僕はパウルの方に視線を向けた。
パウルはうつ伏せに倒れるようにして寝ていたが、そこから上体だけを起こし、乱れた長い金髪を掻きながら、ぼんやりとした表情で周囲を窺ったようだ。自然と、ベッドの上で寝転がっていた僕とも目が合う。
「んん……? ああ、ヨンか……」
僕がベッドの上にいるのを珍しく思ったのだろう、寝ぼけた様子の声でそう呟いた。
そして天井を見上げ、部屋の中をぐるぐる見回し、次に自分自身の胸に視線を落とし、何かを怪しむような、苦しい表情を浮かべ……。
そのおかしな様子を見て、僕はまさか、と疑った。……まさか僕達は、仲良く揃って風邪を引いたのかと。
何か恐ろしいものでも見るような顔で、パウルは僕の顔にぱっと視線を移した。
「ヨンお前、体の調子おかしくないか?」
僕は無言でその青い目を見つめ返す。何も言っていないのになぜ分かったのだろう。ひと目見ただけで分かるほど僕の顔はやつれているのか?
「……お前もか?」
僕は小さく聞き返した。パウルの目が見るうちに見開かれ、凍りついたような表情を浮かべる。
そして手で自分の口元を押さえて何かを考え込み始めた。……何だ? 風邪をひいただけでそこまで驚くことなのか。
やがてパウルはごそごそと身じろいでベッドの上にあぐらをかいたかと思うと、その姿勢で自身の胸にぐっと両手を当てて、顔を俯けて、小さく唇を動かした。
「……トレント。神聖なるトレントよ」
突然、祈り始めた。トレンティア人である彼は時折、そうして“神聖なるトレント”へ祈りを捧げる。
なぜいきなりお祈りなんてし始めたのかは分からない。ただ、その祈りを聞く時、僕の胸は嫌な感情でざわつく。
いくら愛国心は捨てたなどと強がっても、信仰までは変えられない……。そのことを――今は仲間として同行している彼が、れっきとした異国人であることを思い知らされるような気がして。
だけど次の瞬間、そうではないことに気付いた。パウルが祈りの言葉を口にした途端、彼の手元……その胸の上に、金色に光る魔法陣がふわりと浮かび上がったのだ。
見ただけで直感的に悟る。その祈りのように聞こえた文句は……、魔術を発動させる“呪文”にほかならなかった。
彼はその魔法陣を抱いて、目を固く瞑ったままじっくりと、何かを感じ入ってるようだった。数秒後、ふと切れた緊張とともにその魔法陣は立ち消える。
すぐにパウルは目を開けて、きっと正面の空中を睨んだ。
「……やっぱ血門に異常な影響が出てるな。これは、いやまさか……」
ぶつぶつと独り言を呟いた。何を言ってるのかは分からない。だが余計に嫌な胸騒ぎがした。
彼が僕の体調不良を瞬時に悟った理由……、彼が胸の上に浮かべた魔法陣。何かが繋がってしまいそうな気がした。
あまり聞きたくもなかったが、生憎自分の身体に関わることだ、無視するわけにもいかなかった。僕はパウルを睨みつけて言う。
「気色が悪いな。一体何だ」
パウルはよほど深く考え込んでいたらしい、僕の声を聞いてびくりとして目を見開いた。すぐに緊張したままの顔をこちらに向けたが、数秒だけ黙って、落ち着いたように目を伏せた。
「んん……、なんて説明したらいいのか……。いつか言っただろ、お前の体の中には特別な力があるって。俺も同類なんだが……、どうやらそれが変な作用を起こしている。お前も揃っておかしいなら、俺個人の不具合じゃない……、何か外的な要因……うーん……、これ以上はっきりしたことは分からないんだが……」
苦しそうに言葉を選んでいるのを聞けば聞くほど、嫌な胸騒ぎは大きくなっていった。いつか野宿していた河原で言われたことを、僕も曖昧には憶えていた。
もしかするとこの体調不良は、敵であるトレンティア軍から魔術で謎の攻撃を受けたせいなのではないか、なんてことも一瞬勘ぐったが……どうにも話が違う。原因は、もともと僕の体の中にある“力”……?
