サーシェ

天山敬法

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第六章 親の願い

57話 仲間との集い

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 トレンティア兵との戦闘で受けた傷はまだ完治とは言い難かったが、トレンティア人を含む物騒な兵士の滞在を嫌った村人から追い出されるようにして僕達は早めにオーデルへ向かった。
 アルドは長く村にいる医者だ、村人からの信頼や尊敬は篤かったが……さすがにあのような騒ぎを起こした者を置き続けることはできない。村人からの苦情や非難を仲裁するのに苦労していたようで、そんな姿を見るのも心苦しかった。
 しかし僕がパウルに伴ってオーデルへ向かう道中には、もののついでとでも言うように、平然とした顔でアルドも同行していた。
「まあ、本格的な引っ越しは急がないが、ひとまず私もオーデルに滞在するよ。君達の言うことが本当なら近々戦争が起きるんだろう。医者の手は多い方がよさそうだし……、何より息子が戦いに行くのに私が隠れているというのもな」
 そんなことを言って、彼も彼なりに意気込んでいるようだ。そんなアルドを見るパウルの顔は、やっぱり気色の悪い、穏やかな微笑みだった。
「ありがとう……ございます。俺も仲間として歓迎しますよ、サーシェ」
 二人のやりとりを聞いていると、父であるアルドはともかく、パウルにまでひどく子ども扱いをされているような感じが以前にも増して、据わりが悪いったらありはしない。こちらは対等な仲間のつもりなのに、なんて恨み言を言いたくもなる。
 しかしパウルは実際自分より二十近く歳上だし、その戦力や知識も、まあ、認めるのは癪だが、上だろう。年齢なんて追い抜かせるものでもないし、仕方がないことなのかもしれない……。
 そのパウルも、しかしオーデルに入る時になると余裕をなくした。なにせ彼は紛うことなきトレンティア人である。その顔を隠したがったが、警戒心の強いオーデルの警備兵がそれを見過ごしてくれるわけがない。
 下手に隠すよりレジスタンスとしてはっきり顔を出し、ルヴァークに説明をするべきだ。既にグリスという前例があるし、僕とアルドが身元を保証すればとって殺されはしない。そうなんとか説得したものの、その表情はものすごく不服そうだった。
 そうしてパウルの顔を警備兵に突き出し、僕と同じようにルヴァークの元……、オーデルレジスタンスの本部へと連行されてからは話がめまぐるしく進んだ。
 まず僕を驚かせたのは、そこにいるとも思ってなかったジュリの姿がルヴァークの元にあったことだった。
 ばちりと顔を合わせた時、お互いに怒り驚きを露わにする。
「なんでこんな所に……」
「なんで怪我してるんですかああ!」
 それは僕の頭や頬にある治療の痕を見てそう叫んだ。そういえば怪我なんてする予定は無いと言って出てきたんだった。
「いつですか!? 傷見せてください! ちょうど治療術の陣がありますから! 一体なんで、どうして……、切り傷? 打撲? どこで怪我して……」
 わあわあと言いながらジュリは僕の頭を弄ろうとしてくる。その勢いに圧されて、椅子の上に座らされた。
「村でトレンティア兵と交戦して……、いや治療はもうしてあるからいい、あとは放っといても治るから。触るな、大袈裟だ」
 なんとかジュリの接触を拒もうとする僕に、しかし彼女は虎視眈々と猛攻の隙を狙っている。
 睨み合う僕達を、少し離れた場所から呆れた顔で眺め……、やがてパウルはわざとらしく咳払いをした。驚いてそちらに視線をやったジュリが、また更に驚く。
「わああパウルさん!? 戻ってきてたんですか!」
「ああ、ちょうどヨハンが村にいる間にこっちに追いついて……。嬢ちゃんは相変わらず元気そうで何よりだ」
