27 / 37
第4話 ミントチョコ・エリーゼが完成する
しおりを挟む
◆坑道アイス開発篇!◆
【エリーゼ視点】
「暑い……!」
その日、鉱山の坑道整備は朝から大忙し。地下のはずなのに、作業服の中はもう蒸し風呂状態。工具を持つ手もじっとり汗ばんで、みんなちょっとバテ気味だった。
「ちょっと休憩しよっか。水、持ってきてるから!」
私は簡易テントの中にみんなを呼び寄せて、水筒を並べた。
「助かるー……」
「まじで今日はキツイ……」
「これが本格稼働前ってやつか……!」
王都から来た修理士の卵たち──ローレンス、ルナ、ガスパルたちも、すっかり鉱山の仲間になっていた。工具を扱う姿もさまになっていて、どこから見ても立派な技術者候補生!
「でもね、こんな日こそ“甘くて冷たい何か”があったら最高だと思わない?」
私がそう言うと、ガスパルが目を丸くした。
「それって……アイス?」
「そう! 坑道アイス!」
ぴしっと指を立てて言ってみたけれど──
「え、坑道アイスってなに?」
「まさか、石の中から出てくる冷たいスイーツ?」
「それは氷妖精の仕業か何かですか?」
みんな笑ってる。うん、予想通りの反応だ。
「つまりね、鉱山で働くみんなのための特製アイス! 暑くて、疲れた時に、ひんやり甘くて元気が出る……そんなアイスを開発したいの!」
「えー、いいじゃんそれ!」
「でも、冷凍庫もないのにどうやって?」
「氷魔法で凍らせるの?」
「ふふふ、実はそこがポイントです!」
私は、近くの岩棚に立って、両手を広げた。
「この坑道には、風の通り道になっている“天然の冷気層”があるんです!」
「へえっ!? そんなのあるの?」
「気づかなかった……」
「昨日の夜、ちょっと迷い込んだときに発見しました! すっごく寒くて、ちょっと感動しちゃって……だから!」
私は叫んだ。
「この鉱山で、アイス、つくりますっ!」
◆ ◆ ◆
「というわけで、坑道アイス開発会議をはじめますっ!」
私の掛け声で、テーブルの上に材料が並んだ。
「牛乳! 砂糖! ミントの葉っぱ! そして──チョコレート!」
「まさか……」
「ミントチョコ味!?」
「そうですっ! 女の子が絶対喜ぶ味を目指してます!」
「って、エリーゼしか女子いないじゃん!」
「広報的に大事なんです!」
みんなが笑う中、私は真剣にスプーンを構えた。木のボウルに材料を混ぜて、冷気層の中でじっくり冷やす作戦!
「ローレンスくん、混ぜる係お願い!」
「おっけー、こういうの理科の実験みたいで楽しいな!」
「ルナちゃん、葉っぱちぎってー!」
「ミント係、了解! ふわっと香り立たせるのがコツだよ!」
「ガスパルくん、器に入れて搬送頼む!」
「冷気層って言っても奥が深いからなー。落ちないように見ててよ?」
みんなでワイワイしながら、アイスを冷やしていく作業は、どこか子どもの頃の夏の自由研究みたい。
──1時間後。
「……できてる!」
木のカップの中、ちゃんと固まっている。それを見た瞬間、私は叫んだ。
「みんな! 第一号、完成しましたっ! “坑道ミントチョコアイス”、試食お願いしますっ!」
「やったー!」
「いただきます!」
パクッ──
「……お、おいしい……!」
「うまっ! 冷たい! ミントがスーッとする!」
「チョコがほんのり甘くて、ちょうどいい……!」
歓声があがった。
「すごい……! エリーゼ、やるじゃん!」
「これ、休憩時間のごほうびになるよ!」
「お金とっていいレベルだよ、これ!」
「ふふふ……広報プリンセス、満足ですっ!」
私は胸を張ったけれど──そのとき、ルナがぽつりと言った。
「でもさ……冷気層、そんなに大きくないよね? 大量生産って難しくない?」
「え……」
「これ、鉱山全体の人に配るなら、もっとちゃんと冷やす方法が必要だよ?」
たしかに……今の量じゃ全員分までは無理かも……。
だけど──ローレンスがにっこり笑った。
「だったら、オレたちで“簡易冷却装置”つくればいいじゃん!」
「えっ?」
「金属管と、魔石式の冷却板、それと冷気層の風を流す装置があれば、ある程度温度を下げられるはず」
「おお、発明の匂いがする!」
「鉱山スイーツ革命だ!」
「じゃあ、その装置の名前は──」
私は思いついた。
「“アイス・マイスター・プロトタイプ零式(仮)”!」
「長いわ!」
みんながまた笑った。
──でも、笑いの中に確かに希望がある。
“坑道アイス”は、ただのスイーツじゃない。働く人たちの癒やしであり、仲間と作る喜びであり、技術が人を笑顔にする、まさにその象徴なんだ。
「このアイスが、鉱山の名物になりますように!」
私は願いを込めて、もうひとくち──ひんやり甘い、その幸せな味を楽しんだ。
◆坑道アイス 試作品第一号
名称:「ミントチョコ・エリーゼ」
味:さっぱり爽やか+ほんのりビター
人気度:全坑道5つ星中、5つ星!