つまり、僕の中にある得体の知れない力、それはどうやら才能とかそういう話ではない、もっと明確な何かであるらしい。……ああ、思えば思うほど気持ちが悪い。
しかもそれが勝手に不具合を起こして体を狂わせたなどと聞けば、その気持ちの悪さ……、おぞましさと言ってもいいほどの悪寒はより一層強い。一体何だと言うのだ?
僕は相当青ざめた顔をしていたのか、パウルが慌てて言葉を付け足した。
「いやまあ、そんなにビビらなくていい。今自分で見た感じ、命に関わるようなことはない。……乗り物酔いみたいなものだ、時間が経てば“慣れる”だろう。問題を引き起こした要因の方が気にかかるといえば気にかかるが……」
そしてまたむにゃむにゃと言葉に迷い始めた。僕は苛立って、荒げたくなる声を抑えた。
「ハッキリしろ、つまりどうなるんだ」
僕の視線を受け止めて、しかしパウルの表情は苦しげだった。
「……体の不調はすぐ治る。だが……、もしかすると、ちょーっとだけ、面倒くさいことになるかもは、しれん」
「だからハッキリしろと言ってるんだ!」
そう詰め寄ると、ますますパウルは苦しそうに言葉を詰まらせて……、やがて苦し紛れのように胸を張って見せた。
「分かった。面倒くさいことには俺がさせん。お前は何も考えず、ただ任務を遂行すればいい。俺を信じろ」
そんな答えに納得する奴がいるか、なんて言いたくもなったが、その様子を見るにどうにも言葉にできないものがあるのは察せられた。すぐに言え言わないの水掛け論になる不毛な未来が見えて、僕はパウルを睨んだまま口を噤む。
パウルはきっと眉を吊り上げ、神妙な顔で言う。
「だがくれぐれも他のやつ……特にあのトレンティア人、ロードに血門を……、だからその、この影響で体調を崩してることは悟られるな。絶対に言うなよ。もしあいつにバレたらものすごーく面倒くさいことになる。いいな」
その顔も声も必死だった。言われるまでもなく、他人にしたい話ではない。
命にかかわるわけではない、時間が経てば治る。それが本当ならまだ幸いだが……、ああ、やっぱりなんとも気分が悪い話だ。
得体の知れない力が眠っている自分の胸を見下ろして……、ふと思い出したのは、故郷の村で医者をしていた養父の言葉だった。
「当たり前のように、ご飯を食べたり水を飲んだりして私達は生きているが、その時にこの体の中で何が起こっているのか、私達は自分の体についても何も知らないでいる。不思議だよな、それでも平然と生きているのだから」
……僕は、自分の体について何も知らないでいる。この中で何が起こっているのか、ずっと知らないままで生きてきた。
気分の悪さをぐっと飲み込むように、僕は自分の腹を押さえて俯いた。そんな僕を、パウルはどこかハラハラとした顔のまま覗き込んでくる。
「……一応お前の方も見てみていいか?」
「は?」
僕は咄嗟に短く悪態をつく。パウルは目を泳がせながら、しかし続けた。
「その、体の中の魔術。万一俺のと違う作用になってたら怖いから、確認したい」
思わずパウルを睨む目に敵意にも似た感情が混じる。体の中の……魔術? 魔術って何だ。体の中に魔術があるってどういうことだ?