 ジュリに挨拶を言うパウルは、少し呆れたような皮肉ったような調子だが、それでも微笑みを浮かべていた。
 ああ、元気……というか、いつも通り騒がしくて表情豊かなジュリを見るとなんだか安心する、それは僕も同感だった。
 再会を喜ぶ僕達を眺めつつ、今度はルヴァークが咳払いをした。
「アルティヴァ・サーシェ、同志との出会いに感謝します。それからアルド殿まで来ていただけて、ありがたく思います。……このトレンティア人はヨンの仲間だと聞きましたが、グリス同様元軍人ですか」
 パウルは最初ルヴァークの姿を見て目を丸くしたようだった。レジスタンスの隊長だと言うから、もっと逞しい男を想像していたのだろう。彼は話題に出されて、気だるそうにルヴァークの方へ向き直った。
「サーシェ。お察しの通り元軍人には違いないが、グリスとは違って軍を離れたのは十年以上も前のことだ、ズミとの戦争に参加した経歴はない。レジスタンスでは“魔術師”で通っていたよ」
「魔術師……、というとあなたが……」
 ルヴァークは少し驚いたようだった。僕も椅子の上からそちらを見る。
「前に話した、パーティル戦で一役買ったあの魔術師だ。トレンティア人には違いないが信用できる」
 僕の言葉を受けて、ルヴァークは不躾にパウルの顔をじろじろと見ていた。そうは言ってもトレンティア人である、彼らに夫を殺された彼女が簡単に気を許すこともできないのは当然だろう。
 パウルもその視線から逃れるように顔を背けた。
「恐らく数日中に、パーティルから上がってきているヒューグ隊が到着する。元ズミ国軍の将軍、モルズという男が率いる部隊だ。俺は単独で先行してきただけだ、詳しい話はそいつとすればいい」
 どこか投げやりな調子でそう言う。ルヴァークは「ふむ」なんて相槌を打っただけで、それ以上パウルに構う気はないようだ。次に彼女が視線を向けたのはアルドにだった。
「アルド殿、来ていただけでありがたいですが、病院の予定地の整理はまだ済んでいなくて。事前に連絡をいただけましたら取り掛かっていましたのに」
 アルドはぎょっと驚いたように飛び上がって、慌てて首を振った。
「そんなそんな、お構いなく。そんな予定地を用意してもらってるだけで恐縮です」
「建物はありますので、中を片付ければ使えるようにはなると思います。手の空いてる兵士に手伝わせましょう」
「いやいやいや、そんなお構いなく。オーデルにはオーデルの施療所があるでしょう、とりあえずはそこで手伝いをさせてもらえたら、病院の整理は急ぎませんから」
 そう恐縮し合っている。やはり医者というのはどこでも歓迎されるものらしい。なんとなく、傍でぼうっとやりとりを眺めているジュリに視線をやった。彼女も回復の魔道士だから医者のようなものだろう。
 今までは戦闘に巻き込むのも嫌で外に出していなかったが、町にいる部隊との協力となると、彼女にも治療師として参加させることを考えた方がいいのかもしれない。
「これからオーデルは戦場になる、兵士の手を割くのも悪いだろう。その病院の片付けとやらは俺達が手伝おう」
 横からパウルがそう割って入った。アルドとルヴァークが同時にパウルの方を振り向いた。しかしルヴァークの顔だけは怪訝である。トレンティア人なんかに任せて大丈夫か、という不安が隠れもしていない。
 慌ててアルドが頷いた。
「え、ええ、そうしてもらいましょう。ルヴァークさん、大丈夫です。息子もいますから、あとはこちらでいい感じにやりますので」
 アルドがそう言うのなら、という様子でルヴァークは特に異議は言わなかった。
 そういうことに一旦話は纏まり、僕の最初の任務はアルドの病院予定地の片付けになった。
 他に連絡事項がないことを互いに確かめた後、ルヴァークに案内されてその予定地へ赴く。息子である僕と、手伝うと言い出したパウルに伴って、特に声をかけられたわけでもないがジュリも当然のようについてくる。
