腐男子、転生したら最強冒険者に溺愛されてる

玲央

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本編 最強冒険者

story96/ 終止符を打つ為に

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ガーディアンの街を見渡せる小高い丘の上、
その場所にある家々の中で、
一際離れた場所に建っている家が1軒だけある。

その家は、僕がアレックスに初めて抱かれ、
たくさん愛された場所だから、
言葉の響きは恥ずかしいけれど、
‘’アレックスと僕の  愛の巣‘’なんだ。

その愛の巣が目の端に見える場所に、
いま僕はグレインと共に立っている。

何故かって?

それはね、グレインが僕に‘’話がある‘’と言って
連れて来たからだよ……

もの凄く複雑な心境です。

だって、愛する人との家がある場所で、
別の男性に多分…今から告白されるから……

複雑でも仕方ない。「話しを聞く」と言って
ついて来たのは僕だし……

だから話してよグレイン。
話すのが苦手な君からの言葉、最後まで聞くから。


「ちゃんと聞くから話して」
そう伝えたのに、2人の間に沈黙が広がった……

静寂の時が流れてる間、
僕達2人は見つめ合って居たんだけど、
グレンの目の奥が悲しそうに揺れるから、
なんだか僕までせつなくなってきた。

そうして暫く僕を見つめていたグレンだが、
表情が少しずつ変化していった。
眉間に皺が寄り、目には悲しみが滲んでいた。

今にも泣き出しそうなグレンに、
僕は思わず彼の手を取り握り締めて声を掛けた。


「グレン?ゆっくりでも良いから話してくれる?
それとも、話し難い?日を改めようか?」


「……いや。すまない。今日話すと決めたのに、
言葉にするのが苦手で……ふぅ……もう平気だ」


「ふふふ。知ってるから大丈夫だよ」


「……ヨウマ。1度だけ君に伝えたいんだ。
君への想いを、真実の言葉にして……」


「……はい」


「…君にとって、
俺は沢山いる冒険者の中の1人かもしれないが、
俺にとって君は、特別な存在なんだ」


「…………」コクン


「まだ出会って数日しか経ってないし……
会話をしたのも数える程度しかないのだが……
君の笑顔を見る度に、心が満たされるんだ。」


「………………」


「俺のこの気持ちは報われる事は無いと分かってる。
でも、君を想う気持ちが止められなくて、
たとえ君に届かなくても伝えたかったんだ」


「…………グレイン……」


「君には沢山の魅力がある。
だから、君の傍に居る事が出来るだけで、
それだけで十分だと思っていたけれど、
‘’恋人になりたい‘’と欲が出てしまってな……」


「…………(ごめんグレイン恋人にはなれない)」


「君に想う度に、胸が痛くなるくらい
君が好きだと感じていたんだが……
直ぐにこの気持ちを伝える気は無かったんだ…」


グレンが不器用ながらに紡ぐ言葉は、とても切なくて、
一言一言に込められた願いや切望が静かに響き渡る。


「でも……この街を離れると聞いてな……
その理由は……恋人の所へ行くんだろ?」


「…………うん。恋人‘’だった‘’人の所へ行くよ」


「……そうか。そんな気はしていたんだ……
だから、報われないと分かってた。
でも、それでも。1度だけ伝えたかった」


「…………うん」


「初めて会った時から惹かれていた。
君の笑顔が眩しくて、心を奪われてしまった。
君の話す言葉や仕草に魅了され、
自然と君に惹かれていったんだ」


「ヨウマが好きです。俺は君に恋をしています」


僕はその真剣な愛の告白に、
どう返事すれば傷付けずに済むのかを考えていて、
その言葉を聞きながら、立ち尽くしていた。


「……ヨウマ。困らせて悪かった。
返事は要らないんだ。
君の心には愛する人がもう居るのは分かってる。
ただ、言葉にして伝えて、
この恋に終止符を打ちたかったんだ。
自分勝手で申し訳無い。」


「ううん。自分勝手だなんて思ってないよ。
ありがとうグレイン。貴方の気持ちは素直に嬉しいよ。
でも、僕には心から愛する人が居て、
その人以外考えられないんだ。
だから……ごめんなさい」