特記事項:「また食べたい」と言われる率98%(エリーゼ調べ)
【エリーゼ視点】
「暑い……!」
その日、鉱山の坑道整備は朝から大忙し。地下のはずなのに、作業服の中はもう蒸し風呂状態。工具を持つ手もじっとり汗ばんで、みんなちょっとバテ気味だった。
「ちょっと休憩しよっか。水、持ってきてるから!」
私は簡易テントの中にみんなを呼び寄せて、水筒を並べた。
「助かるー……」
「まじで今日はキツイ……」
「これが本格稼働前ってやつか……!」
王都から来た修理士の卵たち──ローレンス、ルナ、ガスパルたちも、すっかり鉱山の仲間になっていた。工具を扱う姿もさまになっていて、どこから見ても立派な技術者候補生!
「でもね、こんな日こそ“甘くて冷たい何か”があったら最高だと思わない?」
私がそう言うと、ガスパルが目を丸くした。
「それって……アイス?」
「そう! 坑道アイス!」
ぴしっと指を立てて言ってみたけれど──
「え、坑道アイスってなに?」
「まさか、石の中から出てくる冷たいスイーツ?」
「それは氷妖精の仕業か何かですか?」
みんな笑ってる。うん、予想通りの反応だ。
「つまりね、鉱山で働くみんなのための特製アイス! 暑くて、疲れた時に、ひんやり甘くて元気が出る……そんなアイスを開発したいの!」
「えー、いいじゃんそれ!」
「でも、冷凍庫もないのにどうやって?」
「氷魔法で凍らせるの?」
「ふふふ、実はそこがポイントです!」
私は、近くの岩棚に立って、両手を広げた。
「この坑道には、風の通り道になっている“天然の冷気層”があるんです!」
「へえっ!? そんなのあるの?」
「気づかなかった……」
「昨日の夜、ちょっと迷い込んだときに発見しました! すっごく寒くて、ちょっと感動しちゃって……だから!」
私は叫んだ。
「この鉱山で、アイス、つくりますっ!」
◆ ◆ ◆
「というわけで、坑道アイス開発会議をはじめますっ!」
私の掛け声で、テーブルの上に材料が並んだ。
「牛乳! 砂糖! ミントの葉っぱ! そして──チョコレート!」
「まさか……」
「ミントチョコ味!?」
「そうですっ! 女の子が絶対喜ぶ味を目指してます!」
「って、エリーゼしか女子いないじゃん!」
「広報的に大事なんです!」
みんなが笑う中、私は真剣にスプーンを構えた。木のボウルに材料を混ぜて、冷気層の中でじっくり冷やす作戦!