 そして辿り着いた場所を見て、僕もアルドも唖然とした。病院と言っても、ルベルにあったようなささやかな家屋を想像していたが、案内された建物は想像の二倍ほどは大きかった。
 二階建ての家屋は本棟はレンガ造りで、後から付け足した様子の木造の家屋部分が連なっていて、敷地を囲う石塀の内側には庭のような部分も広い。今は使われていない様子で、その庭部分も荒れ果ててはいるが……。
「もともとオーデルに住んでいた貴族の方から寄進された住居なのですが、軍の施設にするにしては手狭でしてね。アルド殿が使っていただけたらちょうどいいかと思いまして。今は物置状態……中には不要な物資などが積んでありまして……ほとんど廃棄にはなると思うのですけど、気になるものがありましたら纏めておいていただけるとなるべく早くに回収するようにします」
 ルヴァークはそう案内をしてくれた。
「案内ありがとうございます、ルヴァークさん。あとは自分達でやります。お忙しいところ本当に恐縮です」
 アルドはそう言ってルヴァークに頭を下げる。ルヴァークも淑やかに礼をし、いくつか挨拶をしてから足早に本部へ戻っていった。
 その場に残った者達で、改めてその大きな建物を見上げて感嘆してみたりする。中も恐らく荒れているのだろう、これを片付けるとなるとなかなか骨が折れそうだ……。
 ハッと思い出したようにジュリが言った。
「あ、そうだ、フェリアを連れてきます! 力仕事ならいた方がいいですよね」
「ああ、それはそうだな。俺の不在の間、変わりはなかったか?」
 ぼんやりとパウルが言う。ジュリは元気よく頷いた。
「はい。ずっと私の護身をしてもらってました。特に戦闘があったりもしませんし、普段通りです」
 そんなことを言うジュリを、僕は少し恨めしげに目を細めて睨んだ。
「……というか、今更だけど君はレジスタンスの本部で何してたんだ? フェリアも伴わずに……」
 ジュリもむっとして睨み返してくる。
「別にいいでしょう。適当に過ごしとけなんて言ったのはあなたじゃないですか。……ヨンがオーデルに戻ってくるとしたら、たぶん軍に動きがある時だと思ったので、時々様子を聞きに行っていただけです」
 そう言われればそれまでだった。さすがに何日も一人で過ごせと言ってしまえば彼女だって自分で考えていろいろ行動もするだろう。
 まあ、こうして元気の無事で再会できたのだし何でもいいか、なんてすぐに自分で切り捨てて、僕は適当に相槌を打った。
 なんとなく不機嫌な顔で睨み合った僕達の間に、パウルが呆れ顔で入ってくる。
「こらこら喧嘩するな、さっさと仕事するぞ」

 やがて宿屋からジュリがフェリアを連れてきて合流する。その美しい女性の姿を見てアルドも目を丸くした。
「こいつは魔法の力で動いている魔道人形というやつです。トレンティアでは禁術扱いなんですが、どうもズミでその技術が流出してしまっているようで……、拾ったついでに使っています。この見てくれですが人間の首を素手で吹っ飛ばすほどの腕力があります」
 アルドには隠すつもりもなかったらしく、パウルは苦そうな顔でフェリアを紹介した。アルドは当然驚いたようだが、打つ相槌も分からないというような様子で唖然としていた。
「今のところは俺の命令で動くようになってますが……、まあ力仕事ならこの人形を頼ってください。フェリア、いいか? この家の片付けが今回の仕事だ、先生の言う事しっかり聞けよ」
 パウルに命令され、フェリアはきょとんとして目を瞬かせた。
「ええ、分かったけど……、この先生という方は誰?」
 平然と尋ねている様子は、やはりまるで人形とは思わせない……精巧な人形だ。
「ヨハンの親だ。名前はアルド」
「ヨハンの、親」
