5 / 74
第5話 ベアトリス、甘いものの後は、やっぱりお肉が食べたい!
ベアトリス=ローデリア、十五歳。王都学院に通う金髪の伯爵令嬢であり、スイーツと並んでこよなく愛するものがある。
それは――肉。とびきりジューシーで、香ばしく焼かれたお肉。
「ふぅ……このローストチキン、悪くないわね。でも、もっとこう、魂に響く肉が食べたいのよねぇ……」
学院食堂の昼休み。スイーツには満足したものの、肉欲が満たされぬまま、ベアトリスは不満げにフォークを置いた。
その瞬間、彼女の脳裏に浮かんだのは、筋肉隆々で肉に詳しそうなあの男――
「アルフレッド!」
学院騎士団の筆頭候補にして、侯爵家の令息。鍛え上げられた体躯と自信満々の笑みが印象的な彼のもとへ、ベアトリスは一直線に向かった。
「ねえアルフレッド、あなたって美味しいお肉に詳しいでしょ? どこかおすすめないかしら?」
「……肉? 肉が食いたいのか?」
「そうよ。できれば、魂を揺さぶるような、肉の極地……!」
アルフレッドは腕を組み、誇らしげに頷いた。
「ならば――“火山地帯の紅炎ドラゴン”。あいつの尾肉は絶品だ。濃厚な旨味に、弾力、そしてたぎるエネルギー……王国最上級の肉と言われている」
「ドラゴンステーキ……!」
ベアトリスの瞳が輝いた。
そして――
「決まりね。今週末、ドラゴン狩りに行きましょう!」
その場にいたランスロットはスプーンを取り落とした。
「また急だな君は……だが、面白そうだ。同行しよう」
かくして、「ドラゴンステーキ遠征隊」が結成された。
数日後、火山地帯「ヴァル・バロス」の麓。
燃えるような岩肌と硫黄の香りが漂う地に、三人の姿があった。
「ふぅ……暑いわね……でも、肉のためなら我慢できる!」
ベアトリスは白い冒険服をまとい、ミルフィーユ・ロッドを手に火山地帯を進んでいた。アルフレッドは巨大な剣を背負い、いつものように筋肉が光っている。
「ドラゴンの巣はこの先だ。注意しろ、紅炎ドラゴンは魔力耐性が高く、並の攻撃じゃ通じない」
「任せなさい。私の《フレイム・パフェ・バースト》で、奴を飴細工にしてあげるわ」
「……火属性に火属性で挑むつもりか?」
「ふふ、細かいことは気にしないで♪」
そうしてしばらく進んだとき、突如として大地が揺れた。
ズシン、ズシン――地響きと共に、岩山の頂から現れたのは、巨大な翼を持つ紅き獣。
全長十五メートル。瞳は黄金に輝き、尾は鎌のように鋭い。
紅炎ドラゴン――この地の覇者である。
「グォォォオアアアアッ!!」
「きたわね! さぁ、狩りの時間よ!」
ベアトリスが先陣を切って飛び出す。ランスロットが後方から魔法陣を展開し、アルフレッドが突進する!