とにかく嫌だ、体を触られるだけでも嫌なのに、魔術でどうこうされるなんて嫌すぎる。そう思ったのはほとんど生理的な直感だ。
しかしパウルの顔は不安そうだし、本当に彼の言う通り、魔術のせいで体の中がおかしなことになっていればたまったものじゃない。そして魔術の知識を持たない僕は自分でどうすることもできない。
……この男に、委ねるしかないのか、と腹をくくらざるを得なかった。
恐る恐る頷くと、パウルは真剣な顔で頷いた。
「人の体だ、下手をうつわけにいかんから……、悪いが、上だけでいいから服を脱げ」
言われるがままに、もともと着ていた寝巻きを脱ぐ。晒した素肌が震えるのは寒さのせいじゃない。戦場で嫌と言うほど血を浴びてきたこの僕が、まるで生まれたての赤子のようだ。
そしてそれをベッドの上に寝かせ、僕の胸の上に手を添える真剣な顔のパウルは、まるで医者みたいだった。また子どもの頃の記憶が脳裏によぎる。
ベッドから見上げたパウルの唇が、小さく開いた。躊躇うように言葉を選んでいる。
「……“神聖なるトレント”」
小さく呟くように、その言葉を先取りしたのは僕だった。ぎょっとしてパウルが目を見開く。
「同じように、そう言うのか」
悔しさに似た苦い感情を滲ませて、僕は皮肉を言って見せる。パウルは数秒黙ってから、どこか切なそうに眉を寄せた。
「……むやみにそれを口に出すな。魔力を扱い慣れてない者が血門を開くのは危険だ」
窘めるようなその声色は、やっぱりどこか悲しそうだ。口にした言葉は、意味も分からないはずなのに、不思議と……なんとなく理解できる気がしてしまった。
僕はそれ以上何も言わなかった。パウルは静かに、祈りの言葉を言い直す。
「神聖なるトレント……、汝が子に……、その進む道に、光を……」
なんとなく見ていたくなくて目を瞑った。途端に同じように魔法陣が浮かんだ、のだろう。体の中を、魔力のような感覚がじわりと動いて、胸の真ん中に集まってくるのを感じた。
……だけど不思議だ。いつも戦っているさなかに感じる悪寒のようなそれとは違って、いやに、温かい。
じわりと体の真ん中に集まる熱に、もともと怠かった体は急速に力を失っていく。戦場では研ぎ澄まさなければならない五感も、戦いの感触を刻み込んでいた四肢も、今は温かい大地に全部を投げ出す。
柔らかい風に包みこまれるように、意識はすうと眠りの世界へ落ちていく。この快さを表す言葉を知らないままに。
名前を呼ばれるのを聞いて、やっと目を覚ました。嫌に感覚が鈍い……、今は何時、ここはどこだ……。
ゆっくり、ぼんやりと意識は目覚めていく。朦朧とした意識で記憶を手繰り寄せる。まだ状況も動かない中、昨日も最低限の用事を済ませてさっさと休んだ、と思うが……。
「ヨン……? 大丈夫ですか……? 生きてます……?」
再びかけられた声が、次第に不安そうに細っていく。この声……、女性……ジュリ?