 パウルの答えを、フェリアは口に出して繰り返した。一瞬だけ目が僕を向いたが、僕は特に振り向かない。
 それを横から見ていたジュリが、控えめに声をあげた。
「あの、アルド先生。そういえば私まだご挨拶をしてませんでしたよね。ジュリ・ニスカ・リューノと言います。王都に住んでいた魔道士で、回復魔法を使って衛生兵をやっていました」
 ジュリの言葉にはアルドも当然興味を惹かれたようで、ほう、と大きく感嘆の声をあげた。
「回復魔法! そうか、魔法という技術にはそういうものもあるんだな。それは興味深い、ぜひともいろいろ話を聞かせてほしい」
「は、はい。私もズミの伝統医術については浅学ですので教えていただけると嬉しいです」
 やはり医者同士だ、意気投合するのも早そうだな、なんて思って僕は二人を眺める。……父とジュリが並んで話している様子を見るのは、なかなかに変な気分だ。
「ジュリは見ての通り若い魔道士ですが、腕は確かですよ。ヨハンも何度彼女に助けられたことか」
 パウルはそう呆れた顔で笑ってみせた。僕は彼らから目を逸らした。
「それは……、うちの息子が本当にお世話をかけまして……」
「い、いえそんな! 私こそヨン……えと、ヨハンさんには何度も助けてもらいましたから……」
 そんな恐縮するようなことを言ってるのは社交辞令というものだろう。何がヨハンさんだ、なんて憎まれ口を胸の内だけで零した。
 ……父が一緒にいてくれるのは単純に嬉しいけど、こうして仲間の中に混じって僕のことをあれこれと言うのは少し煩わしい。
 だけどもし、この戦争のさなかであっても、この場所を住居に定めるようなことがあれば……こんな風景ももしかしたら日常になっていくんだろうか。そんな想像を少しだけ馳せた。……いや、今は目前に戦闘が迫っているのだ、余計なことを考えるのはやめよう。
 ともかく僕達はその荒れた家屋の片付けに取り掛かった。中には物資が積んであるという話だったが、入ってみると空いている場所が存外に多い状態だった。
 壁や天井が壊れている様子はないが、どこから吹き込んだのか床は砂っぽく汚れている。窓の雨戸は閉められていたが、開けようとするとそこに溜まった埃や蜘蛛の巣の量に思わず感嘆の声が出る。
 そんな寂れた様子の中、使い古された家具が放置されていたり、確かにルヴァークが言ったように布や木材が入った木箱が整理もされず積み上がっていたりする、広く静かな廃墟だった。
 まずはとにかく積み上がった不要なものを外に出すことにして、僕達はめいめいに作業に励む。フェリアは当然、鉄材が入っているような箱でも軽々と持ち上げていく。パウルが運び出すのも、大きめな木箱や壊れてひっくり返った家具などである。
 アルドが同じようにしようとすると、パウルに止められる。
「ああ先生、力仕事は俺達に任せといてください。病院にするなら内装を考えなきゃいけませんからそのへんの作業をお願いします」
 アルドにとってはもしかすると年寄り扱いされたようで不服かもしれないが、それもそうである。病院にするなら医者である彼のやりやすいように、部屋の配置や内装を早めに決めておかねば片づけの効率も悪い。
 アルドは少しだけしゅんとして、言われるまま部屋の間取りを眺めながら考え事を始めたようだ。
 僕もパウルと同じく、なるべく力がいる作業を先にやるようにして、フェリアやパウルとはなんとなくそれぞれ場所を分かれて資材を弄り始める。
 ジュリはというと、さすがに力仕事を率先してやる様子はない。部屋に無造作に散らばっているものを寄せたり、雑貨用品が入っている箱の中身をこまごまと検めたりしている。時々は重たそうな箱を少し動かそうと頑張る様子があるが、それを見るたび少しハラハラとしてしまう。
「あ痛」
 小さくそう言ったのを聞いて、僕はそちらへ歩み寄った。床に屈み込んで何かの木箱を弄っているようだったが、棘でも刺さったのか、自分の手の平を見つめていた。
