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第8章 部活動

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 上映会は滞りなく始まった。

「すご、満杯じゃん」

 と“翠“が言った。

「え、なんか恥ずいんだけど」

 “茜音“と“翠“は空いている席に並んで座った。14時きっかりに2023年度の『春乞い』の上映が始まった。

 “茜音“があの日、駅前で見ていた風景とは違う角度からの自身の体験を観る経験は、“茜音“の眼に新鮮に映った。

「へー、こんな感じだったんだ」

「うん、良い音してるわ」

 “翠“が“茜音“の尻が叩かれる音を聴きながら言った。

 上映は30分ほどで終わった。終わって館内が明るくなると同時に、“太助“と“太助の母親“が壇上へと上がって、客に挨拶した。

「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます」

 “太助の母親“がマイク片手に挨拶を始めた。つらつらと退屈な話が続いた。壇上の“太助“も船を漕ぎ始めた頃、

「今日はなんと、先ほどの映像にも登場いたしました見事な“尻太鼓“の持ち主の、“茜音“さんにお越しいただいております」

 突然名前を呼ばれて“茜音“は驚いた。

「“茜音“さん、ご起立願えますでしょうか」

 “茜音“は照れながらその場に立ち上がった。

 周りの客から万雷の拍手が送られる。“翠“も隣で笑顔で拍手を送っている。

「“茜音“さん、壇上の方へどうぞ」

 促されるまま壇上へと上がる“茜音“。

「どうですか、今のお気持ちは」

 “太助の母親“がマイクを“茜音“に向けながら言った。

「あ、いや、突然のことで驚いたけど、あ、こ、光栄です」

 “茜音“は頬を赤らめながら言った。また客席から拍手が起こった。“翠“も笑顔で拍手を送っている。それを“茜音“は見つけた。

「えへへ」

 と“茜音“が笑みを浮かべると、船を漕いでいた“太助“が漕ぐのをやめて、“茜音“に近づき、穿いていたジーンズをズザッ!と勢いよく下に下ろした。

「キャッ!!」

 薄ピンク色のパンティが顕になった。客席の『春乞イスト』の“桜木道雄(75)“は、

「おぉ、桜が咲いたわい」

 と呟いた。
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