薄く開けた視界の中、少女の青ざめた顔がすぐ近くにあるのが分かった。さすがに驚いて、僕は体をびくりと動かした。
突然動いた僕を見てジュリも驚いたらしいが、少なくとも息があったことに安心もしたらしい。
「ああ、やっと起きた。どうしたんですか、こんな遅くまで寝てるなんて珍しい……」
ジュリはほっとしたように言った。そう言われて自分でも驚く。なんだ、この感覚の鈍さは。いや感覚だけじゃない、身体が……全身が妙に重い。この感じは……。
「風邪……」
僕はぽつりと言った。「えっ」と零してジュリが固まった。
「を、ひいたかもしれない」
そう付け加えた。喉や鼻に違和感はないし、頭も痛まない。軽い症状かもしれないが……全身に絡みつくような倦怠感がどうにもそれらしい。
「そ、それは……、いけませんね。こんな床でなんか寝てるからですよ。まだ朝夕は冷えるんですから。ええと、ほら、良くなるまでベッドで寝てください」
ジュリはきびきびと言って宿部屋のベッドを指さした。……床で寝ていたのは、三人でとった部屋なのにベッドが二つしかないからだ。原因はその時の懐事情にある。
パーティルに来て最初の夜に、女性であるジュリに一つを譲るという意見はパウルと一致したが、もう一つをどちらが使うかでは無駄に悶着をした。
パウルは遠慮したがったが、床どころか野宿にだって長く慣れてる僕もベッドに拘る気にならなくて押し付けあったのだ。……別に床に拘る必要もなかったのだが、単純に子ども扱いされているようで気に食わなかった。
結局対話を放棄して勝手に床で寝始めた僕の判断により、もう一つのベッドはパウルが占有するようになっている。
今、片方のベッドではパウルがうつ伏せになって伸びている。どうやら寝坊は僕だけではなかったらしい。ジュリが指さしたベッドは空いているもう片方……、彼女がいつも寝ている方のベッドだった。
僕は上半身だけを起こして、背中を丸めて座った姿勢のまま、ぼうっとそれを眺めた。
「それは君のベッド……」
そうぼんやりと答えると、ジュリは呆れた顔になってため息をついた。
「いや、宿屋のベッドなんですから誰のとかありませんし……。体調が悪い時ぐらい変な遠慮しないでください」
特に反論も思いつかず、僕は言われるがままに、のそりと立ち上がってベッドへ向かった。
使った後に特段丁寧に整えられたわけでもないベッドの上には、くしゃりと丸まったような状態の布団が放置されている。
そこに身を乗り上げようとして、しかし途端に胸につかえるものがあって僕は静止した。……これは今朝までジュリが寝ていたベッドである。
起きてからどれほど時間が経っているかは定かではないが、その体温が残っているような気がして……、女性が寝ていたベッドであることを急に意識してしまったのだ。布団に残っている布の皺が、いやに生々しい……。
ジュリはというと、何やらごそごそと荷物を探っている。あれじゃないこれじゃない、と呟きながら引っ張り出しているのは魔法陣の書かれた布の数々である。
やがて目的の魔法陣を見つけたらしく、これだ、と声を上げながら一枚の布を手に持つ。そしてくるりと僕の方を振り向いた。僕はまだ、ベッドの横に屈みがちに立ったままだった。
それを見て、ジュリの顔はまた不機嫌になった。
「まだ遠慮してるんですか? 意外と意地っ張りなんですねあなたは」
そんなことを言う彼女に、いや違う、と返事をしようとしたが、言葉に詰まった。
……君は、自分が寝ていたベッドに同じ年頃の男が入るのが嫌ではないのか、なんて聞けるわけもない。……変な意識をしてしまうのは僕だけなのか? 僕がおかしいのだろうか?
「早く寝てください。今治療をしますから」
そう涼しい声で言う。手に持っているのは魔法陣。……彼女は回復魔術の使い手だった。変な意識しているのは僕だけだ。今彼女が僕を見る目は、病人を診る医療者のそれである。
「治療って……、怪我ならともかく、風邪の治療を魔法でなんて、一体どうするんだ」
