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本編 最強冒険者
story208/リジェネレート
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新国名が、僕の一言のせいで“ニューカントリー“になりそうな今日この頃。
そのクソだっさいネーミングを連呼するサイラスさんとギルさんに、「やめてぇ」と言っても止まらない。
そのうちアレクまでもが、「ニューカントリー。いい響きだ」と言い出したもんだから、屈辱に耐えられず、
「い~やぁぁあ!!」と空に向かって絶叫した。
呆然と街並みを見下ろし、「「ほぉ…」」と感嘆な声を出してるサイラスさんとギルさん。
僕を抱き締めたまま、「最強国家ニューカントリー。うんうん」と納得して頷いてるアレク。
アレクの腕の中で、「ダサい、ヤダ、ダサい…」と呟き震えている僕。
そんな奇妙な光景に加わるようにマイキーが空から現れ、
「ママ!来てそうそう悪いんだけど、大変なんだ!
……あれ?キミは…侯爵様の息子さんだよね!何か困った事があったの?…ってごめんね、それは後で教えて!」
「あっ…うん。後で聞いてねマイキーくん」
あら、マイキーはサイラスさんと知り合いだったのね。
「落ち着いてマイキー。どうしたの?大変ってなに?」
「それがね、ママが転移してきたのと同じ頃合いに、大量の亜人族と人族が噴水広場に現れたの!
それがさ、全員が身体の一部を欠損してるし、衰弱しててその場で倒れたまま動かないんだ!」
あれか!神からの手紙に書かれてた、“国を興したら保護した亜人たちを転移させる“ってヤツ!
僕の何かが発動条件になって、一緒に転移されてきたんだな!
……まだ国なんか興してないのに!今さっき移住したばっかりなんだけど!
いや、そんな事より衰弱してるなら早く栄養取らせないと死んじゃうな。
「知らせてくれてありがとマイキー。
僕は様子見てくるけど、アレクたちはどうする?ここにいる?」
「いや、俺も行くぞ。ヒール使えるし手伝うぞ」
「私も微力ながらお手伝いします!たぶん父の被害者もいると思うので!」
「私もお供致します。身体一部欠損。私が保護していた者たちかもしれません」
という事で、皆んなで輪になり手を繋ぎ噴水広場へ転移した。
到着した先では、大人も子供もごちゃ混ぜで大量に転がっており、「ゔゔッ」とアチコチから呻き声が聞こえてきた。
良く見ると、人族は欠損児として産まれて捨てられたのだろう…というのが見た感じでわかったが、
亜人族の人達は、角や耳、尻尾などが、人の手によって切り取られたのだろう…血が滴っていた。
そんな惨絶な現場の中で、悲痛な顔をしながら回復魔法を施してるお父さんを見つけたので、
「お父さん!聖魔法使えないの!ヒールじゃ欠損が元に戻らないよ!」と叫んだら、
「翔馬…残念だが聖魔法は神子様しか使えないんです。大聖殿にいる聖人、イルミナル様しか使えないんだよ」
え?聖人イルミナル様?“淀み払いの神子”っていう大聖女様の事かな?
それとも、聖人と聖女がいるの??ん??いや、そんな疑問はあとあと!
「お父さん!僕、聖魔法使えるからちょっと待ってね!フェリス神像に祈りを捧げるから!」
“聖人”に対しての疑問は解消されていないが、今はそれよりも傷付いた彼らを癒すために祈りを捧げないと!
そう思い、お父さんに叫んでから、噴水の支柱になっているフェリス神像の前に膝まつき、手を組み、目を閉じた。
(これが不思議なんだけど、こうすると頭にフッと詠唱が浮かんできて、口が勝手に紡ぎだすんだよねぇ)
“神像に捧げる願いよ届け。優しき光 神聖なる力、傷付いた者たちに降り注ぐように。
フェリス神様 この願いお聞き届け、彼等の傷を癒す魔法で、尊き祈り 紡ぎ出す奇跡の力を お下しください。
神よ、彼等を見守り給え。聖なる声が天へ舞い上がり、紡ぐこの詠唱。神々の祝福 降り注げ”
«聖の祝福!リジェネレート!»
