腐男子、転生したら最強冒険者に溺愛されてる

玲央

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本編 最強冒険者

story168/あめあめ、ふれふれ

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宴の最中、実はお腹の中で、終始暴れていた僕たちの天使。
その暴れっぷりに具合が悪くなり、顔が真っ青に染まっていた。

アレクやマイキー、セバスさんが心配して“部屋に戻った方がいい“と言ってくれたんだけど、
一生に一度の事だし、せっかく準備してくれた気持ちを無駄にしたくなくて、最後まで耐え抜いた。

そして、花火の打ち止めと共に限界を迎え、テーブルに突っ伏して気を失った。

そんな僕が意識を取り戻したのは、宴が終わってから数時間後の深夜……
月の光が部屋の中を照らし、幻想的な雰囲気の中、
目を覚ました僕の瞳に映ったのは、心配そうに見つめるアレクの姿だった。

「ショウマ、目が覚めちまったか…気分はどうだ?凄ぇ心配した…ちゅっ」

「今は大丈夫だよ…ごめんね心配掛けて…
僕達の天使が、今日1日すごく元気でね…ずっと暴れてたの…一緒に楽しんでたんだと思う…」

「ああ。ちゅっ。さっきまで、ポコン、ポコンって動いてた。
その事でルナがさ、今まで一緒に居たんだが、妙な事を言ってたんだよ」

「妙な事?」

「ああ。“くるちって、ゆってりゅ、ぱーぱ、ふきゅ、ないないちて”って
それと、“ないてりゅ、えんえんて”って言ってたんだよなぁ」

「え、何それ。だから僕、服着てないの?それと、ルナには赤ちゃんの声が聞こえるって事?
そういえば、転移使える事もそうだけど、神様にお手伝い頼まれたとか、不思議な事を言ってたね」

「ああ。お前と一緒で、フェリス様の加護持ちなのかね?」

「いや、フェリス様の加護あるけど、赤ちゃんの声なんか聞こえないよ僕……」

「お前より規格外か…ま、どんな子でも可愛いのは変わらんが、規格外な子だと将来が心配だな」

「そうだね、世の中良い人ばかりじゃないからね。悪い人に目を付けられたら大変だね」

そう言い合いながら、2人でウンウンと頷いていたら、徐に思い出した。
僕たち新婚で、今夜は新婚初夜だって事を……

「ねぇ、アレク。今日って、今って初夜だよね…体調良くなったし…SEX…する?」

そう聞いたら、苦悶の表情で僕を見つめながら言葉を紡いだ。

「ショウマ…嬉しい誘いなんだ…凄ぇ嬉しい…ちゅっ。本当なら抱きたいんだ…ちゅっ。
毎日、毎晩、いつでも、お前が欲しいんだよ。愛しい人を、心でも身体でも愛したいんだ」

