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序章
第7話 難所を超えるときは命懸け
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先ほど九死に一生を得る体験をした後、町に帰って、ヘリオさんに行商人さんの依頼は無理だって断って、宿で美味しいご飯を食べながらゆっくりする‥‥そんなストーリー展開だった、僕の中では。実際は、未だにゴブリンリーダーをふり切れず、今まさに隠れている最中だ。
(あいつ、しつこいわね)
「そうですね‥‥どうしよう、確実に街道へつながる道に行かせないつもりですね‥‥」
(なんか手立てはないの?ちなみに、私はない!シールドも1日1回くらいしか出せないし、攻撃魔法打てないし‥‥)
「うーん、こうなるなら冒険者ギルドでレベル更新させてたら‥‥」
(あっ、それ今出来るわよ!)
「ほんとですか?じゃあ、お願いします」
(でも、1つ難点があって‥‥)
「それって‥‥」
僕がその答えを聞くよりも先に奴に見つかってしまった。流石におしゃべりしすぎたかな‥‥とりあえず走りながら、それをやってもらうしかない!
「難点なんか気にしてる場合じゃない!アリフィカさん、頼みます!」
(OK!後で文句言わないでよね!ゴッズアビリティ発動!)
「これは‥‥あれ?なんか変化感じませんよ?」
(大丈夫よ、今あなたのレベルは5よ)
「それで、肝心なスキルの話なんですけど‥‥」
(そこが、1つ目の難点で、スキルがランダムで選ばれるのよ。今追加されたのは‥‥ソウルブレイク、メンタルポリューションね!)
「それで、どんな技なんです?」
(ソウルブレイクは攻撃技で、メンタルポリューションは耐性を下げるデバフ技ね)
「なるほど!」
彼女の説明通りならメンタルポリューションでゴブリンリーダーの耐性を下げられれば、ソウルテイクが通用するはず!
「くらえ!メンタルポリューション」
「ぐおお!」
「やった‥‥効いている!なら、これで終わりだ!ソウルテイク!」
詠唱後、僕は勝ちを確信し、ガッツポーズで喜んだ。当然光があふれだして‥‥あれ、なんでだろう、全く眩しくない‥‥僕が、後ろを確認しようと振り返ると、そこには奴の棍棒が今まさに直線的に振り下ろされていた。鈍い音が耳の中でへばりつくように聞こえる。間髪入れずに、2発目、3発目が飛んでくる。僕はそれをまともに貰い続けた。ああ‥‥これは、死ぬかもしれないなぁ‥‥そんなことを、2度目の死の危険に晒されながら悠長に考えていた。ゴブリンがこちらへ突進しながら、棍棒を大きく振り上げている。あれを貰えば、助からないなぁ‥‥
「嫌だ‥‥!死にたくない!」
それは、心の奥底にある生物的生存本能から来る叫びだったんだろう。気が付いたら、ゴブリンの間合いに潜り込み、変形したロゼッタストーンを胸に鎧を、貫通する状態で突き刺していた。奴も、何が起こったのか分からない様子だった。まさか、自身の突進が鎧を突き刺す威力を出すのに一役買っていったとは、夢にも思わなかっただろう。
「‥‥ソウル‥‥ブレイク!!」
僕は咄嗟にそう詠唱した。効果も良く分からないものを何故使ったかは説明が出来ないけど、単純に最高火力を出したかっただけだろう。しかし、その判断は正解だった。いつものように光は出なかったが、白い煙が塊になって出てきて、破裂音と共に周囲に四散した。これは‥‥成功なのか?腫れ上がり少ししか開かない瞼を懸命に開けて確認する。すると、ゴブリンリーダーは、石像のように動かなくなっていた。やった‥‥成功だ!そう思うと、先ほどまでの緊張が一気に緩み、膝から崩れ落ちるように倒れた。
(あんた!大丈夫?!しっかりしてよ‥‥お願い!)
アリフィカさんが心配している声が聞こえる‥‥返事‥‥しなきゃ‥‥いけないなぁ‥‥
僕の記憶はそこまでで終わっていて、気が付いた時にはいつも泊っている宿のベッドの上だった。どうやってここまで来たんだろう‥‥必死に考えるものの全然思い出せない。だけど、全身が痛いってことは、ゴブリンリーダーは倒したってことかな‥‥
(あっ!目を覚ました!!良かった‥‥)
「アリフィカさん‥‥あの、なんで僕はここに‥‥」
(あなた、全然目を覚まさなくて‥‥それで日が落ちてきた頃に、あのぼったくり野郎が来て‥‥あなたを運んでくれたの)
「ヘリオさんが?」
(ええ、それで傷の手当てをした後、さっさと帰っていったわ。まぁぼったくり野郎だけど、少しはいい所あるわね!見直しちゃったわ)
「そうなんですか‥‥そういえば、ヘリオさんはなんで何度も油断するなって‥‥」
(忠告かしら?)
「‥‥気になりますね。もしかして、知ってたんじゃ‥‥」
(でもまぁ、助けてもらったし‥‥あとさ、ゴッズアビリティのもう1つ難点がさ‥‥)
「そういえば聞いてませんでしたね、なんですか?」
(2、3日全身に激痛が走ってまともに動けないの!でも、今の状態じゃ関係ないような物よね!)
「え‥‥」
(ちなみに、そろそろアビリティの効果が切れるから現れるわ!)