パァァアアア……
{うう…ん?} {…あれ?} {!?手が生えた!} {ウソ!尻尾が!} {身体が軽くなった!} {聖女様だ!}
{黒髪の天使様} {あれは黒髪の女神様}
「「「聖女様!お救い下さり感謝致します!」」」いや、聖女じゃないってば!僕は男!
「……凄い…翔馬…あなた次代の聖人様なのですね…」
「は?え?違うよ?…そんな役目はないってフェリス神様が言ってたもん」
それより栄養取らさないと。何が良いかな?ゼリー?栄養ドリンク?……あ、ゼリー飲料水が良いかも!
「アレク!サイラスさん!ギルさん!マイキーも!コレ皆んなに飲ませてあげて!」
(その取り寄せスキル良いなぁ。ズルい翔馬ぁ。お父さんも欲しい~!
それより翔馬が次代の聖人様なのは確実だと思いますね。あと150年くらいしたら世代交代でしょうね)
そんな事を思いながら、小さい子にゼリー飲料水を食べさせてあげていたら、
ショウマが何も無い場所に向かって話し掛けていた。
「ほら。隠密でギルさんとサイラスさんをコソコソ監視してる貴方も食べて?バレてるから出ておいでよ」
(ふふふっ。本当に良い子に育ちましたね翔馬。皆んな気付いてて見て見ぬフリをしていたのに)
「…わ、私は…出ていけないのです…隷属の首輪で…命令に逆らうことが……??あれ?な、無い!首輪が!」
「ふふふ。おどろしい邪気を放ってたからさ。気持ち悪くて聖詠唱と共に解除しちゃったの。
もし、同じ目に合ってる同胞がいたら連れといでよ。パパっと解除しちゃうから」
あら、立派な鬣。ライオンの獣人さんかな?
「ううっ…うっ。本当に感謝します。神の愛し子様。うぅっ。私はあなたに忠誠を誓います…」
ええ?…そんなのイイよぉ…せっかく自由になったんだから好きなように生きて幸せになってよぉ…
そう言おうとしたのに、良い笑顔でニッコリ笑い、シュンっと消えて居なくなった。
その後、復活した他の亜人や人族達が一斉に頭を下げ、
「「黒の君。癒しの天使様と光の女神様に忠誠を!」」
と大声で叫ばれ、吃驚したままお父さんと視線を交わし、
「癒しの天使様?」とお父さんが僕を指さし、
「光の女神様?」と僕がお父さんを指さし、
「「黒の君?」」と指さしたまま同時に声を発した。
そしてギギギギと振り向き、ヒシッと抱き合い、
「「勘弁してよぉおお!!」」と声を揃えて大声で叫んだ。
そんな僕たち父子の様子に、遠目から笑い声が響き、そっちに目を向けると、アレク、マイキー、カイトが腹抱えて笑っていて、
その隣には、困り顔のガイアと、その腕に絡まって身を寄せてるシャイナが居り、二人の様子にオロオロしているベスケがいた。
「お父さん、アレいいの?てか、もしかして…3ピーなご関係ですのん?」
「コラ翔馬!」バシンッ!「あだっ!」
「全く…。シャイナちゃんはね、“親離れ出来ない子供“なんですよ。
ベスケくんを愛してるんだけど、隙あらばああしてガイアにベッタリ張り付いてるんです。
でも、いいんです。ガイアが愛してるのは私だって分かってるので。ふふっ」
ふ~ん。親の惚気話って、聞いてるとムズムズするな。
……今ふと思ったけど、お父さんってもしかして…元々ゲイか、バイだったのかなぁ?
ま、そんなことはどうでもいっか!幸せそうなお父さんが見れて嬉しいしね!
この後、頭を下げ続けている皆んなに頭を上げて貰い、住宅街まで案内して、各々好きな家で寛ぐよう伝えた。
設備の説明については、ガイアさん達亜人とマイキーとカイトが各所を周り教える事になった。
そして僕とアレク、お父さん。サイラスさんとギルさんの5人で、噴水広場の奥に鎮座する議事堂へと入っていった。
エスポアは、いつの間にか僕の傍にいたマッシュが「頭に乗せて、ボクが面倒見てるよ」と言い連れてったよ。
入ってすぐ目の前にある大階段を昇り、「ここがお父さんの執務室だよ」と言った部屋へと入り、
ずっと恐々とオロオロとしているサイラスとギルをソファに座らせ、漸く話し合いをする事に。
先ず、ダウィン侯爵の愚行をサイラスさんが伝えたら、
一瞬ピリッとお父さんから殺気が漏れたのに冷や汗が出たが、すぐ治まったので「ホッ」と胸を撫で下ろした。
そしてアレクの冒険者資格凍結の話しを僕がしたら、
「ああ。それは問題ないでしょう。
神の愛し子と大魔導師を敵に回すほどギルドの本部は愚かじゃありませんよ。
後でちょいと行って脅し…ゔゔん。失礼しました。ちょいと行って優し~くお話ししてきますからね」
……お父さん…言い直したけど、“脅し”って言ったのハッキリ聞こえましたけど!!