僕は同じ姿勢のまま言った。ジュリは男女の仲を意識するどころか、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに得意な表情を浮かべる。
「治療というほどのことではないかもしれませんけど……、身体を温めて血液の循環がよくなるよう、心臓のはたらきを手助けする術と言えば近いですかね。衰弱しすぎた身体にはリスクにもなりますけど、あなたはまだ若いから大丈夫ですよ」
町にいる間よほど暇なのか、仕事がないことに無力感を募らせていたのか、自分の出番がやっときた、と喜んでいる様子だ。さあ、なんて言って僕をベッドの上に追い込もうとしてくるではないか。
とうとう僕は追い詰められてその上に身を投げたが、せめてもの抵抗として、彼女の言葉を突っぱねる。
「そんな魔術はいらない。寝てれば治る」
そう言い捨てて、僕は逃げるように布団の中に身を丸めた。ジュリの方からは顔を背けたのでその表情は窺えないが、きっと不機嫌な顔をしただろう。
全身で彼女を拒むべく身を丸めた布団の中、そこに人肌のぬくもりが残っている様子はなかったが、やっぱり少し、なんとなく、いい匂いがする。魔術の力を借りるまでもなく、僕の心臓はよく働いた。
「ヨン、痩せ我慢はよくないです」
背中からなおもジュリが小言を言ってくるのが聞こえたが、僕はハリネズミみたいに丸まった防御態勢を崩さない。その魔法による施術が一体どんなものなのかは知らないが、僕は歳の近い女にそう体をまさぐられたくない。
ジュリからは、「はあ」と聞こえるほどのため息が出た。
「仕方ないですね。パウルさんも寝てますし、私が買い物に行ってきます。栄養のあるものを買ってきますね」
そう諦めをつけて、ジュリは外出の準備をし始めた。やがてその気配が部屋の外へ出ていくまで、僕は布団の中で丸まってただ待っていた。
それにしてもこんな所で風邪をひくとは、なんという体たらくだ。そんな体を冷やした憶えもないのだが……と自分の体に不満を覚える。
しかしやはり、まるで体に鉛でも繋げられたみたいな倦怠感の他には何の不調もない。本当に風邪なのか……、そもそもが不信だったが、とは言っても体の調子がおかしいのは確かだし、ひとまず今は休むことしかできないだろう。
なんとなくいい匂いのする布団の中では落ち着いて眠ることもできず、ただぼんやりと、体を横にして起きていた。
しばらくすると、隣のベッドでパウルがもぞもぞと動く音が聞こえ始めた。
「うぅ……、だる……」
やがて上がったのは苦しげな声だった。その一声に妙な違和感を覚えて、僕はパウルの方に視線を向けた。
パウルはうつ伏せに倒れるようにして寝ていたが、そこから上体だけを起こし、乱れた長い金髪を掻きながら、ぼんやりとした表情で周囲を窺ったようだ。自然と、ベッドの上で寝転がっていた僕とも目が合う。
「んん……? ああ、ヨンか……」
僕がベッドの上にいるのを珍しく思ったのだろう、寝ぼけた様子の声でそう呟いた。
そして天井を見上げ、部屋の中をぐるぐる見回し、次に自分自身の胸に視線を落とし、何かを怪しむような、苦しい表情を浮かべ……。
そのおかしな様子を見て、僕はまさか、と疑った。……まさか僕達は、仲良く揃って風邪を引いたのかと。
何か恐ろしいものでも見るような顔で、パウルは僕の顔にぱっと視線を移した。
「ヨンお前、体の調子おかしくないか?」
僕は無言でその青い目を見つめ返す。何も言っていないのになぜ分かったのだろう。ひと目見ただけで分かるほど僕の顔はやつれているのか?
「……お前もか?」
僕は小さく聞き返した。パウルの目が見るうちに見開かれ、凍りついたような表情を浮かべる。
そして手で自分の口元を押さえて何かを考え込み始めた。……何だ? 風邪をひいただけでそこまで驚くことなのか。
やがてパウルはごそごそと身じろいでベッドの上にあぐらをかいたかと思うと、その姿勢で自身の胸にぐっと両手を当てて、顔を俯けて、小さく唇を動かした。
「……トレント。神聖なるトレントよ」
