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第二章 召喚後~村の候補地を探す?

46 候補地を探そう4/6

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「ほう?ずいぶんとキレイな銀色の素材でできとるのぉ…」
ヴォルトーさん俺から受け取ったコンビネーションプライヤーを両手に持ってカチャカチャ音をさせつつ動かしてる。

確か渡した奴の爪に近い辺りにCr-Vの刻印があったので工具という前提があるなら普通の金属では太刀打ちできない硬さと靭性を持ってるはず。
って言うかこれまで使ってきた事で、どこぞの信頼の置けない国製では無いことは実証されている様なものなので、問題無い。
「そいつはこの首輪を破壊する為には使ってないけどたぶんこの金属板ぐらいなら簡単に曲げられる様な道具だぞ。」

「ほう?そうなのか?ではさっそく♪…っておい、これでは何も掴めんぞ?壊れてるのか??」
俺の説明を聞いてさっそく作業台の上に置いていたジェシカの首輪を持ち上げるヴォルトーさんだが、歪な形になっている辺りを挟み込む様に掴もうとするが支点を広げた位置で使っているので挟めなかったらしい。

プライヤーの握りを広く開いて支点移動する機構を説明すると子供のが新しいおもちゃを手に入れた時の様なキラキラとした目でコンビネーションプライヤーを見るヴォルトーさん。
「すげぇなぁ…こんな工具があれば今までみたいにサイズ違いの工具を色々用意せずとも良くなるな。」
機嫌の良いままヴォルトーさんはプライヤーの支点を移動させて首輪の鉄板の端を掴むと反対側を素手で掴んで筋肉を盛り上げる様な勢いで引っぱり始めた。

昨日マルセル君と一緒にソフィーを一緒に持ち上げた時に感じたんだが、マルセル君の出せる力の限界は俺達人間とそこまで違いは無い気がしたんだ。
最初にソフィーからお互いの性器を抜かずに立つ為にマルセル君にソフィーを押し上げる様に頑張ってもらったんだが、足の裏の摩擦量を超えて重心を動かせる様なヤモリだとかカエルみたいな力を出せる種族ではないのは確認した。
彼らの見た感じの体の構造は俺達同様2つの関節を介して腕と脚を動かす様な形態なので、走る能力もそこまで違いが無いと思う。
カンガルーとか犬とか猫の様なかかと部分が延びた走るのに特化した様な構造では無かったのは外見からも確認済みだし。
ただ、彼らは初日テラスちゃんと待っていた時に木の上からほぼ全員が飛び降りて来たので、樹などに登る為の握力や樹の上で姿勢を維持する為の腕力などは俺達に比べて比較にならないほどの力を出せそうな気がする。

これは想像でしかないのだが、彼らの祖先は爬虫類的な容姿を持つ樹上生活を長くしていた生物だったのではないかと思う。
もし戦う必要がある場合は場所を選ばなければならないだろうな。

「ふむ…形状が効率の良い感じになっているおかげでこんなに軽量なのにここまでの力に耐えられるか。素晴らしいのぉ…欲しいのぉ…」
そんな顔で俺を見るな。
「言っただろ?それは1日経ったら再召喚されるんだってば。」
「む~…再召喚よのぉ…んっ?再召喚?なぁキヨシ?それってどこで再召喚されるんじゃ?出した所なのか?それともこれが今ある場所か?」

…そう言えばそこらも詳しく聞いてなかったな。戻すのはたぶんだが…
「うおっ?!おいキヨシ…なんで消した?」
思ったとおり手で触れてない状態でも収納空間に収納できた。リストの項目を意識して収納するように考えれば問題無く収納できる。
「ちょいどんな感じに収納する事が出来るのかを確認してみたんだ。触れてない状態でも収納できた。そして…あぁ、出す場合は手に触れてる状態にしか出せないみたいだな。」
『ここに出したい』とヴォルトーのすぐ近くの作業台の上を指定しながらリストからコンビネーションプライヤーを出したら俺の手の平に当たる様に出てきた。
そして、俺はその時作業台に両手を着いた状態で居た為に作業台にめり込む状態でコンビネーションプライヤーが呼び出されてしまった。
「こんな感じに少し隙間が出来る様にそこにある物をキレイに消して出てくるのか…ちょっと危険だな。出すときは回りを十分に確認してからじゃないとまずいな…」
召喚する時にもしかしたらどんな物でも削り取ってしまうかもしれない可能性を感じてかなり危険だと考えていた俺だったがヴォルトーが小さな声でボソっと言ってきた。
「…それ弁償な。」

「えっ?!」
弁償と言われても代償に使える様な物は無いが…って言うかここではお金をまだ見てないので物納とか言われたらもっと困る。まぁそもそもお金も無いが。
「どうせなんも持ってないのは知っとるわい。だからキヨシはその作業台の代金ほどわしに付き合ってもらうぞ。」
「イヤイヤ!そんなどんぶり勘定みたいな言い方で条件を決めるなってば!俺もここで色々聞いてから新しく住む所に行く必要があるんだからそこまで暇って訳じゃないんだぞ?」
「まぁそう言うな、それにキヨシもここでどうやって金属加工をしてるか知りたいんじゃろう?だったらせめて2日程度はかかるからその間色々調べて楽しむと良かろう?」
「そう言いながら気付いたら1ヶ月とか経ってるんだろ?知ってるぞヴォルトーみたいな奴はこだわりだしたら止まらなくなるって。」
「それはキヨシも似た様な感じなんじゃないか?」
「イヤイヤ俺は優先すべき事を優先できる自分の欲望に勝てる様な強い意志が」
「ウソつけ。そんな言葉で逃げ道を探す奴がそんな聖人君子な訳が無かろうが」
「イヤイヤイヤ♪そんな事は無い。だって俺」
「なぁ、楽しそうにしてる所悪いがそろそろ飯を食いに行かないか?俺そろそろ腹減ってきたんだが?」
「「んっ?」」

俺とヴォルトーさんが交渉してるとマルセル君が腹の辺りをさすりながら少しめんどくさそうに言ってきた。
「おぉ、そう言えばまだ食べてなかったのぉ。…キヨシはどうせ村長の家で食うんじゃろう?」
ヴォルトーがチラっと裏方の方を見て聞いてきた。
「そこらは何も聞いてないな。フベルトさんとは昼に話をする約束をしたから使いが来る事になってるけど。」
「それなら確か離れに宿を借りとるんじゃったな…そこで食いながら知りたい事の話もしておくか。マルセル、飯の支度を村長の所の厨房に行って頼んで来い。わしは仕事の頭連中を連れて行くから一緒に食いながら話そうじゃねぇか。」
人を使い慣れている感じに段取りと指示を出してさっさと奥に引っ込んで行ったヴォルトーだった。

「とりあえず俺は言われた事してから行くんで一緒に食べる人を起こしておいてくれ。あぁそれと…ジェシカちゃんはその集まりには出さない方が良いと思うから部屋から出さずにおいてくれ。」
俺も今まで奴隷として扱われていたジェシカは頭連中の集る場所には出さない方が良い気がする。

マルセル君の言う通りにする事を了承して俺は離れに1人で戻った。
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