婚約者を姉に奪われ、婚約破棄されたエリーゼは、王子殿下に国外追放されて捨てられた先は、なんと魔獣がいる森。そこから大逆転するしかない?怒りの

山田 バルス

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第35話 ラグナスに到着する! 久しぶりの街よ

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西の果て、灼熱の大地を越えた先――未知の帝国、ラグナスのギルドがある街リグレット。その城壁が陽光に鈍く輝いていた。

「やっと街だ……拙者、もう砂漠とはおさらばしたいでござる……」

 青い髪を砂でボサボサにしながら、眼鏡の神官・ダリルがふらふらと呟く。

「ボクの肌が、こんがり焼けてる……でも、それもまた美しいボク……」

 金髪が太陽に照らされて煌く魔術師・アリスターは、自身の手を見つめてナルシスティックに微笑んだ。

「やっと普通の街に来たって感じだね! 空気が違うよ!」

 元気いっぱいに笑うのは、桃色の髪を結い上げた剣聖・エリーゼ。彼女は胸いっぱいに新天地の空気を吸い込んでいた。

 三人は街の入り口で小さくハイタッチを交わし、まっすぐ冒険者ギルドへと向かった。これまでの旅路で出会った人間は少なく、補給も困難だった。街の喧騒、賑やかな人々、匂い立つ焼きたてのパンの香り……そのすべてが、久々の文明を感じさせてくれる。

「とにかく、まずはギルドで登録しよう」

 アリスターが言うと、エリーゼが頷き、ダリルはこくこくと不安げに頷いた。

 ギルドの扉を開けると、にぎやかな声が中から溢れてきた。様々な種族、風変わりな装備、荒々しい雰囲気。ラグナスのギルドの街リグレットは、まさに“帝国のはみ出し者たちの集い”といった趣だ。

「……おい」

 どすん、と地響きのような声が響いた。三人が振り向くと、そこには一人の巨漢が立っていた。

 背丈は二メートル近く、分厚い胸板にピチピチのタンクトップ、背中には鉄塊のような大剣が担がれている。その男は、光沢のある肌を誇示するように、ゆっくりと腕を組んだ。

「オレはマスキュラー。見ての通り、筋肉でできてる。お前ら、剣士を探してないか?」

 あまりに堂々としたその問いに、三人は一瞬、目を合わせる。

「……えっと、剣士はわたしです」

 エリーゼがきょとんとしながら応じると、マスキュラーは目を細めた。

「……お前が? その華奢な身体で?」

「剣道三段なんだけどなぁ」

 笑顔を崩さぬまま、エリーゼは肩をすくめた。

「よし、だったら勝負だ。オレと戦って、勝てたらその言葉、信じてやる。もしオレが勝ったら――仲間にしてもらう」

「ちょ、拙者たち今、登録を……」

「望むところだよ!」

 ダリルの言葉を遮り、エリーゼがきっぱりと答える。その目は、獲物を前にした狩人のように輝いていた。

 ギルド裏の練習場。周囲には自然と見物人が集まっていた。

「見ろよ、マスキュラーさんが新人と試合だ!」

「また筋肉押しで潰す気かよ……」

 観客たちの声がざわめくなか、エリーゼは木刀を握り、構える。対するマスキュラーは、素手だった。

「剣士同士なんだから、ちゃんと剣を持ったら?」

「オレの筋肉は剣より強い。これが、オレの信念だ」

「うん、めちゃくちゃだけど……ちょっと好きかも、そのノリ」

「始めッ!」

 掛け声と同時、マスキュラーが地面を蹴った。突進の勢いはまさに猛牛。観客が悲鳴を上げる中、エリーゼは一歩も動かずに構えを保つ。

 ――そして、踏み込み。

 振り上げた木刀が、音速の風を切った。

 ドンッ!

「ぐぉおおおおおおおっ!!?」

 次の瞬間、マスキュラーの巨体が見事に宙を舞い、地面に叩きつけられていた。

 場が静まり返る。

 エリーゼは、微笑んで木刀を納めた。

「剣道三段って言ったでしょ?」

 勝負は一瞬で終わった。マスキュラーは、地面に大の字になったまま、空を見上げていた。

「……あ、あんな細腕に……完敗だ……」

 ようやく立ち上がった彼は、ぼろぼろの顔でエリーゼたちに近づき、土下座同然にひざをついた。

「た、頼む! 仲間にしてくれ! オレ、剣はからっきしだが、盾にもなるし、荷物も全部持つ! 筋肉には自信があるんだ!」

「えっと……」

 エリーゼが戸惑う横で、アリスターが腕を組んで見下ろした。

「ボクたち、変な人ばっかりだから、逆にちょうどいいかもしれないね」

「まあ、役には立つ……かもしれないでござる……筋肉的に……」

「やった! ありがとう!」

 マスキュラーは跳ねるように立ち上がり、筋肉ポーズを決めた。

「これからよろしくな、仲間たち! オレの筋肉、見せてやるぜ!」

 こうして、冤罪で追放された三人に、筋肉イケイケな第四の仲間が加わった。ラグナス帝国の冒険は、ますます賑やかになっていく――。

【エリーゼ=アルセリア】

レベル:35

HP:562

MP:307

攻撃:652【427+剣225】

防御:843【418+上下425】

早さ:817【607+脚210】

幸運:100MAX

スキル:──剣聖──フェンリルの加護 金龍の加護

装備:武器 テオドリック帝国 王家の剣 
   防具 上半身 剣聖のドレスチェスト
      下半身 剣聖のレッドプリーツ
      脚   剣聖のブレイズブーツ


【参考資料、ベルトレインの騎士団長】

レベル:18

HP:212

MP:57

攻撃:217【117+剣100】

防御:187【105+上下82】

早さ:172【102+脚70】
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