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再び襲う恐怖
しおりを挟む……あれ?
ここ……どこ……?
眠りから覚めると、そこには真っ白な天井があった。
そうだ、わたし病院にいるんだった。
いつの間にか寝てたんだ。
そう思ってぼーっとしてると、部屋の扉が開いて誰かが入って来る音がした。
五条先生かな?まこちゃんかな?
って、振り向くと……
「テメェ、学校行って何日経ってると思ってんだ……?」
……!?
な、なんで……?
なんであの人が目の前にいるの……?
捕まったんじゃないの……?
「帰らないなら死んでこいっつったの忘れたか……?」
「そ……そんな…………や、やめてっ!!」
ドンッ!ガシャーンッ!ボコッ!!
「ゔっ……ごめんなさい……ゔぅ……」
「さっさと死ねこのクズ!」
はぁ……なんで……?
解放されたと思ってたのに、なんでまた殴られてるの……?
それにその死ねって言葉、もう何回聞いたんだろ。
って、そういえばなんでこんな苦しいのに、今まで生きてきたんだっけ……?
……そっか、死ねばいいのか。
言われた通り死ねば、もう苦しくないんだ……。
「ハァハァ……ケホッケホッ……」
ほら、息も苦しくなってきた……
「ハァ……ッハァ……ハァハァ……」
「……なちゃん!」
ん……?
「……な!……な!……きろ!」
あれ……?
「……なちゃん!……きて!」
なんか、誰かに呼ばれてる……?
五条先生……?
あぁ、さっきのってひょっとして夢だったのかな……。
***
*五条side
さっき呼び出された急患の対応を終え、医局に戻ろうと廊下を歩いていると、後ろから宇髄先生と工藤先生に声をかけられた。
宇髄「五条、お疲れ様」
五条「あぁ、宇髄先生、工藤先生、お疲れ様です」
工藤「急患だったのか?」
五条「はい。転んで捻挫しただけの小学生でした。学校の養護教諭が不在で、焦った担任が救急車呼んだらしいです」
工藤「それはそれは、お疲れ様。で、それはそうとひなちゃんは?お昼はごはん食べたか?」
五条「スープひと口飲ませましたが、そこで急患が入ったので……」
工藤「たぶんそれ以上食べてないだろな。食べなきゃちっこいのに」
なんて話してると、
プルルップルルッ……
呼び出しの着信音が鳴った。
五条「ちょっとすみません。……はい、五条です」
真菰「五条先生!今どちらですか!ひなちゃんが!!」
五条「……すぐ行く」
電話の相手はまこちゃん。
ひなに何かあったらしい。
まこちゃんの声が聞こえてたのか、宇髄先生と工藤先生も、
宇髄「ひなちゃんか?」
五条「はい」
工藤「行こう」
と、急いでひなの病室に向かった。
***
~病室~
ひな「ハァハァ……ケホッケホッ……ッハァ……ッハァハァ…………」
神崎「ひなちゃん!ひなちゃんわかる?」
ひなの病室には、すでに神崎先生が駆けつけていた。
ベッドから落ちて発作を起こすひなを見つけたまこちゃんが、たまたま廊下にいた神崎先生を呼び止めてたらしい。
五条「ひな!」
宇髄「神崎、何があった?」
神崎「わかりません。まこちゃんが見つけた時はこの状態で。点滴の漏れ方見てると、5分も経ってないはずなんですけど」
ひな「ハァハァ……ケホッケホッ……ッハァ……ハァハァ…………」
五条「ひな!ひな!」
ひな「ケホケホッ、ハァハァ……ゲホゲホッ、ごめ……なさぃ……ハァハァ……ッハァ……」
五条「おい、ひな起きろ!」
工藤「ひなちゃん!起きて!」
みんなが声をかけてると、ひなの目がうっすらと開いた。
ひな「ハァハァ……ゆ……ケホケホッ……め……ハァ、ハァ……」
五条「……夢?なんか夢見てたのか?」
ひな「ゲホゲホゲホッ……ハァハァ……ハァ、ハァ…………」
五条「ひな?ひな!?寝るな、起きろ!」
一瞬目を開けたものの、ひなはまたすぐに意識を飛ばしてしまった。
***
*ひなのside
真菰「あ、ひなちゃん!! 気がついた?」
また随分と眠った気がする。
重たい目を開けるとまこちゃんがいた。
やっぱり、あれは夢だったのか……。
まこちゃんを見てなぜかすごくホッとした。
ひな「ま……ハァ……こ……ちゃ…………ハァ……」
あれ、なんかしゃべりにくい。口になんかある。
真菰「ん?ひなちゃん苦しい?ちょっと待ってね。先生呼ぶね」
ぼーっと天井を見つめてると、ガラガラと扉が開いて五条先生が入ってきた。
五条「目覚めたか?マスク外すぞ」
と、口にあった酸素マスクを外してくれて、
五条「苦しくないか?」
……コクッ
五条「胸の音聴くぞ」
ビクッ……
まこちゃんに病衣をめくられて、五条先生が聴診する。
この感じ久しぶり……。
五条「なんでベッドから落ちてたんだ……?」
え、わたしベッドから落ちてたの……?
五条「どんな夢見てたんだ。夜まで寝るなって言っただろ」
あ……そうだ……わたし、夢を見たの。
あの人の夢を。
また殴られた。死ねって言われた。
そう、それでもう苦しいから、死んだほうがいいって思って……。
五条「はぁ……。今は15時だ、夜まで寝るなよ」
そう言って、五条先生は出て行った。
……はぁ。
五条先生って、なんであんなにいつも怖いんだろう……。
そう思ってたら、
真菰「五条先生、ひなちゃんの顔見て安心したみたいだね。なんだか顔が、見たことないくらいホッとしてた」
え?どこが?
真菰「ひなちゃん、丸2日眠っててやっと起きたから」
ひな「え……?」
わたし、丸2日も眠ってたの?
びっくりしすぎて声が出た。
真菰「五条先生ね、ひなちゃんのことすごく心配して、昨日も一昨日も一晩中ひなちゃんのそばにいたの。仕事中も時間があれば様子見に来てたしね」
五条先生が……?
あの怖い人がなんで……?
真菰「ふふっ。ひなちゃん、五条先生が怖かったのか」
……わたしなにも言ってないのに、まこちゃんも心が読めるのかな?
真菰「五条先生は確かに厳しいとこもあるけど、すっごく優しい先生だよ?たまにひなちゃんを叱るのも、ひなちゃんが心配で苦しい思いしてほしくないからだよ」
五条先生が優しい……?
真菰「ほら五条先生ってさ、いつもちゃんとひなちゃんに聞いてくれてない?お腹空いてないのとか、なんで眠いのかとか。さっきだって、なんで落ちちゃったのか、どんな夢見たのかって聞いてくれたでしょ?」
たしかに……
言われてみれば、五条先生はいつもわたしの声を聞こうとしてた。
目が覚めて病室を出たあの日も逃げた理由を聞いて……その後は怒ったりしなかった。
わたしの声を聞いてもらえるなんて、そんなの初めて。
真菰「ひなちゃんが自分の気持ちや思ってることを先生に話せたら、先生は怖くないよ。先生に言えなかったら私にでもいいから、ひなちゃんのこと私たちに教えて?ね?」
コクッ……
あんまり自信はないけど、まこちゃんの言ってくれたことは伝わった気がする。
そう思って頷いた。
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