そして、そんな言葉を聞いて、何で3人とも尊敬の眼差しでお父さんを見てるの!?
お父様…是非とも平和的解決をお願い致します…
その後、「侯爵を精神的に追い詰める為に、商会を立ち上げる」という話し合いを繰り広げていたら、
コンコンというノックの後にガイアさんがドアの隙間から顔を出し、
「マシロ、“マイカントリー”の建国宣言は夕暮れ時にするのか?それとも朝するのか?」と問うてきた。
それを、「ガイア、“マイカントリー”じゃなくて、“ニューカントリー”だぞ?」とアレクが訂正した。
そして二人で首を傾げてから僕たちに、「ショウマどっちだ?」「マシロどっちだ?」と同時に聞いてきて、
「アレク、それは国名じゃないって言ったでしょ!」と僕が怒鳴り、
「ガイア、それは国名ではないと伝えたでしょ!」とお父さんが怒鳴った。
その声は重なり合って部屋で響き、
「「双子のようなハーモニー!すごっ!!」」と、また共鳴して部屋に響き渡った。
「取り敢えず、商会の前に新国名を考えない?お父さん。このままじゃクソださネーミングになるよ」
「そうだね。あの二つの名前はないですねぇ。う~ん。神の加護持ちばっかりの国ですからねぇ」
「神の国?神…ん~。あ、ボナジャルダンは?“幸福の庭”って意味なんだけど。~カントリーより良くない?」
加護持ちはいっぱい居るけど、決して“神の国”では無いからね。幸せになれる庭って良くない?
そう皆んなを見回して問い掛けたら、一同「幸福の庭か…良いな」と頷いたので、満場一致で決定!!
この後、もう少し商会についての話し合いをしてから、陽が傾いてきた頃に、
「では建国宣言を明日の朝に行い、そのあと商会の立ち上げですね。それと各工場への従業員の募集。
翔馬は塩田とキビ畑をお願いしますね」
「はぁい。お父さん」
「アレクはフォルティエに赴き、最初の取り引き先として契約を結んで来て下さい。
その際に、侯爵家を破滅へ追い込む助力を頼んで来て下さいね」
「分かりました。お父様」
「サイラスさんは商会の会頭として、従業員の面接です」
「任せて下さい!マシロ様!」
「ギルさんは、息子のグレインさんをサイラスさんの護衛にする交渉をしてきて下さいね」
「畏まりました。坊ちゃんの為に必ずや頷かせます」
「ガイアはカイトとマイキーと一緒に、子供達を幼稚園へ連れて行って下さい。エスくんの子守りもね」
「了解だ。チュッ」
「んッ…。こらガイア!全く…。
それでは皆さん明日から宜しくお願いしますね」
という事で、明日から各々の役割と動きが決まり、
目の前でイチャイチャしだしたガイアさんとお父さんに苦笑しながら部屋を出た。
そのままの足取りで、サイラスさん達の住処に案内し、驚いてる二人を強引に押し込め、
「じゃあねぇ!明日から頑張ろうねぇ!おやすみ~!」
と手を振り別れ、マッシュの元までエスポアを迎えに行き、
「暗くなる前に帰っておいでよぉ」とマイキー達に声を掛け、アレクと手を繋いで家路についた。
そしてソファに沈み込むように座り、「「ふぅぅ」」と同時に息を吐き出し、クスクスと笑い合い、
「ショウマ。ちゅっ、ちゅ」「んッ…アレク…」とキスしてイチャイチャしていたら、ぐにゃっと空間が歪み、
「まーまー、パーパ、たらいまー!」と元気良くルナが帰って来た。のだが……
「ル、ルナちゃん?帰って来たのはママとっても嬉しいんだけどね?そのお隣の男の子は誰かな?」
隣には小さい男の子がおり、ルナに首根っこを掴まれて項垂れてた。
そのクソだっさいネーミングを連呼するサイラスさんとギルさんに、「やめてぇ」と言っても止まらない。
そのうちアレクまでもが、「ニューカントリー。いい響きだ」と言い出したもんだから、屈辱に耐えられず、
「い~やぁぁあ!!」と空に向かって絶叫した。
呆然と街並みを見下ろし、「「ほぉ…」」と感嘆な声を出してるサイラスさんとギルさん。
僕を抱き締めたまま、「最強国家ニューカントリー。うんうん」と納得して頷いてるアレク。
アレクの腕の中で、「ダサい、ヤダ、ダサい…」と呟き震えている僕。
そんな奇妙な光景に加わるようにマイキーが空から現れ、
「ママ!来てそうそう悪いんだけど、大変なんだ!
