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複雑な思い④
しおりを挟む——翌朝
いつもの回診の時間。
ベッドのカーテンを開けると、ひなはまだ浅い呼吸で苦しそうにしてる。
ひな「ハァ、ハァ……ハァ、ハァ……」
五条「まこちゃん、体温は?」
真菰「今、39度3分です」
五条「高いな……」
ひなのおでこに手を置くと、ひなが少し目を開けた。
五条「しんどいな。ちょっと先生にもしもしさせてな~」
ひな「コクッ……」
と、ひなが頷く。
そして、チェストピースを胸に当てると、
ひな「ピクッ……」
五条「冷たいか?」
ひな「コクッ……」
手のひらで温めても冷たく感じるくらい、ひなの身体が熱い。
五条「まこちゃん、氷枕と解熱剤持ってきてくれる?」
真菰「わかりました」
と、まこちゃんが取りに部屋を出ると、
ひな「……ハァ……ハァ……ぁっぃ……ハァ、ハァ……」
ひなが潤んだ目で訴えてくる。
五条「熱いな。ひなちゃんな、今お熱が高いから身体がぽっぽってしてるんだ。まこちゃんが冷たい枕持ってきてくれるから、もうちょっと待ってな~」
と言うと、向かいで夏樹の診察を終えた宇髄先生がこっちに来た。
宇髄「ひなちゃん辛そうか。珍しく五条が小児科モードだな」
しまった。
夏樹のとこに宇髄先生いたんだった……。
小児科モードは小さい子への話し方。
恥ずかしいからあんまりしないが俺だって一応そういうこともできる。
ひなが苦しそうに目を潤ませてるし、初めて自分で何かを訴えてきたのでつい……。
真菰「お待たせしました!」
まこちゃんが戻ってきた。
真菰「ひなちゃ~ん、冷たいの置くね!頭ちょっと上げるよ~」
まこちゃんに氷枕を敷いてもらうと、ひなの表情が心なしか緩んだ。
五条「気持ちいいか?」
ひな「コクッ……」
でも、ここで解熱剤も入れないと。
五条「ひなちゃん、これからお熱下げるお薬も入れるな。ちょっと身体横に倒すぞ~」
言って、ひなの身体をまこちゃんの方へ倒すと、ひなは何かを察したのか抵抗し始めた。
ひな「ハァハァ……ゃ……ハァハァ、ぃゃ……ハァハァ……」
宇髄「ひなちゃん、大丈夫だよ。少しだけまこちゃんの方向いて海老さんみたいになってよう」
と、宇髄先生もひなの身体を押さえてくれる。
その間に、まこちゃんから座薬を受け取り、ひなのズボンとパンツをサッとズラした。
ビクッ!!
ひな「ゃ、ハァハァ……ゲホッゲホッ……めて……ハァハァ、ケホッ……」
真菰「ひなちゃ~ん、大丈夫よ。おてて握ってようね。」
まこちゃんがひなの両手を包んでくれ、
宇髄「ひなちゃーん、ゆっくり深呼吸してごらん。お口からハーって息吐けるかなー?」
宇髄先生が言う。
そして、ほんの少しひなの気が緩んだ隙に……
ひな「い"ぅ!……ケホケホッ、ぃ……ぅぅ……ハァハァ……」
五条「ひなちゃん、ごめんな。ちょっと気持ち悪いな。ハーってお口から上手に力抜いてみような」
座薬を入れてしばらく指で押さえてると、ひなの目から涙が流れるのが見えた。
そして、ゆっくり膝を伸ばして仰向けに戻し、
五条「いい子だったぞ。えらかった。もう大丈夫だからゆっくり寝たら治るからな」
頭を撫でてやると、すぐにスヤスヤと眠りについた。
それから昼も夜もひなは起きることなく、日付が変わって午前4時ごろ。
様子を見に行くと、ひなは目を開けていてびっしょり汗をかいていた。
五条「起きてたのか?汗いっぱいかいたな。気持ち悪いだろ?着替えるぞ」
と、夏樹が起きないように小声で言うと、ひなはすぐにコクッと頷いた。
まこちゃんも呼び、ひなの身体を起こしてタオルで汗を拭いて、新しい病衣に着替えさせると、よっぽどスッキリしたのかまだぼーっとしてるのに、
ひな「アリガト……」
と呟いた。
体温を測ると37度まで下がっている。
五条「もう少し寝とくんだぞ。朝になったらまた来るからな」
と言って、ひなが眠ったことを確認してから部屋を後にした。
***
そして、朝になって……
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