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豪先生
しおりを挟む*五条side
手術から1週間。
休憩時間にひなの病室へ行き、眠るひなのおでこにそっと手を置くと、『ん……』と肩をすくめてひなが起きる。
五条「ごめんな、起こしたな。まだちょっとしんどいな」
うっすら目を開けたひなに言うと、ひなは再び目を閉じる。
術後数日間、アブレーションの炎症でひなは発熱が続き、食欲不振はもちろん、咳も出て、胸の違和感もあったようで、なかなか落ち着かなかった。
昨日からようやく微熱になり、ひなの表情も少し和らいだが、それでもまだまだしんどそう。
コンコンコン——
藤堂「あ、悠仁来てた?」
ちょうどタイミング良く、藤堂先生と工藤先生、そして豪先生が来る。
五条「お疲れ様です」
工藤「休憩?」
五条「はい。ひなの顔を見にと思って。あの、ひな今朝はどうでした?また顔が熱い気がして」
豪「とりあえずちょっと診てみよう」
五条「お願いします」
ステートを首から外し耳につけた豪先生は、そーっとひなの胸元に手を滑り込ませる。
ひな「んっ……」
ピクッと眉間にシワを寄せて、さっき閉じた目を開こうとするひな。
すると、
豪「ひなちゃ~ん?大丈夫、胸の音聴いてるからな。寝てていいよ」
って、ひなの目元にそっと手を置いて聴診を続ける豪先生。
パニックを起こしてもおかしくないのに、一瞬でひなを落ち着かせる豪先生はすごい。
豪「心音は落ち着いてるし、モニターも安定してるけど、確かにちょっと熱いな。熱測れるか?」
言われて、藤堂先生が耳式体温計をひなの耳に。
ひな「ん、いゃっ……」
少し耳を引っ張られたので、今度こそグズるひな。
とはいえ耳式なので、ひなが嫌と言い終わる時には検温も終わり、
藤堂「8度1分です」
豪「思ったよりあるな……」
藤堂「血液検査、入れてみましょうか?」
豪「うーん……いや、何も悪さはしてないと思うんだ。採血するのも可哀想だから、まだ様子見よう。夜まで下がらなければ解熱剤は入れて」
藤堂先生の"血液検査"という言葉にピクッと反応したひなを見逃さなかった豪先生は、
豪「大丈夫。たくさん寝て、起きたらしっかり食べようね」
ひなの頭を撫で、表情を和らげてから、病室をあとにした。
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