……あれ?キミは…侯爵様の息子さんだよね!何か困った事があったの?…ってごめんね、それは後で教えて!」
「あっ…うん。後で聞いてねマイキーくん」
あら、マイキーはサイラスさんと知り合いだったのね。
「落ち着いてマイキー。どうしたの?大変ってなに?」
「それがね、ママが転移してきたのと同じ頃合いに、大量の亜人族と人族が噴水広場に現れたの!
それがさ、全員が身体の一部を欠損してるし、衰弱しててその場で倒れたまま動かないんだ!」
あれか!神からの手紙に書かれてた、“国を興したら保護した亜人たちを転移させる“ってヤツ!
僕の何かが発動条件になって、一緒に転移されてきたんだな!
……まだ国なんか興してないのに!今さっき移住したばっかりなんだけど!
いや、そんな事より衰弱してるなら早く栄養取らせないと死んじゃうな。
「知らせてくれてありがとマイキー。
僕は様子見てくるけど、アレクたちはどうする?ここにいる?」
「いや、俺も行くぞ。ヒール使えるし手伝うぞ」
「私も微力ながらお手伝いします!たぶん父の被害者もいると思うので!」
「私もお供致します。身体一部欠損。私が保護していた者たちかもしれません」
という事で、皆んなで輪になり手を繋ぎ噴水広場へ転移した。
到着した先では、大人も子供もごちゃ混ぜで大量に転がっており、「ゔゔッ」とアチコチから呻き声が聞こえてきた。
良く見ると、人族は欠損児として産まれて捨てられたのだろう…というのが見た感じでわかったが、
亜人族の人達は、角や耳、尻尾などが、人の手によって切り取られたのだろう…血が滴っていた。
そんな惨絶な現場の中で、悲痛な顔をしながら回復魔法を施してるお父さんを見つけたので、
「お父さん!聖魔法使えないの!ヒールじゃ欠損が元に戻らないよ!」と叫んだら、
「翔馬…残念だが聖魔法は神子様しか使えないんです。大聖殿にいる聖人、イルミナル様しか使えないんだよ」
え?聖人イルミナル様?“淀み払いの神子”っていう大聖女様の事かな?
それとも、聖人と聖女がいるの??ん??いや、そんな疑問はあとあと!
「お父さん!僕、聖魔法使えるからちょっと待ってね!フェリス神像に祈りを捧げるから!」
“聖人”に対しての疑問は解消されていないが、今はそれよりも傷付いた彼らを癒すために祈りを捧げないと!
そう思い、お父さんに叫んでから、噴水の支柱になっているフェリス神像の前に膝まつき、手を組み、目を閉じた。
(これが不思議なんだけど、こうすると頭にフッと詠唱が浮かんできて、口が勝手に紡ぎだすんだよねぇ)
“神像に捧げる願いよ届け。優しき光 神聖なる力、傷付いた者たちに降り注ぐように。
フェリス神様 この願いお聞き届け、彼等の傷を癒す魔法で、尊き祈り 紡ぎ出す奇跡の力を お下しください。
神よ、彼等を見守り給え。聖なる声が天へ舞い上がり、紡ぐこの詠唱。神々の祝福 降り注げ”
«聖の祝福!リジェネレート!»