「怪我した?」
 そう声をかけて後ろから近付くと、驚いてこちらを振り向き、しかしすぐに目を逸らして、開いていた手の平も下へ向けて隠してしまった。
「え、いや、大丈夫です、何でもないです」
「痛いって言っただろ。ちょっとした傷でも残ったらよくないから」
「なんともないですって、ほら」
 ジュリは少し頬を膨らませて、こちらにその手の平を見せてきた。僕もすぐ隣に屈み込んでそれを見て、やがてその細い指に吸い込まれるように、そこへ自分の手を伸ばす。
 本当に怪我はないのか確かめようと思ってその手を触った。砂っぽい場所で作業をしていたせいか、その表面はかさりと乾いた様子で……。
 ジュリは僕に手を触られても嫌がる様子はなかった。そのうちに僕はこみ上げてきた熱い衝動に駆られるように、その手を握り込む。……ああ、やっぱり他の男に触らせたくはないな、なんて思いが零れた。
「あの……、ヨン?」
 さすがにジュリは戸惑ったような声を上げたが、振りほどくようなことはしない。もう少しだけ、その手のぬくもりを味わっていてもいいだろうか……、そんなことを思いながらも、ぽつりと言った。
「……マメができてる」
「え」
 手を握ると、その硬い感触がすぐに分かってしまった。
 握っていた指を解いて、その手の平を開いてまじまじと見る。指の付け根のところが硬く腫れている。それをじっと見ていると、ジュリは少し恥ずかしそうにして目を逸らした。
「ああ、これはその……。ちょっと練習をしてて。その、弓の」
 そんなことを言ったのを聞いて、僕は呆気にとられてしまった。……弓の練習? ジュリが? 驚いた顔をした僕を見て、ジュリは何か言い訳でもするような調子で言う。
「ほ、ほら、気が向いたらやってみたらいいとかヨンも言ってたじゃないですか。一人でオーデルにいる間暇だったんですよ。それで、ルヴァークさんとかに教えてもらって……。あの人も凄いですよ、女性なのにすごく弓が上手くて」
 そう言われたら、そういえばそんなこと言ったような気がする、なんて曖昧な記憶を思い出す。
 まさか本当に触り出すとは思っていなかった。なんとも言い難く、僕はまたジュリの手の平を見て、それを揉み込むような格好で指を這わせた。せっかく綺麗な手なのに、なんて言葉を言いたくなる。
「……あんまり無茶はするなよ。怪我とかしたら……よくないから」
 そう呟くように言うと、ジュリの顔は呆れてしまった。
「頭に包帯巻いて帰ってきた人に言われましてもね……」
 それを言われると何も言い返せなかった。僕はぐっと言葉に詰まる。
 ジュリは仕方なさそうにため息をついたが、やはり手はされるがままに僕に預けていた。そのうちに乾いた手の平が少しだけしっとりとしてきた。
「ヨハンお前……」
 突然頭上から降ってきたパウルの声に、僕は驚きおののいて反射的にジュリの手を離した。驚いたのはジュリも同じようで、飛び上がるみたいにして立ち上がって、脇にあった木箱の山に頭をぶつけた。
「いやおい気を付けろよ。急に声かけて悪かったな」
 パウルは呆れた顔でジュリに声をかけた。ジュリは相槌ともうめき声ともつかない声をあげながら……、顔を真っ赤にして焦っていた。パウルはそれを無視して僕に視線を向けてきた。
「もうそういう反応いいって。なあヨハン、先達としてアドバイスしてやろう。女を大事に思うならむしろ、護身術を身に着けさせるぐらいのつもりでいたほうがいいぜ。家の奥にしまっておきたい気持ちも分かるがなあ……」
 軽い口調でそんなことを言い出す。僕はじっとりと目を細めてその顔を睨んだ。
「このご時世、どこ歩いてたって安全とは限らんし、男だって四六時中ずっと隣にいて守ってやれるわけでもない……仮にできたとしてもそんなもんは籠の中の鳥と同じ、束縛するほどに逃げていっちまう。女には自由にさせてやったほうがいい、それが戦う力を求めることであってもな。嬢ちゃんもあのルヴァークとかいう女傑に倣う気が出てきたんならいい傾向だ」