突然、祈り始めた。トレンティア人である彼は時折、そうして“神聖なるトレント”へ祈りを捧げる。
なぜいきなりお祈りなんてし始めたのかは分からない。ただ、その祈りを聞く時、僕の胸は嫌な感情でざわつく。
いくら愛国心は捨てたなどと強がっても、信仰までは変えられない……。そのことを――今は仲間として同行している彼が、れっきとした異国人であることを思い知らされるような気がして。
だけど次の瞬間、そうではないことに気付いた。パウルが祈りの言葉を口にした途端、彼の手元……その胸の上に、金色に光る魔法陣がふわりと浮かび上がったのだ。
見ただけで直感的に悟る。その祈りのように聞こえた文句は……、魔術を発動させる“呪文”にほかならなかった。
彼はその魔法陣を抱いて、目を固く瞑ったままじっくりと、何かを感じ入ってるようだった。数秒後、ふと切れた緊張とともにその魔法陣は立ち消える。
すぐにパウルは目を開けて、きっと正面の空中を睨んだ。
「……やっぱ血門に異常な影響が出てるな。これは、いやまさか……」
ぶつぶつと独り言を呟いた。何を言ってるのかは分からない。だが余計に嫌な胸騒ぎがした。
彼が僕の体調不良を瞬時に悟った理由……、彼が胸の上に浮かべた魔法陣。何かが繋がってしまいそうな気がした。
あまり聞きたくもなかったが、生憎自分の身体に関わることだ、無視するわけにもいかなかった。僕はパウルを睨みつけて言う。
「気色が悪いな。一体何だ」
パウルはよほど深く考え込んでいたらしい、僕の声を聞いてびくりとして目を見開いた。すぐに緊張したままの顔をこちらに向けたが、数秒だけ黙って、落ち着いたように目を伏せた。
「んん……、なんて説明したらいいのか……。いつか言っただろ、お前の体の中には特別な力があるって。俺も同類なんだが……、どうやらそれが変な作用を起こしている。お前も揃っておかしいなら、俺個人の不具合じゃない……、何か外的な要因……うーん……、これ以上はっきりしたことは分からないんだが……」
苦しそうに言葉を選んでいるのを聞けば聞くほど、嫌な胸騒ぎは大きくなっていった。いつか野宿していた河原で言われたことを、僕も曖昧には憶えていた。
もしかするとこの体調不良は、敵であるトレンティア軍から魔術で謎の攻撃を受けたせいなのではないか、なんてことも一瞬勘ぐったが……どうにも話が違う。原因は、もともと僕の体の中にある“力”……?
つまり、僕の中にある得体の知れない力、それはどうやら才能とかそういう話ではない、もっと明確な何かであるらしい。……ああ、思えば思うほど気持ちが悪い。
しかもそれが勝手に不具合を起こして体を狂わせたなどと聞けば、その気持ちの悪さ……、おぞましさと言ってもいいほどの悪寒はより一層強い。一体何だと言うのだ?
僕は相当青ざめた顔をしていたのか、パウルが慌てて言葉を付け足した。
「いやまあ、そんなにビビらなくていい。今自分で見た感じ、命に関わるようなことはない。……乗り物酔いみたいなものだ、時間が経てば“慣れる”だろう。問題を引き起こした要因の方が気にかかるといえば気にかかるが……」
そしてまたむにゃむにゃと言葉に迷い始めた。僕は苛立って、荒げたくなる声を抑えた。
「ハッキリしろ、つまりどうなるんだ」
僕の視線を受け止めて、しかしパウルの表情は苦しげだった。
「……体の不調はすぐ治る。だが……、もしかすると、ちょーっとだけ、面倒くさいことになるかもは、しれん」
「だからハッキリしろと言ってるんだ!」
そう詰め寄ると、ますますパウルは苦しそうに言葉を詰まらせて……、やがて苦し紛れのように胸を張って見せた。
「分かった。面倒くさいことには俺がさせん。お前は何も考えず、ただ任務を遂行すればいい。俺を信じろ」
そんな答えに納得する奴がいるか、なんて言いたくもなったが、その様子を見るにどうにも言葉にできないものがあるのは察せられた。すぐに言え言わないの水掛け論になる不毛な未来が見えて、僕はパウルを睨んだまま口を噤む。
パウルはきっと眉を吊り上げ、神妙な顔で言う。
