ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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複雑な思い③

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*五条side



~夏樹のベッド~





バシッ!!



夏樹「ぃ……って~!結局やんのかよ。なんでひなのの前でやらなかったんだよ!」





屋上で叩かれなかった夏樹は、ひなの処置が終わった後、工藤先生に思いっきり叩かれた。





工藤「お前には関係ない!それより、お前のせいでひなちゃん苦しい思いしてんだぞ!男なら女の子を守れ!何傷つけてんだ」


夏樹「ひなの、大丈夫なのか……?死ぬのか?」


五条「死にはしないし、俺が死なせない。けど、俺の患者になんかしたら承知せんって言ったよな……?ひなは階段登って喘息が酷くなって、外で身体が冷えて高熱だ。なんで屋上に連れ出したんだ、説明しろ」





たとえ子どもだろうが、こういう時に誰も手加減なんてしてやらない。





夏樹「……ひなのの様子が変だったから。気分転換させてやろうと思ったんだよ……。2、3日前からずっとぼーっとしてて、なんか考え事してるみたいでさ。明里が退院って言い出してからだから、屋上でひなのも退院したいのかって聞いたら、帰る場所がないからずっと病院だって意味不明なこと言うし……」





やっぱり……。



明里ちゃんが退院するのを見て、それも両親といる姿を見て、ひなは複雑な思いを抱いたんだ。

病院に来て1ヶ月経って、少しずつ状況の整理もできてきて、考え事する心の余裕も生まれてきてるはず。

調子が良くなってきたんで油断してたが、そんな時にあの場に居させたのは配慮が足りなかったか……。

いや、でもそれは、これからひなが乗り越えて行かないといけないことでもある。





五条「……ひなは夏樹より身体が弱いんだ。喘息だって酷い。もう勝手に外に連れ出すな」


神崎「……夏樹く~ん、お返事は~?」


夏樹「わかったよ……」


工藤「ついでに言っとくけどな、ひなちゃんはお前が惚れていい女じゃないからな?」


夏樹「はぁ!?兄ちゃん何言ってんだよ、俺別に惚れてねぇ!!そんなんじゃねぇからな!!」


宇髄「静かにしろ!ひなちゃん起きるだろ。そんな大きな声出さなくても顔にかわいいな~って書いてる」


夏樹「なっ……//」


宇髄「ほら、夏樹も喘息出たらダメだから少し寝とけ」





と言って、みんなで病室を後にした。










***



~小児科医局~





藤堂「おかえり。みんなお揃いで」


神崎「藤堂先生、来てたんですね」


藤堂「ひなちゃんが夏樹といなくなって熱も出したって、まこちゃんが慌てふためいてたからさ。まこちゃんを落ち着かせてた」





と、にっこり微笑む藤堂先生の隣には、先に戻っていたまこちゃんがしょぼんとしている。





真菰「申し訳ありません。わたしがちゃんと2人のこと見てなかったから……」


工藤「まこちゃんは子どもたちのことよく見てるよ。だから、いなくなったことにもいつもすぐ気づいてるじゃん?夏樹なんてまこちゃん担当じゃないのにさ。ま、悪いのはうちの夏樹だから。ごめんねいつも」


真菰「いえ、ついこの前も夜勤の時に脱走させてしまったので……。それに、ひなちゃんがぼーっとしてることには気づいてたのに、もっと注意しておくべきでした。私、戻ります」





と、まこちゃんはナースステーションに戻っていった。





神崎「ひなちゃん、明里ちゃんのご両親が見えてからだよね、様子が変なの。夏樹と屋上行ったのはそれが原因かな」


宇髄「なぁ五条。ひなちゃんに、彼女の生い立ちは話さないのか?曽祖父がこの病院を創ったことや両親のこと、お前と過ごしてたことも」


五条「ひなが混乱すると思いまして。そう簡単に昔の記憶は戻らないでしょうから」


神崎「じゃあさ、昔のことは話さないとして、退院後のことは話してあげたら?一緒に住むんでしょ?」





そう。

ひなが元気になって退院したら、その後は今住んでるマンションの部屋に一緒に住むつもりだ。

アメリカの両親にも伝えてあって、そうしろと。

でも、ひなにはまだ話してない。





五条「退院にはまだ時間がかかりそうですし、今、俺と住むって言われても混乱すると思うので。退院が見えてきてから伝えます」


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