「喰らえ、《マッスル・チャージ・スラッシュ》!!」
アルフレッドの剣がドラゴンの鱗に直撃するが、傷は浅い。
「ぬぅ、固い……!」
「だったらこっちは――《クリーム・フレア・キャノン》!」
ベアトリスのロッドから、甘くて熱いクリーム状の魔力弾が放たれる。直撃したドラゴンが、たまらず火山のふもとへ飛び退いた。
「よし、怯んだ! ランスロット、今よ!」
「了解。――《エレメント・チェイン:氷雷結界》!」
雷と氷が交錯する魔法が放たれ、ドラゴンの動きが鈍る。そこへ――
「《とっておき、トリプルミート・ジャッジメント!!》」
ベアトリスの魔法が炸裂し、ドラゴンの尾に直撃。肉厚の尾が弾け飛ぶ。
「よしっ、肉は確保したわ!」
怒りに燃えるドラゴンが咆哮を上げるが――そこへアルフレッドの剣が再び閃いた。
「《ファイナル・プロテイン・ブレイク!!》」
一撃――ドラゴンが崩れ落ち、大地が静寂に包まれる。
「……終わったな」
「ふぅ、スイーツもいいけど……たまには肉の味も悪くないわね」
その夜。
王都の屋外バーベキューテラスにて、三人はドラゴンの尾肉をじっくり炭火で焼いていた。
「おお……なんという香りだ……!」
「旨味の暴力ね……この肉、王国でも一級品よ!」
「……わるくない。いや、最高だ」
三人はその夜、肉と勝利の味に酔いしれた。スイーツだけじゃない、肉の絆が新たな冒険を生み出す。
次なる舞台は――“天空のアイスドラゴン”!? それとも“幻のベーコン山脈”か?
ベアトリスたちのグルメ探究は、まだまだ続く――!
(つづく)
それは――肉。とびきりジューシーで、香ばしく焼かれたお肉。
「ふぅ……このローストチキン、悪くないわね。でも、もっとこう、魂に響く肉が食べたいのよねぇ……」
学院食堂の昼休み。スイーツには満足したものの、肉欲が満たされぬまま、ベアトリスは不満げにフォークを置いた。
その瞬間、彼女の脳裏に浮かんだのは、筋肉隆々で肉に詳しそうなあの男――
「アルフレッド!」
学院騎士団の筆頭候補にして、侯爵家の令息。鍛え上げられた体躯と自信満々の笑みが印象的な彼のもとへ、ベアトリスは一直線に向かった。
「ねえアルフレッド、あなたって美味しいお肉に詳しいでしょ? どこかおすすめないかしら?」
「……肉? 肉が食いたいのか?」
「そうよ。できれば、魂を揺さぶるような、肉の極地……!」
アルフレッドは腕を組み、誇らしげに頷いた。
「ならば――“火山地帯の紅炎ドラゴン”。あいつの尾肉は絶品だ。濃厚な旨味に、弾力、そしてたぎるエネルギー……王国最上級の肉と言われている」
「ドラゴンステーキ……!」
ベアトリスの瞳が輝いた。
そして――
「決まりね。今週末、ドラゴン狩りに行きましょう!」
その場にいたランスロットはスプーンを取り落とした。
「また急だな君は……だが、面白そうだ。同行しよう」
かくして、「ドラゴンステーキ遠征隊」が結成された。
数日後、火山地帯「ヴァル・バロス」の麓。
燃えるような岩肌と硫黄の香りが漂う地に、三人の姿があった。
「ふぅ……暑いわね……でも、肉のためなら我慢できる!」
ベアトリスは白い冒険服をまとい、ミルフィーユ・ロッドを手に火山地帯を進んでいた。アルフレッドは巨大な剣を背負い、いつものように筋肉が光っている。
「ドラゴンの巣はこの先だ。注意しろ、紅炎ドラゴンは魔力耐性が高く、並の攻撃じゃ通じない」
「任せなさい。私の《フレイム・パフェ・バースト》で、奴を飴細工にしてあげるわ」
「……火属性に火属性で挑むつもりか?」
「ふふ、細かいことは気にしないで♪」
そうしてしばらく進んだとき、突如として大地が揺れた。
ズシン、ズシン――地響きと共に、岩山の頂から現れたのは、巨大な翼を持つ紅き獣。
全長十五メートル。瞳は黄金に輝き、尾は鎌のように鋭い。
紅炎ドラゴン――この地の覇者である。
「グォォォオアアアアッ!!」
「きたわね! さぁ、狩りの時間よ!」
ベアトリスが先陣を切って飛び出す。ランスロットが後方から魔法陣を展開し、アルフレッドが突進する!