「ローレンスくん、混ぜる係お願い!」
「おっけー、こういうの理科の実験みたいで楽しいな!」
「ルナちゃん、葉っぱちぎってー!」
「ミント係、了解! ふわっと香り立たせるのがコツだよ!」
「ガスパルくん、器に入れて搬送頼む!」
「冷気層って言っても奥が深いからなー。落ちないように見ててよ?」
みんなでワイワイしながら、アイスを冷やしていく作業は、どこか子どもの頃の夏の自由研究みたい。
──1時間後。
「……できてる!」
木のカップの中、ちゃんと固まっている。それを見た瞬間、私は叫んだ。
「みんな! 第一号、完成しましたっ! “坑道ミントチョコアイス”、試食お願いしますっ!」
「やったー!」
「いただきます!」
パクッ──
「……お、おいしい……!」
「うまっ! 冷たい! ミントがスーッとする!」
「チョコがほんのり甘くて、ちょうどいい……!」
歓声があがった。
「すごい……! エリーゼ、やるじゃん!」
「これ、休憩時間のごほうびになるよ!」
「お金とっていいレベルだよ、これ!」
「ふふふ……広報プリンセス、満足ですっ!」
私は胸を張ったけれど──そのとき、ルナがぽつりと言った。
「でもさ……冷気層、そんなに大きくないよね? 大量生産って難しくない?」
「え……」
「これ、鉱山全体の人に配るなら、もっとちゃんと冷やす方法が必要だよ?」
たしかに……今の量じゃ全員分までは無理かも……。
だけど──ローレンスがにっこり笑った。
「だったら、オレたちで“簡易冷却装置”つくればいいじゃん!」
「えっ?」
「金属管と、魔石式の冷却板、それと冷気層の風を流す装置があれば、ある程度温度を下げられるはず」
「おお、発明の匂いがする!」
「鉱山スイーツ革命だ!」
「じゃあ、その装置の名前は──」
私は思いついた。
「“アイス・マイスター・プロトタイプ零式(仮)”!」
「長いわ!」
みんながまた笑った。
──でも、笑いの中に確かに希望がある。
“坑道アイス”は、ただのスイーツじゃない。働く人たちの癒やしであり、仲間と作る喜びであり、技術が人を笑顔にする、まさにその象徴なんだ。
「このアイスが、鉱山の名物になりますように!」
私は願いを込めて、もうひとくち──ひんやり甘い、その幸せな味を楽しんだ。
◆坑道アイス 試作品第一号
名称:「ミントチョコ・エリーゼ」
味:さっぱり爽やか+ほんのりビター
人気度:全坑道5つ星中、5つ星!
特記事項:「また食べたい」と言われる率98%(エリーゼ調べ)
15
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
【完結】余命三年ですが、怖いと評判の宰相様と契約結婚します
佐倉えび
恋愛
断罪→偽装結婚(離婚)→契約結婚
不遇の人生を繰り返してきた令嬢の物語。
私はきっとまた、二十歳を越えられないーー
一周目、王立学園にて、第二王子ヴィヴィアン殿下の婚約者である公爵令嬢マイナに罪を被せたという、身に覚えのない罪で断罪され、修道院へ。
二周目、学園卒業後、夜会で助けてくれた公爵令息レイと結婚するも「あなたを愛することはない」と初夜を拒否された偽装結婚だった。後に離婚。
三周目、学園への入学は回避。しかし評判の悪い王太子の妾にされる。その後、下賜されることになったが、手渡された契約書を見て、契約結婚だと理解する。そうして、怖いと評判の宰相との結婚生活が始まったのだが――?
*ムーンライトノベルズにも掲載
継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアーティアは、継母に冷酷無慈悲と噂されるフレイグ・メーカム辺境伯の元に嫁ぐように言い渡された。
継母は、アーティアが苦しい生活を送ると思い、そんな辺境伯の元に嫁がせることに決めたようだ。
しかし、そんな彼女の意図とは裏腹にアーティアは楽しい毎日を送っていた。辺境伯のフレイグは、噂のような人物ではなかったのである。
彼は、多少無口で不愛想な所はあるが優しい人物だった。そんな彼とアーティアは不思議と気が合い、やがてお互いに惹かれるようになっていく。
2022/03/04 改題しました。(旧題:不器用な辺境伯の不器用な愛し方 ~継母の嫌がらせで冷酷無慈悲な辺境伯の元に嫁がされましたが、溺愛されています~)
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる