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第五章 ヴリトラ大砂漠
第五章時点の人物紹介
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今回の紹介は出番の増えてきた神や魔神、竜の紹介となります。
──────────
─ 竜と神々
・大地竜ティアマト:
この世の頂点とも呼ばれる古き竜四柱の内の一柱。年齢不詳。
体長は百メートル以上、甲子園球場のマウンドから外野フェンスまでの距離とほぼ同じ、凄まじい巨体を誇る。岩塊のように太く逞しい体の背中側は岩盤のような赤い鱗に覆われているが、腹側はやや強度の劣る白っぽい鱗が生える。
火山活動により独特の生物相を形成していた大陸中央部の森林地帯を、己が権能“大地”で平原に創り変え、他の生物の一切を追い出し竜の巣へと変えた過去を持つ。
彼女の排せつ物や剥がれ落ちる竜鱗が人の営みに大きく利するため豊穣神のように扱われるが、本質は他の竜同様に勝手気ままなものである。
その一方で、若き竜たちのまとめ役も担う世話焼きな面も兼ね備える。
人型状態は、燃え上がるようにうねる赤髪とくっきりとした目鼻立ちが特徴的な美女。時折その姿で人里を出歩くが、滲み出る色香と絶大なる力により大抵碌なことにはならない。
・琥珀竜ヴリトラ:
この世の頂点とも呼ばれる古き竜四柱の内の一柱。年齢不詳。
大地竜ティアマトには及ばないものの、若き竜の体長を倍する巨竜。虹の光を帯びる琥珀色の竜鱗に覆われたしなやかな四肢や尾部、二股に分かれた鹿角のような頭部の角は、雄大さより優美さが強調される。
しかし、彼の性格は苛烈極まる。魔神ロウとの戦いや大陸北部を砂に変えた事例、襲い掛かってきた神や魔神を返り討ちにして塵に変えた過去など、その狂暴な性質を示す例は枚挙に暇がない。
他方、ティアマト同様に同族に対しては世話を焼くような一面も見せる。若き竜である青玉竜ウィルムや枯色竜ドレイクは、このヴリトラの下で修練に励んだこともあった。
人型状態は琥珀色の長髪を靡かせる老人で独特の喋り方、地球で言うところの九州北部地方の方言に近い話し方をする変わり者。
・月白竜シュガール:
ティアマトの下で若き竜たちの面倒を見ている苦労人(竜)。年齢不詳。
古き竜たちと比べると体格が大きく劣り、若き竜たちと同じく体長が二十メートルほど。大型トレーラーよりもやや大きい体は淡く輝く白鱗を纏い、夜空にあっても幻想的に煌めく。
理知的な性格で道理を重んじる、竜としては非常識な部類に入る例外的存在。それ故同胞たちの尻拭いに奔走することが多い。
落ち着いた性分のため他の竜のような過激な伝説は持たないが、古き竜に近い力を有する実力者。かつて琥珀竜ヴリトラが大陸北部を砂へと変えた際、真っ先に彼へ仕置きの飛び蹴りを見舞ったのはこのシュガールだった。
竜にとって怨敵たる魔神との仲は悪いが、話の通じるロウとはそれなりに親しい関係にある。
・枯色竜ドレイク:
若き竜の中でも特に力を持つ一柱。ロウと共に行動している青玉竜ウィルムと同時期に生まれ、彼女とは姉弟のような間柄にある。年齢五百歳ほど。
シュガール同様の体格は筋骨隆々。鈍く輝く枯色の竜鱗を纏うその姿は、あらゆるものの頂点に立つに相応しい王者の貫禄が漂う。
琥珀竜ヴリトラと気質が似通っており、彼に師事したドレイクは竜として典型的な性格──傲岸不遜で身勝手極まるものとなった。
リーヨン公国南部で火山大噴火級の溶岩をぶち撒けた通り、若くとも力を持つ彼は様々な悪行、もとい伝説を成してきた。そのため、若い竜でありながら人の世でも広く名が通り畏れられている。これは兄弟分たるウィルムも同様である。
自分が創りだした溶岩湖を鎮めて以降、彼はティアマトやシュガールの小言を避けるため世界中を飛び回っている。
・妖精神イルマタル:
生命が芽吹く以前の原初の時代から存在する、大気を司り膨大な力を有する女神。年齢不詳。
輝く銀髪に二対の金に煌めく薄翅、長く尖った耳、そして少女のような肢体。妖精というに相応しい美貌を持つ彼女は、神々が人という種を創り出す様を見て、己も妖精というを種を創りだした。
ただし、人という種が神々の力を結集した結果生まれたものであるのに対し、妖精は彼女の独力で生まれ落ちたものである。
そのため、妖精はイルマタルの性質を色濃く継いだもの──自分本位且つ腹黒で、悪戯好きの童女のような傾向が強く見られる種族となってしまった。
他方妖精から分化した種族、森人族=エルフは人と交わったため、この性質が和らいでいる。しかしやはり、時折妖精の血を持つが故に奔放な振る舞いが顔を出すこともある。
普段は女神らしく妖精やエルフの様子を見守っているが、最近は件の褐色少年に気をとられることが多い。
・知恵の女神ミネルヴァ:
知恵を司る女神。とある神が頭痛に苛まされてたあげくに頭をかち割り、その拍子に彼女が生まれ落ちたという奇妙な生誕秘話を持つ。年齢不詳。
神の頭部から生まれたということもあり、彼女は誕生したその時から神の叡智を持っている。その叡智を使い人々を教え導いたことで、彼女は知恵の女神として多くの信仰を集めることとなった。
一方で、生まれる際に親が頭痛で猛り狂っていたからか、彼女は己の敵対者に対しては苛烈なまでの攻撃性を示す。父親の頭をかち割った両刃斧で屠った魔神や邪竜は数知れず、知恵の女神でありながら戦神のような一面も有しているのだ。
そんな彼女の外見は肉感的な美女。黒のメッシュの入った銀の長髪や、只事ならない光を宿す瑠璃色の瞳を見なければ、人々は露出の多い服を好む彼女を高級娼婦だと勘違いしてしまうだろう。
葡萄酒をこよなく愛する彼女だが、アルコールにはとても弱い。
・女神の眷属グラウクス:
前項ミネルヴァの生み出した眷属。人前に出たがらない主に変わり神殿や図書館に出向き、代理として人々を教え導いている。年齢千歳ほど。
瑠璃色の単眼に、鳥類の翼とも魚類のヒレともつかない腕と足、細長い胴体と尾を持つ。
青白黒で構成されたその体は小型犬程度の大きさで、地球に生息する外洋性ウミウシのアオミノウミウシに酷似した外見。
女神の代理として働きまわる彼は己の存在を並列的に分けることが可能で、常に数十もの己に分かれて各地に散らばり業務に励んでいる。
知恵の女神の眷属であり図書館を己の領域と定めているグラウクスは知識欲が強く、未知の事柄に出会うと全てを放り出してそれを解明せんとするきらいがある。
魔神である褐色少年と遭遇しておきながら友誼を結ぶに至ったのは、この難儀な性質が故だった。
・暴風神エンリル:
吹き荒ぶ暴風を司る神。イルマタルほど古くはないものの、人がこの世に生誕する以前に生まれた古き神。年齢不詳。
彼も人という種を創り出す作業に一枚噛んでおり、主に男性の本能的な部分を形作るのに一役買った。多くの男性が時に暴力的な一面を見せるのは、このエンリルが破壊的・破滅的性質を組み込んだからに他ならない。
男性の本分を破壊と定めた彼は、その決定が指し示す通り荒れ狂う嵐のような気質を持ち、古くから神や魔神、竜と衝突を繰り返している。
中でもイルマタルとは特に折り合いが悪く、互いに大気に関係する神であるため些細な争いでも相乗効果で余波が凄まじいものとなる。
この小競り合いで発生した大洪水や高潮で命を落とした者たちも多く、エンリルは荒ぶる神として人々から畏れられていた。なお、イルマタルは人の世で多く知れ渡っている女神ではないため、彼女は悪名が付く事態を避けている。
様々な逸話を持つ暴風神ではあるが、接点の殆どないロウからは褐色禿げ頭だの褐色蛸入道だのと評されている。
・太陽神ミトラス:
監視や覗き見が趣味の神。光や契約を司り、神々の中でも特殊な役割を担っている。
商人たちの取引から国家間の条約まで、ミトラスはあらゆる契約の際に「太陽神の名において」誓約を見守る。彼の名のもとに誓われた契約は、僅かでも背いてしまうとたちどころに相手に知られてしまい、不履行が明るみに出てしまう。神の監視が故である。
契約の権能を駆使して常時人々の行動を見守っている彼だが、そうした作業のため日中は監視に没頭していることが多く、人々が寝静まり監視対象が少なくなる夜間に行動することが多い。彼は太陽神の名を冠しながら夜行性なのだ。