 そう語ってからからと笑って見せた。僕はルヴァークの姿を思い出した。剣を携えていたのは知っていたが、弓もできるらしい。
 自ら武器をも扱い、レジスタンスの部隊を率いる逞しい女傑、それはきっと男の名を名乗るに相応しい猛者であろう。
 あれにジュリが倣ってしまうのか、なんて想像をすると……、ちょっと想像がつかなかった。
 僕は誤魔化すようにため息をついた。
「そういうお前は……。妻にもそんなこと言って戦わせてたのか?」
 呆れた口調で聞いてやる。確か彼には結婚の経験があったはずだ。……今はその影は見えないので、どう別れたのかは知らないが……。パウルはむすっとして視線を逸らした。
「残念ながら俺の妻は自由にさせても武器を取るほどの豪胆さは無かったな。妹なんかとはよく戦闘魔術の稽古をしていたが……」
 僕はただ呆れた顔で項垂れた。ジュリはなおも顔を赤くしてあたふたと視線を泳がせている。それを見てパウルもまた呆れている。
「ったく、いつまでも初々しいな。なあお前らもしかして、俺がいない間何も進んでないのか? え、ほんとに? この半月二人っきりでいて? なんにも? え?」
 僕もとうとう我慢できずに声を荒げた。
「うるさい! 仕事の続きをするぞ」

 最低限建物に出入りできるよう通路を片付けると、始めに整えにかかったのは、病院ではなく住居の部分だ。レンガ造りの建物から廊下を渡って木造の家屋部分に入ると、そこには机や棚など、使えそうな家具類が意外と残っていた。
 ベッドもいくつかあったが、布団部分は古くなっていて使えそうもなく、枠だけを残して捨てることにする。寝具は町で調達できそうだし、あとは台所のかまどに詰まったゴミさえ片付ければ最低限の寝泊まりができる家にはなりそうだった。
 そう目処を立ててフェリアとパウルとで家の中を駆け回っているさなか、来客があった。
「ルヴァークさんから、ヨンがアルドさんを連れて戻ってきたって聞いて」
 そう言ってやってきたのはティガルとグリスだった。やることはまだいくらでもあったが、根を詰めすぎてはいけないからと、僕達も一度休憩をとることになる。
 といってもまだ片付け途中の家に落ち着ける場所はない。適当に整理しただけの木箱のうち、頑丈そうなものの上にめいめい座って、適当に買ってきたパンと飲み物とをつまむだけの粗野な会食になった。
 そんな中、念願のパウルに会えたグリスの目は潤んでいた。
「ああ、生きてたのか」
 グリスを見たパウルの反応は僕と同じだったが……グリスにとっては、異国の地で命の危険に晒されながら孤立した中、ただ金髪の同胞に会えただけで感無量らしい。
「分かってる、帰りたいなんて言ったって叶わないことは分かってる。だけど懐かしくて、国の家族はどうしてるだろうなんて、なあ、お前は思わないのか。俺、もう心細くて……。なあ、パウルとか言ったっけ。トレンティアの話をしよう。お前のふるさとはどのあたりなんだ……」
 涙の滲んだ声でパウルに語りかけていた。その心中たるや敵国人ながら同情してしまうほど悲痛なもののようだが、僕の立場でかけてやれる言葉はなかった。
 パウルも呆れたような困ったような顔でむずむずとしている。
「ま、まあ……、俺も最初はそうだったかもしれんが忘れちまったな。もうこっちでの生活も気に入ってるし、今更トレンティアに帰っても居場所ないしな……。だが、こないだ仕事ついでに旅行というか、ちょっとベルタスまで帰ったんだが……、やっぱ帰ってみると懐かしい心地がするもんだ」
 そうさらりと言ってのけたのを聞いて、グリスは目を見開いて驚いた。
「か、帰った!? ベルタスに!? い、いいなあ……ってか帰ったのにまたズミに戻ってきたのか!?」