「……はは……ありがとうヨウマ。聞いてくれて。
心から愛する人と共に幸せになってくれ。
これからは、友人として宜しく頼む。
どこまで会いに行くのか分からんが、
気を付けて行って来いよ……

では……俺は先に街に戻る事にする」


友人として……そう言ったグレンと握手をして、
僕はその場に残り彼が去っていく背中を見送った。


その姿を見ながら、心の中で思いを巡らせた。
彼の言葉と優しさ、切なさが心に残り、
僕の胸はギュッと締めつけられた。


草の上に大の字に寝転び、暫く空を見上げていたが、
「はぁぁぁ」と深いため息を吐いて、
僕は漸く立ち上がった。

そして、今すぐは無理かもしれないけど、
友人として、新たな関係を築いていこう!
そう決意を固め、街の中に戻った。

何時もなら、歩くのが面倒で転移するんだけど。

日が暮れていく中、人々が忙しなく動き周り、
笑い声と話し声が交差する街の喧騒を聴きながら、
ガーディアンの冒険者ギルドまで歩いた。

本当なら、直ぐにでも森に帰りたかったけど、
明日、フォルティエに発つ前に
ユアンとシェリーに挨拶する為、ギルドに来た。

ギルド内は、依頼達成報告をする人達で賑わい、
僕はその光景を見ながら、目的の2人を探した。


「ユアンとシェリーはどこぉ~?
トラ坊が入り口にあったからギルドに居るよねぇ」


そう呟きながらキョロキョロしてたら、
酒場の奥の方に居るのが見えた。

僕が気付いたのと同じタイミングで目が合い、
手招きされたので、その場へ足を進めた。


「よう!ショウマ!じゃなかった、ヨウマ!
なんだお前、シケたツラしやがってよー!」


「ヨウマどうしたんすか?ココに座ってっす」


「いやぁ、ちょっと人と会っててねぇ~。
その場所から歩いて来たから疲れたのぉ~」


「お前なあ!普通は皆んな歩くんだよ!
(転移使えるのはお前だけだぜ)コソッ
ガーハッハッハッ!
んで?明日フォルティエに出発すんだろ?」


「うん。明日出発するからさぁ~
行く前に2人に挨拶しようと思ってねぇ~」


「(……グレインと何かあったっすか?)コソッ」

「(何で分かるの~!うん。告白された)コソッ」

「(やっぱりっすねぇ。
さっきグレイン見掛けたんすけど、
妙にスッキリした顔してたんすよ。
憑き物が落ちた見たいな?)コソッ」


そっか、ギルドに来たんだね。スッキリした顔って事は、ちゃんと終止符打てたのかな


「おい!お前ら!コソコソと何なんだよ!
ヨウマ!シェリーは俺のだから渡さねぇからな!」


「ユアン!大声でそんな事叫ばないでっす!!
あんた声デカいんすよ!
それと、ヨウマとは友達っす!
変な勘違いしないで欲しいっす!」


「あはははは!2人共ラブラブだよねぇ~!
ユアンとシェリーは変わらず仲良くてイイなぁ~
凄く素敵なカップルで羨ましい~♡」


「ラブ?カップル?それはどういう意味っすか?
ヨウマの国の言葉っすか?」


「ラブは‘’愛‘’カップルは‘’恋人同士‘’って意味。
僕の国とは違う国の言葉だよぉ~」


「ラブ!カップル!その言葉気に入った!!
俺とシェリーはラブラブのカップル!!
なぁー?シェリー?ガーハッハッハッ!」


「黙れ!ほんと脳筋ゴリラっすね!
もう!明日から言い続けるでしょあんた!」


「ふふふ。僕もアレクと早く寄り戻して、
前よりラブラブカップルになるんだぁ~!!」


「ははは!必ず寄り戻して下さいっすよ~
2人でガーディアンに戻って来るの待ってるっす」



出発前日に、怒涛の1日を過ごし、
今はギルドを出て暗くなった街を歩いてる。
不意に空を見上げたら月が2個瞬いていた。

それを見ながら独りごちた。


「明日はアレクの誕生日だね。
プレゼントは‘’僕‘’だよ。ははは。なんてね。
気付かなかったらお尻叩くからねぇ~!
待ってろよ!アレクレス・フォルティエー!」
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