機械と花 ロボットだろうが感情はあるんだから恋愛くらいしてもいいだろ?

トリカブト

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決戦!ラクア戦

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 果てしなく青く透き通った空の下で、俺は、最悪の気分を味わっていた。こんな心境でまともに戦えるのだろうか?そうでなくても、相手はあの最強のラクアだ‥‥さっさと、気持ちを入れ替えなければ‥‥
 そんなことを考えていると、仮拠点に最適な森林を発見した。次々と出来上がっていく拠点を見ながら、俺は1人気持ちの整理に悪戦苦闘していた。クソっ‥‥どうすればいい‥‥時間はまだあるが、考えていることが少しもまとまらない。
 もやもやしている感情を拭い去ろうと必死になるも、どんどんそのことばかりが強く、根を張り、思考の奥底にへばり付いてくる。
「7号さん‥‥7号さん‥‥!」

「ああ、なんだ?」

「指揮官が明日の作戦概要を集会で話すみたいですから、拠点内に来てください」

「分かった‥‥行こうか」
 結局答えは出ないままで、俺は集会に臨んだ。



 仮拠点という名のテントの群れの中で、皆の前で指揮官が作戦概要を話す。
「お前たち!これから、最後の戦いの作戦説明だ!心して聞け!」

「まず、敵戦力で厄介なのはラクアだ!こいつの相手は、7号しか出来ん!」

「だから、演説の護衛をしているラクアを引きはがしてくれ!そのうちに我々が、帝都の兵士たちを殲滅する!」

「だが、ラクアは現在修復期間中だ。つまり、いない可能性もある!その場合は、こちらの勝ちだと言っても過言ではない!だが、最後の最後まで油断するな!」

「これまで散っていった仲間たちの無念を晴らす!それが俺たちの役目だ!」
 沸き立つ兵士たちと、単調に拍手するロボットたちが入り混じった風景は、中々シュールで笑えてしまうが、確かにそうだ‥‥皆の無念を晴らすことがついに叶うのか。



 テントを出た俺は、星空を見ながら、明日の作戦を自問自答して、確認していく。しかし、綺麗な夜空だ‥‥星がよく見え、宝石のように煌めいている。ああ‥‥この景色を彩花に見せたいな‥‥前にも考えていたっけな?まぁ、いいか‥‥彼女の横でこの景色を見られるのだろうか?本当に生きて帰れるのだろうか?
 そんなことを考えていると、外装に付けてきたあるものの音がした。いびつな形をした鈴‥‥戦友の形見だ。そうだ、彼女のこと以外を考えられるいい機会かもしれないな。お前との約束もすぐに果たせそうだ‥‥少し思い出してみようかな



 かつて、鈴の音を響かせて戦場を飛び回った奴がいた。あいつは正直言って、そこまで強くはなかったが、同期の中では、俺に次ぐ実力を持っていたと思う。名前はP型3号だ。俺たちP型は、7機作られた後、改良されたP改型が主戦力になった。つまり、俺が最後のP型となる。
 当時3号は、俺の教育係に当たっていた。今でこそ、堅物だのなんだの言われているが、その頃は、生意気なガキのような性格で3号には迷惑をかけたなぁ‥‥
 まず、礼儀を徹底的に叩き込まれた‥‥今思い返しても、震えあがるほど厳しいものだった。
 その次に、戦闘の訓練をしたんだが‥‥俺には、才能があったらしく、同期のP型では相手にならなかった。そこで、3号が気を利かせてなのか嫌がらせなのか、三俣さんの相手をさせられた‥‥もちろん、一切手加減なしでやらされたから、初めはボコボコにやられたっけ‥‥徐々に慣れていって惜しいところまではいけたんだけど、やっぱり勝てなかった。




そんな俺の初任務の時も、3号と一緒だったな‥‥戦場にまで鈴を付けていくのは、何故か聞いてみたら、戦友の形見だから、こいつが力をくれるんだって言ってたな。
 戦場で音のなるものを身につけるなんてデメリットしかないが、実際に力をくれていたのか、俺が戦場で活躍する前は、P型の中で彼が1番武勲をあげていた。
 だが‥‥彼の人生を終わらせることになる任務が、俺の初任務だとは、その時誰も気づけなかっただろう。
 かつて、訓練ではトップの実力を持った俺とその次の実力である3号が、無事に帰ってくると誰もが信じていた。しかし‥‥経験がなく油断した俺をかばって、3号は死んだ。
 彼は、最後に鈴を託し、こう言った。
「お前が‥‥あいつの、いや‥‥俺の意志を継いでくれ‥‥!戦争が嫌いなあいつが‥‥笑って暮らせるような世界に‥‥!」
 その時、俺は誓った。訓練では不十分‥‥実戦であらゆる場面に立ち向かいながら、油断せずに、諦めずに、泥臭くてもいいから生き延びて、彼の‥‥いや、彼らの無念を晴らすんだと‥‥
 空の端が明るくなってきた‥‥どうやら朝が来たらしい。俺が立ち上がろうとすると、また鈴の音が出た。
 ああ、お前のおかげでようやく吹っ切れたさ‥‥原点を思い出させてくれてありがとう。
 俺はそう思うと、指揮官の激励を聞き、決戦の地へと向かった。



 帝国の首都‥‥大きな広場で民衆たちに、演説をする。その時の護衛は、大体国落としとラクアのみだが、今日は違う。ラクアは、現在修復中だし、国落としは全員倒した。修復が終わったとしても、ラクアのみだろう。俺は、人々に身をひそめ、演説開始を待つ。
 周囲がざわつき始めた‥‥どうやら、帝王が現れたようだ。目標を視認するために、人込みをかき分け前に出る。ようやく視認出来る範囲に入ると、演台の上の状況を確認する。そこに、ラクアはいなかった。これは、好機だ。そう思い、銃剣を抜き、一気に加速し、護衛の兵士を切りつける。血が噴き出したのを、民衆が認識する前に、帝王の喉元に銃剣を突き付けようとした。火花と金属音とともに剣が止められる。慌てて、少し後方に下がる。
 見知った黒い機体‥‥少しでかくなっているが、間違いない。ラクアだ!やはり、そう簡単にはいかないってことか‥‥
「貴様は‥‥いつぞやの死に損ないではないか」

「ああ、お前を殺すために地獄から救われてきたんだよ!」

「ほう‥‥なるほど。帝王!演説は中止です。速やかに避難を」
 帝王は頷くと、兵士たちに国民の非難を指示したうえで、そそくさと逃げていった。
「追わないのか?ターゲットだろ?」

「ふっ‥‥これも作戦のうちだ。お前を止めなきゃ、全員やられてしまうからな」

「その通りだ‥‥ただし、貴様がこの俺を止められたらの話だがな?」

「止めて見せる‥‥!そのために、戦ってきたんだ!行くぞ!」

「ふっ‥‥かかってこい‥‥返り討ちにしてやる」
 剣と剣がぶつかり合い、火花を散らす。この戦闘が、俺の中で史上最高で最大の戦いになるだろう‥‥今、その壮絶な戦いの幕を開けた。
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