パァァアアア……
{うう…ん?} {…あれ?} {!?手が生えた!} {ウソ!尻尾が!} {身体が軽くなった!} {聖女様だ!}
{黒髪の天使様} {あれは黒髪の女神様}
「「「聖女様!お救い下さり感謝致します!」」」いや、聖女じゃないってば!僕は男!
「……凄い…翔馬…あなた次代の聖人様なのですね…」
「は?え?違うよ?…そんな役目はないってフェリス神様が言ってたもん」
それより栄養取らさないと。何が良いかな?ゼリー?栄養ドリンク?……あ、ゼリー飲料水が良いかも!
「アレク!サイラスさん!ギルさん!マイキーも!コレ皆んなに飲ませてあげて!」
(その取り寄せスキル良いなぁ。ズルい翔馬ぁ。お父さんも欲しい~!
それより翔馬が次代の聖人様なのは確実だと思いますね。あと150年くらいしたら世代交代でしょうね)
そんな事を思いながら、小さい子にゼリー飲料水を食べさせてあげていたら、
ショウマが何も無い場所に向かって話し掛けていた。
「ほら。隠密でギルさんとサイラスさんをコソコソ監視してる貴方も食べて?バレてるから出ておいでよ」
(ふふふっ。本当に良い子に育ちましたね翔馬。皆んな気付いてて見て見ぬフリをしていたのに)
「…わ、私は…出ていけないのです…隷属の首輪で…命令に逆らうことが……??あれ?な、無い!首輪が!」
「ふふふ。おどろしい邪気を放ってたからさ。気持ち悪くて聖詠唱と共に解除しちゃったの。
もし、同じ目に合ってる同胞がいたら連れといでよ。パパっと解除しちゃうから」
あら、立派な鬣。ライオンの獣人さんかな?
「ううっ…うっ。本当に感謝します。神の愛し子様。うぅっ。私はあなたに忠誠を誓います…」
ええ?…そんなのイイよぉ…せっかく自由になったんだから好きなように生きて幸せになってよぉ…
そう言おうとしたのに、良い笑顔でニッコリ笑い、シュンっと消えて居なくなった。
その後、復活した他の亜人や人族達が一斉に頭を下げ、
「「黒の君。癒しの天使様と光の女神様に忠誠を!」」
と大声で叫ばれ、吃驚したままお父さんと視線を交わし、
「癒しの天使様?」とお父さんが僕を指さし、
「光の女神様?」と僕がお父さんを指さし、
「「黒の君?」」と指さしたまま同時に声を発した。
そしてギギギギと振り向き、ヒシッと抱き合い、
「「勘弁してよぉおお!!」」と声を揃えて大声で叫んだ。
そんな僕たち父子の様子に、遠目から笑い声が響き、そっちに目を向けると、アレク、マイキー、カイトが腹抱えて笑っていて、
その隣には、困り顔のガイアと、その腕に絡まって身を寄せてるシャイナが居り、二人の様子にオロオロしているベスケがいた。
「お父さん、アレいいの?てか、もしかして…3ピーなご関係ですのん?」
「コラ翔馬!」バシンッ!「あだっ!」
「全く…。シャイナちゃんはね、“親離れ出来ない子供“なんですよ。
ベスケくんを愛してるんだけど、隙あらばああしてガイアにベッタリ張り付いてるんです。
でも、いいんです。ガイアが愛してるのは私だって分かってるので。ふふっ」
ふ~ん。親の惚気話って、聞いてるとムズムズするな。
……今ふと思ったけど、お父さんってもしかして…元々ゲイか、バイだったのかなぁ?
ま、そんなことはどうでもいっか!幸せそうなお父さんが見れて嬉しいしね!
この後、頭を下げ続けている皆んなに頭を上げて貰い、住宅街まで案内して、各々好きな家で寛ぐよう伝えた。
設備の説明については、ガイアさん達亜人とマイキーとカイトが各所を周り教える事になった。
そして僕とアレク、お父さん。サイラスさんとギルさんの5人で、噴水広場の奥に鎮座する議事堂へと入っていった。
エスポアは、いつの間にか僕の傍にいたマッシュが「頭に乗せて、ボクが面倒見てるよ」と言い連れてったよ。
入ってすぐ目の前にある大階段を昇り、「ここがお父さんの執務室だよ」と言った部屋へと入り、
ずっと恐々とオロオロとしているサイラスとギルをソファに座らせ、漸く話し合いをする事に。
先ず、ダウィン侯爵の愚行をサイラスさんが伝えたら、
一瞬ピリッとお父さんから殺気が漏れたのに冷や汗が出たが、すぐ治まったので「ホッ」と胸を撫で下ろした。
そしてアレクの冒険者資格凍結の話しを僕がしたら、
「ああ。それは問題ないでしょう。
神の愛し子と大魔導師を敵に回すほどギルドの本部は愚かじゃありませんよ。
後でちょいと行って脅し…ゔゔん。失礼しました。ちょいと行って優し~くお話ししてきますからね」
……お父さん…言い直したけど、“脅し”って言ったのハッキリ聞こえましたけど!!
