時を買う人

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感染症禍のママ

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24歳の古川カナは、大学を卒業してからすぐに高級クラブで働きはじめ、その2年目に感染症の大流行による自粛の煽りをもろに喰らった。


在籍していたクラブのママには


「本当に、いつこの状態が終わるかわからなくて怖いわぁ。この感染症禍では一番弱い立場の夜の繁華街の人間を国は助ける気がないのかしら。近くのクラブはもう閉店を決めたみたいだしこれからどうなるんでしょうねぇ。あなたの処遇だけど、この自粛禍が過ぎるまでお休みにするからごめんなさいね。」


といつ終わるともわからない長期休暇をいいわたされてしまった。


クラブでの稼ぎが消滅してしまったため、カナ自身も出前の宅配サービスや日雇いのアルバイトを他にしなければ生活ができなくなってしまった。


そんなときアルバイト帰りに商店街を通りすぎようとしていたとき、


"時(人生)買います"


と書かれた札の付いた普段は見慣れない屋台があることに気が付いた。


"帰ってもやることないし寄ってみるか"


と思って寄ってみることにした。


「いらっしゃい。この店はあなたの時間(人生)を売ってそれと同等レベルのモノ、経験、契約が手に入る店だよ。」


と店員が言ったので、


「この感染症禍が終わるまでの時間を売ることで今まで在籍していた高級クラブに再び在籍する契約がしたいのですが可能でしょうか?」


とカナは尋ねた。すると店員が


「可能だけど感染症禍はいつ終わるともわからないけどそれでも契約するかい?するならこの契約書にサインして契約成立です。」


一瞬


"感染症禍が終わるのに50年もかかったらどうしよう?"


と不安に思ったが、


"生き甲斐もない今の生活を長期間続けるよりましだわ"


と思い直し契約書にサインをした。サインするや否や、自分がもと働いていた高級クラブにいることがわかった。そしてクラブのママやお客様からの、会話から契約書にサインしてから5年がたっていることがわかった。そして、今までの服装面でも金銭面でも清潔感があり、身なりの整ったお客様でなく、半グレを思わせるようなお客様に客層が変わっていることにも気が付いた。


その日、最後のお客様をお見送りした後で、


「感染症禍前のお客様と随分客層が変わってみたいで、今までNGだったお客様でも接客するようになって戸惑っているんですが……」


とママに言ってみると


「何バカなこといってんの。誰も助けてくれんかった感染症禍で、唯一お金だけが私を裏切らんかったんよ。多少グレーな客でもお金払ってくれるならいいんじゃけぇ。あんたも稼げるように気張るンよ❗️」


と強い口調でたしなめられた。


"やっぱり、あの屋台で契約してよかった。私のように逃げたんじゃなく、感染症禍を乗り切った経営者は強い。私もママを超えられるように努力しよう。"


そう思って馴染みのお客に今度の誕生日にお店にきてくれるよう連絡をとるカナなのでした。



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