時を買う人

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社員教育2

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俺の名前は石橋孝雄、中小企業の課長をやっている。俺の部下に柳井敏という困ったやつがいる。

先日も


「今年の有給、全て使って旅行に行きます。」


と言って、繁忙期なのに有給を使い旅行にいっちまった。その仕事のフォローを他の部下が行わなくてはならず、その不満が私に降りかかってきたのだ。


「有給をとる時期を調整してくれないか?」


と頼みはしたのだが、


「有給の取得は権利じゃないですか」


と法律上の正論をいわれてしまい反論できなくなってしまう。


"なんとかあいつを働かせる方法はないものか?"


と最寄駅で電車をおりて自宅までの近道である商店街を通りすぎようとすると


"時(人生)買います"


という札の付いた屋台があることに気付いた。


"特に急ぎの用事もないし寄ってみるか……"


と思い、屋台に寄ってみることにした。


「いらっしゃい。この店はあなたの時(人生)・健康を売って、それと同程度の契約、モノ、経験を手に入れることができる店だよ。売ってしまった人生の間に起こった出来事は思い出に残らないけど売ってみるかい?」


と店員が言ってきたので


「部下が繁忙期だというのに、他の社員に気を遣わずに有給をとるのだが、法律で許されているので対応に苦労しています。それを解決するためにはどのくらい人生を売ればよいのでしょうか?」


と尋ねると


「それには1年ほど人生を売ってもらえればOKです。よろしければこの契約書にサインして契約成立です。」


と言って店員が契約書を出してきたのでそれサインするや否や、周辺状況が変わり自身が新幹線に妻と乗っていることに気付いた。


"時間が1年経過したのか……。会社は繁忙期だろうになぜ妻と新幹線に乗っているのだろうか?"


疑問に思ったので、妻に


「これってどこに向かっているんだい?」


と尋ねると


「あんたが、課長から降格して平社員に戻った新潟への慰安旅行を、なぜかあんたが自身が計画して私もついていくことになったんじゃない」


と妻が返答したそのとき


" ピリリリリッ、ピリリリリリッ "


携帯電話が鳴った


待ち受け画面をみると


"柳井敏課長"


と表示されていたのに気付いてからデッキに移動して電話に出た


「はい。石橋です。」


「石橋さん。今どこ?繁忙期の業務大変で、3日後まで有給とってたけど、明日から出社してほしいんだけど」


と柳井が、泣きそうになりながら電話してきたが


「申し訳ありませんが有給は社員の権利ですのでしっかり休ませてもらいます。」


と言い、電話を切り、座席に戻って妻に


「到着したら、ラーメン食べて、日本酒飲んで。平社員になって、有給とれるようになったし楽しもうぜ。」


と声をかけたのでした。






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