「俺にとってはとっくにこっちが本国なんだよ。お前も生きてりゃそのうち慣れるさ。住めば都って昔から言うだろ」
「町中でずっと顔を隠してなきゃならん都なんて永遠に慣れねえよ! ああ、帰りたいな。お前が帰れるんなら俺も無理かな?」
「うーん……、俺がコネのある貴族に頼めば帰すぐらいはもしかしたらしてくれるかもしれんが……、勝手に軍抜けて帰ったらどっちみちしょっぴかれるんじゃないのか?」
 グリスはがくりと項垂れて泣いた。
「うう……、でも、じゃあお前はどうやって帰ったんだ。しょっぴかれなかったのか」
「そりゃ堂々と名前出して帰ればしょっぴかれただろうよ。名前も身分も偽って、もちろん帰ったところで家族になんて会えやしない……。そんな帰省でよけりゃあ案内してやるぜ?」
 冗談めかして言ったパウルの目は、しかしどこか切なそうだった。
 僕は今更になって、トレンティアで彼と過ごしていた時のことを思い出す。そんな気配は少しも見せなかったが、確かにあの町が彼の故郷だったのなら、彼が残してきたであろう家族もすぐ近くにいたのではないかと……。親も、妻も、もしかすると子どもも。
 グリスは苦しげに呻いたが、横からティガルが呆れた声を出した。
「いや、こいつはまだ俺達の捕虜なんだから、勝手に帰省させてもらっちゃ困る」
 それもそうか、なんて零してパウルは軽く笑った。グリスは笑う気にもならないだろう、ただぐったりと俯いて涙を流しているようだった。
 そんな彼へ、パウルは穏やかに笑いながら酒瓶を向ける。
「まあ飲めよヘルマン。慈愛深きレインの恵みはズミにいても同じさ、うまいもん食って笑って泣いて過ごしてりゃあそのうちいいことあるさ」
 トレンティアの神の名前を交わす彼らの間には、トレンティア人にしか分からないものがあるのだろう。ティガルなどは想像もつかないのか、ずっと呆れた様子の顔だが……、僕は少しだけ身につまされるような気がした。
「……俺の名前、覚えてたのか」
 ヘルマン、というファーストネームを呼ばれたグリスがそんなことを言って顔を上げた。
「物覚えはいい方なんでね」
 パウルは軽く笑う。しかしその酒をコップに受け取って飲んだあと、グリスは感極まったようでまた涙を流しながらパウルに抱きついてしまった。
 グリスは恐らく三十手前という年齢であろう、男が泣きながら男に縋り付いている様は、傍から見る分には滑稽であるが……二人の間には確かな感動があるのだろう。パウルも片手でその背を撫でて「よしよし」なんて子どもをあやすみたいな声をあげていた。

 抱き合うトレンティア人の男二人を置いて、他の者は他の者で近況を語り合う。
「先生も久しぶりです。村から離れて急にこっちにくるなんて驚きましたよ」
 ティガルは力強く微笑んで言った。アルドはいやあ、なんて笑って頭を掻いていた。
「村にいたい気持ちもあったんだが……、やっぱりいろいろ考えることもあってなあ。ティガル君も見ない内に立派になって……。ヨハンとも仲良くしてくれてるようで安心した」
 そんなことを言われて、僕とティガルは顔を見合わせ、お互いに苦い表情を浮かべた。……仲良くしている、か……? ティガルはやがてむずかゆそうに眉を寄せた。
「まあ、仲良くというか……、今はレジスタンスの仲間だと認めてる。先生は知ってますかね、こいつめちゃくちゃ強いんですよ。こないだ手合わせをしたけど全く敵わねえ」
「ああ、私もヨハンの腕は見たよ。本当に驚いた……」
 褒められているようなそうでもないような……変な心地がして僕は仏頂面のまま黙っていた。
 そんな僕へ、ティガルがふいに神妙な顔を向けてくる。
「……子どもの頃は俺も、俺の家族とかも、お前に結構酷いこと言ってたと思うけど……、なんつうか、まあ今更って言われたらそうだけど……悪かったよ」