そう告げながら、ちゅ、ちゅ、ちゅ、と、額や目、鼻に頬に口付けをしてきたアレクの瞳が、
泣きそうに揺れてるのに気付いて言葉が詰まった。

「……ッ」

「お前が、顔を真っ青に染めながら寝てる姿とか、苦痛に顔を歪ましてる姿とか、
気を失って倒れる姿を見る度に、俺の心臓が悲鳴をあげるんだよ」

「……アレク……」

「俺は本当にお前を大切に思っているんだ。
お前を守りたい。お前が笑顔でいられるよう、健康的で幸せな暮らしを約束したい」

「……うん」

「セックスをして、お前の身体が傷つき、赤ん坊が何かしらの危険に晒されることは絶対に避けたい」

「……はい」

「心の底からお前を愛している。だからこそ、お前と赤ん坊の安全を最優先に考えているんだ」

「……うん。ありがとうアレク。その優しい想い凄く嬉しい…ごめんね心配ばかり掛けて。ちゅっ。
それと、アレクの気持ちをないがしろにした発言してごめんね」

「いや、謝る事はないんだ。妊娠中に性行為しても別に問題はないんだ。
ただ、俺が心配し過ぎて手が出せないだけなんだ。小心者なんだよ」

「そんな事ないよ、僕の身体を労わってくれてるんでしょ?優しい旦那様で嬉しい。ちゅっ」

そのあとも、話しながら軽く口付けを交わし合っていたら、アレクの瞼が段々と閉じていき、
「愛してるよショウマ」という呟きを最後に、深い眠りに落ちていった。

優しく微笑みながら眠った、愛しい人の寝顔を暫し見つめながら、僕は思考の渦に飲み込まれていった。

考えていたのは、SEXの事……じゃなく、ルナの事。そしてお腹の中の子の事。

フェリス様が言っていた“子供達にも祝福を与えた”って言葉が気になっちゃって、
その事が頭の中を埋めつくし、グルグルと渦を巻いている。

「考えても答えは出ないね。そういえば、子供達ってルナとマイキーと、この子の事かな?
まさか…幼稚園の子供達まで含まれてる?
あの子達だって、僕からしたら家族だし、愛しい子達に変わりないからな」

「なんか調べる方法…鑑定で見てみる…とか?」

そんなこんな考えてたら、いつの間にかアレクの腕の中で眠っていた。


時が経ち、宴の日から1ヶ月が過ぎた。その間は何事もなく平和に??過ごしていた。
悪阻に悩まされてたのも、時が過ぎれば落ち着き、普通に生活出来るようになった。

それに安心したアレクはマイキーと一緒に、
「生活費を稼いでくる」と言って、数日置きにギルドへ行き、依頼をこなしている。

僕は幼稚園へ行き、子供達と戯れながら日々を過ごしていた。それで気付いたのは、子供達の能力。
“調べてみるか?”なんて思ってたけど、
調べなくても才能が開花したのを目の当たりにしたので、止めることにした。

火、水、風、土、光、闇は勿論のこと、剣術、魔工士、料理、etc.....
その中でも飛び抜けて規格外だったのはルナで、転移魔法は勿論だけど、空間魔法まで使っていた。

空間魔法とは亜空間収納の事で、イベントリとは違い、生き物でも入れられるんだよ…人間でもね。

プレイルームで、お友達を収納して遊んでたのを見た時は驚き過ぎて腰を抜かしたよ。
その時は流石に激怒して、人や動物を収納するのはダメだと注意した。

「まんま、めんしゃい…もうちない、おこちないで…ぐすっ」と泣きながら反省していたので、

「人を傷つける魔法の使い方はダメだからね?パパにも言われたでしょ?
危険な事をしなければ使ってもいいんだよ。良い子のルナなら分かるよね?ちゅっ」

と言ったら分かってくれたみたいで、この日から収納は使わなくなった。
それに「ホッ」としていたんだけど、ルナの規格外さだけは調べてみるか?と思い始めた今日この頃。

その理由は…

本日、いつものように、プレイルームで小さい子達に本の読み聞かせをしていたら、
突然雨が降り出し、「わっ、雨降ってる!」と、驚きと懐かしさに頬を緩めいたら、
園庭で1人、空に手を掲げてブツブツ唱えているルナを発見した。

急いで側へ行き「風邪ひくから園の中に入ろう」と声を掛けたら、
「まんま、あめあめ、ふりぇふりぇ」「ぴちぴち、りゃんりゃん♪」「ルナ、あめちてりゅの」
とニコニコと笑いながら言ったあと、豪雨が降り出した。