「ちょっと待ってくださいよ!」
(え?ああ、ゴッズアビリティは時間制で、スキルとかレベルは元に戻るから安心してね!じゃあね!)
「待って‥‥あっ、通信切られた!やっぱりあの女神ポンコツだ!!」
(あいつ、しつこいわね)
「そうですね‥‥どうしよう、確実に街道へつながる道に行かせないつもりですね‥‥」
(なんか手立てはないの?ちなみに、私はない!シールドも1日1回くらいしか出せないし、攻撃魔法打てないし‥‥)
「うーん、こうなるなら冒険者ギルドでレベル更新させてたら‥‥」
(あっ、それ今出来るわよ!)
「ほんとですか?じゃあ、お願いします」
(でも、1つ難点があって‥‥)
「それって‥‥」
僕がその答えを聞くよりも先に奴に見つかってしまった。流石におしゃべりしすぎたかな‥‥とりあえず走りながら、それをやってもらうしかない!
「難点なんか気にしてる場合じゃない!アリフィカさん、頼みます!」
(OK!後で文句言わないでよね!ゴッズアビリティ発動!)
「これは‥‥あれ?なんか変化感じませんよ?」
(大丈夫よ、今あなたのレベルは5よ)
「それで、肝心なスキルの話なんですけど‥‥」
(そこが、1つ目の難点で、スキルがランダムで選ばれるのよ。今追加されたのは‥‥ソウルブレイク、メンタルポリューションね!)
「それで、どんな技なんです?」
(ソウルブレイクは攻撃技で、メンタルポリューションは耐性を下げるデバフ技ね)
「なるほど!」
彼女の説明通りならメンタルポリューションでゴブリンリーダーの耐性を下げられれば、ソウルテイクが通用するはず!
「くらえ!メンタルポリューション」
「ぐおお!」
「やった‥‥効いている!なら、これで終わりだ!ソウルテイク!」
詠唱後、僕は勝ちを確信し、ガッツポーズで喜んだ。当然光があふれだして‥‥あれ、なんでだろう、全く眩しくない‥‥僕が、後ろを確認しようと振り返ると、そこには奴の棍棒が今まさに直線的に振り下ろされていた。鈍い音が耳の中でへばりつくように聞こえる。間髪入れずに、2発目、3発目が飛んでくる。僕はそれをまともに貰い続けた。ああ‥‥これは、死ぬかもしれないなぁ‥‥そんなことを、2度目の死の危険に晒されながら悠長に考えていた。ゴブリンがこちらへ突進しながら、棍棒を大きく振り上げている。あれを貰えば、助からないなぁ‥‥
「嫌だ‥‥!死にたくない!」
それは、心の奥底にある生物的生存本能から来る叫びだったんだろう。気が付いたら、ゴブリンの間合いに潜り込み、変形したロゼッタストーンを胸に鎧を、貫通する状態で突き刺していた。奴も、何が起こったのか分からない様子だった。まさか、自身の突進が鎧を突き刺す威力を出すのに一役買っていったとは、夢にも思わなかっただろう。
「‥‥ソウル‥‥ブレイク!!」
僕は咄嗟にそう詠唱した。効果も良く分からないものを何故使ったかは説明が出来ないけど、単純に最高火力を出したかっただけだろう。しかし、その判断は正解だった。いつものように光は出なかったが、白い煙が塊になって出てきて、破裂音と共に周囲に四散した。これは‥‥成功なのか?腫れ上がり少ししか開かない瞼を懸命に開けて確認する。すると、ゴブリンリーダーは、石像のように動かなくなっていた。やった‥‥成功だ!そう思うと、先ほどまでの緊張が一気に緩み、膝から崩れ落ちるように倒れた。
(あんた!大丈夫?!しっかりしてよ‥‥お願い!)
アリフィカさんが心配している声が聞こえる‥‥返事‥‥しなきゃ‥‥いけないなぁ‥‥
僕の記憶はそこまでで終わっていて、気が付いた時にはいつも泊っている宿のベッドの上だった。どうやってここまで来たんだろう‥‥必死に考えるものの全然思い出せない。だけど、全身が痛いってことは、ゴブリンリーダーは倒したってことかな‥‥
(あっ!目を覚ました!!良かった‥‥)
「アリフィカさん‥‥あの、なんで僕はここに‥‥」
(あなた、全然目を覚まさなくて‥‥それで日が落ちてきた頃に、あのぼったくり野郎が来て‥‥あなたを運んでくれたの)
「ヘリオさんが?」
(ええ、それで傷の手当てをした後、さっさと帰っていったわ。まぁぼったくり野郎だけど、少しはいい所あるわね!見直しちゃったわ)
「そうなんですか‥‥そういえば、ヘリオさんはなんで何度も油断するなって‥‥」
(忠告かしら?)
「‥‥気になりますね。もしかして、知ってたんじゃ‥‥」
(でもまぁ、助けてもらったし‥‥あとさ、ゴッズアビリティのもう1つ難点がさ‥‥)
「そういえば聞いてませんでしたね、なんですか?」
(2、3日全身に激痛が走ってまともに動けないの!でも、今の状態じゃ関係ないような物よね!)
「え‥‥」
(ちなみに、そろそろアビリティの効果が切れるから現れるわ!)
「ちょっと待ってくださいよ!」
(え?ああ、ゴッズアビリティは時間制で、スキルとかレベルは元に戻るから安心してね!じゃあね!)
「待って‥‥あっ、通信切られた!やっぱりあの女神ポンコツだ!!」
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