 そして気まずそうにそんなことを言ってきた。フン、と僕は突っ慳貪な息を吐いて目を逸らしてやる。
 今更だし、それは僕が強くなったから初めて言えたことだろう。強い者は認めるが、弱い者は虐めていい……そんな根性は何も変わっていない。
「今更昔のことをどうこう言ったって無意味だ。今は敵を倒すために協力が必要だ。それだけでいい」
 無言でいるのも何だと思って、素っ気なくそう言った。ティガルは少し真剣な表情を強めて頷く。
「……ああ、あの頃の俺は、俺達は、本当に憎むべき敵から目を逸らしていただけだ。俺は弱かったんだ。今はもう負けねえさ、あんな侵略者どもに……」
 そう意気込んで見せたのには、ちらりとだけ一瞥をくれてやった。
 しかしティガルはすぐにころりと表情を切り替えて酒を飲んだ。
「そういえば、この家が片付いたらヨンもここに住むのか?」
「ん……まあ、オーデルにいる間はそうなるかな」
 まだ不透明な将来のことはあまり考えず、僕はそんな曖昧な返事をする。身分が不安定なのはお互い様だ、ティガルもそう深くは考えないだろう。
「そうか。まあ一応でも家はあったほうがいいよな。奥さんだってちょっとは楽になるだろ」
 そしてそんな軽口を言いながら向いた視線の先は……、端っこでちびちびと酒を飲んでいるジュリだった。
 一瞬だけ思考が凍りついて、ジュリも戸惑った様子でこちらを見て、アルドが目を丸くして僕達の顔を見回した。……そういえば、前にティガルに会った時は咄嗟の話で、ジュリが僕の妻という設定になっているのだった。
「え、奥さんて、え? ヨハン?」
 驚いたのは寝耳に水のアルドだろう。目を白黒させながらこちらを見つめてくる……やっと話を察したらしいジュリが勢いよく咳き込む。さすがの僕も冷静さを失って頭を片手で押さえた。
「いや、すまん、ティガル。あれが僕の妻だというのは嘘だ。うまい説明が思い浮かばなくてその場は適当にそういうことに」
 そう言うと、当然ティガルは驚いて、あわや木箱の上からひっくり返りそうになった。
「はああ!? なんだそれ! 俺てっきり……、えっいや、じゃあ何だよ! あの子お前の何だよ!?」
「何って、何でもないけど……、その、彼女……ジュリはああ見えて回復の魔道士……まあつまり医者みたいなもので、治療師として連れていたんだ。魔道士なんているだけで目立つからあまり表に出したくなくて」
 柄にもなく饒舌になってなんとか説明する。ティガルは驚いたまま、眉を変に動かしてただ戸惑っていた。
「はあ……、じゃあ何、やっぱりお前まだ独身?」
「……そうだよ、結婚なんかできる身分なわけないだろ」
 僕はぐったりと項垂れて言った。ティガルは気の抜けた顔になってため息をついた。そりゃそうだよな、なんて呟いている。
「そうか……、俺結婚まで先越されたと思ってすげー敗北感だったんだけど……、そこはまだ負けてなかったか……、ふう、安心したぜ。まあレジスタンスなんて不安定な立場だけど、お互い頑張ろうな、ヨン」
 そんなことを勝手に言い始める。知ったことじゃない、勝手に頑張れば。なんて少し言いたくなったけど、舌打ちひとつで片付けてやった。全く、酒が進んでいるせいか騒がしくて仕方ない。
 僕とアルドは酒に手を付けず茶を飲んでいる。だけど酒飲みに囲まれて騒いでいるとまるで一緒になって酔っているような気分だ。会話から逃れるように茶を啜りながら、その椀の奥の面々を何気なく眺めた。
 トレンティア人も、ズミ人も、その混血も、そして置かれた立場もそれぞれ違う者同士が、こんな所で集まって飯を食ってるんだから奇妙なものだ。
 その感慨は決して快い感情でもなく、かといってただちに悲惨なものでもない……、ただ奇妙なものだった。
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