監視や契約の対象は人のみならず神や魔神、竜にも及ぶ。絶対強者が跋扈するこの世界で“それほど”多くの問題が起こらないのは、彼が常に目を光らせているからに他ならない。
そうした世界の監視という重要な役割を持つミトラスは、金髪金眼で目鼻がくっきりとした美少年の姿をとっている。
人の世において明るいうちにこの少年の姿が見られる時は、すなわち己が役割を放り投げて観光に勤しんでいるということを意味する。まごうことなきサボりである。
神にあるまじき怠慢であるが、彼は世界の監視を使命ではあるが契約しているわけではないと考えているため、律儀に履行はしないのだ。
蠍や犬、蛇にカラスと無数の眷属を従えるミトラスは、普段それらに自分の目の届かない魔神を監視させている。
・魔神バロール:
魔眼の魔神エスリウの母親にして、人がこの世に生まれ落ちる以前の時代から生きる、力ある魔神。年齢不詳。
彼女は見るだけで対象を惑わし、惹き付け、凝り固め、焼き尽くしてしまう、凶悪な「魔眼」を具え、更には死しても時間をおくことで甦る「不滅」という特性をも有する。
それら恐るべき能力を持ち破壊を司る彼女は、足の向くまま気の向くままに世界を乱して回っていた過去がある。この時期に悪行の限りを尽くしたため、彼女はそういった活動をすっぱりやめた今もなお、神や竜から不倶戴天の敵として認識されている。
艶やかな象牙色の長髪、彫りの深く端正な顔立ち、胸元の豊かな膨らみにほっそりとした腰のくびれ、絶妙なる曲線を描く臀部。どこをとっても女神のような美しさの彼女だが、真なる姿は異形そのもの。
三階建ての建物に等しい巨体は岩山のように重厚な肉体に支えられ、城壁を打ち崩す破城槌のような腕は一対ではなく三対生える。その山のような肉体の頂点にある、成人男性よりも巨大な頭部には第三の瞳を額に戴き、見る者すべてに怖気を走らせる異彩を放つ。
かつては琥珀竜ヴリトラと真っ向から殴り合うほどに武闘派だったバロールだが、争いから身を引いた今では少しだけ身体や意識が弛んでしまった。
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─ 竜と神々
・大地竜ティアマト:
この世の頂点とも呼ばれる古き竜四柱の内の一柱。年齢不詳。
体長は百メートル以上、甲子園球場のマウンドから外野フェンスまでの距離とほぼ同じ、凄まじい巨体を誇る。岩塊のように太く逞しい体の背中側は岩盤のような赤い鱗に覆われているが、腹側はやや強度の劣る白っぽい鱗が生える。
火山活動により独特の生物相を形成していた大陸中央部の森林地帯を、己が権能“大地”で平原に創り変え、他の生物の一切を追い出し竜の巣へと変えた過去を持つ。
彼女の排せつ物や剥がれ落ちる竜鱗が人の営みに大きく利するため豊穣神のように扱われるが、本質は他の竜同様に勝手気ままなものである。
その一方で、若き竜たちのまとめ役も担う世話焼きな面も兼ね備える。
人型状態は、燃え上がるようにうねる赤髪とくっきりとした目鼻立ちが特徴的な美女。時折その姿で人里を出歩くが、滲み出る色香と絶大なる力により大抵碌なことにはならない。
・琥珀竜ヴリトラ:
この世の頂点とも呼ばれる古き竜四柱の内の一柱。年齢不詳。
大地竜ティアマトには及ばないものの、若き竜の体長を倍する巨竜。虹の光を帯びる琥珀色の竜鱗に覆われたしなやかな四肢や尾部、二股に分かれた鹿角のような頭部の角は、雄大さより優美さが強調される。
しかし、彼の性格は苛烈極まる。魔神ロウとの戦いや大陸北部を砂に変えた事例、襲い掛かってきた神や魔神を返り討ちにして塵に変えた過去など、その狂暴な性質を示す例は枚挙に暇がない。
他方、ティアマト同様に同族に対しては世話を焼くような一面も見せる。若き竜である青玉竜ウィルムや枯色竜ドレイクは、このヴリトラの下で修練に励んだこともあった。
人型状態は琥珀色の長髪を靡かせる老人で独特の喋り方、地球で言うところの九州北部地方の方言に近い話し方をする変わり者。
・月白竜シュガール:
ティアマトの下で若き竜たちの面倒を見ている苦労人(竜)。年齢不詳。
古き竜たちと比べると体格が大きく劣り、若き竜たちと同じく体長が二十メートルほど。大型トレーラーよりもやや大きい体は淡く輝く白鱗を纏い、夜空にあっても幻想的に煌めく。
理知的な性格で道理を重んじる、竜としては非常識な部類に入る例外的存在。それ故同胞たちの尻拭いに奔走することが多い。
落ち着いた性分のため他の竜のような過激な伝説は持たないが、古き竜に近い力を有する実力者。かつて琥珀竜ヴリトラが大陸北部を砂へと変えた際、真っ先に彼へ仕置きの飛び蹴りを見舞ったのはこのシュガールだった。
竜にとって怨敵たる魔神との仲は悪いが、話の通じるロウとはそれなりに親しい関係にある。
・枯色竜ドレイク:
若き竜の中でも特に力を持つ一柱。ロウと共に行動している青玉竜ウィルムと同時期に生まれ、彼女とは姉弟のような間柄にある。年齢五百歳ほど。
シュガール同様の体格は筋骨隆々。鈍く輝く枯色の竜鱗を纏うその姿は、あらゆるものの頂点に立つに相応しい王者の貫禄が漂う。
琥珀竜ヴリトラと気質が似通っており、彼に師事したドレイクは竜として典型的な性格──傲岸不遜で身勝手極まるものとなった。
リーヨン公国南部で火山大噴火級の溶岩をぶち撒けた通り、若くとも力を持つ彼は様々な悪行、もとい伝説を成してきた。そのため、若い竜でありながら人の世でも広く名が通り畏れられている。これは兄弟分たるウィルムも同様である。
自分が創りだした溶岩湖を鎮めて以降、彼はティアマトやシュガールの小言を避けるため世界中を飛び回っている。
・妖精神イルマタル:
生命が芽吹く以前の原初の時代から存在する、大気を司り膨大な力を有する女神。年齢不詳。
輝く銀髪に二対の金に煌めく薄翅、長く尖った耳、そして少女のような肢体。妖精というに相応しい美貌を持つ彼女は、神々が人という種を創り出す様を見て、己も妖精というを種を創りだした。
ただし、人という種が神々の力を結集した結果生まれたものであるのに対し、妖精は彼女の独力で生まれ落ちたものである。
そのため、妖精はイルマタルの性質を色濃く継いだもの──自分本位且つ腹黒で、悪戯好きの童女のような傾向が強く見られる種族となってしまった。
他方妖精から分化した種族、森人族=エルフは人と交わったため、この性質が和らいでいる。しかしやはり、時折妖精の血を持つが故に奔放な振る舞いが顔を出すこともある。
普段は女神らしく妖精やエルフの様子を見守っているが、最近は件の褐色少年に気をとられることが多い。
・知恵の女神ミネルヴァ:
知恵を司る女神。とある神が頭痛に苛まされてたあげくに頭をかち割り、その拍子に彼女が生まれ落ちたという奇妙な生誕秘話を持つ。年齢不詳。
神の頭部から生まれたということもあり、彼女は誕生したその時から神の叡智を持っている。その叡智を使い人々を教え導いたことで、彼女は知恵の女神として多くの信仰を集めることとなった。
一方で、生まれる際に親が頭痛で猛り狂っていたからか、彼女は己の敵対者に対しては苛烈なまでの攻撃性を示す。父親の頭をかち割った両刃斧で屠った魔神や邪竜は数知れず、知恵の女神でありながら戦神のような一面も有しているのだ。
そんな彼女の外見は肉感的な美女。黒のメッシュの入った銀の長髪や、只事ならない光を宿す瑠璃色の瞳を見なければ、人々は露出の多い服を好む彼女を高級娼婦だと勘違いしてしまうだろう。
葡萄酒をこよなく愛する彼女だが、アルコールにはとても弱い。
・女神の眷属グラウクス:
前項ミネルヴァの生み出した眷属。人前に出たがらない主に変わり神殿や図書館に出向き、代理として人々を教え導いている。年齢千歳ほど。
瑠璃色の単眼に、鳥類の翼とも魚類のヒレともつかない腕と足、細長い胴体と尾を持つ。
青白黒で構成されたその体は小型犬程度の大きさで、地球に生息する外洋性ウミウシのアオミノウミウシに酷似した外見。
女神の代理として働きまわる彼は己の存在を並列的に分けることが可能で、常に数十もの己に分かれて各地に散らばり業務に励んでいる。