そして、そんな言葉を聞いて、何で3人とも尊敬の眼差しでお父さんを見てるの!?
お父様…是非とも平和的解決をお願い致します…
その後、「侯爵を精神的に追い詰める為に、商会を立ち上げる」という話し合いを繰り広げていたら、
コンコンというノックの後にガイアさんがドアの隙間から顔を出し、
「マシロ、“マイカントリー”の建国宣言は夕暮れ時にするのか?それとも朝するのか?」と問うてきた。
それを、「ガイア、“マイカントリー”じゃなくて、“ニューカントリー”だぞ?」とアレクが訂正した。
そして二人で首を傾げてから僕たちに、「ショウマどっちだ?」「マシロどっちだ?」と同時に聞いてきて、
「アレク、それは国名じゃないって言ったでしょ!」と僕が怒鳴り、
「ガイア、それは国名ではないと伝えたでしょ!」とお父さんが怒鳴った。
その声は重なり合って部屋で響き、
「「双子のようなハーモニー!すごっ!!」」と、また共鳴して部屋に響き渡った。
「取り敢えず、商会の前に新国名を考えない?お父さん。このままじゃクソださネーミングになるよ」
「そうだね。あの二つの名前はないですねぇ。う~ん。神の加護持ちばっかりの国ですからねぇ」
「神の国?神…ん~。あ、ボナジャルダンは?“幸福の庭”って意味なんだけど。~カントリーより良くない?」
加護持ちはいっぱい居るけど、決して“神の国”では無いからね。幸せになれる庭って良くない?
そう皆んなを見回して問い掛けたら、一同「幸福の庭か…良いな」と頷いたので、満場一致で決定!!
この後、もう少し商会についての話し合いをしてから、陽が傾いてきた頃に、
「では建国宣言を明日の朝に行い、そのあと商会の立ち上げですね。それと各工場への従業員の募集。
翔馬は塩田とキビ畑をお願いしますね」
「はぁい。お父さん」
「アレクはフォルティエに赴き、最初の取り引き先として契約を結んで来て下さい。
その際に、侯爵家を破滅へ追い込む助力を頼んで来て下さいね」
「分かりました。お父様」
「サイラスさんは商会の会頭として、従業員の面接です」
「任せて下さい!マシロ様!」
「ギルさんは、息子のグレインさんをサイラスさんの護衛にする交渉をしてきて下さいね」
「畏まりました。坊ちゃんの為に必ずや頷かせます」
「ガイアはカイトとマイキーと一緒に、子供達を幼稚園へ連れて行って下さい。エスくんの子守りもね」
「了解だ。チュッ」
「んッ…。こらガイア!全く…。
それでは皆さん明日から宜しくお願いしますね」
という事で、明日から各々の役割と動きが決まり、
目の前でイチャイチャしだしたガイアさんとお父さんに苦笑しながら部屋を出た。
そのままの足取りで、サイラスさん達の住処に案内し、驚いてる二人を強引に押し込め、
「じゃあねぇ!明日から頑張ろうねぇ!おやすみ~!」
と手を振り別れ、マッシュの元までエスポアを迎えに行き、
「暗くなる前に帰っておいでよぉ」とマイキー達に声を掛け、アレクと手を繋いで家路についた。
そしてソファに沈み込むように座り、「「ふぅぅ」」と同時に息を吐き出し、クスクスと笑い合い、
「ショウマ。ちゅっ、ちゅ」「んッ…アレク…」とキスしてイチャイチャしていたら、ぐにゃっと空間が歪み、
「まーまー、パーパ、たらいまー!」と元気良くルナが帰って来た。のだが……
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HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。
美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)
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