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暴食の章
第25話 暴食帝暗殺計画
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数時間の間少し加齢臭のするベッドに寝た後、僕はまだ残る疲労感と食われたところの幻覚痛のようなものを引きずりながら、仮眠室を出た。
「おう、こちらはもう準備完了だ」
「…な、なんですかこれ」
「…?お前はもう会っているはずだが」
確かに目の前にあるものは見たことがあった。正確には目の前のようなものだが…端的に言えば魂縛石の中で見た巨大な魔獣なのだが、見た目が大きく違う。
「ロボットですか?」
「魂の同化を完了させれば何が出来るか知っているだろ?」
「まさか…これを動かすんですか?」
「あぁ、出来るだけ生前の姿に似せた」
「生前…?」
「なんだ知らないのか?」
ライゼンは淡々とした口調で目の前に佇む巨大ロボットのことを説明しだした。どうやら神話級の怪物と恐れられていた魔獣を現世に甦らせるという計画のようだ。この世界では死霊術などのいわゆる亡者の復活が禁止されており、そういった研究は徹底的に撲滅されているらしい。魂術はそのあたりはグレーゾーンなのだが…しかし、問題は…
「本当にこいつは強いのでしょうか…」
「何故そうだと?」
「魂縛化されてますし、何より同化を始めてやるようなやつにやられてるし…」
「それは術師が優れていたのだ」
「どういうことです?」
「魂縛化された状態のものに対して同化する難易度は魂縛化させる感情によって変わる、例えば怒りの感情ですれば難しく、嬉しさの感情ですれば簡単になる」
「つまり…あの化け物を最高の気分にしたってことですか?」
「あぁ」
「とんでもない方だったんですね…」
「私の…いや、私たちの師匠だった人だよ」
「三賢者の1人を育てられた方だったんですね、きっと凄い術師だったんだろうなぁ」
「違うぞ、クラウソラスを含めた元三賢者の師匠さ」
「…つまり僕たちはライゼンさんの同級生を」
「気にしていないさ、それにあいつとは元々仲が悪かったからな」
「…」
「さぁここだ、魂縛石を入れてくれ」
「はい…大丈夫です、入りました」
「よし…動作チェックだ」
すごいものを見てしまった…寝起きであれは少し響くが本当に暴食帝を…倒すつもりなんだ。少し埃の匂いがするベッドに顔をうずめる。
「灰崎~もう終わったのか…って大丈夫か?」
「あっ、大丈夫ですよ」
「なぁ……何か隠してないか?」
「隠しごと?確かに協力者の素性は明らかにはしてないけど…」
「そうだな…それは仕方ないとして凄い疲れてるように見えるぞ?」
「え?そんなことは…」
起こしていた身体から急に力が抜けていく。もしや、あの部屋で圧縮された時間の影響か?いや…これは…単純にね………むいだけ………か。ばたりと音を立て布団に着いた埃が舞う。
何時間寝ただろうか…窓からの日差しを受けて気持ちのいい朝を迎えた……と思ってたが、
「灰崎!」
「うわっ!サミエム、凄いくまが出来て」
「良かったぜ、全然あれから起きねぇし心配したんだぞ」
「すみません、魂の同化はかなり体力を使うようで」
「確かに体力は使うが道具を持ち込めるからそんなに苦労しないって本に書いてあったぞ?」
「え?」
「衣服に忍ばせるか手に持っとくかすればいけるはずだって」
「先に知っておきたかった…」
「それよりも!」
「あ、隠しごとは本当にありませんよ?」
「嘘つけ!」
「はぁ…分かりましたよ」
「ようやく話す気になったか!」
「これも口止めされてはいたんですが…まぁいいでしょう」
「前置き長いぞ」
「1週間後にある暴食帝が主催する食都内で一番の料理人を決める大会があるのは知っていますね?」
「確か食都フェスティバルとか何とか」
「そこで僕たちは暴食帝を…殺害します」
「おう、こちらはもう準備完了だ」
「…な、なんですかこれ」
「…?お前はもう会っているはずだが」
確かに目の前にあるものは見たことがあった。正確には目の前のようなものだが…端的に言えば魂縛石の中で見た巨大な魔獣なのだが、見た目が大きく違う。
「ロボットですか?」
「魂の同化を完了させれば何が出来るか知っているだろ?」
「まさか…これを動かすんですか?」
「あぁ、出来るだけ生前の姿に似せた」
「生前…?」
「なんだ知らないのか?」
ライゼンは淡々とした口調で目の前に佇む巨大ロボットのことを説明しだした。どうやら神話級の怪物と恐れられていた魔獣を現世に甦らせるという計画のようだ。この世界では死霊術などのいわゆる亡者の復活が禁止されており、そういった研究は徹底的に撲滅されているらしい。魂術はそのあたりはグレーゾーンなのだが…しかし、問題は…
「本当にこいつは強いのでしょうか…」
「何故そうだと?」
「魂縛化されてますし、何より同化を始めてやるようなやつにやられてるし…」
「それは術師が優れていたのだ」
「どういうことです?」
「魂縛化された状態のものに対して同化する難易度は魂縛化させる感情によって変わる、例えば怒りの感情ですれば難しく、嬉しさの感情ですれば簡単になる」
「つまり…あの化け物を最高の気分にしたってことですか?」
「あぁ」
「とんでもない方だったんですね…」
「私の…いや、私たちの師匠だった人だよ」
「三賢者の1人を育てられた方だったんですね、きっと凄い術師だったんだろうなぁ」
「違うぞ、クラウソラスを含めた元三賢者の師匠さ」
「…つまり僕たちはライゼンさんの同級生を」
「気にしていないさ、それにあいつとは元々仲が悪かったからな」
「…」
「さぁここだ、魂縛石を入れてくれ」
「はい…大丈夫です、入りました」
「よし…動作チェックだ」
すごいものを見てしまった…寝起きであれは少し響くが本当に暴食帝を…倒すつもりなんだ。少し埃の匂いがするベッドに顔をうずめる。
「灰崎~もう終わったのか…って大丈夫か?」
「あっ、大丈夫ですよ」
「なぁ……何か隠してないか?」
「隠しごと?確かに協力者の素性は明らかにはしてないけど…」
「そうだな…それは仕方ないとして凄い疲れてるように見えるぞ?」
「え?そんなことは…」
起こしていた身体から急に力が抜けていく。もしや、あの部屋で圧縮された時間の影響か?いや…これは…単純にね………むいだけ………か。ばたりと音を立て布団に着いた埃が舞う。
何時間寝ただろうか…窓からの日差しを受けて気持ちのいい朝を迎えた……と思ってたが、
「灰崎!」
「うわっ!サミエム、凄いくまが出来て」
「良かったぜ、全然あれから起きねぇし心配したんだぞ」
「すみません、魂の同化はかなり体力を使うようで」
「確かに体力は使うが道具を持ち込めるからそんなに苦労しないって本に書いてあったぞ?」
「え?」
「衣服に忍ばせるか手に持っとくかすればいけるはずだって」
「先に知っておきたかった…」
「それよりも!」
「あ、隠しごとは本当にありませんよ?」
「嘘つけ!」
「はぁ…分かりましたよ」
「ようやく話す気になったか!」
「これも口止めされてはいたんですが…まぁいいでしょう」
「前置き長いぞ」
「1週間後にある暴食帝が主催する食都内で一番の料理人を決める大会があるのは知っていますね?」
「確か食都フェスティバルとか何とか」
「そこで僕たちは暴食帝を…殺害します」
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