「まさかこの雨って、ルナが降らしてるの?」

「しょうよー、てりゅぼうじゅ、ちゅくりゅのよー、まんまも、いっちょ、ねー」

そう。突然降り出した雨は、自然現象じゃなく、ルナが天気を操っていたんだ。
だから、ルナの能力だけ調べる事に決めた。

「ルナは天才だねぇ。さぁ、園の中に入って、てるてる坊主を一緒に作ろうか」

「あい!あ、まんま。ぱーぱとにいに、ブーンてきちゃよ」

雨に降られながらルナを抱き上げ、園の中に入ろうと歩き始めたら、
アレク達が帰ってきたと言われたので視線を向けたら、
愛車にしているバイクに乗って、猛スピードで帰ってきている姿を捉えた。

「ショウマー!空から水が大量に落ちてきた!
何か異変が起きてるんだ!危険だから建物の中に入れ!」

「ショウ兄ちゃ…じゃなかった、えっとママ!それとルナも、危ないから家の中に入って!」

(え?雨の何が危険なの??)そう思って首を傾げてたら、バイクを乗り捨て、血相を変えて僕に走り寄り、
「呆けてないでさっさと中に入るぞ!」と叫びながら抱き上げ、全速力で建物内へと飛び込んだ。

「はー。ショウマ無事か?身体は何ともないか?ちゅっ」と床に僕を降ろし、そう聞いてきたので、

「え?大丈夫だけど……」と答えたら、今度はお腹を撫でながら、
「エスポアは?大丈夫か?」と聞いてきた。

なんでそんな事を聞くのか分からず、
「え?あ、この子もルナも平気だけど…どうしたの?なんでそんな事聞くの?」と問い掛けたら、

マイキーと2人真剣な顔をして、
「神様がお怒りかもしれない」「大地の神が怒ってるんだよ」と伝えてきた。

その答えにますます混乱して「大地の神様?それが怒ってるって何の事?」と聞き返したら、
2人が一瞬目線を合わせたあと、僕に向き直り、異世界の天気事情を教えてきた。

「ショウマは日本国出身だから知らないだろうな。
この世界では数年に1、2度、大地の神がお怒りになり、空から水が落ちてくる時があるんだ」

「それだけじゃないんだ。その水が畑を壊したり、家を壊したり、橋まで壊すんだ。
水が止まった後の、街の中は酷い状態なんだよ。だから、この世界の天災の1つって言われてる」

「中には“恵みの水”って言う人もいるけどな、そういう人は水魔法が使えない奴なんだ」

「そうなんだ。いま街の人達が悲鳴を上げながら慌てて逃げ惑ってて、大変な事になってるんだよ」

その話を聞きながら、
(確かに水害は恐ろしいよね、洪水とか、津波とか)

(水魔法を使えない人なんているだ。そりゃ恵みの水って言われるよね。井戸水汲むより楽だもん)

と、心の中で納得していたんだけど…同時に、

(ごめん2人共。この雨は“神の怒り“じゃなくて“ルナのスキル”なんです)と心の中で平謝りした。

パニックになってる街の皆さん、ごめんなさい。
そして僕達を心配して帰って来てくれた旦那様と息子よ…真実を述べよう…

「ふぅ」と息を吸い込み、説明しようと口を開いたら、キャッと笑いながら、

「きゃはっ。ぱーぱ、にぃに、あめあめ、ふりぇふりぇよー、てりゅてりゅ、ちゅくりゅ、よー」

と、ルナが空に手を翳し言葉を発した瞬間、バケツをひっくり返したような雨が、雷と共に大地に降り注いだ。

その様子を、目を見開き驚愕しながら見ている2人に対し、
僕は額に手を当て、天井を見上げ「あちゃー」と言葉を漏らした。

そしてルナに、
「ルナちゃん、雨さんを止めてくれる?みんな困ってるからね。てるてる坊主も今日はお休み。分かった?」と言ったら、

「…ぶー。あめあめ、ないない。わかっちゃ…」と言いながら雨を止めた。

その瞬間、アレクとマイキーが、ギギギッとゆっくり振り向き、
「「ひぃい!!ルナちゃん恐ろしい子!!」」
と、震えながら抱き合って同時に言葉を発した。
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