「喰らえ、《マッスル・チャージ・スラッシュ》!!」
アルフレッドの剣がドラゴンの鱗に直撃するが、傷は浅い。
「ぬぅ、固い……!」
「だったらこっちは――《クリーム・フレア・キャノン》!」
ベアトリスのロッドから、甘くて熱いクリーム状の魔力弾が放たれる。直撃したドラゴンが、たまらず火山のふもとへ飛び退いた。
「よし、怯んだ! ランスロット、今よ!」
「了解。――《エレメント・チェイン:氷雷結界》!」
雷と氷が交錯する魔法が放たれ、ドラゴンの動きが鈍る。そこへ――
「《とっておき、トリプルミート・ジャッジメント!!》」
ベアトリスの魔法が炸裂し、ドラゴンの尾に直撃。肉厚の尾が弾け飛ぶ。
「よしっ、肉は確保したわ!」
怒りに燃えるドラゴンが咆哮を上げるが――そこへアルフレッドの剣が再び閃いた。
「《ファイナル・プロテイン・ブレイク!!》」
一撃――ドラゴンが崩れ落ち、大地が静寂に包まれる。
「……終わったな」
「ふぅ、スイーツもいいけど……たまには肉の味も悪くないわね」
その夜。
王都の屋外バーベキューテラスにて、三人はドラゴンの尾肉をじっくり炭火で焼いていた。
「おお……なんという香りだ……!」
「旨味の暴力ね……この肉、王国でも一級品よ!」
「……わるくない。いや、最高だ」
三人はその夜、肉と勝利の味に酔いしれた。スイーツだけじゃない、肉の絆が新たな冒険を生み出す。
次なる舞台は――“天空のアイスドラゴン”!? それとも“幻のベーコン山脈”か?
ベアトリスたちのグルメ探究は、まだまだ続く――!
(つづく)
あなたにおすすめの小説
【完結】貶められた緑の聖女の妹~姉はクズ王子に捨てられたので王族はお断りです~
魯恒凛
恋愛
薬師である『緑の聖女』と呼ばれたエリスは、王子に見初められ強引に連れていかれたものの、学園でも王宮でもつらく当たられていた。それなのに聖魔法を持つ侯爵令嬢が現れた途端、都合よく冤罪を着せられた上、クズ王子に純潔まで奪われてしまう。
辺境に戻されたものの、心が壊れてしまったエリス。そこへ、聖女の侍女にしたいと連絡してきたクズ王子。
後見人である領主一家に相談しようとした妹のカルナだったが……
「エリスもカルナと一緒なら大丈夫ではないでしょうか……。カルナは14歳になったばかりであの美貌だし、コンラッド殿下はきっと気に入るはずです。ケアードのためだと言えば、あの子もエリスのようにその身を捧げてくれるでしょう」
偶然耳にした領主一家の本音。幼い頃から育ててもらったけど、もう頼れない。
カルナは姉を連れ、国を出ることを決意する。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
悪役令嬢になったようなので、婚約者の為に身を引きます!!!
夕香里
恋愛
王子に婚約破棄され牢屋行き。
挙句の果てには獄中死になることを思い出した悪役令嬢のアタナシアは、家族と王子のために自分の心に蓋をして身を引くことにした。
だが、アタナシアに甦った記憶と少しずつ違う部分が出始めて……?
酷い結末を迎えるくらいなら自分から身を引こうと決めたアタナシアと王子の話。
※小説家になろうでも投稿しています
【完結】セクハラ護衛騎士と婚約者の観察日記
buchi
恋愛
ハンナは実は大富豪でもある伯爵家の娘。地味でおとなしいので、公爵家の一人娘の婿の座を狙う婚約者から邪魔者扱いされて、婚約破棄を宣言されてしまう。成績は優秀なので王女殿下のご学友に選ばれるが、いつも同席する双子の王子殿下に見染められてしまった。ただし王子殿下は、なぜか変装中で……変装王子と紡ぐ「真実の愛」物語。王道のザマアのはず(ちょっと違う気もするけど、いつものことさっ) 完結しました。
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。