「だがくれぐれも他のやつ……特にあのトレンティア人、ロードに血門を……、だからその、この影響で体調を崩してることは悟られるな。絶対に言うなよ。もしあいつにバレたらものすごーく面倒くさいことになる。いいな」
その顔も声も必死だった。言われるまでもなく、他人にしたい話ではない。
命にかかわるわけではない、時間が経てば治る。それが本当ならまだ幸いだが……、ああ、やっぱりなんとも気分が悪い話だ。
得体の知れない力が眠っている自分の胸を見下ろして……、ふと思い出したのは、故郷の村で医者をしていた養父の言葉だった。
「当たり前のように、ご飯を食べたり水を飲んだりして私達は生きているが、その時にこの体の中で何が起こっているのか、私達は自分の体についても何も知らないでいる。不思議だよな、それでも平然と生きているのだから」
……僕は、自分の体について何も知らないでいる。この中で何が起こっているのか、ずっと知らないままで生きてきた。
気分の悪さをぐっと飲み込むように、僕は自分の腹を押さえて俯いた。そんな僕を、パウルはどこかハラハラとした顔のまま覗き込んでくる。
「……一応お前の方も見てみていいか?」
「は?」
僕は咄嗟に短く悪態をつく。パウルは目を泳がせながら、しかし続けた。
「その、体の中の魔術。万一俺のと違う作用になってたら怖いから、確認したい」
思わずパウルを睨む目に敵意にも似た感情が混じる。体の中の……魔術? 魔術って何だ。体の中に魔術があるってどういうことだ?
とにかく嫌だ、体を触られるだけでも嫌なのに、魔術でどうこうされるなんて嫌すぎる。そう思ったのはほとんど生理的な直感だ。
しかしパウルの顔は不安そうだし、本当に彼の言う通り、魔術のせいで体の中がおかしなことになっていればたまったものじゃない。そして魔術の知識を持たない僕は自分でどうすることもできない。
……この男に、委ねるしかないのか、と腹をくくらざるを得なかった。
恐る恐る頷くと、パウルは真剣な顔で頷いた。
「人の体だ、下手をうつわけにいかんから……、悪いが、上だけでいいから服を脱げ」
言われるがままに、もともと着ていた寝巻きを脱ぐ。晒した素肌が震えるのは寒さのせいじゃない。戦場で嫌と言うほど血を浴びてきたこの僕が、まるで生まれたての赤子のようだ。
そしてそれをベッドの上に寝かせ、僕の胸の上に手を添える真剣な顔のパウルは、まるで医者みたいだった。また子どもの頃の記憶が脳裏によぎる。
ベッドから見上げたパウルの唇が、小さく開いた。躊躇うように言葉を選んでいる。
「……“神聖なるトレント”」
小さく呟くように、その言葉を先取りしたのは僕だった。ぎょっとしてパウルが目を見開く。
「同じように、そう言うのか」
悔しさに似た苦い感情を滲ませて、僕は皮肉を言って見せる。パウルは数秒黙ってから、どこか切なそうに眉を寄せた。
「……むやみにそれを口に出すな。魔力を扱い慣れてない者が血門を開くのは危険だ」
窘めるようなその声色は、やっぱりどこか悲しそうだ。口にした言葉は、意味も分からないはずなのに、不思議と……なんとなく理解できる気がしてしまった。
僕はそれ以上何も言わなかった。パウルは静かに、祈りの言葉を言い直す。
「神聖なるトレント……、汝が子に……、その進む道に、光を……」
なんとなく見ていたくなくて目を瞑った。途端に同じように魔法陣が浮かんだ、のだろう。体の中を、魔力のような感覚がじわりと動いて、胸の真ん中に集まってくるのを感じた。
……だけど不思議だ。いつも戦っているさなかに感じる悪寒のようなそれとは違って、いやに、温かい。
じわりと体の真ん中に集まる熱に、もともと怠かった体は急速に力を失っていく。戦場では研ぎ澄まさなければならない五感も、戦いの感触を刻み込んでいた四肢も、今は温かい大地に全部を投げ出す。
柔らかい風に包みこまれるように、意識はすうと眠りの世界へ落ちていく。この快さを表す言葉を知らないままに。
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