知恵の女神の眷属であり図書館を己の領域と定めているグラウクスは知識欲が強く、未知の事柄に出会うと全てを放り出してそれを解明せんとするきらいがある。
魔神である褐色少年と遭遇しておきながら友誼を結ぶに至ったのは、この難儀な性質が故だった。
・暴風神エンリル:
吹き荒ぶ暴風を司る神。イルマタルほど古くはないものの、人がこの世に生誕する以前に生まれた古き神。年齢不詳。
彼も人という種を創り出す作業に一枚噛んでおり、主に男性の本能的な部分を形作るのに一役買った。多くの男性が時に暴力的な一面を見せるのは、このエンリルが破壊的・破滅的性質を組み込んだからに他ならない。
男性の本分を破壊と定めた彼は、その決定が指し示す通り荒れ狂う嵐のような気質を持ち、古くから神や魔神、竜と衝突を繰り返している。
中でもイルマタルとは特に折り合いが悪く、互いに大気に関係する神であるため些細な争いでも相乗効果で余波が凄まじいものとなる。
この小競り合いで発生した大洪水や高潮で命を落とした者たちも多く、エンリルは荒ぶる神として人々から畏れられていた。なお、イルマタルは人の世で多く知れ渡っている女神ではないため、彼女は悪名が付く事態を避けている。
様々な逸話を持つ暴風神ではあるが、接点の殆どないロウからは褐色禿げ頭だの褐色蛸入道だのと評されている。
・太陽神ミトラス:
監視や覗き見が趣味の神。光や契約を司り、神々の中でも特殊な役割を担っている。
商人たちの取引から国家間の条約まで、ミトラスはあらゆる契約の際に「太陽神の名において」誓約を見守る。彼の名のもとに誓われた契約は、僅かでも背いてしまうとたちどころに相手に知られてしまい、不履行が明るみに出てしまう。神の監視が故である。
契約の権能を駆使して常時人々の行動を見守っている彼だが、そうした作業のため日中は監視に没頭していることが多く、人々が寝静まり監視対象が少なくなる夜間に行動することが多い。彼は太陽神の名を冠しながら夜行性なのだ。
監視や契約の対象は人のみならず神や魔神、竜にも及ぶ。絶対強者が跋扈するこの世界で“それほど”多くの問題が起こらないのは、彼が常に目を光らせているからに他ならない。
そうした世界の監視という重要な役割を持つミトラスは、金髪金眼で目鼻がくっきりとした美少年の姿をとっている。
人の世において明るいうちにこの少年の姿が見られる時は、すなわち己が役割を放り投げて観光に勤しんでいるということを意味する。まごうことなきサボりである。
神にあるまじき怠慢であるが、彼は世界の監視を使命ではあるが契約しているわけではないと考えているため、律儀に履行はしないのだ。
蠍や犬、蛇にカラスと無数の眷属を従えるミトラスは、普段それらに自分の目の届かない魔神を監視させている。
・魔神バロール:
魔眼の魔神エスリウの母親にして、人がこの世に生まれ落ちる以前の時代から生きる、力ある魔神。年齢不詳。
彼女は見るだけで対象を惑わし、惹き付け、凝り固め、焼き尽くしてしまう、凶悪な「魔眼」を具え、更には死しても時間をおくことで甦る「不滅」という特性をも有する。
それら恐るべき能力を持ち破壊を司る彼女は、足の向くまま気の向くままに世界を乱して回っていた過去がある。この時期に悪行の限りを尽くしたため、彼女はそういった活動をすっぱりやめた今もなお、神や竜から不倶戴天の敵として認識されている。
艶やかな象牙色の長髪、彫りの深く端正な顔立ち、胸元の豊かな膨らみにほっそりとした腰のくびれ、絶妙なる曲線を描く臀部。どこをとっても女神のような美しさの彼女だが、真なる姿は異形そのもの。
三階建ての建物に等しい巨体は岩山のように重厚な肉体に支えられ、城壁を打ち崩す破城槌のような腕は一対ではなく三対生える。その山のような肉体の頂点にある、成人男性よりも巨大な頭部には第三の瞳を額に戴き、見る者すべてに怖気を走らせる異彩を放つ。
かつては琥珀竜ヴリトラと真っ向から殴り合うほどに武闘派だったバロールだが、争いから身を引いた今では少しだけ身体や意識が弛んでしまった。
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